10番街の殺人 英 1971年 106分 |
ベンチャーズの代表曲と同じ邦題であるが、両者はまったく関係がない。本作はロンドンのリリントンプレイス10番地で起きたジョン・クリスティの事件の映画化である。 また、この事件は重大な冤罪を引き起こしている点も特筆に値する。クリスティと同じアパートに住むティモシー・エヴァンスという少々オツムの弱い男が、女房殺しで自首し、処刑されているのであるが、今日ではホンボシはクリスティだったとするのが通説である。悲劇の人、エヴァンスを演じるのは無名時代のジョン・ハート。この人もうまいなあ。御隠居に云いくるめられてまんまと罠にハマる「長家の与太郎」を見事に演じている。実際、顔もそっくりなんだ、これが。 二人の名優のリアルな演技を支えているのが、リアルなロケ地である。なんと、この映画は現場であるリリントンプレイス10番地でロケしているのである。徹底したリアリズムで貫かれているのだ。実録犯罪もの好きには堪えられない一本である。 |