邦題「アリ」
原題「ALI」
2002/5/25@MOVIX倉敷
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
4 |
荒ぶる魂を肌で感じろ。 |
<コメント> |
かの、モハメド・アリの半生を描いた作品。これを見事に仕上げたのは、明らかに監督のマイケル・マンと、主演のウィル・スミスである。アカデミー賞にノミネートされたのは、主演男優賞部門のウィル・スミスと助演男優賞部門のジョン・ヴォイドでしかなく、しかも受賞は逃したのであるが、見事としか言いようがない。 マイケル・マンと言えば、「ヒート」、「インサイダー」と近作では、とかく泥臭く、己の意地と信念で強大な存在と闘う姿を描いており、その力量には定評がある。 ウィル・スミスはご存じのとおり、「インディペンデンス・デイ」、「MIB」と話題作の主演を着実にこなし、ポスト デンゼル・ワシントンの筆頭である。まあ、「ワイルド・ワイルド・ウエスト」というひどい作品もあったが(笑)。 最近では、役柄のために自分の肉体を鍛え上げたりして、外見を変化させるのはハリウッドの常識となっており、今更ウィル・スミスのトレーニングに対して驚くことはない。彼はプロフェッショナルであるのだから。驚嘆すべきは、その魂である。画面を見てまず驚くのは、そこにウィル・スミスを感じないからである。そこにいたのは、ボクサーであった。己の才能により、頂点に登りつめ、保身よりも自分を曲げないことを貫くことを選び、絶望を味わいながらも闘い続けた、ひとりのボクサー。世界的な英雄、ともすれば、それは単なる偶像崇拝となる。しかし、それはマイケル・マン監督も、ウィル・スミスも、なにより、モハメド・アリ本人が望んではいなかった。その意志を強く感じさせるものがスクリーンごしに伝わってくる、こんな作品をわたしは気に入っている。 余談ではあるが、モハメド・アリと言えばブラック・ムスリム、マルコムX、ベトナム戦争、徴兵拒否は避けては通れない。「マルコムX」@スパイク・リー、「パンサー」なども併せてご覧になることをお薦めする。となると、マーティン・ルーサー・キング牧師や、JFKなど次々とアメリカの暗部を確認することになるのだが。 |
主演 | ウィル・スミス@モハメド・アリ |
共演 | ジョエイミー・フォックス@ドリュー・バンディーニ・ブラウン、ジョン・ヴォイド@ハワード・コーセル、マリオ・ヴァン・ピーブルス@マルコムX、ジョフリー・ライト@ハワード・ビンガム、ミケルティ・ウィリアムソン@ドン・キング、ジェイダ・ピンケット・スミス@ソンジー・ロイ、ノナ・ゲイ@ベリンダ、マイケル・ミッシェル@ベロニカ |
監督 | マイケル・マン |
原案 | グレゴリー・アレン・ハワード |
脚本 | スティーブン・J・ライベル、クリストファー・ウィルキンソン、エリック・ロス |
衣装 | マレーネ・スチュアート |
美術 | ジョン・マイヤー |
撮影 | エマニュエル・ルベツキー |
音楽 | リサ・ジェラード、ピーター・バーグ |
編集 | ウィリアム・ゴールデンバウム、スティーブン・リブキン、リンジー・クリングマン |
OST | 2枚有り・購入済み、お薦め度どちらも4 |
2001年作品 | 2時間37分 |
http://www.ali-movie.jp/index_f.html |