邦題「インサイダー」

原題「Insider」


評者   

評価  

ひとこと

ほーく

 きついよなあ、足許を自分で切り崩すのは・・・。

<コメント>

 「L.A.コンフィデンシャル」で、正統派無骨ヒーローとして脚光を浴びた、ラッセル・クロウが、見るも無惨なくたびれ中年男と化して、精神の崖っぷちをよろよろ歩く。そして、彼をフォローするのはアル・パチーノとなれば、見事、男臭い映画ができあがる。

 大企業相手の告発物として、「エリン・ブロコヴィッチ」と真っ向勝負となったのだが、やはり華やかさに欠けたぶん、オスカーには不利に働いたようだ。

 今や、地方自治体からも訴訟を起こされ、屋台骨が揺らぎ、本社自体も危ぶまれるたばこ産業の告発がテーマ。ここで注目したいのは、内部告発者となる主人公は、マスコミにいいように左右され、自分の家族からも見放されている点である。彼は、まったくかっこよくはないのである。正義の味方になりきれていないのである。情報操作により、虚像が一人歩きするというテーマは、アメリカにおいてはよく扱われる。「マッド・シティ」、「ワグ・ザ・ドッグ」、「靴をなくした天使」あたりがそうなのだが、最近では悲劇的なエンディングを迎える傾向が見える。この作品もほぼ悲劇的結末を迎える。どう見ても、二人は一矢を報いた程度なのである。所詮は、蟷螂の斧という厳しい現実をこの作品も選ぶ。しかし、矢折れ、刀尽きた二人は、己が最後まで戦いきったことにある意味満足げな表情を顔に浮かべる。失うものが大きかったはずなのに、二人はお互いをねぎらう。そこに、かっこよさを感じてしまった時点で、監督と名優の術中にはまっていたことに気づくのである。


主演 ラッセル・クロウ、アル・パチーノ
共演               
監督 マイケル・マン
脚本  
衣装  
美術監督  
撮影監督  
音楽  
編集  
OST 未購入。
年作品  
   

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