エリオス・グルナー(1882-1939)   「春の霜」

 グルナーはオーストラリア印象派の画家で、戸外で光が演出する風景、特に早朝の風景をよく描いた。▼飼い主が朝の見回りか搾乳にきたのであろう。2頭の親牛が飼い主の方を向いて出迎えている。飼い主と牛は逆光を背負い、金色に輝く光が彼らのシルエットの輪郭から全方向に放射する場面を見事にとらえている。牛の品種は英国から導入のショートホーン種と思われる。▼近景はまさに印象派の筆致だが、遠景はかすみのように模糊と描かれており、画家が尊敬した風景画の巨匠コローの影響をうけているようである。

 デュプレ