房総林道と素掘りトンネル(その4)

 房総にはまだまだ多くのトンネルがあるといいます。たくさんの方からの情報をもとに ほぼ一年ぶりに探索してみました。

 2005年3月

 房総の地形には特徴があります。たぶん太古の昔から平たい台地を水が蛇行するように流れ、 深く切れ込んだ断崖を形作ったと思われます。ジグザグに流れる川をトンネルでバイパスして田畑を作り、 その田畑を行き来するためにトンネルを掘ったのでしょう。
 今回は主として養老渓谷付近にある素堀りの隧道群探索を目的としてみました。

(画像をクリックすると拡大します)


 金谷から久留里に向かう途中で新しいジムニーのために「あの秘境」に立ち寄ってみました。 そそり立つ岩壁にぽっかりと開いた素掘りのトンネルとその先に貴重な光景があるところです。

 20mほどの短いトンネルの先には川に向って下りていく道があり、 両側を崖にはさまれた平らな川床に長靴を用意したので下りてみました(深みに注意!)。 垂直に落ち込んだ谷底に朝の光が差し込み、奥のほうの小さな滝から水が静かに流れてきています。 「秘境」というにふさわしい癒しの空間です。

 (注意:このトンネルから先は車での進入が禁止されています)

 小湊鉄道月崎駅の踏切りを渡るとすぐの道路わきに素掘りのトンネルがあります。 将棋の駒のような形状をしているのが特徴です。このトンネルの先にも細い道は続き、 素掘りのトンネル2本を抜けて飯給(いたぶ)駅になります。

 そこからほど近い古敷谷にちょっとユニークなトンネルがあります。「滝ノ沢隧道」といい、 コンクリート造りなのですが幅、高さともに2mの制限となっている小さいトンネルです。 軽トラや小型車専用で、ジムニーに丁度のサイズです。長さは100mほど。

 この近くにはもう一つ「古敷谷隧道」という素掘りのトンネルがあります。周囲にはゴルフ場が多いのですが、 細い田んぼの中の道を進むと月出に出ます。

 小湊鉄道の上総大久保駅はローカルな雰囲気で、タイムスリップしたようなとても懐かしい気分にさせてくれます。
 その上総大久保駅の踏切りを渡ると正面に小学校があり、左に進路をとると芋原の隧道群へと道は続きます。

 最初に現れるのが「芋原第一トンネル」でコンクリート製、間口に比べて背の高いスリムな感じです。 2番目は素堀りの上にコンクリートを吹き付けただけのもの。そしてやっと3番目で完全に素堀になります。 長さはいずれも短いです。

 次に分岐が現れ、4番目のトンネルとなぜか民家があります。このトンネルは体裁だけが立派ですが 中は素堀りに吹き付けをしただけでした。つまり間口は大きいが中は天井が低いのでうっかり入ると 天井をヒットするでしょう。

 5番目は素堀りです。そして林道牛堀線の分岐を過ぎたところで田んぼの向こうに 大きな壁とぺらぺらな奇岩のある場所となります。やわらかそうな奇岩にはひと一人がやっと通れるような穴があいていて 面白いです。

 さらに6、7、8番目と素彫りトンネルが続き(この画像は8番目)、 何か建物があるところまでは車で入れますがその先は荒れていて、たぶんバイクならば通行可能だと思います。
 林道牛堀線は女ヶ倉に抜けます。北側は杉林で暗いが南側は広葉樹で明るく、 2.5kmほどの舗装路で1車線幅、狭いです。

 養老渓谷の温泉街から筒森に向かう細い道があります。まず最初のトンネルが変わっていて 中間地点から空が見えるのです。情報によればはじめに向山トンネルとして掘られ、 後にその開いている坑門をさらに掘り下げ、共榮トンネルとして延長したのだそうです。
 2本目が「塚越隧道」となります。そしてたいていの地図では出たところにもう一つの小さな隧道があるように なっていますが実際には見あたらず、そこには切崩された斜面だけがありました。

 このあと連続した2本の素掘り(この画像)と、少し長めの素掘りを通過します。 ただ最後に来て「牛尻戸上トンネル」というコンクリート製になってしまいちょっと興ざめ。
 筒森までのこの道は田んぼに落ちそうな完全1車線幅の超狭い道でした。

 このあとひたすら金谷FTに向かい、洋上で夕陽を迎えるという便に乗船しました。

  今回も多くの素掘りトンネルを見てきました。とはいってもまだまだトンネルはあるようですし、 川廻しのトンネルもあるでしょう。いつかまた機会をねらって探索しようと思います。

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