2000年の記録 

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11/9(木):今日は音楽集会がありました。

曲は「喜びの歌」。ベートーベンの、あの第九の「歓喜の合唱」の部分。
始め、力の入らない息切れしたような声が響いて、
(やっぱりねえ・・・この歌は難しいんだよなあ・・・)
と、めげそうな気分になったけど、
一度やると決めたからには徹底的にやらねば!
と気を取り直して、
「大きく息を吸おう!全部吐いて、吐いて、吐いて・・・・・・ハイ、吸って!」
と何回かやって、だんだん吸う時間を短く、大きく吸わせる。
一年生が体をそっくり返らすように吸う姿がおもしろい。
「指の先っちょまで風船みたいに空気を入れてね、もう一回!」
こんなこと言っても、小学生って全然不思議がらないからおもしろい。
そうかとばかりに、もっともっと息を吸い込む子がいっぱい。
それから歌った。伴奏の先生には、一回の息が間に合うように、少し速めに弾いてもらった。

かなりいい感じ、子どもの声のはじける感じがでてきた。
でも、やっぱりまだ声がぶら下がってしまう。
高い音域の所だけ選んで私が歌って見せた。
2年生の子がにやっと笑った。よし、俺もあんな声を出してやるぞっていう顔になった。
もう一度歌ったら、音が正確になった分、歌の表現力がまして、嬉しそうな子どもの顔が見えるような歌になってきた。

もう一回歌いたいな。まだまだもう少し。
もう少しでものになりそうなところで時間になった。

「これだけ歌えれば十分ですね」
校長先生がにこにこと言ってくれたけど、
(そうかな・・・あんな歌じゃあまだまだ・・・)
そう心の中で思うのだけど、口には出せない。

こういう時、自分でピアノが弾けたなら。もっと違うアプローチが出来るのに。
あ〜あ、くやしい!
と思いつつ、
次の任地をどうしようかと考えたり・・・
中学校に戻る方がいいのか、
この7年間小学校で学んだことを、もっと掘り下げていくべきなのか・・・。

そんなこと考えながら、職員室に戻りました。
      
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11/10(金):「こみぐあいを考える」・・・算数「1あたりの量」

「ね、一あたり量、やった?」
朝一番に、同学年を組んでいるnat先生。
「あんまり大きい声でいえないんだけどさあ、わかんない。こいつらわかんないよ・・・」
・・・はっきり言って今年の5年生の算数の力は低いと思う。
というより、数学的な思考の面白さを知らない子が多いように思う。
「5年の算数はさ、こっからが難しいんだよ。だからこそこっからが面白いとこなんだよな、本来は」
nat先生は正しいと思う。私は小学校で教えるならやっぱり五年生が好き。
5年生は算数の新出事項がやたら多い。多分6年間で、子どもたちにとっては一番難しい。だからこそ面白いと思う。
ところがところが、今年のおこちゃまたちは、いい子なんだけどややっこしい事は全然考えようとしない子が多くて・・・
これじゃあ、算数なんか面白いって思えないよなあ・・・

私のクラスには何人かの際だってがんばる子たちがいて、
だからよけいに他の子たちはお客さんになりきっていたりする。
「きっと私が考えなくっても、あの子が意見出してくれるから」
そんな顔して、どんな問題にもにこにこしながら回りの子の発言を眺めている子たちがいっぱい・・・。
だから今日は少しでも多くの子たちに考えてほしくて
体育館でマットを二枚用意して、「こみぐあい」を考えた。

Aのマットはたて90cm横120cm。
Bのマットはたて110cm横180cm。

この2枚のマットに16人ずづ子どもたちに乗っかってもらって

「どっちのマットがこんでいる?」

子どもたちはみんなAのマットを指さして、
「こっち。Aの方。だって狭いんだもん」
「Aだよ。だって見るからにぎゅうぎゅうだよ」
「同じ人数なら、面積が狭い方がこんでるよ」

今度は二枚とも同じ大きさのマットを用意した。

Aのマットには10人。
Bのマットには16人。

「どっちのマットがこんでる?」

子どもたちはみんなBのマットを指さして、
「Bだよ。だって、人数多いもん」
「同じ面積なら、人数が多い方がこんでるって事だよ」

そこで今度は、最初に使った大きさの違うマットをもう一度用意した。

Aのマットはたて90cm横120cmで、乗る人数は10人。
Bのマットはたて110cm横180cmで、乗る人数は16人。

「どっちのマットがこんでいる?」

「え〜〜〜〜・・・」

子どもたちは左右のマットを見比べながら「Aじゃない?」「Bだよ」「えー、どちもどっちってかんじ・・・」
ザワザワと困ってしまっている様子。

「さあ、この二つをくらべてみよう。どうする・・・?」

そんな具合に話を進めた。活動する場面ではけっこう沢山の子たちが動き回っているのだけれど、いざ、考えてみて、と言われると、そんなのわかんなぁ〜〜〜い・・・と済ましてしまう子も。

でもそのうち、「あ、そうだ!わかった!」という子の周りに、
「え?どうゆうこと?どう考えるの??」
子どもたちが集まっていきました。そしてあっちこっちにわいわいと輪が出来て
「そうか!1平方cmあたりを比べればいいよ!」
結論が出ました。得意げな顔たち。

こんな顔を少しでもたくさん見たくていつも授業の「作戦」を考えている。

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