邦題「ことの終わり」※Rー15
原題「The end of the affair」
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
5 |
聞け!ニール・ジョーダンの叫びを |
マキトモ |
4 |
ただし女性と見るべし。つまりあなたが男性ならガールフレンドと、女性なら女同士で見ること。男同士で見る映画じゃないし、ボーイフレンドを誘うと、ガードが甘くなる。 |
<コメント> |
すいません、2回も泣いてしまいました。しかも、たぶん周りと違うタイミングで。 いや、まあ普通に恋愛映画として観ても十二分に泣けるんですけどね。 でも、ニール好きのわたしには、違う声が聞こえる。それは「クライング・ゲーム」や「インタビュー・ウィズ・バンパイア」、「マイケル・コリンズ」から聞こえつづけているニールの慟哭だ。 つまり、ニールの育った、アイルランドってのはキリスト教のカトリック派とプロテスタント派の血みどろの歴史の土地なんだ。で、ニールはいつも言ってるんだ。「神様なんて、いらない!ほっといてくれ!これ以上俺たちを苦しめないでくれ」って。宗教色の薄い日本に住んでるから実感ってなかなか湧かないんだけど、それでも聞こえてくるんだから、それこそ慟哭ってもんじゃないのかな? (ほーく) ラスト以外、見ごたえ充分のハーレクインロマンス。ヒロインである妻をめぐって、エリート外交官の夫と愛人と本人の3人が煩悶し、和解する話。大人の男女の情熱的な恋、苦悩と嫉妬と誤解と別れ、事故と病魔と失意と祈りの果ての魂の和解、そしてそれらを貫く一本の太い御都合主義/これ以上、恋愛映画として何が望めよう。 本作が優秀かつ巧妙なのは、謹直な夫と情熱的な愛人の二人を手玉に取るヒロインが、泥をかぶらないよう、演出、設定が徹底している点だ。油断すると、もう「崇高」とか口走ってしまいそうなくらいだ。巧妙というより「王道に忠実」といったところだな。浮気するのは、定番「まじめだけど退屈な夫/情熱的な愛人」を踏まえた「真実な愛」のせいだし、一夜で人妻を口説き落とす愛人が2年浮気せずヒロイン一筋なのも「真実な愛」の為せる技だ。彼女が苦しむのは自分の誠実さのせいであり、彼女が彼女のせいで無視されたり罵倒されることもなく、うんざりするような修羅場も来ない。やっかいなガキも生んでいない。夫vs愛人が直接対決か…といった場面で、20年前の少女漫画のような、ベタなドンデン返しが入ってラストを迎える。これで男2人がネチネチしてなければ、傑作なのだが。メロドラマ一般に言えることだが、浮気相手の内面的魅力が、亭主への欲求不満を隠れ蓑にして、(「私を情熱的に愛してくれる」以外)実は不問に付されている。 本作のキーとなっているのが信仰であり、信心深いヒロインが、神様に義理立てしたあまりに愛人を苦しめ、本人も思いつめる。「そんなに信仰が大事なら最初から浮気するな」などと皮肉を言っては、「真実の愛」を味わえないんだろうな。この手の女は、教会で涙ながらに祈る後姿がサマになってるから、許されてしまうのだ。 本作は、デリケートな配慮が行き届いた、優れたメロドラマだ。全編に渡って、ある種の昇り詰めるような気品と、しっとりとしたうるおいに満ちており、見終わった後ボーっとし「こんな恋をしてみたい」と思った人も多いはず。謎を小出しに解きほぐしてゆくかと思うと、いきなりドンデン返しを入れたりと、ストーリーは起伏たっぷり。光線の加減、しとしと雨、美しい家具や小物、建物等、舞台は「古き良きイギリス」で隙が無い。私は論評の都合で本作の御都合主義依存を指摘したが、ご都合主義だって重要な映画の楽しみである。現実の恋愛が、本作と逆であればあるほど、本作のように「たくさん恋しても、みんな誠実で清らかなまま」な奇蹟が光り輝くことだろう。 |
主演 | レイフ・ファインズ@モーリス・ベンドリックス、ジュリアン・ムーア@サラ・マイルズ |
共演 | スティーブン・レイ(渋い!)@ヘンリー・マイルズ、イハン・ハート@パーキス、ジェイソン・アイザックス@スマイス神父 |
監督 | ニール・ジョーダン |
脚本 | ニール・ジョーダン |
原作 | グレアム・グリーン著「情事の終わり」(新潮文庫or早川書房)‘51年発表作 |
音楽 | マイケル・ナイマン(お薦め度5) |
OST | 購入済み |
1999年作品 | 101分 |
http://member.nifty.ne.jp/p-chan/2000-12-1.htm#EndOfTheAffair
http://www.spe.co.jp/movie/endoftheaffair/
http://www.ascii.co.jp/yakusha/likes/movie/2000/10/10/619065-000.html
http://nagoya.cool.ne.jp/dayfornight/Review/2000/2000_11_06_2.html
http://homepage1.nifty.com/Tanu/cinema-j/kotonoowari.htm
http://www.ne.jp/asahi/hp/mastervision/archive2001a.html#KOTONOOWARI