1962年、アルバータ州レスブリッジで生まれたジョン・マーティン・クロフォードは典型的な悪ガキである。12歳の時にシンナーを吸い始め、13歳の時には11歳の少女を強姦した。そして、16歳の時には「声」が聞こえ始めた。シンナーの吸い過ぎでオツムがイカレてしまったのである。
彼の最初の犯行は1981年、19歳の時のことだった。バーで知り合ったメアリー・ジェーン・サーロインを強姦した挙げ句に殺害したのだ。彼女の乳房にはおびただしい数の歯形が残されていた。極めて凶悪な犯行であるが、年齢が斟酌されたのだろうか、その刑は10年に留まった。そして、1989年には仮釈放された。
その後、サスカチュワン州サスカトゥーンに移り住んだクロフォードは、毎日のように浴びるほど酒を呑み、シンナーを吸い、ヤクにまで手を出した。そして、1992年から翌年にかけて、少なくとも3人の女性を殺害した。
シェリー・ナポープ
エヴァ・テイサップ
カリンダ・ウォーターヘン
クロフォードは上記3件の殺人容疑で有罪となり、終身刑を云い渡されたわけだが、彼の名前は本国であるカナダでも殆ど知られていない。というのも、当時のカナダはポール・ベルナルドとカーラ・ホモルカの話題で持ち切りで、クロフォードの事件は満足に報道されていなかったのである。
また、クロフォードの被害者がいずれもネイティブ・アメリカンであったことから、世間の関心を呼ばなかったのではないかとも指摘されている。
(2011年2月23日/岸田裁月) |