どんなことでも。君が喜んでくれたら嬉しいと思う。
 どんなことでも。君が幸せでいてくれればいいと思う。
 どんなことでも。君の重荷を取り除きたいと想う。

 どんなときでも。それが自分の行動指標。

 彼氏彼女の事情  -  ツナガルココロ  -


カズマは久々にうきうきした気分で朝を迎えた。
最近すっかり冷え込んで疲れは全然とれないわよく寝れないわ。
朝は不機嫌絶頂真っ盛りだったのが。
我知らず鼻歌まででてくる。

けれど劉鳳が起きてきた時。

「よっ。劉鳳君。おっはよー!!」

さすがにこれはやりすぎたと自分でも思った。

劉鳳はまだ自分が夢でも見ているのかと思った。
あの。朝は不機嫌だわ動かないわ腹が減っただの何だのと口ばかり動かしているだけの男が。
あの。カズマが。
朝から機嫌がいいし自分より早く起きてるし
しかも自分で朝食の用意までしてるし(自分の分だけだったが)。
あまつさえ。

「よっ。劉鳳君。おっはよー!!」

違和感が有りすぎて、ついうっかり水守の元に帰りたくなった。

(あぁそれにしても。カズマの腰に巻いてあるあの腹巻きらしき物は一体なんだろうか。
 水守・・・・・・)


「いいだろー。かなみが俺の為に作ってくれたんだぜ。わざわざ!」
ヘヘンと笑いながらカズマは劉鳳に向かい自慢気に見せびらかす。
「・・・フン。まるで子供だな。」
「あっれー?羨ましいの?劉鳳君?」
「誰が!!」
「かっわいそー!テメェはあの黒髪のネーチャンから何も貰ってないもんなー!」
ニヤニヤと笑うカズマに。まるで高みから見下ろされている様で非常に腹立たしい。
「・・・・くっ!!」
コイツの顔は見たくないとばかりに踵を返して立ち去ろうとして、
「あ。羨ましくてもオマエには絶対触らせてやらねーかんな。」

某袋の緒が切れた音がどこかで聞こえた気がした。


「水守!!」
バーンと戸を思いっきり開いて劉鳳がツカツカと入ってくる。
「りゅ、劉鳳?!!」
授業中。突然劉鳳がやってきたので、水守はびっくりして持っていた教科書を落とす。
「どうしたの?いきなり・・・・・」
「頼みがある。来てくれ。」
ガッと水守の手をつかむとそのまま教室から出ていく。
「えっ?あの?ちょっ・・・み、皆は自習しててね・・・・」
ズルズルと劉鳳に引っ張られていく中では。
水守はそれだけを言い残すだけで精一杯だった。

残された教室では。
雰囲気に飲まれて何も言えなかった子供達が劉鳳と水守の関係について
自習そっちのけでひたすら話されたことは言うまでもなく。


「あ。あの。頼みって。なぁに・・・?」
いきなりで驚いたが、あの劉鳳が自ら自分の元に来てくれるなんて滅多になくて、
つい顔が綻んでしまう。
でも、自分の力が必要な何か大変なことでも起こったのかと思うと不謹慎だなと自己嫌悪に陥る。
「あぁ。その・・・こんな事を頼むのは気が引けるんだが・・・・」
勢いで来てしまったが、さすがに口に出すとなると少し気が引けてならない。
「なに?なんでも言って?」
自分が劉鳳の役に立つなら・・・・・・
「その・・・・暇が有れば。で良いんだが・・・・」
意を決して。劉鳳は水守の肩を掴む。
その気迫に押されて水守も真剣な表情になり劉鳳をじっと見つめる。

「俺の・・・俺の。腹巻きを作ってくれ・・・・!!!

「・・・はら、まき・・・・?」
目をぱちくりさせて水守が復唱する。
「・・・・いや。その・・・・忘れてくれ・・・!」
言った後で気恥ずかしくなり、立ち去ろうとする劉鳳。
「! まって・・・・!!!」
その劉鳳をひしと掴む水守。
「あの・・・・あの。今。すこし、待っててくれる・・・?」
腕に顔を埋めて水守は劉鳳に願う。
「・・・? あぁ・・・・・」
水守の雰囲気に押されて、思わず劉鳳はうなずく。
それに安心した水守はパッと顔を上げ
「絶対よ・・・・!!」
最高の笑顔を劉鳳に贈った。


パタパタと自分の部屋に戻り、見つけたそれを愛おしげに抱きしめて
あわてて劉鳳の元に戻る。
彼の人が待っていると思うといてもたってもいられない。

「・・・劉鳳!!」
「水守・・・何故そんなにあわてて・・・・」
息を切らして、時々石に躓いてよろけそうになりながら走ってくる水守を、
劉鳳は少し眩しそうに、そしてハラハラしながら見つめる。
「・・・あ、の。・・・これ・・・・!」
息を切らし、差し出したのはキチンとラッピングされた・・・・プレセント。
「・・・これは・・・・?」
「あの。あの。勝手に用意しておいた物なんだけど!!最近寒いし!!
 いつか劉鳳に渡せたら、と思って・・・・」
用意。してたの・・・・
顔を真っ赤にしながらだんだん小声になって、水守がプレゼントを劉鳳の胸に押しつける。
その水守の様子がなんだかとても可愛くて。
劉鳳が自分の手からそっと包みを受け取ってくれたのが嬉しくて。
そしてわざわざ用意してくれていた事に感激して。
そしてその目がとても優しかった事に感激して。

「・・・あけても、いいか・・・?」

顔が綻んでいくのを止めることは出来なかった。




・・・Next>>>



この劉鳳は・・・一寸どうだろう。(どうってな)
ひとまず書いてて楽しかったです。砂糖吐きそーですが!!
(でもこんな劉鳳もカズマも偽物な気が。)

01/12/20

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