キャラクター講評

(注)本稿では便宜上以下の呼称を使用する。

  ゲーム版;PSソフト『シスタープリンセス』、2001年3月発売。

  ゲーム版2;PSソフト『シスタープリンセス2』2003年3月発売。

  アイランド篇;アニメ『シスタープリンセス』、2001年4月〜9月放映。

  プロミストアイランド篇、いわゆる「ウニメ」。

  リピュア:アニメ『シスタープリンセスリピュア』、2002年10月〜12月放映。

可憐

 シスプリの妹12人の中では、可憐は主役という位置付けになっている。いわば『サクラ大戦』の真宮寺さくら、『ときめきメモリアル』の藤崎詩織、『To Heart』の神岸あかりといったところだろうか。

 しかし可憐についてよく言われることは、ヒロインとしては正統派過ぎて曲者ぞろいの妹たちの中ではいまいちインパクトに欠けるということである。でもちょっと待ってほしい。可憐のような清楚で丁寧で、しとやかで気品のある少女がいまどきどれくらいいるか、少し表を歩いてみればわかることである。その一見オーソドックスにみえるところがかえって彼女のかけがえのない個性なのであろう。ああ、街中でだらしないカッコで坐って汚い言葉遣いでしゃべっているネエチャンどもに可憐の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

 アニメ版(アイランド篇、リピュアとも)でもまとめ役的な存在だったが、個人的には第1話で海で溺れそうになった航をゴンドラに乗って救出するところが気になる。これが航と妹とのファーストコンタクトだったわけだが、クレーンはじいやが操作していたとしても、可憐の細腕で航の体重を支えられるのだろうか?

花穂

 小生は花穂の前向きでさらりとしたところが好きである。しかし少々気になるのは、「お兄ちゃま、花穂のこと見捨てないでね」というセリフだ。もっと自分に自信を持てばいいと思うのだが。彼女はどちらかというと年少組の方になるのだろうが、その調子でがんばってもう少し成長した花穂も見てみたい気がする。今はつぼみのままの妹たちがもう少し成長したら花を咲かせるようになる、そのように思えるところもまたシスプリの魅力だろうか。でも、いくらなんでもスカートで逆上がりの練習をすることはないと思うが…。

 そんな花穂はリピュアでは大活躍だった。しかしお兄ちゃまと一緒にお花の上をぴょーんぴょん…このシーンでは頭がくらくらした。

 ボーイッシュ系キャラというものはたいていのギャルゲーにはいるものだが、「ボーイッシュ」の魅力とはなんだろうか。性別を意識せず友人感覚でつきあえること、さっぱりした性格、その合間にみせる細やかさ…しかし衛の魅力はそれらとは多少異なるような気がする。

 衛の魅力は今は自分が女だということを意識せずに元気にふるまっている彼女も、もう少し大きくなれば女性として成長していくのではないか、そのとき彼女はいったいどのようにきれいになっていくのか…そのまさにこれから開こうとしているみずみずしいつぼみのようなところではないだろうか。しかしそのようなときに一緒にスポーツをやったりして親しく接することができても、その関係が壊れてしまう…そのへんの危うさやはかなさも魅力かもしれない。

 そういうわけで、衛は一般では妹の中ではいちばんの常識人であるかのように見られがちだが、アイランド篇では初登場時にいきなり天井を破って空から降ってきたり(さすがにDVDでは改められたが)、エスカレーターで足踏みしながらお絵描きしたりと、なかなかアレなところを見せてくれた。個人的にはリピュア12話の、花穂から借りたピンクのドレスで正装したところがおすすめ。こういうボーイッシュ系や服装に頓着しないような子にかわいい服を着せることこそが、ふりふり属性の真骨頂である。

咲耶

 小生のマイシスターは咲耶である。小生ははじめてシスプリに接したときから咲耶のおしゃれでませているところが好きだったが、一方でお兄様を恋人みたいに感じてくっつくところには「あぶねーよこいつ」という印象をぬぐうことができなかった。しかしそのような考えが一変したのは、「リピュア」のキャラクターパートの掉尾を飾る咲耶の回を見たときである。お兄様と自分との間に越えられない壁があることに苦悩する彼女の姿を見たときには、思わず涙腺がゆるんでしまった。実際あの回を見なかったら、ここまでシスプリにはまることはなかったと思う。

 このように咲耶は、自分とお兄様との間には「血縁」という越えられない壁があることをよく認識しているのだろう。しかし咲耶にはそれを受け止めて前に進もうとする強さ、そして誠実さとまっすぐさがある。ここが小生が咲耶をマイシスターとして推す理由である。彼女のおしゃれなところも、そのような「自信」のあらわれではないだろうか。

 咲耶は人気も高い妹であるし、他の妹のまとめ役としてお姉さん的な役回りをするところも多いのだが、アイランド篇では出番が多かったにしてもお姉さん役は眞深に持っていかれて位置付けが曖昧になったのは否めない。それでも第25話で航が燦緒に拉致(笑)されたとき、他の妹達がただ嘆き悲しんでいる中、一人だけ航を連れ戻そうとアクションを起こしたのはなかなかよかった。それにリピュアではAパートでも大活躍だったからまあよしとするべきだろう。

雛子

 雛子をはじめて見たときの第一印象。

「これって犯罪じゃないの、メ○ィア○ークス?」

 しかし実際シスプリワールドに占める彼女の位置付けは大きいと思う。彼女の純真さや天真爛漫さがあるからこそ、シスプリワールドはこのようなほのぼのとした世界になるのではないか。

 それに彼女のストーリーを読んでいると、いつもは忘れていたものに気づかせてもらえるような気がする。こうやってもっとゆっくり歩いて、ふと周囲に目をとめてみたくなる、そこが雛子の魅力だろう。個人的にはゲーム版2の、ごんぎつねを読んでもらってごんがかわいそうと泣くところと、「おなかのうた」が好き。

鞠絵

 鞠絵は小生の好きな妹である。眼鏡で読書家で清楚でロマンチストだけど病弱、まさにドツボじゃないですか。まあこれって「ときメモ」の如月美緒と一緒だと言われたらそれまでだが…。でも控えめに見える彼女が秘めた優しさと一途な思い、そして時折見せるはっきりとした意志、それが鞠絵の「強さ」であろう。

 個人的にはリピュアBパートの中で見せる繊細な世界が好きである。でもゲーム版で病状が悪化して、ミカエルがわざわざ高原から兄上様を呼んでくるという設定にはかなり無理があるような気がする。ちなみにそのときベッドで寝ていた鞠絵は可憐と見分けがつかないという気も…。

 アイランド篇でもどちらかというと扱いが地味だったが、彼女の控えめなキャラクターを考えると仕方ない面はあるかも。しかしゲーム版2での彼女の扱いはあんまりだ。海水浴にも夏祭りにも混ぜてもらえず、他の妹たちとの交流も全然ないとは…。水着姿はアイランド篇やゲーム版のひな祭りで拝めるが、浴衣姿が見られないのは残念。鞠絵なら絶対浴衣も似合いそうなのに…(涙)。

(追記)オフィシャルキャラクターブックの11ページにちゃんと鞠絵の浴衣姿はありました。

白雪

 白雪は不遇な妹である。というのはゲーム版で昼休みになるとにいさまのために弁当を持ってくるのだが、これがゲームをやる側としてはかなりウザいのだ。だいたい、昨今の学校は不法侵入に対してはかなり厳しくなっているのに、こんなに毎日部外者がのうのうと校内に入り込んでいいものだろうか。(しかしシスプリワールドでは、どんなに非常識でハチャメチャな設定も「そんなこと言ったらそもそも妹が12人いること自体が…」の一言でケリがついてしまう。)

 アニメ版でも「料理」ばかりにウェイトがかかっているようなイメージがあった。特にリピュアAパートでは主役の回がなくて完全な料理人役だったのはあんまりである。だからリピュアAパートでいちばん扱いが不遇なのは白雪ではないだろうか。

 まあそのせいかゲーム版2では扱いが改善されていたが、2の白雪のテーマ曲はまるでNHKの「今日の料理」みたいだなあ。

鈴凛

 小生は鈴凛のいろんな発明品をつくってしまうバイタリティあふれるところと、その陰でかいま見せる乙女チックさが好きである。将来に夢をしっかりと持っているという意味で、いちばん頼りになる妹かもしれない。でも地の顔だけだと衛と区別がつかないことがあるんだが、小生はまだ兄としての修行が足りないんだろうか?

 さて鈴凛というとやはりメカ鈴凛。わずか10代であれだけのものをつくってしまうとは、やはりただ者じゃないと思うが、カネだってアニキの資金援助でつくれるようなものではないだろう。

 小生はアイランド篇に登場するメカ鈴凛が好きである。夏になったらハンドル回してもらって流しそうめん食って、掃除や洗濯も手伝ってもらって、公園で一緒に遊んで…なによりあの憎めない表情がいい。それにしてもあの潜水艦、どうやって製作したのだろうか?

千影

 千影のことを小生は「ちーちゃん」と読んでいる。実際、小生がこうやってあだ名(?)をつけて呼んでいるのは千影だけである。小生はちーちゃんのことをなんか何考えているのかよくわからなくてとっつきにくいやつだと思っていたが、こう呼びたくなるあたり、根は悪い人ではないからであろう。現に小生も友人と一時「やあ、兄くん」「また来世」というのがあいさつがわりになっていたことがある。

 しかしちーちゃんはゲーム版では学校も別で私生活もほとんど明らかではないためよくわからないことが多いが、ちーちゃんの学校生活ってどんなものだろう。(ちなみにゲーム版で兄くんが「千影は人間じゃなかったんだ」とか言ってたときには笑ってしまった)個人的には、アイランド篇第12話での別荘に漂流(笑)して何とかして帰らなければと焦る航に「みんなと一緒にいられることに比べれば、その場所も時間も些細な問題だ」と言うところが好きである。

 あと小生がわからんのは、アイランド篇16話で運動会のいったいどのような種目に出たのかということである。この種目はみんなが名前を聞いただけでこわがるような種目のようだが、これでちーちゃんは堂々と金メダルをとっていた。ここでちーちゃんの体操服姿が拝めたのも新鮮だったが、短パンでぶるまーじゃなかったのが残念。ああ、ちーちゃんのぶるまー姿をいっぺん見てみたい。

 …しかし小生はさっきから全国の兄くんを敵に回すようなことばかり書いてるなあ。

春歌

 春歌も好きな妹である。なんといっても小生は大和撫子属性があるもので。ゲーム版でははじめは多少暴走気味ななところがあったが、2ではより大和撫子らしくなった。繊細さの中に秘めた強さとひたむきさ、そして誠実さ。これが他のゲームのキャラにも共通する「大和撫子」の魅力というものである。『藍より青し』の葵もそうだが、こういう「男に尽くす」タイプのキャラを「大和撫子」というとフェミニストのオバハンどもからギャーギャー文句を言われそうだが、もっと彼女らのプラス面に目を向けてほしいものだ。

 和服姿ももちろんいいが、原作でのキャメルのブレザーに赤いチェックのスカートという制服姿も好きである。こちらもなんか快活な感じがして。ゲーム版2の夏のノースリーブ姿もまたよし。

 リピュアAパートでは洋服姿で登場したが、その分位置付けが曖昧になったことは否めない。話全体の設定に合わせるためにはやむを得ない部分もあるかもしれないが…。まあBパートの春歌の回がいい話だったからよしとするか。

四葉

 神出鬼没で登場し、いろいろトラブルを巻き起こす四葉。少なくとも彼女がそばにいたら退屈することはない。人気もある妹であるが、それはこのような面のほかにも、彼女から元気をわけてもらえそうな気がするからであろう。小生もいつの間にか「チェキ」という語をよく使うようになってしまった。あと英国風のファッションも好みである。

 しかしアニメ版ではアイランド篇、リピュア共に出番が少なかった。でも動かしやすくキャラ立ちしやすいゆえに、出番が多すぎたら他の妹たちの存在感を食う可能性もあり、難しいところだろう。個人的にはリピュアのニーソックス姿がよかったが。あとアニメ版では両方とも鈴凛との相性がよいのが印象的である。

 あともう一つ。小生は、彼女の髪型は描くの難しそうだなあと思う。その意味で絵書きさん泣かせのキャラであるが、そのせいかアイランド篇では髪型が途中からもっと単純なものに変更されていた。

亞里亞

 小生がゲームをはじめてやった時の亞里亞の感想はこうである。

「この人一体何者だ?」

 実際、ゲーム版でのワガママっぷりを見て亞里亞が嫌いになったという人もいるようだが、その一般人の常識を超越した言動にもかかわらず、「兄や」という甘い声や天使のような純粋な笑顔にはなんかいやされるような気がするから不思議だ。やはり彼女は心の中で寂しさをかかえているのではなかろうか。ああ、小生もあったかいアイスが食べたい。

 それにしても彼女はあのふりふりドレス、一人で着られるんだろうかと思う。まあじいやに手伝ってもらってるんだろうね。それにあの髪型、毎朝セットするのにどのくらいの時間がかかるんだろうか?

 だが小生は、アイランド篇でいちばん扱いが不遇だった妹は亞里亞ではないかと思っている。なぜなら彼女は大豪邸でじいやを振り回して殿上人のような生活を送ってこそはじめて生きてくるキャラなのに、あのようなみんなでワイワイガヤガヤと共同性かつを送るという話の設定の中では存在が浮いてしまうのではと思えるからだ。台詞も少なかったし。でもリピュアBパートもなにやらわけのわからん話だったなあ。

 結局小生のマイシスターは咲耶、対抗馬は鞠絵と春歌、可憐ということになろうか。でも妹はどれもみんないいところを持っていて、それが一同に介してこそのシスプリではないだろうか。

眞深

 アニメをはじめて見たときは彼女はけっこう印象に残るキャラだった。なんといってもあのクマさんのへんてこな帽子とメガネという奇抜なコスチュームがすごい。こんなかっこでテントはって他人の生活見張ったりしたら絶対警察から不審者扱いされるって。でも第12話で一同が漂流(?)したときも「裏山に食べられる野草がけっこうあったから」とか言っているのをみると、けっこうハードな生活していたのかもしれない。

 彼女は原作の世界とはちょっと毛色が異なるキャラであるが、アニメにはなくてはならないキャラだった。彼女こそが航に対する一番のよき理解者だったわけだが、航とは血縁関係になかっただけにより客観的に航や妹たちを見ることができたのであろう。他の妹たちのまとめ役になっていたところもよかった。

 しかし眞深にメールで指示を送っていたのは燦緒だと思われるが、あのメーラーには眞深を監視する機能でもついていたのだろうか? こんなまだるっこしいことをやるくらいなら、燦緒がはじめから直接航をプロミストアイランドから拉致(笑)していたほうが手っ取り早いじゃないかと思うが。

山田

 アニメ放映中は「ウザい」「図々しい」と山田の評価はさんざんだったようだが、あの話の中ではけっこう重要なキャラだった。航が妹との生活を通して人間的に成長していくのとの対照という意味もあったが、妹にハマるお兄ちゃんの姿の戯画化ととることもできるだろう。その意味で、第25話でガソバルのプラモの山を前にしながら虚脱感を感じ、最終話ではガルバンを卒業していたのも航の心理を代弁したものと解釈できる。まあこの人のおかげでプロミストアイランドが楽しいところになったことは間違いないだろう。個人的には時折見せる妄想シーンが好き。

 しかし山田に再評価の声が高まったのは、リピュアの兄がいい人すぎたので全国のお兄ちゃんの反撥を買い、それなら山田の方がよかったというわけだとか。なんだかなあ。

燦緒

 結局この人はわけがわからない。なぜ航をプロミストアイランドから追い出そうとしたのか、それも眞深のところで触れたようになぜあのようなまだるっこしい方法をとったのか…まあ燦緒は航のことを友人として認めていたのだろうが、この二人であっち系の同人誌をつくった人は…もしかしたらいるかもしれない…。


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