LYMPHATIC SYSTEM   2

 

 

リンパって何? リンパ液とは、リンパ管とは  
1.体内を流れる血液   男性は体重の8%、女性では体重の7%と言われています。  体重60kgの男性では、約4,800mlの血液が流れていることになります。  

2.心臓によって全身に送られる   心臓は一日に約10万回拍動しています。心臓から  一日に身体の中に送り出される総血液の量は、一日にすると約8〜10トン 牛乳パッ  クにすると、8千本〜1万本。

3.毛細血管から浸出する組織間液

  全身をめぐる血液は心臓というポンプに押し出され一定のリズムで流れています。動  脈を流れ、酸素や栄養分を身体中の細胞に供給し、細胞が排泄する二酸化炭素や  老廃物を受け取って静脈に流れ込み、再び心臓に戻ってきます。   細部に注目する  と動脈から流れ出た血液は、全身にはりめぐらされた毛細血管に流れ込んでいきま  す。 さらにその血液の一部は、毛細血管から浸出して組織間液になります。    

  組織間液は、各細胞の隙間ににじみ出して栄養分を届け、同時に老廃物を受け取り  再び毛細血管に取り込まれて静脈に吸収されます。しかし、なかには毛細血管に吸収  されずに、組織間に分布してる毛細リンパ管とリンパ管に流れ込む組織液があり、こ  れがリンパ液になります。 つまり、リンパ液は、毛細血管から浸出した血液の一部で  いわば血液が濾過された体液といえます。主に血漿と白血球の一種であるリンパ球  から構成され、タンパク質の量が少なくなっていて、赤血球は含まれていません。     血管から染み出してきた電解質やタンパク質を含む透明な液体で、身体の組織を浸  しています。リンパ液の中に見られるリンパ細胞は、体内の免疫系に関係した白血球  が分化したものです。

  リンパ液は、血液とは異なり、心臓のようなポンプの力を持たないため、とてもゆっくり  と流れ、時として流れなくなることもあります。その流れをつくるのは、動脈管の血圧  や、体液を引き出すタンパク質と関係してる圧力、周辺の筋肉収縮運動・呼吸運動な  どの要因で移動するのです。 そのため、リンパ液の循環は疲労やストレス、気候や体  調などにも大きく影響を受けゆっくりと流れたり、あるいは滞ったりして様々なトラブル  を引き起こします。   毛細血管から水分と水溶性の物質が一日に約20gは組織へ  と浸出されます。

4.リンパが吸収  

その大部分の一日18gは毛細血管へと再吸収されますが、再吸収されなかった残りの一日約2〜4gが毛細リンパ管に吸収されてリンパ液となっていきます。
吸収される水分の全てを100%とすると、80〜90%の水分は静脈側で吸収され、残りの10〜20%の水分をリンパが吸収します。動脈側で水分は血管“外”に出され静脈側では、水分は血管“内”に吸収されます

5.リンパとは  
リンパと言っても一般の人には殆ど説明の出来ないもの、せいぜい知ってること と言えば、グリグリ(リンパ節)くらい リンパ液にしても、成分が血液と殆ど同じであるのに、赤くないので実感がない、要するに馴染みがありません。  

6.リンパ系の二つの機能
リンパ系が私達の体の中でどのような働きや役割を担っているのでしょうか。 リンパ液は細胞が排出した老廃物等を回収する、血液と同じように大切な働きをもっています。 また、外部から侵入した細菌やウィルスから身体を守るという大切な免疫機能があります。 骨髄や脾臓でリンパ球がつくられ、そのまま血液に出てくるとBリンパ球 になります。一部のリンパ球は、胸腺で『人間の細胞か侵入者か。人間の細胞として良い細胞かそうでないか』といった教育を受けます。教育を受けたリンパ球は、侵入者の見張り役をするヘルパーTリンパ球と、侵入者を攻撃するキラーTリンパ球にわかれます。   リンパ管を通ってリンパ節に流れるリンパ液は、胸管や右リンパ本管を経て静脈に合流しますが、その前の、リンパ節において防御機能は働きます。ですからリンパ節は、濾過機能の役割をし、リンパ液の中の異物を取り除き、細菌やウィルスに対抗する免疫をつくる大きな役割もあります。   リンパ液が停滞すると、どの様な症状を訴えるようになるのでしょうか? 老廃物の滞留は、もともとタンパク質である老廃物が水分を含み“むくみ”となってあらわれてきます。さらに、皮膚機能を衰えさせ“お肌”の悩みの原因に大きく関係してきます。  
       

   

7.リンパの流れ  

体のリンパの流れは主に2系統です。 血液の循環は心臓→動脈→毛細血管→静脈→心臓、の経路をたどります。
心臓を出た血液は、体を巡っていろいろな働きをして再び心臓に戻ります。これを閉鎖循環系といいます。
  リンパ網は体中に隈無く張り巡らされています。
基本のリンパの流れは、毛細リンパ管→リンパ管→リンパ節→リンパ管→リンパ本幹→静脈の経路を辿ります。この基本のリンパ系は大きく二つに分けられるのです。
下肢のリンパ管は足の付け根(鼠径部といいます)に集まってきます。
その鼠径部にはリンパ節がいっぱいありますが、リンパはここを経由して骨盤からのリンパを集めて腰部の腰リンパ本幹となっていきます。
この腰リンパ本幹に腸からのリンパを集めた腸リンパ本幹が合流します。

腸からのリンパは腸からの栄養分である脂肪分を沢山含んでいるため乳白色をしています。このため、この合流点を乳糜槽と呼びます。
このリンパ本幹は胸管となって胸の左後側を上向していきます。
そして、胸管は左頚部にきて、左頭部と左頚部からのリンパを集めた左頚リンパ本幹と左上肢と乳腺からのリンパを集めた左鎖骨下リンパ本幹と合流します。
この合流したリンパ管は胸管として左内頚静脈と左鎖骨下静脈の合流点(ここを静脈角といいます。)から静脈へと注ぎます。
右上肢からのリンパは右鎖骨下リンパ本幹に、右頭部と右頚部のリンパは右頚リンパ本幹
に集まってきます。この両リンパ本幹は合流して右リンパ本幹(右胸管ともいいます)となって
右内頚静脈と右鎖骨下静脈の合流点(ここを右静脈角ともいいます)から静脈へと注ぎます。

8.リンパの流れが滞ると  
リンパ液は、血液とは異なり、心臓のようなポンプの力を持たないため、とてもゆっくりと流れ、時として流れなくなることもあります。その流れをつくるのは、動脈管の血圧や、体液を引き出すタンパク質と関係してる圧力、周辺の筋肉収縮運動・呼吸運動などの要因で移動するのです。 そのため、リンパ液の循環は疲労やストレス、気候や体調などに大きく影響を受けてしまい、さらにゆっくりと流れるようになり様々なトラブルを引き起こします。   リンパ管を通って静脈に戻るリンパ液の量は、1日約2〜4リットルほどで、心臓から送り出される血液量全体に見ると、わずか2000分の1くらいです。   リンパ管にはポンプがありません、リンパ液をどうやって運んでいるのでしょう。リンパ管には、ところどころに弁が備わっていて、リンパ液の逆流を防いでいます。そして呼吸運動や筋肉活動、さらに動脈の拍動などのわずかの力によって、リンパ液はゆっくりと中枢にに移動していきます。     それではむくみの液が皮下組織に溜まらないようにするにはどうすれば良いでしょうか。当然、一つは静脈の働きを活発にすることです。 そして、もうひとつがリンパ管の働きを活発化することです。                
対策1:静脈系の活発化:  

手の甲に浮き出ている静脈、手を下に垂らしていると静脈は太くはっきりと見えますが、手を静かに上に上げてみると、みるみる静脈は消えていきます。これは、手の先にあった静脈血は水のように、上から下へ、手の先から心臓へと流れたからです。   脚は体の下のほうにあるので、心臓より高い位置に足を上げてなどは通常はできません。ですが、これが最も大切な基本となります。逆に考えれば、立ってさえいなければまずむくんだりしないのです。   まず第一に、少しでも時間があったら脚を上げる事です。 たとえば昼休みにちょっと脚を伸ばして休むなどできれば良いでしょう。 同時に、むくみを溜め込んでしまうと取れにくくなります。1日に一回上げるよりは、日中にヒマがあれば何度か脚を上げてむくみを取ってしまう方が有効です。   静脈ポンプを活発化するために快活に歩く事です。静脈ポンプはふくらはぎの筋肉が活発に動く事によって静脈血を心臓方向に絞り上げます。 (ミルキングアクションと言います) リズムのようなものがありますから、ダラダラ筋肉が動いてもあまり有効に静脈ポンプを刺激できません。ふくらはぎの筋肉はある程度活発にリズミカルに動く必要があります。したがって、疲労がたまっていて足を引きずるように歩いていてはあまり有効ではありません。   歩く事ができなかったら、軽く脚を動かすなどするのも助けとなります。 最近、話題になっているエコノミー症候群は長時間脚を動かさずにじっと座っている事で、静脈血が脚の静脈内で固まってしまうことが原因です。そうならないように少しでも脚を動かしてあげます。   リズミカルに歩く、運動をする、足を動かすと言っても、出来ない状況に置かれている場合にはどうしたら良いのでしょうか。

対策2:リンパ系の活発化

  リンパ系の働きをもう一度考えましょう。 リンパ管の働きを図のような水槽で説明して見ましょう。 給水口は動脈、排水管は静脈です。リンパ管は(オーバーフロー)側孔にあたり ます。 皮下組織では水分は毛細血管の動脈側から出てきて静脈側に入ります。 これは図の動脈という蛇口から出てきた水分が血管外皮下組織という水槽に溜まり、静脈とリンパ管という排水管から排出される仕組みです。しかし排水がうまくいかずに、血管外皮下組織に体液が溜まってしまったのがむくみです。 水槽内の水分を減らすのは静脈とリンパ管です。しかし、静脈の対応幅はあまりありません。ほぼ一定の水分を排除はしますが、水分が多いからといって排除する量をそれほど増やす事はできません。  

9.リンパ管は柔軟に対応>

  リンパ管は通常はあまり働きませんが、水分量が増えてきたらてき面に働き始めます。その対応幅は静脈よりはるかに大きいと思っても良いでしょう。従って、リンパ管の対応機能が無限(平常時の20倍)であればむくみは生じないことになります。また、リンパ管は「皮下組織にある不要な物質を排除する」ことが、その仕事です。水槽の水が多くなれば減らすのは勿論ですが、ゴミが浮いていたら、それも排除します。その一つが細菌ですが、その働きは「リンパ管の免疫機能」として知られています。ゴミが脂肪であれば、放っておくと水に脂肪が浮いてしまい、これは肥満となります。それもリンパ管が排除します。 その意味では、リンパ管は皮下組織の掃除役です。

「リンパ管の機能が低下すると、脂肪がついて太ったり、むくんだりする」ことになるのです。 皮下組織(水槽)の水分が多くなってきてら、リンパ管(側孔)に流れ出て結果的に一定の水分量を保つ事ができます。 すなわち、リンパ管は通常はほとんど働いていませんが、万一皮下組織に水分が多く溜まってきてしまうと働き、皮下組織内の水分量を一定に保つように働いています。 むくみ(や脂肪)を減らすには、いつもは働きの十分でないリンパ管を有効に活用することなのです。   ではどのようにするとリンパ管は活発に機能するのでしょうか。

このリンパ管の働きを活発にするのは、静脈とほぼ同様に考えると良いでしょう.。 すなわち、脚を上げたり、歩いて筋肉を動かす事によってリンパ管は刺激されて動きます。また、脚の付け根には鼠径リンパ節がありますが、リンパ節は「リンパ心臓」とも言われてリンパ液を流すポンプの役割があるとされています。 従って、快活に脚を上げて歩くのは、リンパの流を活発にする良い方法です。   逆にいうとむくむ人は、脚を下にし続けて、動かさないことが多い可能性があります。従って、静脈と同様に考えて頂ければ良いのでしょう。  

それ以外に意識的にリンパ管を動かす特殊な方法としてリンパ・マッサージがあります。 リンパマッサージを行なう事により、水分を含んでいた老廃物が回収されるため、お顔やなか、おふくらはぎのむくみは大きく解消されます。さらに、皮膚深部の浄化効果により、きび、にくすみ、小ジワ、乾燥など、トラブル肌は内面から解消されてきます。     ゆっくとしたり優しいトリートメントは、深くリラックスさせてくれます。交感神経を鎮め、副交感神経を活発にするので、呼吸が深くなり、ストレスのケアにとても効果があります。免疫機能を高めるなどの効果も認められています。 リンパ管は皮膚表面にネットのように張り巡らされています。 それが、順次、脇の下、鼠径部や首のリンパ節に集まり、静脈を経て心臓に戻ります。    

リンパマッサージの方法を理解するために、高速道路を思い浮かべてみて下さい。 車の流れが悪いときに交通整理をするとしたらどうするか。 まず、渋滞している先頭車を動かし、順次後続の車を誘導します。    リンパマッサージではこのような考え方をします。まず首と鎖骨の間の窪みをマッサージし、ついで胸部→腹部→鼠径部→脚の順にリンパの流れを活発化するようにマッサージします。 リンパ管は前述のとおり、皮膚表面に存在しますので、リンパマッサージは皮膚表面を軽くなでるように、擦るようにします。 下着の跡がつくのはリンパ流が下着によって遮られていることを示します。 それほどにリンパ流は軽い圧で影響されます。 一般的なマッサージと違い、けして強く圧を加えて奥の筋肉などを揉む方法とは違います。リンパ管は皮膚のすぐ下にあると考えてマッサージして頂ければ良いでしょう。                        
       
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参考資料
参考web
 リンパマッサージの概論とその主義 :魚住廣信 著
リンパ浮腫の治療 広田内科クリニック mukumi.com
NHK [ためしてガッテン]02/11/6 02/11/13
03/2/19放送 リンパで健康@AB