レンバッハはドイツのクールベと呼ばれ、四千点に及ぶ肖像画を残している。この絵は低い目線から見上げるように、牧童が穏やかな日射しを手で遮蔽するように仰臥休息する姿を描いている。この絵には牛が描かれていないが、牧童の向こうの空の下にはおそらく牛の群れがいて、牧童を覗(のぞ)くように今にもひょっこりと姿を見せそうな予感がある。