NZ生活失敗談集<車で苦労しました編>

  

 車の購入

 NZに入国する前はバリバリのペーパードライバーだった私。ひょんな事から車を所有することとなりましたが車に関する失敗談は数知れず。”車の購入”そのものが失敗だったぁー!と幾度嘆いた事やら(?)。

 私の車の前のオーナーは、NZで運転免許を取得した友人H。NZで練習しておかないと東京では絶対に乗れないっといって、ホストファザーを付添いに自動車販売店に出向きました。日本車がいい、ということでスズキの軽自動車を約$2000で購入しました。15、6年目という年季の入った車でしたが、この程度の車はNZではざらに走ってます。彼女が日本に帰る時には同じ値段で引き取るよ、と営業マンに言われ安心して購入したのですが、いざ売りに行ったら査定は$700。むっとした彼女は、ここには売るまいと車を持ちかえり口コミで購入希望者を探しました。はじめは車を買うなんて考えもしませんでしたが、確かにNZの方が走りやすそうだし、練習すればぺーパードライバー返上できるかも、と査定の値段で譲ってもらう事にしました。所有者の書き換えと6ヶ月の自動車保険に加入したら私もりっぱなカーオーナー(?)。バイト先で車を受け取り、早速運転席に乗りこんで一言。”えーっと、これどうやって動かすの?”さっさと助手席に押し込まれ、家まで送って行ってもらいました・・・。
  


初修理

 早速練習と、翌日から張り切って運転席に座る。教官役は友人M。おっかなびっくりでエンジンをかけ、近所をぐるりと一周。やったー、動いたね!調子に乗ってスーパーにお買い物。やっぱり車があると便利だわ。ところが数日後、エンジンが掛らなくなった。初めは私のかけ方が悪いのかな?と思ったが、家主Aにしてもらってもダメ。”これは、修理にださなきゃだめね”(えーっ、まだ数回乗っただけなのにー?)”大丈夫、私が利用してる修理工に頼んであげるわ。安く直してくれるはずよ” 夕方、車を取りに来た修理工O。聞けば、私の二つ前のAの同居人だったらしい。チリからの移民だと言う彼は”すぐに直るよ”と一言残して去って行った。
 数日後、”直った”との電話を受け取り、家主Aに描いてもらった地図を頼りに彼の工場に車を取りに行く。修理代を払って(いくらか記録にない)”バイバイ”。See Youと言ったつもりはないが、またすぐお世話になることとなる・・。


エンスト
 
 車を修理してすぐの週末、もう大丈夫だろうと、Tai TapuのJ宅まで遠出しようと友人Mを誘った。”長距離(?)の運転できない”と彼女に運転を任せて、いざ出発。地図をチェックしながら、うきうき気分で助手席に座ってました。シティを出るとどの車も時速80キロ以上でびゅんびゅん走ります。「芝刈り機」のあだ名を持つうちの車はものすごいエンジン音を立てながら、せいぜい80キロしかでないのですが、なかなか気持ち良く風に乗ってました。と、思っていたのは私だけ。”うーん、大丈夫かな〜?なんだか調子が変だよ、この車” ”え?そうなの?ちゃんと走ってるのに?” ”うん、エンジンの回転速度が急に落ちて止まりそうになる・・・” ”げっ” 

 とりあえず次のガソリンスタンドで燃料を注ぐついでに車をみてもらうが、別に悪いところはないという。”ちょっと一時的に調子が悪かっただけかな?”と希望的観測を口にしながらも不安は隠せない。もうじきTai Tapuの街に入る、という所で再びエンジン音が怪しくなる。 ”あそこにガソリンスタンドがあるよ。もう一度みてもらおう” 車をGSの敷地内に入れたとたん、ぷすんぷすんぷすん・・・、エンジンが止まってしまった。従業員のおじさんがボンネットを開けてみてくれる。”私達、無事町まで帰れるのかなぁー” とりあえず直すようなところはないらしい。エンジンが掛らないので押しがけをしてくれた。なんとかエンジンが掛り、やっとのことJ宅に着いた。

 話しを聞いて、帰りは途中までJが後ろからついて来てくれた。トラブルなく無事シティに着き、やれやれ。”なんだか大変なドライブになっちゃったねぇ”と安堵のため息をつく頃、ぷすん。再びエンジン停止。残りワンブロックじゃないかー、根性なし! 心の中で悪態をつきながら、家主Aを呼びに帰り、車を家の前まで牽引してもらった。そして再び修理工Oに電話。今度のトラブルは重症らしい。エンジンを取り替えなければならないかも、と聞き一体いくら掛るんだろうと落ち込む。今度の修理は時間もかかった。車があれば行きたいところもあれこれあったし、帰国まで正味何日車に乗れるんだろう?と不安に思ったりした。この買い物お金をどぶに捨てるようなものだったかも・・・?2週間近くになって、やっとOから連絡があった。結局エンジンは換えずに済んだとの事。それでも修理代の$280は痛い出費だった。 


エンジンオイル

 ペーパードライバーだった私は、車のこと、何もわかってなかった。ガソリンだけ入れてれば走ると思っていた。ある日ガソリンを注ごうとスタンドに行った。NZのガソリンスタンドはセルフサービスが普通だ。私もまわりをみまわしつつ、試みようとするが、いつもスタッフの人がやってきて代わりにしてくれた。よっぽど危なげにみえたのだろうか?エンジンの掛りがその時も悪く、車の様子を見てくれた係員のお兄さんが、”オイルは入れてる?”と聞いてきた。きょとんとする私。”少ないみたいだよ”といい、赤い色のついた液体を注いでくれた。オイル差しが瞬く間にからっぽになる。ちょっと驚いたようにお兄さんはもう一つオイル差しを取ってきて注いでくれた。丸々2本分入ってしまった。”からっぽだったんだよ。エンジンがやけてしまうよ”真っ青になる私。これでまた修理に出す事になったら・・・、と不安を抱きつつハンドルを握ったが、この時はセーフだったらしい。やれやれ。車のオイルって、蒸発してなくなるのと、汚れたら換えるのと2通りあるんだってね。NZには骨とう車が結構走っているので、古い車は気をつけたほうがいいです。(って、これ常識なの?>車オン チな私)ちなみに、この後も一回、オイル入れ忘れで”あわや”ということがありました。ついつい忘れてしまうものです(?)


制 限

 修理後、一応それなりに走るようになったうちの”芝刈り”号。でも、調子に乗ってスピードを出した後必ず調子が悪くなるので、制限速度60キロになり、3人乗るとやっぱり調子が悪くなるので、定員2名と制限されてしまいました。後、坂を登る馬力も危ぶまれるのでカシミアヒルも厳禁。とはいえ、カンタベリー平野は広い!? Tai Tapuには何度も出かけたし、シティ周辺のドライブくらいは問題なく楽しめました。オークランドじゃ、こうは行かなかったかな? 


 車庫入れ

 家主Aの家は道路に面したスペースに比較的余裕のある駐車場があったので、運転の下手な私でもさほど苦労することなく車を入れられました。ところがある日、普通に車を出すつもりが、何故だか隣の塀の方へ寄って行ってしまい、”右よ、右にきって”と家主Aのアドバイスもむなしく、とうとう塀に車体を擦りつけるまで近づいてしまった。どうにも動けなくなった私は、仕方なく彼女に運転を代わり、車を出してもらった。ガリガリッ。嫌な音がした。塀をみてみると、ちょっと木の枠が折れていた。あちゃー、これ弁償しなくちゃいけないかなー。一緒に覗きこんだ家主A。ちらっとみたが何も言わない。どうやら隣の家の塀らしい。木の塀自体はそんなに新しいものではなく、ここだけ直すといっても難しそうだ。えー、どうしよう?結局そのまま放かっておいた。あの塀その後どうなったんだろう?隣の人は気付いたんだろうか?ちょっと後ろめたい私の過去です。さて、塀に気を取られた私、すっかり自分の車のことを忘れてました。ちらっとみたところ多少へこんではいるけれど、今更傷の一つ二つが惜しい車でもなし、気にすることなくでかけました。

 さて翌日、職場に向かう途中の交差点を左折しようとした時、
ガリガリガリッ!ものすごい音がして、ハンドルまで振動が伝わってきました。”ええっ!?今の何!?”道路脇に車を寄せ確認するけど、車に何かを引掛けた様子はない。一体何だったんだろう?釈然としないまま再び車を走らせました。その後、車に調子の悪い様子はみられず、次の日はスキーツアーに参加するためILAMの友人Y宅へ車で向かうことになっていましたが、なんなく彼女の家まで辿り着くことができました。”たまたま何か引っ掛けただけだったのかな?”ガリガリ音への不安をすっかり解消しかけた私でしたが、初めてのNZスキーを満喫した後、帰路で再びガリガリガリッ!夕闇に響き渡る摩擦音を聞いたのでした。慌てて車をとめて確認したけれど、やっぱり変わったところはない。家まで無事辿り着けますように!祈る気持ちでハンドルを握りました。あの摩擦音がするのは、角を曲がるためにハンドルをきった時、でもハンドルをきっても大丈夫な時もある し・・・。ガリガリガリッ!きゃあ、まただわ!でも、家まであと少し・・・。なんとか無事帰宅できました。

 やれやれ、また修理に出さなきゃいけないの?とりあえず、最近知り合った車に詳しい友人に見てもらうことにした。それにしても、音のする、しないは何が違うのかな?・・・そうだ!左に90度ハンドルをきった時だけ音がするんだ!左でも、ラウンドとか、緩やかに曲がるときはしないんだ!やっと得心がいき、安心して眠りにつきました。翌日、車の調子をみてくれた友人は、はじめにその摩擦音の大きさにびっくりした後、左の前輪脇のボディーが大きくへこんでいて、左折するとホイールにあたって擦れるのを発見。ガンガンガンと、とんかちでへこみを直して、はいおしまい。”わーい、音がしない、ありがとねー”と喜ぶ私に ”一体何でこんなに車体をへこましたもんだか”とあきれ顔。ん?あーっ!あの車庫入れだー!やっと原因がわかった雪いちごでした・・・。
  


バッテリー

 ラジオや冷暖房を入れっぱなしで車を離れ、気がついたらバッテリーがあがっちゃった!という経験を持つ人は少なくないと思う!私も失敗談として耳にしてたし、気をつけようとも思ってたけど、やっぱりやっちゃいました・・・。

 私の場合は、ヘッドライトを点灯したまま車を離れちゃいました。初めてのときは確かに1時間近く放置していて完全にバッテリーあがっちゃったんだけど、それ以外は15分前後、ちょっと用事を済ませるくらいのことでエンジンが掛らなくなっちゃって、何度ジョイントケーブルにお世話になったことか、友人達に押し掛けしてもらったことか・・・。バッテリー自体が寿命だったみたいです。冬の冷え込む時間帯(早朝とか夜更けとか)にはエンジンが掛らなくて往生したものです。なまじいくらか動き出した後に止まってくれた日には、車を放置して行くわけにもいかず、途方にくれたものです。大概親切なKIWIが手助けしてくれるのですけど・・・。NZって良い所だぁ!と涙ながらに思うのはこんな時ですね。
  


芝刈号の行方

 帰国日が近づくと車の処遇を考えなければいけませんが、知り合いのツアーガイドに”譲って”と頼まれていたので、結構気楽に構えてました。自分も安く手に入れていたし、十分元はとったから、いくらでもいいやって気持ちもあったし。でも、何度か修理をしたし、かなり気を使って乗らなければいけないこの車を友人に売るのは、気が引けるなー、と次第に思うようになりました。こんな車持ったらトラブルの元だよ、って身にしみて感じてましたから。

 そんな帰国1週間程前、最後の挨拶にTai TapuのJ宅を訪れる事にしました。気持ち良く晴れた日で、初めてNZに到着しTai Tapuに向かった1年前と、とても重なるものがありました。そこでふだん走るルートでなく、飛行場経由のルートを走ってみることにしました。”そうだわ、この道を走ってJの家に行ったんだー” 何もかも初めてだったあの日。緑の牧場と青い空が続く道をただただ真っ直ぐに走り抜けて行った・・・。あれから1年、もうこの風景ともお別れなんだね。とってもセンチな気持ちに浸りながら、風を切って走りました。やがてJの勤めてたリンカーン大学が見えてきた。ホームステイしてた頃は何度も足を運んだ懐かしい場所。ここをみるのも最後だね。大学からJの家までの道、そうそうこの道、Jの車からいつも眺めてた景色。目に映るどの景色も懐かしく、愛しい・・・。

  プスン。”・・・えーっ!?、えーっ!?マジー!?エンジン止まっちゃったよ! あーん、セルもまわらないよ、これ絶対にヤバイよぉ・・・。”辺りは人影一つないのどかな田舎道。民家を尋ねようにもどれだけ歩いたらあるか皆目見当もつかない。こ、困ったなぁー。20分程座り込むが、車の一台も通らない。しょうがないなぁー、少し先まで歩いてみよう。民家があるかもしれない。どこかで電話を貸して貰えたらJに迎えにきてもらえるし・・・。10分程歩いたけれど、辺りの様子が変わる気配がない。なんだか不安になって車に戻ることにした。もしかしたら、Jが遅いからって、探しに来てくれるかもしれない・・・。でも、いつもと違うルートで来てるんだ、私・・・。車のある場所まで戻ったが、なんの変化もない。だーれも通らない、だーれも・・・。その時、視界の端からこちらにやってくるものがみえた。トラクターだ。手を振り助けを求めると、止まってくれた。”故障かい?”青年が運転席から降りてきて車の様子を見てくれた。”直りそうもないね。どこへ行くつもりだったの?” ”Tai TapuのT家に行くところで・・・” ”T家な ら知ってるよ。俺(三女)Vの同級生なんだ。送っていくよ。” た、助かったぁー。

 J宅に着くと、”(長女)Kがあなたを探しに行ったのよ”とJ。空港からのルートを走ったというと、”初めて来た時に通った道ね”と微笑んだ。帰って来たKには、”CITYまで行ったのよ、今日に限って別のルートを走るなんて”と怒られた(?)。ごめんなさーい。早速、芝刈号をJ宅まで牽引してきた。修理したらいくらかかるか、修理工に聞いてくれるという。次の日、”修理するなら$300、処分するなら$300で引き取る、って”とKが電話で知らせてきた。”$300で売る!”迷わず即答した私でした。(この後、修理工Oも”車、買い取るよ”って打診してきた。事の顛末を話すと、”$300なら良い値段だ”と太鼓判。ちょっと残念そうだったけど。)
  
 ちなみに、”部品として使えるから”と引き取られたうちの芝刈号ですが、その後街中を走る姿が何人かに目撃されました。現役に復帰したのか・・・。(感慨・・・)