邦題「メメント」
原題「MEMENTO」
2002/2/13@シネマ・クレール丸の内
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
4 |
実に丁寧な作りのミステリーだ。 |
<コメント> |
記憶と記録、この差について意識しているひとがどれだけいるだろうか。また、その意識していた概念を崩されたとき、にやりとするひとはどれくらいいるだろうか。まさに、この作品は、そういったひとにはうってつけなのである。 脳の損傷により、10分前の記憶さえ保てないという特殊な条件下で、妻殺しの犯人を捜すという設定。故に、時系列は細切れに、かつ遡りつつ再生される。いきなり結論からスタートするというのは刑事コロンボでお馴染みだ。この異様な、体感し難い設定を観客に馴染ませるように、丁寧に編集してある。これだけでも充分に秀逸であろう。そして、クライマックスで畳みかけるように暴かれる事実と、その皮肉。実に痛快である。そのスピード感に、つい後から疑問を感じてしまうかもしれないが一気に畳みかけたその脚本と演出には脱帽すべきだろう。あくまでも、あのケースに限っての話なのだから。他のエピソードに関する整合性は、物語の性質上問うべきではないだろう。まさにラスト数分の主人公の行動こそが描きたかったところなのだから。 キャスティングについても、微妙に地味なガイ・ピアースが、不安定な自分をなんとかコントロールしようとしている姿を熱演。意外と薄汚れた姿も様になっている。キャリー=アン・モスは、残念ながら必然性のない起用。魅力というより、老け顔なんだなあという印象のみが残った。テディことジョー・パントリアーノは、見事に大役に応えている。「マトリックス」でのちょい役からの大きなステップアップとなることを期待したい。下手にビッグネームが参加していないからこその魅力がここにも感じられた。 ちなみに、クリストファー・ノーラン監督の初長編映画「フォロウィング」もお薦めである。 |
主演 | ガイ・ピアース@レナード |
共演 | キャリー=アン・モス@ナタリー、ジョー・パントリアーノ@テディ、スティーブン・トボロウスキー@サミー、マーク・ボーン・ジュニア@バート、ラス・フェガ@ウェイター、ジョージャ・フォックス@レナードの妻、ハリエット・サンソム・ハリス@ジャンキス、トーマス・レノン@ドクター、カルム・キース・レニー@ドッド、キンバリー・キャンベル@ブロンドの娼婦、マリアンヌ・メラリー@刺青師、ラリー・ホールデン@ジミー |
監督 | クリストファー・ノーラン |
原案 | ジョナサン・ノーラン |
衣装デザイン | シンディ・エヴァンス |
プロダクション・デザイン | パティ・ポデスタ |
撮影監督 | ウォリー・フィスター |
音楽 | デイヴィッド・ジュルヤン |
編集 | ドディ・ドーン |
OST | 未購入。 |
2000年作品 | 113分 |