房総林道と素掘りトンネル(その1)

 林道と素掘りトンネルのコレクションのために思い立って房総に向いました。

 2004年1月

 ◆房総半島に素掘りトンネルの多いわけ(勝手な想像):

 房総半島はその地形から農耕に適した平地が少なく、起伏の多いところです。 山といっても標高はせいぜい数百mと高くないので農業環境的にきびしいということでもない。 そこで先人たちは農地を山間部に求めて入るためにトンネルを掘ったのではないでしょうか。 幸い、このあたりの岩は固くなく、人力でもなんとか掘ることができ重機やダイナマイトを必要としません。 三浦半島の地質と似ていて各家庭で防空壕などが掘られたように、わりと簡単に掘れたものと思われます。 このためトンネルの大きさもせいぜい人が通行できれば充分なサイズとなったのでしょう。 ちなみに農耕的な観点から言えば、高い山や水量豊富な川がなく、 水利がよくないためあちこちに溜池があるというのも特徴だと思います。

 (画像をクリックすると拡大します)


 早朝に家を出て久里浜発6:50のフェリーに乗船しました。 ちょうど朝日が昇ってくるタイミングです。事前に国土地理院の地図などを見て 素掘りトンネルのありそうなところにめぼしをつけてあります。

 金谷で下船後、ほんの少し北にある芝崎から富津館山道路の金谷ICに向かい、 トンネルの手前左手にある「金谷元名林道」の入口に入ります。ここはすぐにダートになり 房総の林道らしく断層壁の道を登って行きます。
 登るにつれて鋸の歯のようなシルエットをした鋸山と東京湾の見晴しがよくなります。 採石場のようなところで重機が入っているあたりまでは幅広の道なのですが、 その先は普通の1.5車線幅ダートです。でもフラットで走りやすいです。

 約3kmほどで「竹岡林道」との分起点になります。(画像の右手は竹岡林道の標識です)
 「竹岡林道」はこの分岐から狭い道を下って行くことになるのですが 下の方はドロドロ状態の箇所があり難儀します。

 分岐から約2.5kmで田畑が見えるようになるのですがそこに素掘りトンネルがあります。 ジムニーでもぎりぎりという狭さで、長さは50mか、もう少しあったかも知れません。 上下左右に気をつけこすらないようにして通過します。トンネル出口は富津館山道路の竹岡ICの近くでした。 そのままUターンして先ほどの分岐にもどり、「金谷元名林道」を進みます。

 分岐からは再び快適なダートが続き、名物のペラペラな壁を過ぎると峠になって鋸南町に入ります。 多分不法投棄防止のためと思われますが大型車進入不可の柵が設置されていました。
 「金谷元名林道」のダート路は鋸山ダムの砕石場の所で終わります。全長約7km。

 つづいて少し南の保田から県道34で横根峠に向かい、山中というところから少し北に進んで 「保田見(ぼてみ)林道」に入りました。これで「ぼてみ」と読むそうです。 このあたりは水仙ロードといって、いたるところに水仙が咲いています。 「保田見林道」は狭い1車線林道で、たぶん農地があるからだと思いますが全線舗装されていました。 見晴しはさほどではありません。下り終えたところに素掘りトンネルが3本あります。 ここまで全長約8km。

 「鹿原(しっぱら)林道」はこの辺りから県道182の志駒に通じる舗装路です。 「鹿原林道」出口から県道88を1kmくらい北上すると「志駒林道」と「田取林道」の入口があります。
 「志駒林道」は川沿いにダートが1kmほど続き、その間に4本の素掘りトンネルがありましたが、 このときは「その先、治山工事中」ということで通行止めでした。この画像は1本目の素掘りトンネルです。

 「田取林道」の登りは未舗装でかなりえぐれていましたが、広くて開放的な林道です。 峠には神社があり、「富津市民の森パノラマ広場」とハイキングコースがあります。 下りは全線が舗装されていて県道88の戸面原ダムのところに出ます。全長5km。

 戸面原ダムの南端から「林道松節線」があり、途中からダートに変わるものの ゴロゴロで走りにくいところです。「林道横尾線」と合流し「大山林道」となります。
 君津市西日笠側から高宕山に向かって南下すると 石射太郎(いしいたろう)の案内板が多く出てきます(石射太郎とは高宕山への道の途中にある岩峰)。
 この「林道高宕線」は、登山口のある高宕第一トンネルの入口で通行止めになっていました (左の画像)。トンネル出口からは国道410の三島神社側にダートが延びていて、 素掘りトンネルもあるらしいので、いずれまたということにします。

 国道410を南下し、鴨川市に抜ける君鴨トンネルを通過すると左手に旧道への入口があります。 細い舗装路を登り返すと眼下に新トンネルが見えるようになり、その先に旧トンネル現れます。 旧トンネルは鉄板で塞がれていましたが、高度差からしてもかなり短いはずです。
 この旧トンネル付近からは「林道高山線」が東側に伸びていて、 ダートを登ってひとやま越えると「渕ヶ沢奥米林道」にぶつかります。

 旧トンネルまで戻って先に進むと「林道横尾線」となって約3kmずっとダートでした。 この林道は「大山林道」の方に向かっていますが「林道大幡線」の分岐があったのでそこを下りました。 急坂を下り県道34に出ます。
 再び国道410を南下し、川谷の犬切橋というジムニーがぎりぎりの狭い橋を渡りました。

 橋の途中にあるトンネルをはさんで渡るとそこは「林道二の滝線」です。 右手方向に緩やかな登りとなりますが、日陰部分はぬかるんでいます。 期待のトンネルは素掘りではなく、二の滝第一号、第二号隧道でした。 「二の滝林道」は約3km、奥のほうは工事中。

 このあと富浦町の南無谷トンネルの旧トンネルを見て本日の予定をすべて終了することにし、 金谷港に戻りました。
 16:45に乗船し、ちょうど伊豆半島側に夕陽が沈むところでした。

 今回の成果は林道13本、素掘りトンネル9本、旧道トンネル2本でした。 短時間では到底廻りきれなかったので、またいずれ機会をみてもう一度トライするつもりです。

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