・・・ 乗鞍高原と月夜沢林道 ・・・

 この夏に目指したものは「妙義スーパー林道」と「上高地乗鞍スーパー林道」です。 つまりどちらも有料の林道なのですが実際にどのようなものかと気になりましたので。 ここでは、後半の「上高地乗鞍スーパー林道」と、「月夜沢林道」を中心にレポします。

 結論:スーパ−林道というのを一言でいえばハズレ!、 月夜沢林道は大当たり! でこれはひさびさのお気に入り林道です。 

2001年8月

(画像をクリックすると拡大できます)



 前夜に出発し松本ICから新島々方面へと進み、道の駅「風穴の里」で仮眠しました。 たまに大型車が通るほか比較的静かで涼しかったです。
 やや明るくなりかけた頃を見はからって出発し、上高地に行く道とは途中で別れ乗鞍側に進みます。 乗鞍高原を通過する頃にはかなり明るくなり、朝焼けの乗鞍岳が一望できました。 乗鞍エコーラインは夜間通行止めとなっていて入れないと思い途中で待機していましたが、 はるか上のほうに道筋が一本とおっており、なにやら光る物体が移動しているのが見えます。 車です。なんとゲートは開いていて入れたのです。
 樹林帯を抜けてやがて高山植物帯となり一気に高度を稼ぐと、県境の峠に着きますが ここにゲートがあり、既に10数台が駐車していました。7時までゲートが閉まっているので待機します。

 ゲートオープンと同時に畳平の駐車場に車を置きました。 前夜から駐車している車もあるので止めるスペースは少ないです。 靴を履き替えたりして準備を整えた後乗鞍岳、剣が峰を往復しました。 コマクサなどの高山植物や雪渓もありこんなに手軽に登ってこられてよいのだろうかと思います。

 これは「コマクサ」です。

 駐車場に戻ってみるととんでもない渋滞になっていました。数珠つなぎで空きを待っています。 それを横目で見て乗鞍スカイラインを平湯側に下りました。 安房トンネル手前に平湯大滝があるので立ち寄ってみました。滝の高さ64m、幅7m、名瀑100選です。
 その後、平湯温泉から有料の安房トンネルの左手にある旧道に入って安房峠に向かいました。 ほとんどの車は有料のほうに行きこちらには入ってきません。

 安房峠を通過。穂高方面の眺めがよいです。峠の茶屋は休業中でした。中の湯に下って 釜トンネルの入口までいけますが、途中にある上高地乗鞍スーパー林道に入ります。 このスーパー林道は三つの区間に分かれていて全線有料の舗装林道です。
 一つ目が白骨温泉まで(¥560)、二つ目が乗鞍高原まで(¥420)、 そして三つ目が奈川温泉まで(¥860)です。
 入口近くに穂高方面の眺めのよいところがある他にはこれといって何も無いただの山道でした。 有料林道の期待はまたしても裏切られました。

 白骨温泉では公共の露天風呂(¥500)に立ち寄ってみました。 ここは川の近くまで徒歩で下っていくのですが、男風呂は上の道から丸見えです。
 またこの林道にはこの間唯一のトンネル、 蛭窪隧道(約700m)があります。
 そして本日の宿に到着。


 朝食前に散歩していると車が止まっておじさんが出てきました。 近くに無料の露天風呂があるとわざわざ教えてくれました。 コロナ連絡所バス停前を川のほうに下りていくと「せせらぎの湯」という小さい小屋があり、 なんか得した気分です。

 宿をあとにしてスーパー林道の三つ目の区間に入ります。あいにくの天気であり、 眺めはよくないのですが前の二つよりは高原林道らしい雰囲気です。
 奈川村にでたところで、次に野麦街道を行きます。そば屋の「峠路」をチェックして おいてとりあえず野麦峠です。どんよりしていて冴えない風景だったのは 女工さんたちの悲しいさだめにも似ているようです。

 もどって名物の「とうじそば」をいただきました。

 これが「とうじそば」で、前日宿のテレビで紹介されていたおばさんがいました。

(←おばさんの手)
  

 さて、いよいよ月夜沢林道入口です。街道脇からすぐにダートが始まります。 (右手の砂利道が入口で中央の黒いところは河原への道です。)
 しばらくは樹林帯の中のややぬかるんだ道を進みますが、やがて高度を上げていくに従い 険しい雰囲気になってきます。

 崩落の跡や剥き出しの岩肌の下を通リ、とてもワイルドです。左手が谷側になっていて 運転席からは気がつかなかったのですがかなりの絶壁だということです。
 路上に転がっている岩もガラガラで、カドを踏まないよう注意して進むようです。 やがて前方に峠らしいへこみが見えてくると道も心もち安定してきます。

 峠は比較的のっぺりとしています。振り返ってみれば山だらけで、行く手前方もやっぱり山だらけ、 なんとも奥深いところです。月夜をたよりの裏街道!わけがあって表街道を通れない人々が ひそかに超えたという山道です。これから下っていく道筋もはるか下に見えます。

 奈川村のガラガラ道に対し開田村側はさほどではありませんが、 代って夏草がビシバシと窓をたたき、脇を擦るせまっ苦しい道になっていました。

 「夏草に、わき腹こすられ、月夜沢」 
 「夏草を、かきわけかきわけ、月夜沢」 
 「夏草が、だめよだめよと、月夜沢」 

 下りきると平らになり、ほぼ直線的な道になりました。
 そして木曽街道側に合流しますがこちら側には「土砂崩落のため全面通行止め」との 表示がありました。やはりこちらから入るのには勇気がいるようです。 (奈川村側には何の表示もありません!)

 奈川村入口〜月夜沢峠:6.7km
 月夜沢峠〜開田村配水池:9.7km
 月夜沢峠の標高:1,695m

 このあと小野原から林道折橋線で新地蔵トンネルの上を通過してみましたが 薄暗い道が延々と続くだけです。 途中に折橋トンネルがありますが、塞がれています。

 国道361中山道に出て鳥居峠に向かい、新鳥居トンネルに入る手前を左折し 消防署の脇の旧道を登りました。ほとんどがダート路でハイキングコースも併設されています。
(←鳥居峠)
 峠を過ぎたところに峰の茶屋がありますが元々の古い茶屋跡に建て替えたようです。 しばらく暗い道を走り、やがて舗装路を急降下すると奈良井宿(奈良井駅)に飛び出ます。 奈良井宿の旧道を戻るようにして古い街並みの中を通過し、国道(R19)に出ました。



 野麦峠のこと

 野麦峠というと、映画「あゝ野麦峠」にあるように何とも悲惨でやりきれない感覚があります。 野麦峠は飛騨の古川から信州の岡谷を結ぶ道にあり冬場はかなりの難所であったそうな。 岐阜県飛騨地方で集められた少女たちは貧しい農山村の家計を支えるため野麦峠を越えて 信州の製糸工場に出稼ぎにいきました。過酷な糸繰り仕事の中、結核にかかった主人公の少女は 治療を受けることもなく、兄の背に負われて故郷に帰るとき、 この野麦峠で「ああ飛騨が見える」といって息絶えたとなっています。

 一方で、少女たちは嬉々として、生産に誇りをもって働いていたとも言われています。 労働時間は長く休日も少なかったのですが、何よりも白い米の飯が食べられ、 裁縫や読み書きを習う場もあったということで、もともとの農山村の暮らしに比べれば 恵まれていたともいえます。何にせよ明治の日本の外貨獲得と近代化に貢献したのは製糸工女たちですから。

 

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