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エリザベス・ブッシュ
Elizabeth Catherine Bush (アメリカ)



エリザベス・ブッシュ

 ペンシルベニア州ウィリアムズポート在住のエリザベス・ブッシュ(14)は真面目で心優しい少女だった。将来は人権活動家になることを望んでいたという。その部屋の壁にはマザー・テレサとキング牧師のポスターが、机の上の掲示板にはコロンバイン高校事件での犠牲者たちの写真が、追悼の意を込めて貼られていた。そんな彼女がどうして同級生に銃を向けなければならなかったのか?
 動機はまたしても「イジメ」である。

 エリザベスは前の高校でも容姿を理由にイジメられていた。時には石を投げられることもあったという。余りのことに両親は彼女をビショップ・ノイマン高校に転校させた。カトリックの学校であるだけでなく、教師1人につき生徒が13人程度と少なかったからだ。それならばイジメを抑止出来ると判断したのである。
 ところが、ここでもイジメは変わらなかった。

 事件の数週間前、エリザベスはイジメの首謀者であるチアリーダーのキャプテン、キンバリー・マルチーズ(13)に電子メールを送った。
「どうして私たちは仲良くなれないのですか? もっと前向きな関係を築きましょうよ」
 ところが、これが同級生に晒されて、更にイジメられることになる。何をしても笑い者になる。彼女は追い詰められて行った。

 2001年3月7日、 父親が所有する22口径のリボルバーを拝借したエリザベスは、いつものようにスクールバスに乗って学校に登校した。そして、カフェテリアに向かうと、友人たちと談笑するキンバリーに近づき、その肩に目掛けて発砲した。その後、エリザベスは銃口をこめかみに当てて自殺する素振りを見せたが、教師たちの説得により思い留まり、拳銃を手放した。

 それはサンタナ高校銃撃事件の2日後のことだった。この事件は全米で大々的に報道されたので、エリザベスが知らなかった筈がない。故に彼女は事件の影響を受けて犯行に及んだと見るべきだろう。やはり、この手の学校襲撃事件は連鎖するのだ。

 急所を外れていたため、キンバリーは間もなく回復した。エリザベスも「殺す気はなかった」と語っている。彼女はこれまでに何度も父親と射撃場に通っていたので、銃の扱いに慣れていたのである。
「キンバリーを銃撃することで、私の心の苦しみを皆に判ってもらいたかったんです」

 エリザベスは殺人容疑で起訴されることなく、少年院での不定期刑が宣告された。そして、2004年8月22日に仮釈放された。但し、GPSを足首につけることと、21歳になるまでウィリアムズポートに近づかないこと、そして、カウンセリングを受け続けることが義務づけられている。

(2013年1月15日/岸田裁月) 


参考資料

http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,999475,00.html
http://articles.latimes.com/2001/mar/10/news/mn-36017
http://www.highbeam.com/doc/1G1-73827824.html
http://www.antidepressantsfacts.com/Elizabeth-Bush-18-released.htm


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