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燃える昆虫軍団
BUG

米 1975年 100分
製作 ウィリアム・キャッスル
脚本 ウィリアム・キャッスル
   トーマス・ペイジ
監督 ヤノット・シュワルツ
出演 ブラッドフォード・ディルマン
   ジョアンナ・マイルズ
   パトリシア・マコーマック
   リチャード・ギリランド


 あのウィリアム・キャッスルの遺作である。自ら脚本を執筆しただけに力がこもっているが、その力が空回りして、とても奇妙な作品になってしまっている。

 前半は動物パニックものである。LAで大地震が起き、地割れから太古の生物が蘇る。三葉虫のような概観のその生物は灰を食料とし、食料を作るための発火能力がある。謎の出火が続出し、人類は困惑するが、生物の正体を掴んだ博士により全滅させられるのであった.....。

 後半は気狂い博士の暴走劇。生物を全滅させた博士は、しかし、最後の一匹に研究意欲を刺激され、ゴキブリとの交配を試みる。成長したハイブリッドは、やがて人間に匹敵する知性を拾得し、産みの親たる博士に報復、再び地中へと帰って行くのであった.....。

 どうしてゴキブリと交配したら知性を持ち得るのか、そこらへんの説明がない。だから観ていても「どうして?」という疑問を抱きながらラストを迎えてしまう。


 本作の魅力は、前半と後半のアンバランスにある。ありがちな動物パニックものが、後半で唐突に気狂い博士の研究譚へと変貌する。そのダイナミックな展開はエキサイティングですらある。
 そして、全編を貫く、架空の生物に対する観察眼。「講釈師、見て来たようにものを云い」の精神で、ありもしない生物の生態をレポートする様には、ついつい引き込まれてしまう。
 しかし、後半で生物が理由なく知性を持ち始めるあたりから、全体の構成が軋み始める。
 脚本にもう少し知恵を絞れば、本作はひょっとしたら大傑作になったかも知れない。それだけに、極めて惜しい「最低映画」である。


関連人物

ウィリアム・キャッスル(WILLIAM CASTLE)


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