房総林道と素掘りトンネル(その3)

 引き続き房総の林道探索と素掘りトンネルウォッチングです。

 2004年4月

 ◆前回のトンネルウォッチングで気になることがあり、そこで今回は謎のトンネルと、 川の流れるトンネル探しがメインです。

 なぜトンネルに川が流れているのか。地図(県別マップル等)を見ていると道のトンネルのほかに 川が切れていてトンネル表示になっています。曲がりくねった細い川にいくつもあるのです。
 何なのだろうと気になり調べてみると「川廻し」というものらしい。 「川廻し」とは千葉県の上総南部の丘陵を流れる川のみにみられる特殊な河川曲流短絡工事で、 水田拡張(確保?)のために川の曲流部分を短絡し、今まで川だった所を水田化する方法で、 近世〜明治にかけて房総丘陵各地で行なわれたものだそうです。
 つまり、この地方に多いくねくねと曲がって流れる川をトンネルか切通しで短絡して、 元々の流れの部分を水田化する工事です。しかもトンネルを掘るにも岩がやわらかく短くてすむという、 これら特有の自然条件があってできたものです。

 (画像をクリックすると拡大します)


 金谷港を出発して高溝方面に向います。多くの田んぼには水が張られて、 こいのぼりも立ててあるのどかな風景でした。いわゆる幻の秘境トンネルを2時間近く探し回り、 地元の方のご協力によりようやく発見しました。
 幾重にも地層が重なりあって、そそり立った岩盤にぽっかりと開いた素掘りのトンネルはまさしく貴重な光景です。

 このトンネルの向かって左下にもう一つのトンネルがあり、川が流れています。 これがいわゆる「川廻し」のトンネルです。しかし相当古いものらしく、廻す前の様子も判然としないばかりか、 バイパスしたことによって出来たはずの田や畑もよくわかりませんでした。

 この20mほどのトンネルの向こう側が川の上流になっていて、ここを抜けると道は河原に下りていきます。

 川床は平で水量も少なく、奥の方に滝があるところまで少しの区間ではあるが走行できます。 このあたりが秘境のようであり新緑と静寂の中で充分満足できます。

 (注意:その後、この場所は車の進入が禁止されています。)

 この後、三島湖から奥米橋を通って香木原に抜けました。この辺りにトンネルは多いのですが 全て同じパターンのコンクリートトンネルです。渕ヶ沢奥米線の分岐を過ぎると右手に三間線への登りの分岐があります。 2kmちょっとの新築ピストン林道です。ダート率50%。

 その終点広場の近くで川廻しのトンネルを三個確認できました。
 鍋石にも川廻しのトンネルがあるらしいのですが、渓谷が深く木々に覆われていて道路からも離れており 容易に見つけられるものではないようです。

 (後日、「濃溝の滝(亀岩の洞窟)」として確認できました)

 気温も上がって初夏のようでした。次に折木沢橋から元清澄山方向に入ったのですが、 1.6kmのところでゲートがありました。素掘りトンネルの手前です。 「春の猪ノ川渓谷一般公開4月○○日、○○日。東大農学部千葉演習林」ということで、 たまに通行できることもあるようです。歩いてこのトンネルを抜けると黒滝というのがあり、 そしてそこにはさらにダメ押しの頑丈なゲートがありました。ゲートの先には6本ほどのトンネルがあるはずなのですが。

 (後日、東大農学部千葉演習林の一般公開に参加しています)

 国道410を南下し増間ダム付近の林道に向かいました。畑塩井戸線は畑の集落から舗装された急なのぼりです。 途中からダートに変わり見晴らしのよい塩井戸という終点広場に着きます。約2.6km、ダート率70%。

 林道増間線は増間ダムまでが舗装路でその先はずっとダートです。 陽が傾いたせいか暗い感じでしたが奥にある坊滝まで登りました。 約2.7km、ダート率80%。

 手前には水垢離の滝(右の画像)というのもあり、その間にいくつかの滝があるようですが、 林道から見られるのはこの2つです。滝の形としては水垢離の滝のほうがよいです。

 ということで春らしい風景の中、秘境にあるという念願の幻の素掘りトンネル発見に満足し、 川廻しのトンネルも見てとりあえず気がすみました。しかしながら房総にはまだまだたくさんの素掘りトンネルはあるし、 川のトンネルもあります。いつかまた機会をねらって探索しようと思います。

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