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2024年令和6年試験 
 

【問 1】法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。

2 公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。

3 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。

4 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。

 

解答解説

1〇 意思能力のない状態での行為は、無効である。1-3 

× 公の秩序に反する法律行為は、無効である。1-3

× 詐欺による意思表示も強迫による意思表示も、取り消すことによって初めから無効であったとみなされる。2-2

× 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は有効である。13

正解1

ワンポイント 権利関係ではじめにやるところです。

 

【問 2委任契約・準委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。

2 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。

3 委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理人に代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。

4 委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。

 

解答解説

1〇 受任者は善良な管理者の注意義務をもって受任事務をおこなわなければならないから、売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。11-8

2〇 記述のとおりである。受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。644条の2

3〇 本人の死亡により代理権は消滅する旨の規定がある(111条)が、これは任意規定で当事者の特約で変更できる。よって、本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理人に代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。

× 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。6433条 つまり、報酬支払いを約するこことは、委任契約成立の要件ではない。

正解4

ワンポイント 

委任に関する定番問題です。正解肢は、基本です。

 

 

【問 3甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Dの共有持分は、相続財産には属していないものとする。

1 甲土地に、その形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加える場合には、共有者の過半数の同意が必要であり、本件ではA、B、C3人の同意が必要となる。

2 甲土地の所有権の登記名義人となっている者が所有者ではないEである場合、持分に基づいてEに対して登記の抹消を求めるためには、所在が判明しているA、B、Cのうち2人の同意が必要である。

3 A、B、C3人の同意があれば、甲土地を資材置場として賃借したいFとの間で期間を3年とする賃貸借契約を締結することができる。

4 Aが裁判所に請求して、裁判所がDの持分をAに取得させる旨の決定をした場合、Dは、その決定から3年以内に限り、Aが取得したDの共有持分の時価相当額をAに対して支払うよう請求することができる。

 

解答解説

× 共有物に変更を加えるには、共有者全員の同意が必要である。103

× 虚偽登記名義人に対する抹消登記の請求は、共有物の保存行為として、共有者の一人でもできる。103

3〇 5年以下の土地賃貸借は、共有物の管理に関する事項として、共有者の持ち分価格の過半数で決することができる。103

× 所在不明共有者の持分の取得の対価の支払い請求につき、期間の制限はない。262条の3

正解3

ワンポイント 

大幅な改正のあった共有からの出題だが、正解肢は、従来からの定番論点です。

 

 

【問 4Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された直後にAが死亡し、CがAを単独相続した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 買代金を受領したCが甲土地の引渡しを拒絶する意思を明確に表示したとしても、Bは、Cに対して相当の期間を定めた催告をしなければ、本件契約を解除することができない。

2 Bが期日までに売買代金を支払わない場合であっても、本件契約の解除権はAの一身に専属した権利であるため、Cは本件契約を解除することはできない。

3 Bは、売買代金が支払い済みだったとしても、甲土地の所有権登記を備えなければ、Cに対して甲土地の引渡しを請求することはできない。

4 本件契約が、Aの詐欺により締結されたものである場合、BはCに対して、本件契約の取消しを主張することができる。

 

解答解説 

× 履行遅滞の場合に、債務者が明確に履行を拒絶した場合は、直ちに契約を解除できる。近年の改正点である。511

× 解除権は相続の対象となるので、Aを相続するCは本件契約を解除することができる。

× Cは、売主Aの地位を引き継いでいるので、代金を支払った買主Bは登記をしなくても、甲土地の引き渡しを請求することが出来る。65

4〇 Cは、詐欺をしたAの地位を引き継いでいるので、BはCに対して、本件契約の取消しを主張することができる。31

正解4

ワンポイント

1は、最近の改正点。2~4は、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」896条のあてはめの問題。

 

 

問 5履行遅滞に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 不法行為の加害者は、不法行為に基づく損害賠償債務について、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

2 善意の受益者は、その不当利得返還債務について、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

3 請負人の報酬債権に対して、注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、当該残債務の履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

4 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

解答解説

× 不法行為に基づく損害賠償債務は、債務成立の時から遅滞の責任を負う。被害者保護のためである。判例 1131

2〇 不当利得返還債務のように法律の定めにより生じる債務の履行期限は、期限の定めのないものとなるので、その債務者は履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。5-2

3× 請負の注文者の報酬債務は、引き渡しと同時に履行すべきなので(1112 633条)、相殺後の報酬残債務も、請負目的物の引き渡したがあった以上、履行の請求がなくとも、履行遅滞に陥っている。

4× 不確定期限付き債務が履行遅滞になるのは、期限到来を知ったとき、又は請求があったときのいずれか早い時点である。52 412

正解2

ワンポイント 

履行遅滞になる時期に関する、やや細かい問題だが、落ち着いて考えると解答できると思う。

 

【問 6】Aの所有する甲土地にBを地上権者とする地上権(以下この問において「本件地上権」という。)が設定され、その旨の登記がされた後に、甲土地にCを抵当権者とする抵当権が設定され、その旨の登記がされた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア BがAとの売買契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。

イ Aが死亡してBがAを単独相続し、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。

ウ BがAとの代物弁済契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。

エ BがAとの贈与契約に基づき、甲土地の所有権を取得したときは、本件地上権は消滅する。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

 

解答解説

甲土地の地上権者が甲土地の所有権を取得したときは、所有権を取得した以上、地上権を存続させる意味はないので、地上権は消滅するが、取得した所有権に抵当権が設定されているときは、後日抵当権が実行されると所有権を失うので、地上権を残しておく必要がある。このことは、所有権の取得原因が、売買であろうと相続であろうと、代物弁済であろうと贈与であろうと変わりはない。よって、設問のいずれの場合でも、地上権は消滅しない。正解は、4である。法179条に、同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。とあるが、本肢は、ただし、その物が第三者の抵当権の目的である場合である。

正解は、4である。

ワンポイント

民法179条の解説を一度でも読んだことがある方には簡単な問題でしたが、そうでない方には、何が何だかよくわからなかったと思います。 

 

 

【問 7Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 CがBに対し甲建物をAから買受けたとの虚偽の話をしたので、これを信じたBが甲建物の占有を任意にCに移転した場合、AはCに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。

2 Bが、Aの甲建物への立ち入りを建物入り口を閉ざして拒んだときは、Aは甲建物の間接占有が侵奪されたものとして、Bに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することができる。

3 Bが死亡して、DがBを単独相続した場合、Dは相続開始を知るまでは、Bによる甲建物の占有を承継しない。

4 AとBのいずれもが死亡した場合、本件契約は当然に終了する。

 

解答解説

1〇 占有回収の訴えによる返還請求は、占有者の意思に反して占有が奪われたときに行えるもので、占有を任意に移転した場合には、行えない。よって、記述は正しい。判例 占有代理人である賃借人が他人に任意に物の占有を移転した場合は、たとえその移転の意思が他人の欺罔(ぎもう・あざむき騙すこと)によって生じたような場合であっても、占有侵奪の事実があるとはいえず、賃借人も賃貸人も占有回収の訴えでその回収を求める事はできない。(大判大111127

2× 占有回収の訴えによる返還請求は、占有者の意思に反して占有が奪われたときに行えるものであり、建物の入り口が閉ざされただけでは、占有は奪われていないので、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。判例 賃借人Aが賃貸借の目的物の部屋を転貸して、転借人Bを占有代理人として関節占有する場合、BAのために占有する意思を失い、入室を拒んだとしても、それだけではAの占有を奪った事にはならない。(最判昭3418

3× 被相続人の占有に属していた物は、被相続人の死亡により、相続人が所持・管理しているか否か及び相続の開始を知っているか否かにかかわりなく相続人の占有に移る。つまり、相続による占有の承継は、被相続人の死亡によって当然に起こり、相続人が、相続の事実を知ることを要しない。(最判昭28.4.24,最判昭44.10.30

4× 賃貸借契約は、借主の死亡によっても、貸主の死亡によっても終了しない。借主の地位も貸主の地位も、死亡により相続の対象となる。「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」896

正解1

ワンポイント 1・2は、いわゆる占有訴権について。3は、占有の相続について。4は、員貸借契約当事者の死亡が賃貸借契約に及ぼす影響についてです。正解率は、かなり低かったようです。

 

【問8】次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。

1 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

2 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。

3 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

4 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

 

解答解説

1× 規定されていない。改正前の民法(以下「旧民法」という。)は、隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる(旧民法971項)として、「到達主義」を原則としつつも、隔地者間の契約の成立時期については、承諾の通知を発した時に成立する(旧民法5261項)として、「発信主義」を採用しています。

改正民法は、承諾も含めて「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」(新民法971項)と規定し、また、旧民法5261項を削除して、契約の成立時期については、隔地者間の契約であるかどうかにかかわらず、承諾の通知の到達時としました。

2〇 規定されている。121条の21項「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」これは、2022年改正法で新設された規定です。

〇 規定されている。107「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」この規定も、2022年改正法で新設されました。

4〇 規定されている。5条「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」この規定は、2022年の改正前からある規定である。

正解1

ワンポイント

正解肢は、2022年改正法を知っている人にとっては簡単だったでしょう。

 

 

【問9】承諾に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 第三者が債務者との間で、債務者の債務につき免責的債務引受契約をする場合、債権者の承諾は不要である。

2 第三者が債務者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債権者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。

三者が債権者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債務者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。

4 賃借人が賃貸借契約の目的物を第三者に転貸する場合、賃貸人の承諾は不要である。

 

解答解説

1× 免責債務引き受けは、従来の債務者を免責させ、第三者が従来債務を引き受けるというもので、債権者にとって重大な利害を及ぼすから、債権者の承諾は必要である。条文を示しておこう。4702項 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。 同3項 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。4703

2〇 記述のとおりである。条文を示しておこう。4703項 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。

3× 第三者が債権者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をする場合は、債権者と引受人となる第三者との契約で完結し、債務者が第三者に承諾をすることは、必要がない。

併存的債務引き受けの条文

467条1 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。

2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。

3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。

4× 賃借人が賃貸借契約の目的物を第三者に転貸する場合、賃貸人の承諾は必要である。

9-4 612

正解2

ワンポイント 

1~3は、2022年改正で整理された債務引き受けに関する規定。4は、従来からの規定。債務引き受けは、宅建実務にはあまり関係がないので、改正法とはいえ勉強している人は少なかったでしょう。正解率は、低かったようです。

 

 

【問 10】売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、履行の追完請求権、代金の減額請求権、損害賠償請求権及び契約の解除権のうち、民法の規定によれば、買主が行使することができない権利のみを掲げたものとして正しいものは次の記述のうちどれか。なお、上記帰責性以外の点について、権利の行使を妨げる事情はないものとする。

1 履行の追完請求権、損害賠償請求権、契約の解除権

2 代金の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権

3 履行の追完請求権、代金の減額請求権

4 損害賠償請求権

 

解答解説

売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合の、買主の履行の追完請求権、代金の減額請求権及び契約の解除権は、当該契約不適合が売主又は買主の責めに帰することができない事由によるものであることを、権利行使できない要件としていないので、当該契約不適合が売主及び買主の責めに帰することができない事由によるものであるときでも、これら権利は、買主が行使することができる。621562条)、623563条)、51011541542条)。これに対し、損害賠償請求権は、契約不適合が売主の責めに帰する事由がないときは、買主は行使することはできない。54415条)。よって、当該契約不適合が売主及び買主の責めにも帰することができない事由によるものであるときに、買主が行使することができないのは、損害賠償請求権だけである。

正解は、4。

ワンポイント 

契約不適合責任の要件に関する問題。細かいが、基本的なところです。

 

 

【問 11】建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

2 居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めても、この特約は無効である。

3 借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。

4 当事者が借地権の設定後に最初に借地契約を更新する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は更新の日から10年となる。

 

解答解説

1× 存続期間20年の事業用定期借地権は、公正証書でなければ設定できない。949

23

2× 居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約は、法24条に定める建物譲渡特約付き借地権の特約であり、有効である。948

3〇 記述のとおり、借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。930 

4× 当事者が借地権の設定後に最初に借地契約を更新する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は更新の日から20年となる。931

正解3

ワンポイント 

正解肢は、基本的なところです。

 

 

【問 12賃貸人Aと賃借人Bとが、居住目的で期間を3年として、借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「契約」という。)を締結した場合と、定期建物賃貸借契約でも一時使用目的の賃貸借契約でもない普通建物賃貸借契約(以下この問において「契約」という。)を締結した場合とに関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bが建物の引渡しを受けた後にAが建物をCに売却して建物所有者がCに変わった場合、Bは、契約の場合ではCに対して賃借人であることを主張できるが、契約の場合ではCに対して賃借人であることを主張できない。

2 契約期間中は賃料の改定を行わない旨の特約を契約において定めていても、契約期間中に賃料が不相当になったと考えるに至ったBは、契約の場合も契約の場合も、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求をすることができる。

3 Bが契約期間中に相続人なしで死亡した場合において、婚姻はしていないが事実上夫婦と同様の関係にあった同居者Dがあるときは、契約の場合も契約の場合も、Aに反対の意思表示をしないDは、建物の賃貸借契約に関し、Bの権利義務を承継する。

4 契約の場合、公正証書によって契約をするときに限り契約の更新がないことを有効に定めることができ、契約の場合、書面で契約し、かつ、Aに正当な理由がない限り、Aは契約の更新を拒絶することができなくなる。

 

解答解説

1× 定期建物賃貸借の場合でも一般建物賃貸借の場合でも、賃借建物の引き渡しを受けた賃借人Bは、賃貸建物の譲受人Ⅽに対し賃借権を対抗できる。919

2× 定期建物賃貸借の場合は、賃料の改定を行わない旨の特約を定めている場合は、賃料増減額請求はできない。927 一般建物賃貸借の場合は、賃料の改定を行わない旨の特約を定めている場合も、賃料減額請求はできる。

3〇 定期建物賃貸借の場合でも一般建物賃貸借の場合でも、賃借人が相続人なくして死亡した場合において、婚姻はしていないが事実上夫婦と同様の関係にあった同居者に、賃貸人に反対の意思表示をしない同居者は、建物の賃貸借契約に関し、賃借人の権利義務を承継する。926

4× 定期建物賃貸借は、書面で契約すれば契約の更新がないことを有効に定めることができ、必ずしも公正証書は必要ない。927また、普通建物賃貸借は、書面で契約していなくとも、賃貸人に正当な理由がない限り、契約の更新を拒絶することができない。913

正解3

ワンポイント 

定期建物賃貸借と一般建物賃貸借の比較の問題ですが、そう難しくはありません。

 

【問 13建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 各共有者の共用部分の持分は、規約に別段の定めがない限り、共有者数で等分することとされている。

2 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。

3 管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。

4 集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、集会の招集の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなされる。

 

解答解説

1× 各共有者の共用部分の持分は、規約に別段の定めがない限り、専有部分の床面積(壁の内側線で囲まれた部分の水平投影面積=いわゆる内法計算)の割合によることとされている。133

2〇 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。1315 461

3〇 管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。43

4〇 集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、集会の招集の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなされる。1314

正解1

ワンポイント 基本的な問題です。

 

 

問 14】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

2 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。

 相続人ではない者に対する遺贈による所有権の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

 登記名義人の住所についての変更の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

 

解答解説

1〇 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。69条の2 よって、正しい。

2〇 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。1181

3× 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる(633項)が、相続人ではない者に対する遺贈による所有権の移転の登記は、共同申請である。60条 149

4〇 登記名義人の住所についての変更の登記は、登記当事者が一人なので、その申請も単独申請である。1410 64

正解 3

ワンポイント 肢1は、近年の改正法。24は、従来からある規定。正解肢3は、遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる(633項)という規定が新設されたが、それに関連する。

 

 

【問15都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 都市計画区域外においても、特に必要があるときは、都市施設に関する都市計画を定めることができる。

2 準都市計画区域については、用途地域が定められている土地の区域であっても、市街地開発事業に関する都市計画を定めることができない。

3 用途地域の一つである準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定める地域である。

4 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域についてのみ都市計画に定められるものであり、また、地区計画に関する都市計画を定めるに当たっては、地区整備計画を都市計画に定めなければならない。

 

解答解説

1〇 都市施設は、都市計画区域について定めるのが原則だが、必要があるときは、当該都市計画区域外においても定めることができる(区域外都市計画施設)。1-37 111

そのこころ 道路やごみ焼却場は、都市計画区域内に収まらない場合もある。

2〇 準都市計画区域については、都市計画に、①用途地域、②特別用途地区、③特定用途制限地域、④高度地区、⑤景観地区、⑥風致地区、⑦都市緑地法による緑地保全地域、⑧文化財保護法による伝統的建造物群保存地区を定めることができる。この中に、市街地開発事業は含まれていない。1-11 法82

3〇 準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。1-4 法97

4× 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域、又は用途地域が「定められていない」土地の区域のうち一定の要件を満たすものについて定められる。そして、地区計画については、都市計画に、地区整備計画を定めるものとする。1-43 法12条の51項・2

正解4

ワンポイント 

地区計画に関する定番ポイントです。

 

【問 16都市計画法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 市街化区域内において行う、医療法に規定する病院を建築するための1,000㎡の開発行為については、法第29条に基づく都道府県知事の許可を得る必要がある。

2 市街化区域内において行う、開発行為を伴わない建築物の建築で、当該建築物の床面積が1,000㎡以上のものについては、法第29条に基づく都道府県知事の許可を得る必要がある。

3 市街化調整区域内において行う、都市計画事業の施行のための開発行為については、法第29条に基づく都道府県知事の許可を得る必要がある。

4 法第29条に基づく許可を受けた者は、当該許可に係る土地についての一定の事項を開発登録簿に登録しなければならない。

 

解答解説

1〇 市街化区域内において行う開発行為で1,000㎡未満のものは、開発許可は不要であるが、1,000㎡のものは開発許可が必要となる。なお、医療法に規定する病院は、その用に供する開発行為が許可不要になる公益上必要な建築物ではない。施行令191

2× 「市街化区域」内において行う、開発行為を伴わない建築物の建築については、都市計画法に特に規定はなく、都市計画法上の都道府県知事の許可は不要である。

3× 都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、原則として開発許可が必要であるが、都市計画事業の施行として行う開発行為については、例外的に開発許可は不要となる。116 法2914

4× 「都道府県知事」は、開発許可をしたときは、当該許可に係る土地について、一定の事項を登録簿に登録しなければならない。「開発許可を受けた者」が登録するわけではない。法471

正解1

ワンポイント

正解肢は、基本です。

 

 

問 17建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、建築副主事の確認にあっては、建築基準法に定める大規模建築物以外の建築物に限るものとする。

1 高さ25mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。

2 特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物を除く。)の所有者に対して、緊急の必要があり、仮に当該建築物の使用禁止又は使用制限の命令をする場合であっても、意見書の提出先等を記載した通知書の交付等の手続をとらなければならない。

3 防火地域内に存在する共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がある。

4 劇場の用途に供する建築物を映画館(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要はない。

 

解答解説

1〇 高さ20mをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでない。2-2633

2× 特定行政庁は、建築基準法令の規定等に違反した建築物等については、当該建築物の所有者等に対して、当該建築物の使用禁止又は使用制限等の命令をすることができる。そして、この命令をするには、意見書の提出先等を記載した通知書の交付等の手続をとる必要がある。しかし、特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、これらの手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。2-2897

3〇 200㎡を超える共同住宅等の特殊建築物の増築には原則として建築確認が必要であるが、防火地域及び準防火地域「外」において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、建築確認は不要となる。防火地域及び準防火地域「内」であれば、10㎡以内の増築であっても、建築確認が必要である。2-18 建築基準法62

4〇 建築物の用途を変更して特殊建築物のいずれかとする場合には建築確認が必要である。しかし、当該用途の変更が一定の類似の用途相互間におけるものである場合、建築確認は不要となる。そして、劇場を映画館に用途変更することは、類似の用途相互間とされている。2-18 法871

正解 2

ワンポイント

単体規定、違反建築物に対する措置、建築確認の要否と横断的な問題。

 

 

【問 18次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 客席部分の床面積の合計が300㎡の映画館については、第二種住居地域内において建築することはできないが、準住居地域内においては建築することができる。

2 特定用途誘導地区内において、都市計画で建築物の高さの最高限度が定められていたとしても、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、当該最高限度を超えてよい。

3 計画しようとする建築物の天空率が、道路斜線制限、隣地斜線制限又は北側斜線制限に適合する建築物の天空率未満であれば、これらの制限は適用されない。

4 都市計画で建蔽率の限度が80%に指定されている区域かつ防火地域内にある耐火建築物について、建蔽率の限度を超えるためには、特定行政庁による許可を得る必要がある。

 

解答解説

1× 客席部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館・劇場・演芸場・観覧場は、近隣商業地域・商業地域・準工業地域で建築することができる。2548

2〇 特定用途誘導地区内においては、建築物の高さは、特定用途誘導地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、この限りでない。法60条の32

3× 道路斜線制限、隣地斜線制限又は北側斜線制限が適用されなくなるのは、これらの制限に適合する建築物の天空率「以上」である場合である。法567

4× 防火地域(建蔽率の限度が10分の8とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等については、建蔽率の規定は適用されないので、そもそも建蔽率の限度を超えるという事態は生じない。2-65361

正解2

ワンポイント

2と肢3が初出題で、しかもその中に正解肢があるので、難しかったと思います。

 

 

【問 19】宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考慮しないものとする。

1 都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。

2 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害を防止するために必要があると認める場合には、その土地の所有者に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。

3 工事主は、宅地造成等工事規制区域において行われる宅地造成等に関する工事について、工事着手後2週間以内に、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。

4 特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。

 

解答解説

1〇 都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。この場合に、土地の占有者は、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。法5

2〇 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その土地の「所有者」、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。法222

3× 工事主は、宅地造成等工事規制区域において行われる宅地造成等に関する工事についての許可の申請をするときは、「あらかじめ」、主務省令で定めるところにより、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。工事着手後2週間以内に必要な措置を講じるのではない。法11

4〇 特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。法271

正解3

ワンポイント 

盛土規制法については、初めての出題だが、正解肢は常識でもわかる。説明会が、工事着手後行われても、意味がない。

 

 

【問 20土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、同法第136条の3による大都市等の特例及び条例で定める事務処理の特例は考慮しないものとする。

1 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。

2 市町村施行の土地区画整理事業において、市町村は、換地処分をした場合においては、その旨を公告しなければならない。

3 換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において、施行者が取得する。

4 施行者は、仮換地を指定した場合において、特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生の日と別に定めることができる。

 

解答解説

1〇 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができるものとし、従前の宅地については、使用し、又は収益することができないものとする。法991

2× 個人施行者、組合、区画整理会社、「市町村」又は機構等は、換地処分をした場合においては、遅滞なく、その旨を都道府県知事に「届け出」なければならない。法1033

3〇 換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において、施行者が取得する。法10411

4〇 施行者は、仮換地を指定した場合において、その仮換地に使用又は収益の障害となる物件が存するときその他特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生の日と別に定めることができる。法992

正解2

ワンポイント

定番論点の基本問題です。

 

 

【問 21農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 法第3条第1項の許可があったときは所有権が移転する旨の停止条件付売買契約を原因とする所有権移転の仮登記の申請を行う場合にも、農業委員会の許可が必要である。

2 法第5条第1項の許可申請書の提出において、法ではその申請に係る権利の設定又は移転に関し民事調停法により調停が成立した場合など一定の場合を除き、当事者は連署した申請書を提出しなければならないとされている。

3 法では、農地の賃貸借で期間の定めがあるものについては、一定の場合を除き、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしないと従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借したものとみなされる。

4 法では、農地の賃貸借の当事者は、当該賃貸借の合意による解約が民事調停法による農事調停によって行われる場合など一定の場合を除き、知事の許可を受けなければ、当該賃貸借について、解除、解約の申入れ、合意解約、更新拒絶の通知をしてはならないとされている。

 

解答解説

1× 仮登記は、権利移転の請求権を保全するため行うもので、この段階では農業委員会の許可がなくても申請できる。42不動産登記法1052号参照

2〇 法51項の許可を受けようとする者は、一定の事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出しなければならない。そして、この申請書を提出する場合には、「当事者」が連署するものとする。農地法施行規則57条の41

3〇 農地又は採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の1年前から6月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。法17

4〇 農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。なお、上記の例外の一つとして、民事調停法による農事調停によって解除等が行われる場合がある。413181

正解1

ワンポイント

本問は、権利移転の仮登記の段階では、農業委員会の許可は不要ということです。

 

 

問 22国土利用計画法(以下この問において「法」という。)第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)及び法第27条の7の監視区域内の届出(以下この問において「事前届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。

1 Aが所有する市街化区域以外の都市計画区域内の4,000㎡の土地について、宅地建物取引業者Bが地上権の設定を受ける契約を締結した場合、Bは事後届出を行わなければならない。

2 宅地建物取引業者Cが所有する市街化区域内の3,000㎡の土地と宅地建物取引業者Dが所有する都市計画区域外に所在する12,000㎡の土地を金銭の授受を伴わずに交換する契約を締結した場合、C及びDはともに事後届出を行う必要はない。

3 事前届出又は事後届出が必要な土地について、売買契約を締結したにもかかわらず所定の期間内に当該届出をしなかった者は都道府県知事からの勧告を受けることがあるが、罰則の適用を受けることはない。

4 監視区域に指定された市街化区域内に所在する土地2,500㎡について売買契約を締結しようとする当事者は、契約締結の少なくとも6週間前までに事前届出を行わなければならない。

 

解答解説

1× 本肢の地上権の設定が権利金の授受を伴うものであるかどうかは不明であるが、市街化区域以外の都市計画区域内の土地については、5,000㎡が届出対象面積となるので、4,000㎡の土地では事後届出は不要である。612321号ロ

2× 市街化区域内の土地は2,000㎡以上、都市計画区域外の土地は10,000㎡以上の場合に事後届出が必要となるので、本肢交換契約の対象となっている土地は、両方とも届出対象面積に達している。そして、このような場合は、土地を取得する両当事者が事後届出を行う必要がある。6-1 法2321号ハ

3× 事前届出又は事後届出が必要な土地について、届出をしなかった場合、都道府県知事から勧告を受けることはないが、罰則の適用(6月以下の懲役又は100万円以下の罰金)を受けることはある。6-147

4〇 監視区域に所在する土地について届出対象面積に達している土地の売買等の契約を締結しようとする場合、事前届出をする必要があり、この届出をした者は、その届出をした日から起算して6週間を経過する日までの間、その届出に係る土地売買等の契約を締結してはならない。したがって、当事者は、契約締結の少なくとも6週間前までに事前届出を行わなければならないことになる。なお、監視区域における届出対象面積は、都道府県知事が事後届出における届出対象面積未満の範囲で定めることになるので、市街化区域内においては、2,000㎡未満の範囲で定められているはずである。したがって、本肢の市街化区域内に所在する土地2,500㎡というのは、必ず届出対象面積に達していることになる。

6-427条の82

正解4

ワンポイント

監視区域の規制はよくわからなかったと思うが、消去法で導ければよい。

 

 

【問 23住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下この問において「住宅ローン控除」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の居住用家屋は、令和5年に建築基準法第6条第1項の確認(建築確認)を受けたものとする。

1 令和6年中に居住用家屋を居住の用に供した場合において、その前年において居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けているときであっても、令和6年分以後の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。

2 令和6年中に居住用家屋を居住の用に供した場合において、その前年において居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の適用を受けているときであっても、令和6年分以後の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。

3 令和5年中に居住用家屋の敷地の用に供するための土地を取得した場合において、令和6年中に居住用家屋を新築して居住の用に供したときは、令和5年分の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。

4 令和6年中に居住用家屋を居住の用に供した場合において、その居住用家屋の取得に係る住宅借入金等の償還期間等が契約において3年とされているときは、令和6年以後3年間の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることができる。

 

解答解説

1× その居住の用に供した日の属する年の前年分若しくは前々年分の所得税について居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けている場合には、住宅ローン控除の適用を受けることができない。821租税特別措置法4120

2〇 その居住の用に供した日の属する年の前年分若しくは前々年分の所得税について居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の適用を受けている場合でも、住宅ローン控除の適用を受けることができる。821租税特別措置法4120項参照

3× 住宅ローン控除の適用を受けるための要件として、「住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること」というのがあるので、令和5年に居住用家屋の敷地の用に供するための土地を取得した場合には、少なくとも令和6年の後半に居住の用に供したとしても、住宅ローン控除が適用されない場合がある。821租税特別措置法41

4× 住宅ローン控除が適用されるための要件として、契約において償還期間が「10年」以上の割賦償還の方法により返済することとされている。821租税特別措置法4111

正解2

ワンポイント

久しぶりに出た住宅ローン控除。正解肢も、前回(平成18年問26)と同様各種特例と一緒に受けられるかという点でした。

 

 

【問 24】不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における当該不動産の売買価格であるから、固定資産税の課税標準である固定資産の評価額とは異なるものである。

2 不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては1戸につき23万円、その他のものにあっては1戸につき12万円に満たない場合においては、不動産取得税が課されない。

3 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、法人の合併により不動産を取得した場合においても、不動産取得税が課される。

4 令和6年4月に個人が取得した住宅及び住宅用地に係る不動産取得税の税率は3%であるが、住宅以外の家屋及び土地に係る不動産取得税の税率は4%である。

 

解答解説

1× 不動産取得税の課税標準は、原則として固定資産課税台帳の登録価格であり、不動産の売買価格ではない。8-1地方税法73条の211

2〇 不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては一戸につき23万円、その他のものにあっては一戸につき12万円に満たない場合においては、不動産取得税を課することができない。8-1地方税法73条の1521

3× 法人の合併による不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。

8-1地方税法73条の72

4× 不動産取得税の標準税率は、原則として4%であるが、住宅又は土地の取得が行われた場合は3%である。したがって、「土地」に係る不動産取得税は、住宅に係るものであるか否かにかかわらず、3%である。8-1地方税法附則11条の21

正解2

ワンポイント

基本的な定番問題です。

 

 

【問 25不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。

1 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。

2 対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある。

3 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを適合の原則という。

4 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。

 

解答解説

1〇 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。不動産鑑定評価基準61Ⅱ1(2)

2〇 対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある。不動産鑑定評価基準51

3× 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として把握される価格を標準として形成される。これは、適合の原則ではなく、最有効使用の原則である。不動産鑑定評価基準4

4〇 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である。収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。

不動産鑑定評価基準71Ⅳ1

正解3

ワンポイント

用語の問題です。詳しいことはわからなくとも、正解肢3は、なんとなく誤りだというのが分かったと思います。

 

 

【問 26宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

ア ガス配管設備等に関して、住宅の売買後においても宅地内のガスの配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売会社にあるものとする場合には、その旨を説明しなければならない。

イ 重要事項の説明を行う宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなくてもよいが、書面に記名する宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなければならない。

ウ 区分所有建物である事務所ビルの一室の売買の媒介を行う場合、当該1棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を説明しなければならない。

エ 区分所有建物である中古マンションの一室の売買の媒介を行う場合、当該1棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額について説明しなければならない。

一つ

二つ

三つ

四つ

 

解答解説 

ア〇 正しい。「飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)」は、重要事項の説明対象であるが、ガス配管設備等に関して、住宅の売買後においても宅地内のガスの配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売業者にあるものとする場合には、その旨の説明をすることとする(解釈・運用の考え方)。

イ× 誤り。重要事項の説明を行う宅地建物取引士も、書面に記名する宅地建物取引士も、宅地建物取引士であればよく、「専任の」宅地建物取引士である必要はない。

ウ〇 正しい。「当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)」は、重要事項の説明対象である。法施行規則16条の28

エ〇 正しい。「当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額」は、重要事項の説明対象である。宅建業法施行規則16条の26

以上より、正しいものは、ア、ウ、エの3つであり、正解は3。

ワンポイント

肢アが「解釈・運用の考え方」からの出題で、細かいが、内容から考え、正しいのは、分かったのではないかと思います。

 

 

問 27】宅地建物取引業者Aに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。

1 Aが主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。

2 Aの従業員が運転する車両で現地案内を受けた者が、Aの従業員の過失による交通事故でケガをした場合に取得する損害賠償請求権は、Aが供託した営業保証金の還付の対象債権となる。

3 Aは、金銭と有価証券を併用して供託することができ、有価証券のみで供託する場合の当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。

4 Aは甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。

 

解答解説 

1× 宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の「保管替え」を請求しなければならない。営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならないのは、有価証券で供託している場合である。法291

2× 宅地建物取引業者と「宅地建物取引業」に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。従業員の過失による交通事故は、宅地建物取引業とはいえず、還付の対象とはならない。法271

3× 有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券については、その額面金額、地方債証券については、その額面金額の100分の90である。施行規則151

4〇 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、当該事務所につき政令で定める額の営業保証金を供託しなければならないが、このときの供託先は、主たる事務所のもよりの供託所である。法26

正解4

ワンポイント

基本的な定番問題です。

 

【問 28】宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税免税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。

ア 居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。

イ Bは、事業用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。

ウ Aは、土地付建物について、売主と買主双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。

1 ア、イ

2 イ、ウ

3 ア、ウ

4 ア、イ、ウ

 

解答解説

ア 違反する。Aは貸主から代理を依頼されているので、借賃の1.1月分の金額まで受領できるから、6.7万円という金額は、問題ない。次に、Bは借主から媒介を依頼されているが、本肢は居住用建物であり、Bは消費税免税事業者なので、依頼者の一方から受けることができる金額は、借賃の0.52月分、12万円×0.526.24万円となる。したがって、Bが借主から6.5万円を受領したのは、違反する。5-13 報酬告示第4・第5

イ 違反しない。本肢は居住用建物以外で権利金の授受があるので、権利金を売買代金とみなして報酬の額を計算できる。そこで、権利金を売買代金とみなして報酬額を計算すると、90万円×5×2×1.04(Bは免税事業者)=9.36万円となる。515

他方、借賃をもとに報酬額を計算すると、10万円×1.0410.4万円となり、513こちらの方が報酬額が高くなる。したがって、貸主と借主からそれぞれ5万円(合計10万円)を報酬として受領することは宅建業法に違反しない。報酬告示第4・第6

ウ 違反しない。本問は土地付建物の売買で、土地代金は2,400万円であるから、土地2,400万円+建物1,100万円=売買代金3,500万円となる。そして、報酬計算の基礎となる取引金額は、税抜き価格になるが、土地には消費税はかからないので、土地代金は2,400万円そのままで、建物代金は1,100万円÷1.11,000万円となる。したがって、報酬計算の基礎となる取引金額は、2,400万円+1,000万円=3,400万円となる。これをもとに報酬を計算すると、3,400万円×3%+6万円=108万円になる。Aは消費税課税事業者であるから、これに消費税を上乗せして108万円×1.1118.8万円となる。58したがって、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領することは宅建業法に違反しない。また、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用については、売主が事前に負担を承諾しているので、報酬とは別途受領することができる。報酬告示第2・第11

以上より、違反しないものはイとウで、正解は2。

正解2

ワンポイント

ついに消費税「免税」事業者の報酬計算が出ました。また、イでは権利金計算より借賃計算のほうが高くなるというひねりがあり、難問となった。

 

 

【問 29宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引士資格試験に合格した者は、宅地又は建物の取引に関する実務の経験期間が2年に満たない場合であっても、試験に合格した日から1年以内に登録を受けようとするときには、都道府県知事が指定する講習を受講することにより、宅地建物取引士の登録を受けることができる。

2 宅地建物取引士証は、更新を受けることなくその有効期間が経過した場合、その効力を失うが、当該宅地建物取引士証を都道府県知事に返納する必要はない。

3 宅地建物取引士は、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義で宅地建物取引士である旨の表示をしたときは、法第68条の規定に基づく処分の対象となるが、当該他人が宅地建物取引士の登録を受けた者であるときはこの限りでない。

4 宅地建物取引業者は、その事務所唯一の専任の宅地建物取引士が宅地建物取引士証の有効期間の経過により効力を失い宅地建物取引士でなくなったときは、2週間以内に法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。

 

解答解説 

1× 宅地建物取引士の登録は、国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものも受けることができるが、それは「国土交通大臣」が指定した講習を修了した者である。なお、これは試験に合格した日から1年以内に登録を受けようとするときに限らない。24 法181

2× 宅地建物取引士は、登録が消除されたとき又は「宅地建物取引士証が効力を失ったとき」は、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。210 法22条の26

3×「他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき」は、指示処分・事務禁止処分の対象となるが、この「他人」は、宅地建物取引士の登録を受けている者も含まれる。84 法681項・2

4〇 宅地建物取引業者は、法定数の専任の宅地建物取引士を設置していない事務所等を開設してはならず、既存の事務所等がこの規定に抵触するに至ったときは、2週間以内に、この規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。21531条の33

正解4

ワンポイント

基本的な定番問題です。

 

 

【問 30宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、手付金を支払ったBが、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフにより、当該売買契約を契約締結の日の翌日に解除しようとしている。この場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 Aがクーリング・オフについて告げるときに交付すべき書面には、Aの商号又は名称及び住所並びに免許証番号の記載は必要であるが、Aの宅地建物取引士の記名は必要ない。

2 Bが、自らの申出により、Bの勤務する会社の事務所において、宅地の買受けの申込み及びAとの売買契約の締結をした場合、Bは、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。

3 Bが、自らの申出により、喫茶店において、宅地の買受けの申込み及びAとの売買契約の締結をした場合、Bは、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができる。

4 Bは、自らの申出により、Bが融資を受ける銀行(宅地建物取引業者ではない。)において、宅地の買受けの申込み及びAとの売買契約の締結をした場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。

 

解答解説

1〇 申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げるときは、売主である宅地建物取引業者の商号又は名称及び住所並びに免許証番号等を記載した書面を交付して告げなければならない。そして、この書面には宅地建物取引士の記名は要求されていない。714施行規則16条の6

2〇 当該宅地建物取引業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相手方の自宅又は勤務する場所で、買受けの申込み及び売買契約の締結をした場合は、クーリング・オフできない。713施行規則16条の52

3〇 当該宅地建物取引業者の相手方がその「自宅又は勤務する場所」において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相手方の自宅又は勤務する場所で、買受けの申込み及び売買契約の締結をした場合は、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。しかし、たとえ買主が申し出た場合であっても、自宅又は勤務する場所「以外」で買受けの申込み及び売買契約の締結をした場合は、クーリング・オフできる。713施行規則16条の52

4× 当該宅地建物取引業者の相手方がその「自宅又は勤務する場所」において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相手方の自宅又は勤務する場所で、買受けの申込み及び売買契約の締結をした場合は、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。しかし、たとえ買主が申し出た場合であっても、自宅又は勤務する場所「以外」で買受けの申込み及び売買契約の締結をした場合は、クーリング・オフできる。713施行規則16条の52

正解4

ワンポイント

2~肢4は同じ論点で、正解を出しやすい。

 

 

問 31】次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができ、業務の停止の処分に違反した場合、免許を取り消さなければならない。

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないときは、その事実を公告し、その公告の日から2週間を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、免許を取り消すことができる。

3 国土交通大臣又は都道府県知事は、法第66条の規定による免許の取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、当該聴聞は、公開することが相当と認められる場合を除き、公開されない。

4 国土交通大臣又は都道府県知事は、法第66条の規定による免許の取消しの処分をしたときはその旨を公告しなければならないが、法第65条第2項の規定による業務の停止の処分をしたときはその旨の公告はしなくともよい。

 

解答解説

1〇 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が指示処分に従わない場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。また、国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が業務の停止の処分に違反した場合においては、当該免許を取り消さなければならない。8236523号、6619

2× 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から「30日」を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。83671

3× 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許の取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならない。そして、この聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。86692

4× 国土交通大臣又は都道府県知事は、「業務停止処分」又は免許取消処分をしたときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を公告しなければならない。86701

正解1

ワンポイント

監督処分の定番ポイントです。

 

 

問 32】宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは当該中古住宅の売買契約が成立しても、当該中古住宅の引渡しが完了していなければ、売買契約が成立した旨を指定流通機構に通知する必要はない。

2 Bが宅地建物取引業者である場合は、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項に規定する書面に記載する必要はない。

3 Aに対して当該中古住宅について買受けの申込みがなかった場合でも、AはBに対して、当該契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならないが、その報告は必ずしも書面で行う必要はない。

4 Bが当該中古住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合は、Aは同項に規定する書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。

 

解答解説

1× 宅地建物取引業者は、指定流通機構の登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の「契約が成立」したときは、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない(成約の通知)。契約が成立していれば、引渡が完了していなくても通知が必要である。5-63427

2× 媒介契約書には、当該媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を記載しなければならず、これは宅地建物取引士相互間の媒介契約でも同じである。53 施行規則15条の94

3〇 専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならないが、この報告については、書面で行うことは要求されておらず、必ずしも書面で行う必要はない。5534条の29

4× 媒介契約書には、当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに「関する事項」を記載しなければならず、依頼者があっせんを希望しなかった場合は、あっせんしない旨を記載しなければならない。5334条の214

正解3

ワンポイント

媒介契約規制の定番問題です。

 

33】宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅地の販売に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約が成立した後も継続して広告を掲載していた場合、当該広告を掲載し続けることは法第32条の規定に違反する。

2 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を自らが貸主となって貸借(転貸)するための広告をする場合においては、自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を当該広告に明示しなくても、法第34条の規定に違反しない。

3 造成工事に必要とされる法令に基づく許可等の処分があった宅地について、工事完了前に当該宅地の販売に関する広告をするときは、法令に基づく許可等の処分があったことを明示すれば、取引態様の別について明示する必要はない。

4 複数の区画がある分譲地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、最初に行う広告だけではなく、次回以降の広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。

 

解答解説

1〇 インターネットの広告も、宅建業法の規定の対象となるが、広告に係る宅地の売買契約が成立した後に継続して広告を掲載することは、取引することのできない物件の広告ということになり、誇大広告の禁止の規定に違反する。7232

2〇 転貸も「自ら貸借」に含まれるが、これは宅建業に該当せず、宅建業法の規定は適用されないので、取引態様を明示しなくても宅建業法に違反しない。74341

3× 広告の開始時期の制限と取引態様の明示は別の制度であり、許可等の処分があり、かつ、それを明示したとしても、それとは別に取引態様を明示しなければならない。74341

4〇 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、取引態様の別を明示しなければならず、数回に分けて広告をする場合でも、その都度取引態様の別を明示しなければならない。74341

正解3

ワンポイント

基本的な問題です。

 

【問 34宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で、土地付建物を4,000万円で売却する売買契約(所有権の登記は当該土地付建物の引渡し時に行うものとする。)を締結する場合における宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第41条又は第41条の2の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 Aが、保全措置を講じずにBから手付金100万円を受領する場合、その旨を、法第35条の規定に基づく重要事項説明書に記載する必要があるが、法第37条の規定により交付する書面に記載する必要はない。

2 当該建物が建築工事の完了後の建物である場合、AがBから手付金100万円を受領する際には保全措置は不要であるが、その後、当該土地付建物を引き渡す前に中間金400万円を受領するためには、手付金100万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。

3 当該建物が建築工事の完了前の建物である場合において、Aは、保全措置を講じずに、Bから手付金300万円を受領することができる。

4 当該土地付建物の引渡し前に、BはAに対して2,000万円を中間金として支払う契約になっていたが、Aがその中間金について保全措置を講じていないときは、Bはこの中間金の支払いを拒むことができる。

 

解答解説 

1〇 本肢では、土地付建物が完成物件か未完成物件か不明であるが、いずれにしても手付金100万円を受領する際には手付金等の保全措置は不要である。そして、「手付金等を受領しようとする場合における措置の概要」は重要事項の説明対象であり、保全措置を講じなくても説明する必要があるが、手付金等の保全措置は37条書面の記載事項ではない。64613

35110号、371項参照

2〇 完成物件については、手付金等の額が代金の10%(本問では400万円)以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置は不要であるから、手付金については保全措置が不要である。しかし、中間金400万円を加えると500万円になるので、中間金を受領する際には、500万円の保全措置が必要である。7-1841条の21

3× 未完成物件については、手付金等の額が代金の5%(本問では200万円)以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置は不要であるから、手付金が300万円であれば、保全措置が必要となる。7-18411

4〇 手付金等は、1,000万円を超えると保全措置の対象となるが、この場合において、宅地建物取引業者が保全措置を講じないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。7-18414項、41条の25

正解3

ワンポイント

手付金等の保全措置に関する標準的な問題です。

 

 

【問 35宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること(以下この問において「37条書面の電磁的方法による提供」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aが自ら売主として締結する宅地の売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該契約の相手方に対し、あらかじめ、電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を宅地建物取引士に説明させなければならない。

2 Aが媒介業者として関与する建物賃貸借契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、その方法は37条書面の交付に係る宅地建物取引士が明示されるものでなければならない。

3 Aが自ら売主として締結する宅地の売買契約において、契約の相手方から37条書面の電磁的方法による提供を行うことについて書面により承諾を得た場合は、その後に当該契約の相手方から書面で電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときでも、37条書面の電磁的方法による提供をすることができる。

4 Aが媒介業者として関与する宅地の売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合であっても、提供後速やかに37条書面を交付しなければならない。

 

解答解説 

1× 電磁的方法により37条書面の提供を行う場合、宅地建物取引業者が、あらかじめ、相手方等に対し電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を示した上で、当該相手方等から書面等により承諾を得なければならないが、これについて宅地建物取引士の説明が必要である旨の規定はない。6-12施行令3条の41

2〇 37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、その電磁的方法は、書面の交付に係る宅地建物取引士が明示されるものであることが必要である。6-12施行規則16条の41224

3× 宅地建物取引業者は、契約の相手方から37条書面の電磁的方法による提供を行うことについて書面により承諾を得た場合であっても、相手方等から書面等により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該電磁的方法による提供をしてはならない。6-12施行令3条の42

4× 宅地建物取引業者は、37条書面の交付に代えて、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を交付したものとみなし、37条書面の交付の規定は、適用しない。6-12374

正解2

ワンポイント

この問題は、電磁的方法についてかなり細かく問うているが、前年と同じところを問題としているので、正解は導けたのではないかと思います。

 

 

【問 36】営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入しようとする日までに、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。

2 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員ではないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。

3 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、保証協会が弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に宅地建物取引業法第64条の8第2項の規定による認証を受けるため申し出るべき旨の公告をした後でなければ、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができない。

4 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。

 

解答解説 

1〇 宅地建物取引業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入しようとする日までに、弁済業務保証金に充てるため、主たる事務所及びその他の事務所ごとに政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。法64条の911

2〇 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内において弁済を受ける権利を有する。法64条の81

3〇 保証協会は、社員が社員の地位を失ったときは、当該社員であった者に係る宅地建物取引業に関する取引により生じた債権に関し弁済の権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければならない。法64条の114

4× 宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が政令で定める額を超えることとなったときは、その超過額について営業保証金を取り戻すことができる。そして、この営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき弁済の権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかった場合でなければ、これをすることができない。法302

正解 4

ワンポイント

基本的な定番問題です。

 

 

問 37】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

ア 建物の貸借の媒介を行う場合、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村の長が提供する水害ハザードマップに当該建物の位置が含まれているときは、その所在地を示して説明しなければならない。

イ 既存住宅の売買を行う場合、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の実施後、1年を経過していないものについては、建物状況調査の実施の有無、実施している場合の結果の概要について説明しなければならない。

ウ 宅地の売買を行う場合、宅地の造成に関する工事の完了前のものであるときは、完了時における当該宅地に接する道路の構造及び幅員を説明しなければならない。

エ 建物の貸借の媒介を行う場合、私道に関する負担の有無や内容を事前に調査し、説明しなければならない。

一つ

二つ

三つ

四つ

 

解答解説 

ア〇 建物の貸借の契約にあっては、水防法施行規則第11条第1号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の「所在地」が、重要事項の説明対象となっている。66施行規則16条の433号の2

イ〇 当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要について説明しなければならない。6-83516号の2

ウ〇 当該宅地が造成に関する工事の完了前のものであるときは、宅地の造成の工事の完了時における当該宅地に接する道路の構造及び幅員を説明しなければならない。6-9法施行規則16

エ× 当該契約が建物の貸借の契約「以外」のものであるときは、私道に関する負担に関する事項を説明しなければならないが、建物の貸借の場合には、私道に関する負担に関する事項を説明する必要はない。6-33513

以上より、正しいものは、ア、イ、ウの3つで、正解は3。

正解3

ワンポイント

基本的な定番問題です。

 

 

【問 38宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者Aが、免許の更新の申請をした場合において、従前の免許の有効期間の満了の日までに、その申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後その効力を失う。

2 宅地建物取引業者Bが宅地建物取引業者Cに自己の名義をもって宅地建物取引業を営ませる行為は、Bが名義の使用を書面で指示している場合であれば、宅地建物取引業法に違反しない。

3 宅地建物取引業者D(甲県知事免許)は、国土交通大臣に免許換えの申請をし、その免許を受けなければ、乙県所在の宅地の売買の媒介をすることはできない。

4 宅地建物取引業者E(丙県知事免許)の免許の更新に当たって、丙県知事は宅地建物取引業法第3条の2に基づき条件を付すことができ、Eが免許の更新に当たって付された条件に違反したときは、丙県知事はEの免許を取り消すことができる。

 

解答解説 

1× 免許の更新の申請があった場合において、従前の免許の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。1-1334

2× 宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。これは、Cが宅地建物取引業の免許を有している場合でも、Bが名義の使用を書面で指示している場合でも同様である。17131

3× 都道府県知事免許であっても、免許の効力は全国に及ぶので、免許を受けた都道府県以外の都道府県で宅地建物取引業を行うことはできる。法3

4〇 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許(免許の更新を含む。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。そして、国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が、この条件に違反したときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことが「できる」。833条の21項、662

正解 4

ワンポイント

基本的な定番問題です。

 

 

【問 39】宅地建物取引業法第50条第2項の届出をすべき場所に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、これらの場所では、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。

1 届出をすべき場所として、継続的に業務を行うことができる施設を有する場合で事務所以外のものが定められているが、当該場所には1名以上の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。

2 届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められているが、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される。

3 届出をすべき場所として、他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介をする場合に設置する案内所が定められており、この場合は、代理又は媒介を行う宅地建物取引業者が届出をするが、売主業者自身も当該案内所で売買契約の申込みを受ける場合は、売主業者も届出をする。

4 届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所が定められているが、その催しを開始する10日前までに、実施場所を管轄する都道府県知事に届け出なければならず、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出る必要はない。

 

解答解説  

1〇 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のものについては、成年者である専任の宅地建物取引士を1名以上置かなければならない。33215法施行規則15条の521

2〇 届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められている(33)が、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される(713)。

3〇 業務を行う場所の届出が必要なのは、「他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあっては、その案内所」であるが、この案内所はあくまで設置した業者が届出をする必要がある。そして、売主業者自身も当該案内所で売買契約の申込みを受けるのであれば、売主業者も当該案内所を設置していることになるので、売主業者も届出をする必要がある。33施行規則15条の523

4× 宅地建物取引業者は、その業務を開始する日の10日前までに、届出をすべき場所について所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の宅地建物取引士の氏名を「免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事」及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。届出先は、免許権者と所在地を管轄する都道府県知事の両方である。33502

正解 3

ワンポイント

届け出を出す場所に関する規制だが、クーリング・オフ等他の規制も絡めてとうので、多少ややこしいが、落ち着いて考えれば解ける。

 

 

【問 40宅地建物取引業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合、宅地建物取引業法第37条の規定により当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せとして正しいものは次の1から4のうちどれか。

ア 当該建物に係る租税その他の公課の負担

イ 敷金や共益費など借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的

ウ 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容

エ 建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況

1ア、イ

2イ、ウ

3ウ、エ

4ア、エ

 

解答解説 

ア× 「当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容」というのは、売買・交換の場合には記載しなければならないが、貸借の場合には不要である。614372項参照

イ〇 「借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的」というのは、貸借の場合の記載事項である。6133723

ウ〇 「損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容」というのは、貸借の場合でも記載事項となる。6143721

エ× 「当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」というのは、売買・交換の場合には記載しなければならないが、貸借の場合には不要である。613 372項参照

以上より、正しいものは、イとウで、正解は2。

正解 2

ワンポイント

37条書面の定番ポイントです。

 

 

問 41】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

ア 中古マンションの一室の売買の媒介を行う場合、抵当権が設定されていても、契約日までにその登記が抹消される予定であるときは、当該抵当権の内容について説明しなくてもよい。

イ 宅地の貸借の媒介を行う場合、借地権の存続期間を50年とする賃貸借契約において、当該契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容を説明しなければならない。

ウ 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨を説明しなければならない。

エ 宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条の規定に基づく急傾斜地崩壊危険区域内にあることは説明しなければならないが、当該区域内における行為の制限の概要については説明しなくてもよい。

一つ

二つ

三つ

なし

 

解答解説

ア× 「当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容」は、重要事項の説明対象であり、抵当権が登記されているのであれば、たとえそれが抹消される予定であったとしても説明しなければならない。633511

イ〇 宅地の貸借において、「契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容」は重要事項の説明対象である。66規則16条の4313

ウ× 「当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨」というのは、売買・交換のときには重要事項の説明対象となるが、貸借のときには説明対象とはならない。66施行規則16条の4313

エ× 重要事項の説明においては、都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の「概要」についても説明しなければならない。63施行令3143

以上より、正しいものは、イの一つで、正解は1。

正解1

ワンポイント

基本的な問題です。

 

 

【問 42次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定及び「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。

2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買の契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げた場合であっても、契約が成立したときに宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に当該事項を正確に記載すればよい。

3 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、売買取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴ういわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていなければ、宅地建物取引業者は、原則として、買主に対してこれを告げなくてもよい。

4 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、賃貸借取引の対象となる居住用不動産において、自然死や口常生活の中での不慮の死以外の死が発生した場合であっても、特段の事情がない限り、当該死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、宅地建物取引業者は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。

 

解答解説 

1〇 宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。7747条の21

2× 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、引き渡しの時期等の37条書面に掲げる事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。後で37条書面に正解に記載すればよいというものではない。76471号ハ

3〇 自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、取引の対象となる不動産において、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等(以下「特殊清掃等」という。)が「行われた」場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、宅地建物取引業者は、原則として、買主に対してこれを告げなければならないが、特殊清掃等が行われていなければ告げる必要はない。宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

4〇 賃貸借取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死以外の死が発生して、その後概ね3年が経過した場合は、宅地建物取引業者は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

正解2

ワンポイント

「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が出題されたのは、初めてであるが、正解肢は、宅建業法からの出題で、やさしい。

 

 

【問 43】宅地建物取引士の登録及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引士の登録を受けている者は、宅地建物取引士証の交付を受けていない場合でも、その住所に変更があれば、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。

2 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならず、この行為には宅地建物取引士としての職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。

3 宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、その際、個人情報保護の観点から宅地建物取引士証の住所欄にシールを貼った上で提示することが認められている。

4 宅地建物取引士証に記載される宅地建物取引士の氏名については現姓を用いなければならず、旧姓を併記することは認められていない。

 

解答解説 

1〇 宅地建物取引士の「登録」を受けている者は、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。したがって、登録を受けていれば、宅地建物取引士証の交付を受けていなくても、登録事項である住所に変更があれば、変更の登録を申請する必要がある。211宅建業法20

2〇 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。そして、この行為には、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。2315条の2

3〇 宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、宅地建物取引士証を提示しなければならない。宅地建物取引士証の提示に当たり、個人情報保護の観点から、宅地建物取引士証の住所欄にシールを貼ったうえで提示しても差し支えないものとする(解釈・運用の考え方)。2810宅建業法22条の4

4× 宅地建物取引士証の記載事項のうち、宅地建物取引士の氏名における旧姓使用については、旧姓使用を希望する者に対しては、宅地建物取引士証に旧姓を併記することが適当と解される(解釈・運用の考え方)。28宅建業法施行規則14条の1111

正解 4

ワンポイント

肢2~4は、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」からの出題だが、常識的に判断できたと思う。

 

 

問 44】宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

1 Aは、建築工事完了前の建物の売買契約を媒介したときに、37条書面に記載する当該建物を特定するために必要な表示について、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書を交付することによって行った。

2 Aは、貸主Bと借主Cとの間で締結された建物の賃貸借契約を媒介したときに、借賃の額、支払時期及び支払方法について定められていたが、BとCの承諾を得たので、37条書面に記載しなかった。

3 Aは、宅地建物取引業者Dと宅地建物取引業者Eとの間で締結された宅地の売買契約を媒介したときに、37条書面に当該宅地の引渡しの時期を記載しなかった。

4 Aが建物の売買契約を買主として締結した場合に、売主Fに承諾を得たので、37条書面をFに交付しなかった。

 

解答解説 

1〇 違反しない。37条書面においては、「当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示」をする必要があるが、宅地建物を特定するために必要な表示について書面で交付する際、工事完了前の建物については、重要事項の説明の時に使用した図書を交付することにより行うものとする(解釈・運用の考え方)。6133712

2× 違反する。「借賃の額並びにその支払の時期及び方法」は、宅地又は建物の貸借における37条書面の必要的記載事項であり、貸主と借主の承諾を得たからといって記載しないというわけにはいかない。613372

3× 違反する。「宅地又は建物の引渡しの時期」は、37条書面の記載事項であり、これは宅地建物取引業者相互間の取引でも同様である。6133714

4× 違反する。37条書面は、契約の両当事者に交付しなければならないので、宅地建物取引業者が買主として売買契約を締結した場合には、売主に交付しなければならない。これは売主の承諾を得た場合でも同様である。612371

正解 1

ワンポイント

基本的な出題です。

 

 

問 45】特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金(以下この問において「保証金」という。)の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約(以下この問において「保険契約」という。)の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅の戸数が、基準日前10年間に10戸あるが、当該基準日前1年間は0戸である場合、当該売主である宅地建物取引業者は、当該基準日に係る保証金の供託又は保険契約の締結の状況について届出を行う必要はない。

2 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日に係る保証金の供託及び保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。

3 保険契約は、新築住宅の引渡し時から有効でなければならないが、買主が当該住宅の引渡し時から10年以内に当該住宅を転売した場合、当該保険契約は解除される。

4 自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主に新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者が、保証金を供託する場合、当該住宅の床面積が25㎡以下であるときは、新築住宅の合計戸数の算定に当たって、3戸をもって1戸と数えることになる。

 

解答解説 

1× 基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。当該基準日前、年間の引渡し実績が0戸だからといって、届出が不要となるわけではない。728住宅瑕疵担保履行法121

2〇 自ら売主として新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者は、供託をし、かつ、届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。729住宅瑕疵担保履行法13

3× 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更又は解除をすることができない。当該住宅を転売したからといって解除されるわけではない。727住宅瑕疵担保履行法275

4× 自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主に新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者が、保証金を供託する場合、当該住宅の床面積が「55㎡」以下であるときは、新築住宅の合計戸数の算定に当たって、「二戸」をもって一戸と数えることになる。725住宅瑕疵担保履行法施行令6

正解 2

ワンポイント

すべて過去既出の定番問題です。

 

 

問 46独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 証券化支援業務(買取型)において、機構による譲受けの対象となる住宅の購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権には、当該住宅の購入に付随する当該住宅の改良に必要な資金は含まれない。

2 機構は、地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。

3 機構は、民間金融機関による住宅資金の供給を支援するため、民間金融機関が貸し付けた住宅ローンについて、住宅融資保険を引き受けている。

4 機構は、住宅のエネルギー消費性能(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律第2条第1項第2号に規定するエネルギー消費性能をいう。)の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。

 

解答解説 

1× 証券化支援業務(買取型)において、機構による譲受けの対象となる住宅の購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権には、住宅の購入に付随する行為として、「住宅の購入に付随する当該住宅の改良」も含まれる。95住宅金融支援機構法施行令512

2〇 機構の業務には、「地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付け」というのがある。92住宅金融支援機構法1316

3〇 機構の業務には、「住宅融資保険法による保険を行うこと」というのがある。93住宅金融支援機構法1313

4〇 機構の業務には、「住宅のエネルギー消費性能(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律第2条第1項第2号に規定するエネルギー消費性能をいう。)の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを行うこと」というのがある。92住宅金融支援機構法13110

正解 1

ワンポイント

すべて過去既出の定番問題です。

 

 

問 47】宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 新築分譲住宅の予告広告(価格が確定していないため、直ちに取引することができない物件について、取引開始時期をあらかじめ告知する広告)を新聞折込チラシを用いて行った場合は、本広告を新聞折込チラシ以外の媒体を用いて行ってはならない。

2 土地取引において、当該土地上に廃屋が存在するとき、実際の土地を見れば廃屋が存在することは明らかであるため、廃屋が存在する旨を明示する必要はない。

3 交通の利便性について、電車、バス等の交通機関の所要時間を表示する場合は、朝の通勤ラッシュ時の所要時間ではなく、平常時の所要時間を明示しなければならない。

4 居住の用に供されたことはないが建築後1年以上経過した一戸建て住宅について、新築である旨を表示することはできない。

 

解答解説 

1× 予告広告とは、新築分譲住宅等において、価格又は賃料が確定していないため、直ちに取引することができない物件について、規則に規定する表示媒体を用いて、その本広告に先立ち、その取引開始時期をあらかじめ告知する広告表示をいう。そして、この予告広告を行う場合においては、当該予告広告に係る物件の取引開始前に、①当該予告広告を行った媒体と同一の媒体を用い、かつ、当該予告広告を行った地域と同一又はより広域の地域において実施する方法、又は「②インターネット広告により実施する方法」のいずれかの方法により本広告を行わなければならない。したがって、本肢の本広告を新聞折込チラシ以外の媒体で行うことができる場合もある。公正競争規約46(3)92(2)

2× 土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示する必要がある。103公正競争規約施行規則7(7)

3× 電車、バス等の交通機関の所要時間は、「朝の通勤ラッシュ時」の所要時間を明示すること。この場合において、平常時の所要時間をその旨を明示して併記することができる。104公正競争規約施行規則9(4)

4〇 新築とは、建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。102したがって、問題文の住宅は、新築である旨を表示することはできない。公正競争規約18(1)

正解 4

ワンポイント

1は細かいが、正解肢は定番記述。

 

問 48次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 令和6年地価公示(令和6年3月公表)によれば、令和5年1月以降の1年間の地価の動向は、三大都市圏・地方圏ともに、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇した。

2 令和4年度宅地建物取引業法の施行状況調査(令和5年10月公表)によれば、令和5年3月末における宅地建物取引士の総登録者数は、200万人を超えている。

3 令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果(令和6年4月公表)によれば、令和5年10月1日現在における賃貸・売却用及び二次的住宅(別荘など)を除く空き家は、900万戸に達している。

4 建築着工統計(令和6年1月公表)によれば、令和5年の新設住宅着工戸数は90万戸を超え、3年連続で増加した。

 

解答解説 

1〇 令和6年地価公示によれば、令和51月以降の1年間の地価の動向は、三大都市圏・地方圏ともに、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇している。

2× 令和4年度においては、新たに29,491人が都道府県知事へ宅地建物取引士の登録をしており、これにより総登録者数は約115万人となっている。

3× 令和5年住宅・土地統計調査によれば、空き家数のうち、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は「385万戸」である。900万戸に達しているのは、総住宅数のうちの空き家数である。

4× 令和5年の新設住宅着工戸数は、「約82万戸」であり、90万戸を超えていない。また、この数字は、3年「ぶり」の「減少」である。

正解 1

ワンポイント

2と肢3が初出題の統計ですが、正解肢の肢1は定番です。

 

 

問 49土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 30度以上の角度をなす斜面を背後に控える宅地は、崖面への保護対策を講じるか、擁壁を設けるなどの必要がある。

2 高さ2m以下の擁壁であれば、水抜き孔を有しなくても、地震による被害が生じることはない。

3 重力式擁壁は、擁壁の自重により、背面からの土圧に抵抗するコンクリート構造物である。

4 工場跡地や埋立地などでは、重金属や揮発性有機化合物などによる土壌汚染が問題となることがある。

解答解説 

1〇 30度以上の角度をなす斜面は崩壊の危険があり、このような斜面を背後に控える宅地は、崖面への保護対策を講じるか、擁壁を設けるなどの必要がある。

2× 高さが2mを超える擁壁については、建築確認が必要となる(建築基準法施行令13815号)など一定の規制があるが、2m以下であっても、水抜き孔を設けないと、地震による被害が生じる可能性がある。

3〇 重力式擁壁は、無筋コンクリートや石材などで作る擁壁の自重により、背面からの土圧に抵抗するコンクリート構造物である。

4〇 工場跡地や埋立地などでは、重金属や揮発性有機化合物などによる土壌汚染が問題となり、土壌汚染調査等が必要となる場合がある。

正解 2

ワンポイント

内容的によくわからなくても、常識的に判断できると思います。

 

 

問 50建物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 ラーメン構造は、柱を鉛直方向、梁を水平方向に配置し、接合部を強く固めた構造である。

2 ブレース構造は、柱や梁などで構成された四角形の対角線上に部材を入れた構造である。

3 ブレース構造は、骨組全てに用いることが多く、ラーメン構造など他の構造と併用することはない。

4 壁式構造は、板状の壁と床を箱形に組み、建物とする構造で、原則として、柱や梁は用いない。

 

解答解説

1〇 ラーメン構造は、柱を鉛直方向、梁を水平方向に配置し、接合部を強く固めて外力に抵抗する構造である。117

2〇 ブレース構造は、柱や梁などで構成された四角形の対角線上に部材を入れた構造で、ブレースにより地震などの水平力に抵抗する。

3× ブレースは、壁面等に用いることが多いが、ラーメン構造など他の構造と併用されることもある。

4〇 壁式構造は、板状の壁と床を箱形に組み、建物とする構造であり、壁で建物を支えるので、原則として、柱や梁は用いない。117

正解3

ワンポイント

ブレースは今まで問われたことはなかったが、やはり常識的に3がおかしそうだと判断できよう。