邦題「タイタス」
原題「Titus」
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
2 |
演出がくど過ぎて途中で飽きるのに、3時間弱もあるなんて! |
マキトモ |
・ |
マニアが他山の石とする以外、推薦価値に乏しい。絵は美しいが、物語としては楽しめない。 |
<コメント> |
残念な出来だ。奇抜な演出で注目された演劇「ライオンキング」のジュリー・テイモアが監督したこと(だけ?)で話題を集めた本作。映画の持つ「映像の説得力」と演劇の持つ「台詞の説得力」をスクリーン上でミックスしようとして、説得力を失ったままエンドマークを迎えた。つまり、過激な残虐シーンは映画の手法でリアルに表現し、人物の内面は演劇の手法で長台詞を重用。この種の融合をやるには、ミュージカルか裁判モノ(暴力シーンは回想に回す)にでもするしかないが、新しい表現を模索したいらしい。結局、映像の表現力不足のツケを長台詞に回す最悪の展開。かくして観客は、分裂した演出方針の中で登場人物達を受け入れられないまま、映画は3時間弱続く。意欲作には、よくある話だ。 目先の過激さに依存した脚本は、ホッとする部分がなく一本調子で緩急に欠け、振り付けも、方針が不明朗で「その場その場で取って付けた感じ」が抜けない。 ただし、照明と色彩は一級の水準にある。たとえば、間接光の処理。石畳に水を撒いて、その石畳(だから石畳は、やたらと濡れている)をレフ板に使ったり、松明の明かりを壁に反射させ、オレンジの光を顔に当てた上で、顔の反対側に青のスポットライトを当てたりする。ワンショットだけ見れば、きわめて美しい映像のオンパレードだ。 「スタイリッシュな演出」という紹介を散見した記憶があるが、私見では、この監督は情念や執着といった、スタイリッシュとは逆の「泥臭いもの志向」が濃厚にあると思う。 |
主演 | アンソニー・ホプキンス@タイタス |
共演 | <ゴート族側>ジェシカ・ラング@タモラ、ジョナサン・リース・マイヤーズ@カイロン、マシュー・リース@ディミトリアス、ハリー・レニックス@アーロン(タモラの愛人) <前皇帝の息子>アラン・カミング@サターナイナス、ジェームズ・フレイン@バシアナス <タイタス側>コーム・フィオール@マーカス(弟)、ローラ・フレイザー@ラヴィニア(娘)、アンガス・マクファーデン@ルーシャス(長男) |
監督 | ジュリー・テイモア |
演出 | ジュリー・テイモア |
衣装 | ミレーナ・カノネロ |
美術監督 | ダンテ・フェレッティ |
撮影監督 | ルチアーノ・トポリ |
音楽 | エリオット・ゴールデンサール |
編集 | フランソワ・ボノ |
原作 | シェークスピア『タイタス・アンドロニカス』 |
OST | 未購入。 |
1999年作品 | 2時間42分 |