・・・・・実家の(今はもうない)僕の部屋(木造二階)で少年が寝ている。

少年はふと目を覚ますと、何やら胸騒ぎを覚えた。
「・・・・・・・・・」
嫌な気配に神経をめぐらせながら、彼はベットから起き上がり部屋を出て、歩み寄った二人の従者と共に急いで階段を駆け下りる途中、子供の泣き声をかすかに聞いた。

階下には畳の大広間が広がっていて、何十人という人間が長テーブルについていた。奥にはご神体の様な大きなものがある。火葬場のような広間。大人も子供も、おそろいの白いお遍路の様な着物を着ている。

「全員いるか!!」
少年が叫んだ。
少しのざわめきのあと、奥に座っていた子供が恐る恐る手をあげる。
「・・・○○君と、○○君と一緒にいた××ちゃんがいません・・・・・。」

少年はたった今降りてきた階段の上を見上げた。

―さっきの子供の泣き声―・・・・・

きびすを返し、一気に階段を駆け上る。二階の自分の部屋の先、奥の部屋が真っ黒な空間に変わっていた。
「誰かいるのか!!」
異様な空間に踏み込み少年は叫ぶ。小さな女の子―。さっき聞こえたのと同じ泣き声―。
「早く下へ降りろ!」

―奥にまだ子供がいるはずだ―

奥へ、奥へ。走っているのか歩いているのか解らない。ただ動悸が速まっていく事だけが強く感じられた。
目に飛び込んできたのは真っ黒な化け物。例えようのない、常に形を変化させる煙のような妖怪。
少年がそれに捕らわれている男の子をその目に捕らえた瞬間
化け物が一気に少年めがけて動いた

― 死ぬ ―

そう感じ取った瞬間に―・・・・・

全てが真っ白く、何かに飲み込まれるように消えた


夕方。何かから必死に逃げている。ここはどこ?小学校の裏・・・・?

ハンテンを着ている子供。もう一人の子供の手を引いて、必死で逃げている。
赤い鬼と青い鬼がすごい形相で追いかけてくる。
―逃げなきゃ・・・逃げなきゃ!―
タイヤが山積みにされている廃車置場まで逃げ込んだ。
「早くっ!」
手を引かれている子供は疲労と恐怖で泣いている
「静かにして!!」
もう逃げ場がない。
追い込まれてしまった。
小さな隙間に二人で身を隠し、そばにあったぼろの毛布で身を隠した。
息切れしている自分の呼吸すらうるさく感じられ見つかるかもしれない恐怖が膨張する

何かがいる気配

― 来た ―

布団がはがされる
並んでいる二匹の鬼
もうダメだ
そう思ったところで 
目が覚めた



ここはどこだろう??雲の中に浮かんだ球状の島・・・??石段が宙に浮いている。
小さな島で、球状のその島のてっぺんにはお寺が建っている。
寺の中は酷い急斜面になっていて、柱にしがみついてないと寺の本堂から境内、そして空へと転がり落ちてしまいそうだ。
十数人の男女がそこにはいて、どうも全員が全員知り合いというわけではなさそう。僕が知ってる人はいない。
囲みのある境内から、皆がそれぞれ一列に並んで下を眺めている。空と雲しか見えない・・・・・。

諍いが始まる
乱れる人 人 人 混乱する意識 恐怖から来る恐怖の鎖 僕は止める事も出来ない

ふと気付く  僕は・・・・・  子供?!?!? 

はっと現実に引き戻される
隣にいた男が女を膝からかかえ抱き上げた
あっ と息を呑んだ瞬間
女が空中へ放り出された

「!!!!!!!」
声にならない 混乱と早まる動悸だけが感情となって突き抜けていく
そして―――
大きなどよめき。それまでとは異質な空気が流れ込んできている どこからだ???
武装した兵士・・・??いや、日本の機動隊だ 紺色の防御服にヘルメット でもなんでこんな所に?
宙に浮かんだ石段に行列になって登って来る機動隊の群れ。
「誰が殺したんだ!?!」
叫ぶ声が耳に触れた
混乱は更に大きくなりたくさんの人が空中へと投げ出され落ちていく
わからない
でも
きっとここは

危険なんだ