テッド・バンディの犠牲者がみな一様に「髪の長い女」だったのは、かつての恋人への復讐だった。このボリビア生まれのラミロ・アルティエダも「かつての恋人への復讐」という方程式に従い犯行を重ねた。国は違えども、同じようなバカはいるのだ。
そもそもの発端は、ラミロに兄殺しの容疑がかけられたことだった。動機は遺産相続である。しかし、警察は立件できず、ラミロは逮捕を免れた。ほっとしたのも束の間、恋人に逃げられた。そりゃそうだろう。兄殺しの疑いがある男は、いつ嫁殺しになるか判らない。
失意のラミロはアメリカに渡り、一説によれば俳優をしていたというから男前だったのだろう。そして、帰国後に一連の絞殺事件を起こす。
マルガリータ・リオス
ルイシタ・トランザ
ロサリーノ・ヴィラヴェンツィオ
テレサ・アルディアレス
マリア・ペレス
マリアナ・アラマヨ
ユリア・カケレス
いずれも18歳、「驚くほどよく似ていた」と参考文献にはある。つまり、ラミロを捨てた恋人(当時18歳)と瓜二つだったのだ。
1939年5月、8人目の獲物を逃したことでラミロは逮捕される。
「俺を捨てたあいつによく似た女を片っ端から殺そうと思った」
なんとも幼稚な男だ。1939年7月3日に銃殺されたそうだが、当然の報いである。
(2007年11月1日/岸田裁月) |