秋葉街道と中央構造線

 国道152号線は信州上田と遠州浜松とを結んでいますが、信州上田から茅野市までを大門街道といい、 茅野市からは杖突街道、さらには秋葉街道となります。また塩の道ともいい、 海辺でとれた塩を信州地方に運ぶルートでもありました。そしてさらには中央構造線そのものであり、 地質の関係もあって2箇所の峠が不通区間となっています。実際はそれぞれ林道で迂回していますが、 ほとんどが山岳地帯のため幅員の狭い区間が多く狭隘点線酷道となっています。 今回は諏訪側から地蔵峠まで行ってみました。もちろん林道その他の寄り道つきですが。

 2004年5月

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 茅野からは杖突峠を越えて高遠に入ります。茅野側は急坂ですが、高遠側はあきるほど緩やかに下ります。 もう少しで高遠市内に入るかというところで左手にループ橋を発見し引きかえしました。 高遠城址公園に行く道で「花の丘ループ橋(愛称エスカルゴ)」といいます。平成12年8月竣工、直径7〜80m、一回転。

 長谷村に入ったところで美和ダムに寄り道。ダムの上を歩いて行くと公園に抜けるトンネルがあります。 中でY字になっていて湖の対岸にも出られますがその道はほとんど廃道状態でした。

 美和湖の南のはずれの戸台口から西に女沢林道があります。林道表示のある入口からすぐにダートが始まり 古い感じの路面が続きます。途中で工事路線と合流しますが再び登りの道となって1,000mから1,300m位まで登ります。 上の方はどこが峠かわからないほど平らになりますが、たぶん舗装になるあたりが 駒ヶ根市との境の女沢峠なのだろうと思います。下りはずっと舗装で、木曽駒方面を見ながらいったん駒ヶ根市に下り、 元の国道の分杭峠に戻りました。ちなみに戸台口を東にたどれば黒河内林道で入笠に行くことができます。

 分杭(ぶんくい)峠から東側に林道前浦線があるのですが、その入り口に磁場がどうこういう 有名な地点があります(ゼロ磁場のパワースポット)。道から崖下へと少し下ったところがその場所で、 十数人の人が階段状のところに腰を下ろしていました。

 日本で唯一の「ゼロ磁場地帯」ということであり、マイナスイオンをたくさん発生させ、 人間の健康に良い影響をもたらすエネルギースポットだといいます。 中央構造線の断層と関係がないわけでもなさそうです。
 なお、前浦林道は1kmもしないうちに崩落していて通行できませんでした。

 分杭峠から鹿塩川に沿って大鹿側に下ると中央構造線の北川露頭が見られます。 右側の青いほうが外帯で南アルプスの三波川帯岩石、左側が内帯で伊奈山脈領家帯の岩石です。 三波川帯の代表は緑色岩で、領家帯代表は花崗岩です。

 中央構造線は日本列島を縦断する大断層で、九州から四国を通り秋葉街道を経て諏訪湖で 糸魚川静岡構造線と交差しています。ここを境にそれぞれ生い立ちの異なる地質である外帯と内帯が合わさっています。 そのぶつかっている様子がたまたま地表に現れているのがこの露頭です。 ここでいわゆる内帯の領家帯(りょうけたい)岩石と外帯の三波川帯(さんばがわたい)岩石が接しているのです 。


 大鹿村の古そうなコンクリート製の小渋橋を渡ると中央構造線博物館があります。 博物館は中央構造線の真上にあって、庭に構造線の境界を示すコンクリートブロックがありました。 庭や館内には様々の岩石がわかりやすく配置されていました。

 これがその中央構造線で、博物館の庭を突っ切って向かいの山の上を通りずっと向こうまで続いているのです。

 この場所からはCM「南アルプス天然水」のように、遠くに雪をかぶった山が見えるよい風景でした。 またその反対側は大きく崩壊した大西山の山肌があり、今は公園にもなっていますが、 昭和36年の大豪雨で大崩壊を起こしたとのことです。博物館の近くにはいまいちよくわからない城の腰露頭と、 どこから転がってきたかもわからないという緑色岩巨大転石がありす。

 地蔵峠に向かって1.5車線幅の道を進むと安康露頭に着きます。 国道から少し下るとそこには川に侵食された地層のはっきりと見えるところがあり、わかりやすい露頭です。

 きついカーブを何度か登っていくと上村との境の地蔵峠になります。国道はここで一旦途切れますが、 村道(蛇洞林道)となってさらに登りしらびそ高原方面へと続く一方、元の国道へと下っていきますきます。 今回はここで終了し、Uターンしました。

 戻る途中に小渋橋から小渋温泉への道に入ってみると途中から林道釜沢線が別れて 御所平というところまで続きます。このあたりの道はやや複雑でやっとのことで林道鳥倉線に合流できました。 標高約1,600mというかなりの高所を走る林道で、夕立神パノラマ公園という 南アルプスを一望できるイチオシの展望台があります。

 さらに国道をもどり、分杭峠を過ぎて下る途中のカーブのところに林道長谷高遠線の入口があります。 国道はどんどん下っていくのですが林道は入口からフラットのダートになっていました。 ただ、崩れやすそうな感じのするところです。名前からすれば高遠まで伸びていそうな気もしたのですが 約7km弱で行き止まりでした。少し戻ったところから林道長坂線で市野瀬に下ったのですが、 下りきっていよいよ出口というところで柵がありびっくりしました。よく見ると獣よけの電気柵らしく、 通行する場合は開けて下さいと書かれていました。

 美和湖の道の駅で車中泊した翌日、県道芝平高遠線で入笠山の芝平峠に向かいました。 芝平は途中にある集落の名前で「しびら」と読むのですが廃屋になってしまったところが多いようです。 しだれ桜のきれいな場所がありました。県道とはいえ1.5車線幅が続き、非持から16kmほどでダートに変わります。

 入笠山周辺は標高が高いのでカラ松はまだ緑になりきっていません。
 大阿原湿原から林道釜無山線があって延長10kmとなっていますが、 入って見ると以前と同じ2.4kmほどの所でゲートがあってそれ以上は入れません。 しかし、標高1,900m、クマザサとカラマツの中を行くダート率50%の走りやすい快適林道です。

 甲州街道を戻り、韮崎の桐沢橋のところから崖に上る道に入ってみました。 狭い道を進むと短い新府トンネルで崖を抜けるのですが、この韮崎から白州町付近まで釜無川の左岸に沿って 切り立った延々と続く崖は七里岩と呼ばれる珍しい地形です。
 さて、その先に韮崎ICから下ってくる道のトンネルの上にループ橋がありました。直径3〜40m、 1回転ちょっとです。(注:2012年3月、このループ橋は廃道になりました。)

 今回は期せずしてループで始まり、ループで終わりました。
 中央構造線の事に関してはホンのちょっと上辺だけなめたような感じです。 壮大な日本列島の生い立ちがそう簡単にわかってたまるか、といわれないようまだ旅は続くと思います、 たぶん。
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