邦題「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」
原題「THE MUMMY」
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
4 |
バカ映画の強み。それは直球オンリーです。 |
マキトモ |
4.5 |
能天気娯楽活劇の道を邁進。B級映画限定出血大サービスでお薦め指数4.5を贈呈だ。 |
<コメント> |
ユーモア&冒険、呪い&スペクタクル、お涙&特撮、兄妹愛&無茶なシナリオを、1920年代のエジプトを舞台に、一本の映画の中にブチ込んだ、恐るべき、そして臆面の無い力技。背景、動機は一切不問である。もう、見るからに「そのまんま」な登場人物達が、強引極まりないシナリオを、バリバリと音を立てて突き進んでゆく。 これが消化不良になっていないのは、キャラクターの役割分担、描き分けが、(ステレオタイプに即して)厳格無比だからだ。内面描写の類を断乎排除した、近年稀に見る(その意味では古いタイプの)潔さ。この裏の無い人物設定では、シナリオのテンポが速くなかったら、却って退屈だったろう。 スペクタクル冒険活劇路線としては、インディージョーンズの方が有名だが、違いを述べておこう。インディージョーンズの場合は、観客が主人公に感情移入し、「理想の冒険」を投影する造りだ。主人公は観客の代わりに冒険してくれるのだから、主人公が苦しむシーンで、原則的に観客も主人公に声援を送りたくなる。だが本作は、冒険や感情移入よりもドタバタ優先だ。主人公たちが苦しむほど、「おいしい(=お笑い用語)」。 特撮は、リアリティ/迫力といったSFX本来の魅力を抑制し、ドタバタ活劇を支える小道具としての役割を最優先。CGの「人喰いスカラベの群れ」(ゴキブリのような速さで襲って来る)/襲撃してくるミイラ/「イムホテップの悪霊」など、特撮系悪役陣は、どこかに愛嬌が織り込んである。だからSFXの位置付けは中途半端だが、予算は充分投入されており、この手の、主演を安く済ませたB級映画にありがちな画面の貧しさは、完全に払拭されている。複葉機で砂漠を飛行するシーンなどを映画館の大画面で見ると、ロケの雄大さに、つい「ハムナプトラ」であることを忘れて、うっとりしてしまった(どうして、砂漠には複葉機が似合うのだろう?これもステレオタイプの力だろうな)。 謎の一族の襲撃/お約束の崩れる神殿/ならず者モード全開のトレジャーハンターetcと、ドイツもコイツも徹頭徹尾ステレオタイプだから、80年代以前のステレオタイプ全盛時の洗礼を浴びた人の方が、素直に反応出来て楽しいだろう。 B級路線の麻薬である、下ネタ、お色気、お下劣を控えたのも、触れておきたい点である。もちろん、終わったら5分で忘れてしまうのが本作の正しい味わい方だ。 |
主演 | ブレンダン・フレイザー@リック・オコンネル、レイチェル・ワイズ@エヴリン |
共演 | アーノルド・ボスルー@イムホテップ、ジョン・ハナ@ジョナサン、ケヴィン・J・オコナー@ベニ、オーディド・フェール@アーデス・ベイ、ジョナサン・ハイド@エジプト学者、オミッド・ジャリリ@刑務所所長、エリック・アヴァリ@博物館長、スティーブン・ダンハム@ヘンダーソン、コーリー・ジョンソン@ダニエルズ、タック・ワトキンス@バーンズ |
監督 | スティーブン・ソマーズ |
脚本 | スティーブン・ソマーズ、ロイド・フォンビール、ケヴィン・ジャール |
クリーチャー・スーパーバイザー | ニック・ダドマン |
視覚効果スーパーバイザー | ジョン・バートン |
特殊効果スーパーバイザー | クリス・コーボールド |
撮影 | エイドリアン・ビドル B.S.C. |
音楽 | ジェリー・ゴールドスミス |
編集 | ボブ・ダクセイ |
OST | 未購入。 |
1999年度作品 | 2時間5分 |