宇部線・藤曲駅 VS 小野田線・助田駅 VS 西沖山駅

 ネットツアー2009の「失われた駅の追加修正バージョン」では分からなかった宇部線と小野田線の失われた駅の入場料金を発見しましたので、ご報告します(下表参照)。

駅名 入場料金(円) 残存10円券
S24* S25* S26 S27 S28 S29 S30 印刷時期 発行日付 券番
宇部線・藤曲 27.4/20廃止 9,589 5,548 1,455 230
小野田線・助田 27.4/20廃止 346 88 0 0
小野田線・西沖山 27.4/20廃止 3,039 2,313 350 20
(参考)
宇部線・深溝 1,207 859 20 20 50 60 80 広島1期 S41.1.10 0153
小野田線・港町 27.4/20廃止 179 0
小野田線・発電所前 27.4/20廃止 41 0
小野田線・沖ノ山新鉱 36.11/1廃止 226 1
小野田線・目出 1,149 578 300 1,010 260 250 70 広島2期 S36.8.25 0201
*:S24、S25は旅客雑収入

この表をもとにした入場券発行枚数の鑑定結果は以下の通りです。

@
藤曲駅では5円券が百枚以上発行され、S27年度も営業日数20日間で10円券にして23枚発行されました。
A西沖山駅では5円券が数十枚発行され、S27年度は20日間で10円券にして2枚発行されました(たぶん 5円券の運賃変更かも)。
B助田駅では10円券は1枚も発行されませんでした。5円券が発行された可能性も非常に低いと考えられます。
C参考にあげた港町駅、発電所前駅、沖ノ山新鉱駅は、旅客雑収が1円以下だったS25年度には入場券の発行はあり得ません。

風聞によれば、小野田線の途中駅の赤線入場券は(宇部線よりも)残存枚数が少ないとか。理由は定かでないけれど、宇部線・深溝駅と小野田線・目出駅では、10円券の発行枚数の推移に次のような違いがあるのは確かです。

不人気だった深溝は、S27年度から徐々に発行枚数が増え、S27〜30年度に21枚、その後 S41.1.10迄に約130枚が発行されました。 
 ⇒
 S27〜30年度は年平均5枚、S31.4.1〜S41.1.10は年平均13枚

一方の目出(#)は、S27〜30年度の発行枚数は159枚なのに対して、S31.4.1〜S36.8.25間の発行枚数は高々40枚也。 
 ⇒ S27〜30年度は年平均40枚、S31.4.1〜S36.8.25は年平均8枚

以上は、ほんの一例ではありますが、昭和30年代、深溝は発行枚数が昭和20年代の倍以上に増えたのに対して、目出の発行枚数は昭和20年代の半分以下に減ったことが原因しているかもしれません。鉄の古老の話では、昭和20年代、入場券の発行と回収はとても厳しかったので、ローカル線の小駅で発行された赤線入場券はほとんど残っていないんだとか。と言うことで、小野田線の単なる途中駅の赤線入場券は貴重品かもね。

#:広島印刷場10円A型2期券は昭和27年半ばには登場していたので、目出のA型10円券は2期券しか発行されなかったと推測されます。