過去問遊園地    動画ライブラリー  トップページ  
2023年令和5年試験 
【問 1 次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)

遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。

1 遺産である不動産から、相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産が帰属することになった相続人が相続開始時にさかのぼって取得する。

2 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属し、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

3 遺産分割の効力は、相続開始の時にさかのぼって生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

4 遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産から遺産分割後に生じた賃料債権は、遺産分割によって当該不動産が帰属した相続人が取得する。

解答解説

 判決文が、「相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産とは別個の財産で、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する」とするのに、記述が「相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産分割によって・・・・、当該不動産が帰属することになった相続人が相続開始時にさかのぼって取得する」とするのは、誤り。

2〇 民法898条1項に、「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」と規定されており、民法899条に、「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」と規定されている。記述は正しい。

3〇 記述は、民法909条遺産分割の効力をそのまま述べたもので、正しい。判決文は、「賃料債権は、遺産とは別個の財産である」として、遺産分割については、何ら言及していない。

4〇 判決文は、「相続開始から遺産分割までの間」に生じた賃料債権について、各共同相続人が取得するといっているだけで、遺産分割後に生じる賃料債権については、なんら言及していない。遺産分割後の賃料債権は、遺産分割によって当該不動産が帰属した相続人が取得するのは当然である。

正解1

【ワンポイント】判決文が、「相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産とは別個の財産」であると言っていることと矛盾することを言っているのが正解となる。

 

【問 2相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等の一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる場合であっても、住家については、その家の居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。

2 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者にその枝を切除させることができるが、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。

3 相隣者の一人は、相隣者間で共有する障壁の高さを増すときは、他方の相隣者の承諾を得なければならない。

4 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に出るためにその土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。

解答解説

1〇 土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等の一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる場合であっても、住家については、その家の居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。10-9

2× 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、

その枝を切除させることができるのが原則だが、例外的に ①竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。➁竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。③ 急迫の事情があるとき。は、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。10-14 233条 よって、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。とするのは誤り。

3× 相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。他の相隣者の承諾は必要ない。233条 よって、記述は誤り。なお、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。231条 

4× 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができるが、通行の場所及び方法は、当該通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。10-10

正解1

【ワンポイント】肢2は法改正があったところ。正解肢は、

 

【問3】Aを注文者、Bを請負人として、A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる増築部分の工事請負契約を締結し、Bは3か月間で増築工事を終了させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「契約不適合」とは品質に関して契約の内容に適合しないことをいい、当該請負契約には契約不適合責任に関する特約は定められていなかったものとする。

1 AがBに請負代金を支払っていなくても、Aは増築部分の所有権を取得する。

2 Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合がある場合、Aは工事が終了した日から1年以内にその旨をBに通知しなければ、契約不適合を理由とした修補をBに対して請求することはできない。

3 Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了し、Aが工事終了日から3年後に契約不適合を知った場合、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。

4 増築した部分にAが提供した材料の性質によって契約不適合が生じ、Bが材料が不適当であることを知らずに工事を終了した場合、AはBに対して、Aが提供した材料によって生じた契約不適合を理由とした修補を請求することはできない。

 

解答解説

1〇 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する(242条 不動産の付合)ので、Bが、A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる増築部分の工事請負契約を締結し、増築工事を終了させた場合、Aは、増築部分の所有権を取得する。もちろん、Bは請負代金の支払いは、請求できる。

2× 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事を終了した場合に、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、修補等の履行の追完の請求ができなくなる。11-16 637条 工事が終了した日から1年以内にその旨を通知しなければ、契約不適合を理由とした修補を請求できなくなるのではない。

3〇 請負人Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了した場合は、請負人の担保責任の期間制限の規定は、適用されないので、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。11-16 637

4〇 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事を終了した場合、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。11-15 636条 よって、増築した部分にAが提供した材料の性質によって契約不適合が生じ、Bが材料が不適当であることを知らずに工事を終了した場合、注文者Aは請負人Bに対して、Aが提供した材料によって生じた契約不適合を理由とした修補を請求することはできない。

正解2

【ワンポイント】 請負人の担保責任は、売買の売主の担保責任の規定が準用されるので、ひっかけポイントも売買の場合と同様、担保責任の失権の契機となる不適合の通知期間の起点でした。

 

【問4】AがBに対して貸金債権である甲債権を、BがAに対して貸金債権である乙債権をそれぞれ有している場合において、民法の規定及び判例によれば、次のアからエまでの記述のうち、Aが一方的な意思表示により甲債権と乙債権とを対当額にて相殺できないものを全て掲げたものは、次の1から4のうちどれか。なお、いずれの債権も相殺を禁止し又は制限する旨の意思表示はされていないものとする。

()弁済期の定めのない甲債権と、弁済期到来前に、AがBに対して期限の利益を放棄する旨の意思表示をした乙債権

()弁済期が到来している甲債権と、弁済期の定めのない乙債権

()弁済期の定めのない甲債権と、弁済期が到来している乙債権

()弁済期が到来していない甲債権と、弁済期が到来している乙債権

1 ア、イ、ウ

2 イ、ウ

3 ウ、エ

4 エ

解答解説

相殺は対立する両債権が弁済期になければできないが、相殺しようとする者に対する債権=受働債権は、弁済期未到来であっても相殺しようとする者が(前払いしようと)期限の利益を放棄することにより弁済期到来とすることができるので、相殺の障害とならない。が、相殺しようとする者が有する債権=自働債権は、(期限前だが払えとは言えないので)弁済期が到来していなければ相殺はできない。したがって、Aから相殺できない場合とは、Aの有する債権が弁済期にない場合である。これを本問についてみると、()弁済期の定めのない甲債権と、弁済期到来前に、AがBに対して期限の利益を放棄する旨の意思表示をした乙債権は、弁済期の定めのない甲債権は常に弁済期にあり、Aが期限の利益を放棄した乙債権も弁済期にあるので、相殺できる。()弁済期が到来している甲債権と、弁済期の定めのない乙債権も乙債権はいつでも弁済期だから、相殺できる。()弁済期の定めのない甲債権と、弁済期が到来している乙債権も、甲債権はいつでも弁済期だから、相殺できる。()弁済期が到来していない甲債権と、弁済期が到来している乙債権は、弁済期未到来の甲債権の債権者Aからは、相殺できない。以上により相殺できないのは(エ)だけである。

正解1

【ワンポイント】 自分の有する債権が弁済期未到来の場合のみ相殺できないことを、キッチリ当てはめよう。

 

【問 5従来の住所又は居所を去った者(以下この問において「不在者」という。)の財産の管理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「管理人」とは、不在者の財産の管理人をいうものとする。

1 不在者が管理人を置かなかったときは、当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。

2 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官から請求があったとしても管理人を改任することはできない。

3 家庭裁判所により選任された管理人は、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対して控訴を提起するには、家庭裁判所の許可が必要である。

4 家庭裁判所により選任された管理人は、保存行為として不在者の自宅を修理することができるほか、家庭裁判所の許可を得てこれを売却することができる。

解答解説

1× 不在者が管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。251項 当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。というのは、誤り。

2× 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。26条 よって、利害関係人又は検察官から請求があったとしても管理人を改任することはできない。とするのは、誤り。

3× 管理人は、第百三条に規定する権限(保存行為、目的物又は権利の性質を変えない範囲内の利用又は改良を目的とする行為)を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。28条 不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対して控訴を提起することは、不在者に対する建物収去土地明渡し請求に異議を述べることになるので「保存行為」に当たり、家庭裁判所の許可は不要である。

4〇 管理人は、103条に規定する権限(保存行為、目的物又は権利の性質を変えない範囲内の利用又は改良を目的とする行為)を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。28条 よって、家庭裁判所により選任された管理人は、保存行為として不在者の自宅を修理することができるほか、家庭裁判所の許可を得てこれを売却することができる。

正解4

【ワンポイント】不在者の財産管理というマイナー論点からの出題。近年マイナー論点から1問出題するのが恒例となっている。肢24は、なんとなく正誤を判定できるが、13は難しい。難解肢が複数あると、正解率は下がる。落としてもやむをえない。

問 6】A所有の甲土地について、Bが所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。

ア AがCに対して甲土地を売却し、Cが所有権移転登記を備えた後にBの取得時効が完成した場合には、Bは登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をCに対抗することができる。

イ Bの取得時効が完成した後に、AがDに対して甲土地を売却しDが所有権移転登記を備え、Bが、Dの登記の日から所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。

ウ Bの取得時効完成後、Bへの所有権移転登記がなされないままEがAを債務者として甲土地にAから抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合において、Bがその後引き続き所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、特段の事情がない限り、再度の時効取得により、Bは甲土地の所有権を取得し、Eの抵当権は消滅する。

1一つ 2二つ 3三つ 4なし

解答解説

ア〇 Cは、Bの時効完成前に所有権を取得しているので、Bの時効完成当時の所有者である。時効取得者Bは、時効完成当時の所有者Cには、登記なくして時効による権利取得を対抗できる。なぜなら、時効取得者と時効完成当時の所有者は、物権変動の当事者関係になるからである。7-5

イ〇 時効完成後の譲受人が登記をした時点から、当該物件を所有の意思をもって平穏にかつ公然と占有を継続すれば、さらに新たに時効が進行する。そして時効が完成した場合、時効完成時の所有者とは、当事者関係になるので、Bは、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。判例

ウ〇 Bの取得時効完成後、Bへの所有権移転登記がなされないままEがAを債務者として甲土地にAから抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合に、Bがその後引き続き所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、Bにつき再度の取得時効が成立する。時効による取得は、従前の権利を承継するのではなく、その時点での原始取得だから、特段の事情がない限り、従前の土地に設定されていた、Eの抵当権は消滅する。平成24.3.16 。

以上により、すべて正しく正解は3

【ワンポイント】時効と登記に関し、過去問題の枠を超えた出題である。イは時効完成後の譲受人が登記をした後、時効取得者が、さらに物件の占有を継続した場合は、新たに時効が進行するという話だ。ウは、時効完成後に抵当権が設定されその旨登記された後、時効取得者が、さらに物件の占有を継続した場合も新たに時効が進行するという話だ。

 

問 7】甲建物を所有するAが死亡し、Aの配偶者Bが甲建物の配偶者居住権を、Aの子Cが甲建物の所有権をそれぞれ取得する旨の遺産分割協議が成立した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は20年となる。

2 Bが高齢となり、バリアフリーのマンションに転居するための資金が必要になった場合、Bは、Cの承諾を得ずに甲建物を第三者Dに賃貸することができる。

3 Cには、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務がある。

4 Cは、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。

解答解説

1× 遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は配偶者の終身の間である。12-8 1030

2× 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。12-8 1032

3〇 居住建物の所有者Cは、配偶者所有権を取得したBに、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務がある。12-8 1031

4× 配偶者居住権を取得したBが、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。12-8 1034

正解3

【ワンポイント】令和3年とほぼ同じ問題です。

 

問 8未成年者Aが、法定代理人Bの同意を得ずに、Cから甲建物を買い受ける契約(以下この問において「本件売買契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aに処分を許された財産はなく、Aは、営業を許されてはいないものとする。

1 AがBの同意を得ずに制限行為能力を理由として本件売買契約を取り消した場合、Bは、自己が本件売買契約の取消しに同意していないことを理由に、Aの当該取消しの意思表示を取り消すことができる。

2 本件売買契約締結時にAが未成年者であることにつきCが善意無過失であった場合、Bは、Aの制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできない。

3 本件売買契約につき、取消しがなされないままAが成年に達した場合、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったAは、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を取り消すことはできなくなる。

4 本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合、BがDへの売却について追認していないときでも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできなくなる。

解答解説

1× 未成年者は、法定代理人の同意を得ないでなした建物を買い受ける契約は取消すことができる。この取消しの意思表示は、未成年者を保護するためのものだから、法定代理人の同意を得ていないことを理由に、法定代理人が取り消すことはできない。2-2 5

2× 法定代理人Bは、本件売買契約が、Bの同意を得ていないことを理由に、Aが未成年者であることにつきCが善意無過失であった場合でも、取り消すことができる。2-2 5120

3〇 未成年者は、成年に達すれば本件売買契約を追認することができ、追認をすれば確定的に有効になり、取り消すことはできなくなる。法定代理人が、追認することを反対していたことは、関係がない。122

4× 本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却したことは、本件売買契約の法定追認にはならない(2-6参照)ので、Aは、なお本件売買契約を取り消すことができる。2-2

正解3

【ワンポイント】基本的な、よい問題です。

 

問 9Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約が令和5年7月1日に締結された場合の甲建物の修繕に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 甲建物の修繕が必要であることを、Aが知ったにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。

2 甲建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、Aが必要な修繕を直ちにしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。

3 Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、Aは甲建物を修繕する義務を負わない。

4 甲建物の修繕が必要である場合において、急迫の事情があるときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。

解答解説

1〇 賃借物の修繕が必要で、次に掲げるときは、賃借人はその修繕をすることができる。

①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき

➁急迫の事情があるとき 607条の2

本肢は、①後段の場合である

2× 607条の2の①のとおり、「賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき」は、賃借人は、修繕をすることができる。これに対し、本肢は、「Aが必要な修繕を直ちにしないとき」となっているので、誤り。

3〇 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、修繕義務を負わない。9-1 606

4〇 賃借物の修繕が必要で、次に掲げるときは、賃借人はその修繕をすることができる。

     賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき急迫の事情があるとき 607条の2 本肢は、②の場合である

正解2

【ワンポイント】改正で、本来賃貸人の権限である賃貸物の修繕を、例外的に賃借人ができる場合を定めたが、そこからの出題。

 

【問 10債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額1,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額1,200万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額2,000万円)をそれぞれ有しているが、BがDの利益のため、Aの承諾を得て抵当権の順位を放棄した。甲土地の競売に基づく売却代金が2,400万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 0円 2 200万円 3 400万円 4 800万円

解答解説

B一番抵当権 債権額1000万円

C二番抵当権 債権額1200万円

D三番抵当権 債権額2000万円

   配当対象となる甲土地売却代金は2400万円   という前提で

BDの利益のため、抵当権の順位を放棄

BDが一番抵当権と三番抵当権を同順位で持ち合う

⇒配当は、一番抵当権と三番抵当権に配当される合計額を BDの債権額比(B1000

D2000=B1:D2)で按分配当する

具体的には

一番抵当権と三番抵当権に配当される合計額は、

配当対象2400万−二番抵当権Dへの配当金1200=1200万円

これを BDに1:2で分ける

B400万円、D800万円の配当

正解3

【ワンポイント】抵当権の放棄・順位の放棄の場合は、放棄者と被放棄者が同順位で配当し、抵当権の譲渡・順位の譲渡の場合は、譲渡人劣位で配当することをしっかりおさえておこう。

 

【問 11】AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で期間を50年とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1本件契約に、当初の10年間は地代を減額しない旨の特約を定めた場合、その期間内は、BはAに対して地代の減額請求をすることはできない。

2本件契約が甲土地上で専ら賃貸アパート事業用の建物を所有する目的である場合、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めるためには、公正証書で合意しなければならない。

3本件契約に建物買取請求権を排除する旨の特約が定められていない場合、本件契約が終了したときは、その終了事由のいかんにかかわらず、BはAに対してBが甲土地上に所有している建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

4本件契約がBの居住のための建物を所有する目的であり契約の更新がない旨を定めていない契約であって、期間満了する場合において甲土地上に建物があり、Bが契約の更新を請求したとしても、Aが遅滞なく異議を述べ、その異議に更新を拒絶する正当な事由があると認められる場合は、本件契約は更新されない。

解答解説

1×一定期間地代を減額しない旨の特約は無効であるので(借地借家法111項但し書きの反対解釈 9-51)当初の10年間は地代を減額しない旨の特約を定めた場合も、地代が不相当となれば減額請求ができる。

2×存続期間を50年以上として借地権を設定する場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合、その特約は、公正証書による等「書面」によってしなければならないが、公正証書で合意する必要はない。なお、本肢は、専ら賃貸「アパート」事業用の建物を所有する目的であり、「居住の用に供するもの」であるから、公正証書で設定する事業用定期借地権は設定できない。9-49

3×借地契約の更新がないとき借地権者は、借地権設定者に建物を買い取るべきことを請求できる(9-32)が、借地権者の債務不履行を原因とする解除により契約が終了したときには建物買い取り請求はできない。判例 よって、本件契約が終了したときは、その終了事由のいかんにかかわらず、BはAに対してBが甲土地上に所有している建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。とするのは、誤り。

4〇記述のとおり。

正解4

【ワンポイント】基本的な問題です。

 

【問 12】令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。

2 当事者間において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じたとしても、この特約は有効である。

3 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。

4現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなければ、賃料増額請求は、認められない。

解答解説

1×期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間の定めのないものとみなされる。

9-15

2×一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約は無効であり(借地借家法321項但し書きの反対解釈 9-53)、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じた場合は、減額請求できる。

3〇 605条の2第2項に、記述のとおりの条文がある。

4× 賃料増額請求は、賃料が不相当になれば認められる。9-53

正解3

【ワンポイント】あまり問題とされない細かい条文が正解肢となっているが、他の肢が明白に誤りなので消去法的に判断できるだろう。

 

【問 13建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 集会においては、法で集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除き、規約で別段の定めをすれば、あらかじめ通知した事項以外についても決議することができる。

2 集会は、区分所有者の4分の3以上の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。

3共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがある場合を除いて、各共有者がすることができるため集会の決議を必要としない。

4 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が8人である場合、3人が反対したときは変更することができない。

解答解説

1〇 記述のとおり。13-15

2×招集手続きを経ないで集会を開くには、区分所有者全員の合意が必要である。13-14

3〇共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがある場合を除いて、各共有者がすることができる。13-5

4〇一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。312項 よって、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が8人である場合、3人が反対したときは変更することができない。

正解2

【ワンポイント】4肢が細かいが、他は基本的な事項。

 

 

【問 14不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

2 何人も、理由の有無にかかわらず、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類である申請書を閲覧することができる。

3 共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者である全ての登記名義人が共同してしなければならない。

4 区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。

解答解説

1〇建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。14-8

2×何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類(正当な理由があると認められる部分に限る)の閲覧を請求することができる。14-2 1213

3〇共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。65

4〇 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存の登記を申請することができる。14-12 742

ワンポイント】全記述過去問題でている定番記述。

 

問 15都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 市街化調整区域は、土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備に支障が生じるおそれがある区域とされている。

2 高度利用地区は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画に、建築物の高さの最低限度を定める地区とされている。

3 特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。

4 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域のほか、一定の場合には、用途地域が定められていない土地の区域にも定めることができる。

解答解説

1×市街化調整区域とは、「市街化を抑制すべき区域」であり(1-2)、記述にある「土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備に支障が生じるおそれがある区域」とは、準都市計画区域である。1-11

2× 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、容積率の最高限度及び最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区です。なお、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めるのは高度地区です。1-7

3× 特定用途制限地域は、「用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内」において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域のことです。1-8

4〇 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域のほか、一定の場合(住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域など)には、用途地域が定められていない土地の区域にも定めることができます。

1-42

【ワンポイント】過去何度も出題されている定番問題です。

 

【問 16都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

2開発許可を受けた者は、当該許可を受ける際に申請書に記載した事項を変更しようとする場合においては、都道府県知事に届け出なければならないが、当該変更が国土交通省令で定める軽微な変更に当たるときは、届け出なくてよい。

3開発許可を受けた者は、当該開発行為に関する工事が完了し、都道府県知事から検査済証を交付されたときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。

4市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、自己の居住用の住宅を新築しようとする全ての者は、当該建築が開発行為を伴わない場合であれば、都道府県知事の許可を受けなくてよい。

解答解説

1〇 記述のとおり。開発行為の工事で公共施設を壊すこともあるが、管理者の同意を得ておきなさい、ということ。1-19

2× 当該許可を受ける際に申請書に記載した事項を変更しようとする場合においては、都道府県知事の許可を受けなければならないが、当該変更が国土交通省令で定める軽微な変更に当たるときは、届出でよい。1-26

3× 工事完了公告をするのは、都道府県知事である。1-29

4× 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内*においては、原則※として、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物等を建築等してはならない。1-34 43条  

【ワンポイント】基本的な定番問題です。

 

【問 17建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定し、当該区域内における住居の用に供する建築物の建築を禁止することができる。

2 2階建て以上の建築物の避難階以外の階を、床面積の合計が1,500㎡を超える物品販売業の店舗の売場とする場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。

3建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、その全部について準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

4石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除き、使用してはならない。

解答解説

1〇 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。この災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の「禁止」その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、地方公共団体の条例で定める。法39

2〇 建築物の避難階以外の階が、物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1,500㎡を超えるものに限る。)の用途に供する階でその階に売場を有するものに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。施行令12112

3× 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について「防火地域」内の建築物に関する規定を適用する。法652

4〇 石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用することはできない。法28条の212号1

正解3

【ワンポイント】細かいことを訊く記述もあるが、正解肢3は、基本的な定番問題です。

 

【問 18次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 法第53条第1項及び第2項の建蔽率制限に係る規定の適用については、準防火地域内にある準耐火建築物であり、かつ、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物にあっては同条第1項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもって当該各号に定める数値とする。

2 建築物又は敷地を造成するため擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならず、地盤面下に設ける建築物においても同様である。

3 地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する建築物であって、延べ面積が150㎡を超えるものについては、一戸建ての住宅であっても、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。

4 冬至日において、法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域内の土地に日影を生じさせるものであっても、対象区域外にある建築物であれば一律に、同項の規定は適用されない。

解答解説

1〇 「準防火地域内にある準耐火建築物」「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物」の2つの、10分の1緩和(加算)事由があるので、法第53条第1項各号に定める数値に10分の2(10分の1+10分の1)を加えたものをもって当該各号に定める数値となる。2-6

2× 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築・築造してはならない。ただし、「地盤面下に設ける建築物」「公衆便所、巡査派出所等の公益上必要な建築物で、特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」は、この限りではない(建築できる)。2-3 44

3× 地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する建築物であって、延べ面積が150㎡を超えるものでも、一戸建ての住宅については、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することはできない。2-1 4335

4×対象区域外にある高さが10mを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、対象区域内にある建築物とみなして日影規制が適用される。2-9 56条の24

正解1

【ワンポイント】全肢過去既出です。。

 

問 19】宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成工事規制区域内で、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって、一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。

2 都道府県知事は、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、宅地造成等規制法の規定のみによっては宅地造成に伴うがけ崩れ又は土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合は、都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の技術的基準を強化し、又は付加することができる。

3 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害を防止するために必要があると認める場合には、その宅地の所有者に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。

4 宅地造成工事規制区域内の宅地において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。

解答解説

1×造成宅地防災区域は、宅地造成工事規制区域外で指定される。5-8 20

2〇記述のとおり。

3〇記述のとおり。5-7 16

4〇記述のとおり。5-6 15

正解1

【ワンポイント】宅地造成等規制法は、抜本的に改正され、宅地造成及び特定盛土等規制法と改められ、平成56月に施行された。したがって、次回からは同法からの出題となる。

 

問 20】土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 換地計画において定められた清算金は、換地処分の公告があった日の翌日において確定する。

2 現に施行されている土地区画整理事業の施行地区となっている区域については、その施行者の同意を得なければ、その施行者以外の者は、土地区画整理事業を施行することができない。

3 施行者は、換地処分の公告があった場合において、施行地区内の土地及び建物について土地区画整理事業の施行により変動があったときは、遅滞なく、その変動に係る登記を申請し、又は嘱託しなければならない。

4 土地区画整理組合は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、土地区画整理審議会の同意を得なければならない。

解答解説

1〇 換地計画において定められた清算金は、換地処分の公告があった日の翌日において確定する。3-15

2〇 現に施行されている土地区画整理事業の施行地区となっている区域については、その施行者の同意を得なければ、その施行者以外の者は、土地区画整理事業を施行することができない。

3〇 施行者は、換地処分の公告があった場合において、施行地区内の土地及び建物について土地区画整理事業の施行により変動があったときは、遅滞なく、その変動に係る登記を申請し、又は嘱託しなければならない。3-16

4× 土地区画整理組合が仮換地を指定する場合、総会若しくはその部会又は総代会の同意を得なければならない。土地区画整理審議会は、公共施行の場合に設置される。3-10

正解4

【ワンポイント】 正解肢は、定番です。

 

問 21農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、相続人に該当しない者が特定遺贈により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。

2 自己の所有する面積4アールの農地を農作物の育成又は養畜の事業のための農業用施設に転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。

3 法第3条第1項又は法第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権の移転の効力は生じない。

4 社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人(社会福祉法人)が、農地をその目的に係る業務の運営に必要な施設の用に供すると認められる場合、農地所有適格法人でなくても、農業委員会の許可を得て、農地の所有権を取得することができる。

解答解説

1〇 相続人に対する特定遺贈による権利の取得の場合、3条1項の許可を受ける必要はないが、本肢は、「相続人に該当しない者が特定遺贈により農地を取得する」となっているので、3条1項の許可を受ける必要がある。4-4

2× 2アール未満の農地を農作物の育成又は養畜の事業のための農業用施設に転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はないが、「4アールの農地」では許可が必要である。4-8

3〇 3条1項又は5条1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権の移転の効力は生じない。(罰則もあり)4-3

4〇 社会福祉法人が、農地をその目的に係る業務の運営に必要な施設の用に供すると認められる場合、農業委員会の許可を得て、農地の所有権を取得することができる。(農地所有適格法人でなくてもよい。)

正解2

【ワンポイント】細かいところを正解肢にしているが、過去既出なので、やむを得ない。

 

問 22】土地を取得する場合における届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「事後届出」とは、国土利用計画法第23条の届出をいい、「重要土地等調査法」とは、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律をいうものとする。

1 都市計画区域外において、国から一団の土地である6,000㎡と5,000㎡の土地を購入した者は、事後届出を行う必要はない。

2 市街化区域を除く都市計画区域内において、Aが所有する7,000㎡の土地をBが相続により取得した場合、Bは事後届出を行う必要がある。

3 市街化区域において、Cが所有する3,000㎡の土地をDが購入する契約を締結した場合、C及びDは事後届出を行わなければならない。

4 重要土地等調査法の規定による特別注視区域内にある100㎡の規模の土地に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転をする契約を締結する場合には、当事者は、一定の事項を、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない。

解答解説

1〇国からの取得の場合、規模にかかわらず届出不要である。6-2

2×相続による取得は、届出不要である。6-1

3×事後届け出は、権利の取得者に課されるので、Cは届出義務がない。6-1

4×特別注視区域内にある200㎡以上の土地及び建物(以下「土地等」という。)に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転又は設定をする契約を締結する場合には、契約の当事者(売主及び買主の双方)は、法令に定められた事項を内閣総理大臣に届け出る必要がある(法第13条第1項及び第3項)。100㎡では、届出不要である。

正解1

【ワンポイント】 正解肢が基本事項で、初出の4肢がわからなくても、やさしい問題であった。

 

【問23印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の契約書はいずれも書面により作成されたものとする。

1 売主Aと買主Bが土地の譲渡契約書を3通作成し、A、B及び仲介人Cがそれぞれ1通ずつ保存する場合、当該契約書3通には印紙税が課される。

2 一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額5,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額6,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1億1,000万円である。

3 「Dの所有する甲土地(時価2,000万円)をEに贈与する」旨を記載した贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2,000万円である。

4 当初作成の「土地を1億円で譲渡する」旨を記載した土地譲渡契約書の契約金額を変更するために作成する契約書で、「当初の契約書の契約金額を1,000万円減額し、9,000万円とする」旨を記載した変更契約書について、印紙税の課税標準となる当該変更契約書の記載金額は、1,000万円である。

解答解説

1〇 契約当事者及び当該契約に参加する者が保存する契約書には課されるので、A、B及び仲介人Cがそれぞれ1通ずつ保存する場合、当該契約書3通には印紙税が課される。8-8

1× 1つの契約書に、土地の譲渡契約(1号文書)と建物の建築請負契約(2号文書)が記載されている場合、原則として、1号文書の記載金額が当該契約書の記載金額となるが、それぞれの課税事項ごとの契約金額を区分でき、かつ、2号文書の契約金額(6,000万円)が1号文書の契約金額(5,000万円)を超えるものは、2号文書の記載金額(6,000万円)が当該契約書の記載金額となる。よって、記載金額が、1億1,000万円となるというのは、誤り。8-10

3× 不動産贈与契約書は、記載金額のない契約書として、印紙税額は、200円となる。8-10

4× 契約金額を変更する契約書は、増額変更するときは、増加額が記載金額となるが、減額変更するときは、記載金額のない契約書として、印紙税額は、200円となる。8-10

正解1

【ワンポイント】 基本事項のプレゼント問題である。

 

問 24】不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 不動産取得税の徴収については、特別徴収の方法によることができる。

2 不動産取得税は、目的税である。

3 不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の市町村及び特別区において、当該不動産の取得者に課する。

4 不動産取得税は、市町村及び特別区に対して、課することができない。

解答解説

1× 特別徴収(とくべつちょうしゅう)とは、地方税や社会保険料を本来の納税義務者である個人から直接徴収し納付させるのではなく、当該納税義務者が得る給与や公的年金を支払う事業者(特別徴収義務者)が税金等を代わって預かり(天引き)、その徴収すべき税金等を納入させることをいう(地方税法119号)。不動産取得税は、納税通知書を納税者に交付して徴収する普通徴収である。

2× 目的税ではなく、普通税である。

3× 不動産所在の道府県が課す。

4〇 国、都道府県、市町村等は、非課税である。

正解4

【ワンポイント】 基本事項のプレゼント問題である。

 

問 25】不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。

1 原価法は、価格時点における対象不動産の収益価格を求め、この収益価格について減価修正を行って対象不動産の比準価格を求める手法である。

2 原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合には適用することができるが、対象不動産が土地のみである場合においては、いかなる場合も適用することができない。

3 取引事例比較法における取引事例が、特殊事情のある事例である場合、その具体的な状況が判明し、事情補正できるものであっても採用することは許されない。

4 取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。

解答解説

1× 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です(この手法による試算価格を積算価格という)。7-4

2× 原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用できます。7-4Q

3× 特殊事情のある事例である場合であっても、事情補正できるものでれば、採用できます。7-3

4〇 取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効です。7-3

正解4

【ワンポイント】 基本事項のプレゼント問題である。

 

【問 26宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること(以下この問において「37条書面の電磁的方法による提供」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、当該契約の相手方から宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を得なければ、37条書面の電磁的方法による提供をすることができない。

イ 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する売買契約について、宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士を明示しておけば、37条書面の電磁的方法による提供において提供に係る宅地建物取引士を明示する必要はない。

ウ 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できるものでなければならない。

()宅地建物取引業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければならない。

1一つ 2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア〇 宅地建物取引業者は、37条書面の交付に代えて、契約の相手方の「承諾を得て」、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。6-123741

イ× 37条書面には宅地建物取引士の記名が必要とされており、宅地建物取引士を明示する必要がある。これは宅地建物取引業法施行令第3条の41項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士が明示されている場合でも同様である。6-12 法373

ウ〇 37条書面の電磁的方法は、相手方が相手方ファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものであることが必要である。6-12 施行規則16条の41221

エ〇 37条書面の電磁的方法は、ファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていることが必要である。6-12施行規則16条の41222

以上より、正しいものは、ア、ウ、エの三つであり、肢3が正解となる。

【ワンポイント】電磁的方法は、今年から出題の対象であり、出題が予想されていましたが、かなり細かいところまで聞いてきた。が、知らなくても常識的に正しいことは、明らかだろう。

 

問 27宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査(以下この問において「建物状況調査」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建物状況調査とは、建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。

2 宅地建物取引業者が建物状況調査を実施する者のあっせんを行う場合、建物状況調査を実施する者は建築士法第2条第1項に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。

3 既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。

4 既存住宅の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。

解答解説

1〇 建物状況調査とは、建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいいます。5-3参照

2〇 宅地建物取引業者が建物状況調査を実施する者のあっせんを行う場合、建物状況調査を実施する者は建築士法第2条第1項に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければなりません。5-3参照

3〇 宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。5-16参照

4× 建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項は、売買・交換の場合の必要的記載事項であり、貸借の場合には記載事項ではない。6-13

正解4

【ワンポイント】 基本的なやさしい問題です。

 

 

【問 28宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはいくつあるか。

ア Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。

イ Aの従業員Eは、Fが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をFに対して行った際に、不実のことと認識しながら「今後5年以内にこの一帯は再開発されるので、急いで売却した方がよい。」と説明した。

ウ Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。

エ Aは、Jとの間でJが所有する戸建住宅を買い取る売買契約を締結し、法第37条の規定に基づく書面をJに交付したが、Aの宅地建物取引士に、当該書面に記名のみさせ、押印させることを省略した。

1一つ 2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア 違反・相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続することは、違反する。7-7

イ違反 宅建業者は、その業務に関し、相手方等に対し、契約締結の勧誘のため、又はその契約申込みの撤回・解除もしくは取引により生じた債権の行使を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のこと(ウソ)を告げてはならない。7-6

ウ違反・深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させることが、禁止される。7-7

エ違反しない。37条書面には、宅建士の記名は必要だが、押印は不要である。6-12

以上、違反するのはエだけであり、正解は1.

【ワンポイント】 個数問題だが、やさしい。

 

【問 29】宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより懲役の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。

2 宅地建物取引業者B社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。

3 宅地建物取引業者である個人Cが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Cの免許は取り消されることはない。

4 宅地建物取引業者D社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、D社の免許は取り消されることはない。

解答解説

1× 政令で定める使用人が禁錮以上の刑である懲役の刑に処せられた場合には、免許の欠格事由に該当するので、その使用人がいるA社の免許は取り消される。1-11

2〇 役員が所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられても、免許欠格事由には該当しないので、その役員がいるB社の免許は取り消されることはない。1-11参照

3× 個人業者Cが宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた場合には、Cの免許は取り消される。1-11

4× 役員(常勤・非常勤を問わない)が刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられた場合には、免許の欠格事由に該当するので、その役員がいるD社の免許は取り消される。1-11

正解2

【ワンポイント】 基本的な定番問題です。

 

 

問 30宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。

ア Aが免許を受けた日から6か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができる。

イ Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。

ウ Aは、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、30日以内に甲県知事にその旨を届け出なければならない。

エ Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。

1一つ  2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア× Aが免許を受けた日から「3か月」以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができます。4-4

イ〇 事業開始の流れは、「免許取得→営業保証金を供託→免許権者に届出→事業開始」となります。4-1

ウ× Aは、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、「2週間」以内に甲県知事にその旨を届け出なければなりません。4-8

エ× Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、「6か月」を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができません。4-10

以上により、正しいものはイだけで、正解は1.

【ワンポイント】 個数問題だが、数字をきちんと押さえておけばやさしい。

 

問 31】宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。

1 宅地又は建物の売買に関する注文を受けたときは、遅滞なくその注文をした者に対して取引態様の別を明らかにしなければならないが、当該注文者が事前に取引態様の別を明示した広告を見てから注文してきた場合においては、取引態様の別を遅滞なく明らかにする必要はない。

2 既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示しなければならない。

3 これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。

4 販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、懲役若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。

解答解説

1×広告をするとき、注文を受けたときは遅滞なく取引態様を明示しなければならない。7-4

2×既存住宅に関する広告で、建物状況調査の実施しているか否かを明示する義務は定められていない。

3×工事完了に必要な許認可前の未完成物件につき、業務に関する広告は禁止されているので、貸借の媒介に関する広告もしてはならない。7-3

4〇誇大広告の違反には、監督処分がありうるのはもとより、懲役若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。7-28-9

正解4

【ワンポイント】 基本的な定番問題です。

 

【問 32】宅地建物取引業者が行う届出に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、新たに宅地建物取引業を営む支店を甲県内に設置した場合、Aはその日から30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。

2 宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が、宅地建物取引業者ではないCとの合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内にその旨を乙県知事に届け出なければならない。

3 宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、本店における専任の宅地建物取引士Eの退職に伴い、新たに専任の宅地建物取引士Fを本店に置いた場合、Dはその日から30日以内にその旨を丙県知事に届け出なければならない。

4 宅地建物取引業者G(丁県知事免許)が、その業務に関し展示会を丁県内で実施する場合、展示会を実施する場所において売買契約の締結(予約を含む。)又は売買契約の申込みの受付を行うときは、Gは展示会での業務を開始する日の5日前までに展示会を実施する場所について丁県知事に届け出なければならない。

 

解答解説

1〇 事務所新設の届出は、30日以内に免許権者へに、でよい。1-15

2〇 合併消滅の旨は、消滅法人の役員がその日から30日以内に、免許を受けた乙県知事に届け出る。1-17

3〇 新たに専任の宅地建物取引士Fを本店に置いた場合、Dはその日から30日以内にその旨を丙県知事に届け出なければならない。1-15

4× 契約行為を行う展示会を設ける場合は、業務開始10日前までに、免許権者に届出なければならない。3-3

正解4

【ワンポイント】 数字を覚えておけば、やさしい。

 

問 33】宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 甲宅地を所有する宅地建物取引業者Aが、乙宅地を所有する宅地建物取引業者ではない個人Bと、甲宅地と乙宅地の交換契約を締結するに当たって、Bに対して、甲宅地に関する重要事項の説明を行う義務はあるが、乙宅地に関する重要事項の説明を行う義務はない。

2 宅地の売買における当該宅地の引渡しの時期について、重要事項説明において説明しなければならない。

3 宅地建物取引業者が売主となる宅地の売買に関し、売主が買主から受領しようとする金銭のうち、買主への所有権移転の登記以後に受領するものに対して、宅地建物取引業法施行規則第16条の4に定める保全措置を講ずるかどうかについて、重要事項説明書に記載する必要がある。

4 重要事項説明書の電磁的方法による提供については、重要事項説明を受ける者から電磁的方法でよいと口頭で依頼があった場合、改めて電磁的方法で提供することについて承諾を得る必要はない。

解答解説

1〇 Bに対しては、取得しようとする甲宅地に関して、重要事項の説明をすればよく、乙宅地に関しては説明の必要はない。6-1

2× 宅地の売買における当該宅地の引渡しの時期は、重要事項説明をする必要はない。

6-4参照

3× 売主が買主から受領しようとする金銭のうち、買主への所有権移転の登記以後に受領するものに対して、宅地建物取引業法施行規則第16条の4に定める保全措置を講ずるかどうかについては、重要事項説明書に記載する必要はない。6-4参照

4× 電磁的方法で提供することについて承諾は、書面又は書面に出力できる方法にっよらなければならない。6-1

正解1

【ワンポイント】 基本的なプレゼント問題です。

 

問 34宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を成立させた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。

ア 本件契約が建物を住居として貸借する契約である場合に、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ないまま、132,000円の報酬を受領した。

イ AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。

ウ CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。

エ 本件契約が建物を事務所として貸借する契約である場合に、報酬として、AはBから132,000円を、CはDから132,000円をそれぞれ受領した。

1一つ 2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア 違反する 依頼者の一方から受領できる報酬の限度額は、居住用建物の賃貸借の場合、媒介の依頼を受けるにあたって、依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃1月分の0.55倍に相当する金額の範囲内となる。本肢は、この場合であり、71,500円が限度額である。よって、違反である。5-13

イ 違反しない    本肢は、「AはBから事前に特別な広告の依頼があった」となっているので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額を受領できる。

 ①依頼者の依頼によって行う広告料金②遠隔地における現地調査や空家の特別な調査など依頼者の特別の依頼による特別の費用は、報酬とは別に受領できる。5-16

ウ 違反する 規定外の報酬はいかなる名義をもってしても受け取ってはならない。賃貸借契約書の作成費を、報酬とは別に受領することは違反である。5-16

エ 違反する 本肢は、それぞれ、借賃1.1月分を受領しているが、AとCあわせて受領できる報酬の限度額が、借賃1.1月分である。5-13

以上違反するのは3つあり、正解は3。

【ワンポイント】報酬の個数問題ですが、4肢中2肢が文章題で、やさしい。

 

問 35宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bから宅地の買受けの申込みを受けた場合における宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aは、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた際、以後の取引について、その取引に係る書類に関してBから電磁的方法で提供をすることについての承諾を得た場合、クーリング・オフについて電磁的方法で告げることができる。

2 Aが、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、クーリング・オフについて告げられた日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。

3 Aが、Aの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。

4 Aが、売却の媒介を依頼している宅地建物取引業者Cの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に書面により当該申込みの撤回を申し出ても、申込みの撤回を行うことができない。

解答解説

1× クーリング・オフについての告知は、書面でなければならない。7-14

2× 当該申込みの撤回=クーリング・オフは、書面で行わなければならない。7-15

3× 事務所で行った申し込みは、クーリング・オフできない。7-13

4〇 売主業者から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者の事務所で行った申し込みは、クーリング・オフできない。7-15

正解4

【ワンポイント】基本的な定番問題です。

 

【問 36次の記述のうち、宅地建物取引業者Aが行う業務に関して宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。

ア 建物の貸借の媒介に際して、賃借の申込みをした者がその撤回を申し出たので、Aはかかった諸費用を差し引いて預り金を返還した。

イ Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。

ウ Aは取引のあったつど、その年月日やその取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他必要な記載事項を帳簿に漏らさず記載し、必要に応じて紙面にその内容を表示できる状態で、電子媒体により帳簿の保存を行っている。

()Aはアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに個人宅を訪問し、マンションの売買の勧誘をした。

1一つ 2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア違反する 宅地建物取引業者の相手方等(宅建業者を含む)が契約の申込みの撤回を行うに際し、宅地建物取引業者等は、既に受領した預り金を返還することを拒んではならない。諸費用を差し引いてはならない。7-7

イ違反する 宅地建物取引業者は、取引の相手方等(宅地建物取引業者を含む)に、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。「手付の分割払い」は、信用の供与にあたる。7-5

ウ違反しない 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。そして、帳簿に記載すべき事項が、電子計算機に備えられたファイル・磁気ディスクに記録され、必要に応じ、その事務所において電子計算機等を用いて明確に紙面に表示されるときは、その記録をもって、帳簿への記載に代えることができる。3-2

エ違反する 勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号・名称、勧誘を行う者の氏名、契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行ってはならない。7-7

以上違反するものは、3つ。

正解3

【ワンポイント】常識的に正誤判断できます。

 

問 37】次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、非常勤役員には従業者であることを証する証明書を携帯させる必要はない。

2 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。

3 宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。

4 宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。

解答解説

1× 宅地建物取引業者は、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。従業者には、非常勤の役員も含まれる。3-1

2× 宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿をその者の閲覧に供しなければなりません。秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことはできない。3-2

3〇 宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。3-1

4× 宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。3-2

正解3

【ワンポイント】基本的な定番問題です。

【問 38次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅地建物取引業者Aが、自ら所有する複数の建物について、複数人に対し、反復継続して賃貸する行為は、宅地建物取引業に該当しない。

イ 宅地建物取引士とは、宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者をいう。

ウ 建設業者Bが、建築請負工事の受注を目的として、業として宅地の売買の媒介を行う行為は、宅地建物取引業に該当しない。

エ 宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。

1一つ 2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア〇 「自ら賃貸する」行為は、宅地建物取引業に該当しない。1-2

イ× 宅地建物取引士とは、宅地建物取引士証の交付を受けた者です。2-1

ウ× 本肢は、「業として宅地の売買の媒介を行う」となっていますので、宅地建物取引業に該当します。1-2

エ〇 宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければなりません。2-3

正解2

【ワンポイント】基本問題です。

 

【問 39宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結する場合における手付金の保全措置に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、当該契約に係る手付金は保全措置が必要なものとする。

1 Aは、Bから手付金を受領した後に、速やかに手付金の保全措置を講じなければならない。

2 Aは、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険期間は保証保険契約が成立した時から宅地建物取引業者が受領した手付金に係る宅地の引渡しまでの期間とすればよい。

3 Aは、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険事業者との間において保証保険契約を締結すればよく、保険証券をBに交付する必要はない。

4 Aは、手付金の保全措置を保証委託契約を締結することにより講ずるときは、保証委託契約に基づいて銀行等が手付金の返還債務を連帯して保証することを約する書面のBへの交付に代えて、Bの承諾を得ることなく電磁的方法により講ずることができる。

解答解説

1× 手付金の保全措置は、手付金を受け取る前に講じなければならない。7-18

2〇 保全措置は、買主が物件の引き渡しを受けるまで講じておかなければならないので、保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険期間は保証保険契約が成立した時から宅地建物取引業者が受領した手付金に係る宅地の引渡しまでの期間とすればよい。7-20

3× 手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険事業者との間において保証保険契約を締結し、保険証券をBに交付しなければならない。7-19

4× 手付金の保全措置を保証委託契約を締結することにより講ずるときは、保証委託契約に基づいて銀行等が手付金の返還債務を連帯して保証することを約する書面をBに交付しなければならない。書面交付に代えて、電磁的方法によることはみとめられていない。7-19

正解2

【ワンポイント】基本的な問題です。

 

【問 40宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、当該中古住宅について購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならないが、Bの希望条件を満たさない申込みだとAが判断した場合については報告する必要はない。

2 Aは、法第34条の2第1項の規定に基づく書面の交付後、速やかに、Bに対し、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。

3 Aは、当該中古住宅について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め7日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。

4 Aは、Bが他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。

解答解説

1× 媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。依頼者の希望条件を満たさない申し込みと判断した場合でも報告しなければならない。5-5

2× Aは、法第34条の2第1項の規定に基づく書面に、Bに対する、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について記載しなければならない。5-3

3× Aは、当該中古住宅について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を除く7日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。5-6

4〇 Aは、Bが他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。5-3

正解4

【ワンポイント】媒介契約規制の基本的な問題です。

 

問 41】次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 甲県知事は、宅地建物取引士に対して必要な報告を求めることができるが、その対象は、甲県知事登録の宅地建物取引士であって、適正な事務の遂行を確保するために必要な場合に限られる。

2 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)で専任の宅地建物取引士として従事しているB(甲県知事登録)が、勤務実態のない宅地建物取引業者C(乙県知事免許)において、自らが専任の宅地建物取引士である旨の表示がされていることを許した場合には、乙県知事は、Bに対し、必要な指示をすることができる。

3 宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けた場合においては、その登録をしている都道府県知事は、情状が特に重いときは、当該宅地建物取引士の登録を消除することができる。

4 都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。

解答解説

1× 甲県知事は、甲県知事登録の宅地建物取引士のほか甲県内で事務を行う宅地建物取引士に対しても報告を求めることができる。8-1

2〇 乙県知事は、乙県知事免許の宅地建物取引業者Cに、専任の宅建士である旨の表示を許した甲県知事登録の宅地建物取引士Bに必要な指示をすることができる。8-4

3× 宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けた場合においては、その登録をしている都道府県知事は、情状いかんにかかわらず、当該宅地建物取引士の登録を消除しなければならない。

4× 登録消除処分は、公告はされない。公告されるのは、宅地建物取引業者の免許取消し処分と業務停止処分である。8-6

正解2

【ワンポイント】宅地建物取引士に対する報告徴収はあまり問われたことのない論点だが、他はよく問われる定番論点である。

 

問 42宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 宅地建物取引士は、重要事項説明をする場合、取引の相手方から請求されなければ、宅地建物取引士証を相手方に提示する必要はない。

イ 売主及び買主が宅地建物取引業者ではない場合、当該取引の媒介業者は、売主及び買主に重要事項説明書を交付し、説明を行わなければならない。

ウ 宅地の売買について売主となる宅地建物取引業者は、買主が宅地建物取引業者である場合、重要事項説明書を交付しなければならないが、説明を省略することはできる。

エ 宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主に対して、重要事項として代金並びにその支払時期及び方法を説明しなければならない。

1一つ 2二つ 3三つ 4四つ

解答解説

ア× 取引の相手方から請求があるかどうかにかかわらず、宅地建物取引士は、重要事項説明をする場合、宅地建物取引士証を相手方に提示しなければならない。6-1 

イ× 買主に対しては、重要事項の説明を行う必要があるが、売主に対しては、説明不要である。

ウ〇 買主が宅地建物取引業者である場合、重要事項説明書を交付しなければならないが、説明は省略することができる。

エ× 代金並びにその支払時期及び方法は、重要事項の説明内容ではない。6-4参照

以上により、アイエが誤り。

正解3

【ワンポイント】基本的な定番問題です。

 

問 43宅地建物取引業者Aが媒介により宅地の売買契約を成立させた場合における宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aは、買主が宅地建物取引業者であるときは、37条書面に移転登記の申請時期を記載しなくてもよい。

2 Aは、37条書面を売買契約成立前に、各当事者に交付しなければならない。

3 Aは、37条書面を作成したときは、専任の宅地建物取引士をして37条書面に記名させる必要がある。

4 Aは、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならない。

解答解説

1× 買主が宅地建物取引業者であっても、37条書面に移転登記の申請時期を記載しなければならない。6-13

2× 媒介業者Aは、37条書面を売買契約成立後、遅滞なく、各当事者に交付しなければならない。6-12

3× 宅地建物取引士の記名が必要ですが、専任の宅地建物取引士に限定されているわけではない。6-12

4〇 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならない。6-14

正解4

【ワンポイント】基本的な定番問題です。

 

【問 44宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 保証協会の社員は、自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。

2 保証協会は、社員がその一部の事務所を廃止したことに伴って弁済業務保証金分担金を当該社員に返還しようとするときは、弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告を行わなければならない。

3 保証協会は、宅地建物取引業者の相手方から、社員である宅地建物取引業者の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する損害の還付請求を受けたときは、直ちに弁済業務保証金から返還しなければならない。

4 保証協会は、手付金等保管事業について国土交通大臣の承認を受けた場合、社員が自ら売主となって行う宅地又は建物の売買で、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前における買主からの手付金等の受領について、当該事業の対象とすることができる。

解答解説

1〇 保証協会の必須業務として、社員の取引についての苦情の解決があり、これに関連し自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならないとされる。4-12

2× 一部の事務所を廃止したため、弁済業務保証金分担金の超過額が生じた場合、保証協会はその額を供託所から取戻し、公告をしないで社員に返還する。              4-23

3× 保証協会の供託した弁済業務保証金について、その還付請求をしようとする場合は、当該保証協会の認証を受けた後、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に請求しなければならない。4-18

4× 未完成物件については、手付金等保全措置の方法として、指定保管機関による保管の方法は、とれない。ので、保証協会の手付金等保管事業では、未完成物件の手付金の受領を、当該事業の対象とはできない。

正解1

【ワンポイント】肢4が何を言っているのかわかりにくいが、 未完成物件については、手付金等保全措置の方法として、指定保管機関による保管の方法は、とれないことを裏からきいているのである。正解肢1が、わかりやすいので迷わなかったと思うが、個数問題にされたら正解率は落ちたろう。7-194-12参照

 

問 45宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合に関する次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業を営むものである場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負わない。

2 Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の売買契約を締結するまでに、Bに対し供託所の所在地等について、必ず書面を交付して説明しなければならず、買主の承諾を得ても書面の交付に代えて電磁的方法により提供することはできない。

3 Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の最寄りの供託所へ住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしなければならない。

4 AB間の売買契約において、当該住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があってもAが瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった場合においても、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。

解答解説

1× 自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主に新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う(7-25)。ここで、「宅地建物取引業者」とは、信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業を営むもの(信託会社等)を含む(住宅瑕疵担保履行法24項)ので、Aが信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関であっても、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。7-25

2× Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の売買契約を締結するまでに、Bに対し供託所の所在地等について、書面を交付して説明しなければならないが、買主の承諾を得て、書面の交付に代えて、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。7-26

3× 供託場所は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしなければならない宅地建物取引業者Aの主たる事務所の最寄りの供託所である。7-25

4〇 AB間の売買契約において、当該住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があってもAが瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった場合においても、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売したAは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。7-25

なお、AB間の売買契約は、宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合であるから、宅建業法40条の「担保責任についての特約の制限」が適用され、買主に不利な特約は無効となる。正解4

正解4

【ワンポイント】正解肢は、近年法改正があったところだが、基本的な問題であった。

 

問 46独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭(単身の世帯を含む。)に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務として行っている。

2 機構は、証券化支援事業(買取型)において、新築住宅に対する貸付債権のみを買取りの対象としている。

3 機構は、証券化支援事業(買取型)において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)及び省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性に優れた住宅を取得する場合に、貸付金の利率を一定期間引き下げる制度を実施している。

4 機構は、マンション管理組合や区分所有者に対するマンション共用部分の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。

解答解説

1〇 機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭(単身の世帯を含む。)に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務として行っている。9-2

2× 中古住宅に対する貸付債権も、買取りの対象としている。9-45

3〇 機構は、証券化支援事業(買取型)において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)及び省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性に優れた住宅を取得する場合に、貸付金の利率を一定期間引き下げる制度を実施している。

4〇 機構は、マンション管理組合や区分所有者に対するマンション共用部分の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っています。9-2

正解2

【ワンポイント】定番問題でした。

問 47宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 実際には取引する意思がない物件であっても実在するものであれば、当該物件を広告に掲載しても不当表示に問われることはない。

2 直線距離で50m以内に街道が存在する場合、物件名に当該街道の名称を用いることができる。

3 物件の近隣に所在するスーパーマーケットを表示する場合は、物件からの自転車による所要時間を明示しておくことで、徒歩による所要時間を明示する必要がなくなる。

4 一棟リノベーションマンションについては、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行う場合であっても、「新発売」との表示を行うことはできない。

解答解説

1× 取引する意思のない物件の広告は、おとり広告として不当表示に当たる。

10-2

2〇 直線距離で50m以内に街道が存在する場合、物件名に当該街道の名称を用いることができる。10-5

3× 物件の近隣に所在するスーパーマーケットを表示する場合は、物件からの徒歩による所要時間を明示しなければならない。

4× 新発売とは、 新たに造成された宅地、新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含む。)又は一棟リノベーションマンションについて、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うことをいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。不動産の表示に関する公正競争取引規約18

【ワンポイント】正解肢は、今回改正された規範だが、常識的に正しそうだと判断できるであろう。なお、肢4のリノベーションとは、単なる原状に回復するリフォームではなく、付加価値を加えた性能向上リフォームのことです。

 

問 48次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 令和3年度宅地建物取引業法の施行状況調査(令和4年9月公表)によれば、令和4年3月末における宅地建物取引業者の全事業者数は14万業者を超え、8年連続で増加した。

2 令和5年地価公示(令和5年3月公表)によれば、令和4年1月以降の1年間の地価について、地方圏平均では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年連続で上昇し、工業地は6年連続で上昇した。

3 建築着工統計調査報告(令和4年計。令和5年1月公表)によれば、令和4年の民間非居住建築物の着工床面積は、前年と比較すると、工場及び倉庫は増加したが、事務所及び店舗が減少したため、全体で減少となった。

4 年次別法人企業統計調査(令和3年度。令和4年9月公表)によれば、令和3年度における不動産業の売上高営業利益率は11.1%と2年連続で前年度と比べ上昇し、売上高経常利益率も12.5%と2年連続で前年度と比べ上昇した。

解答解説

1× 令和4年3月末時点の宅地建物取引業者数は128,597業者となっており、8年連続の増加となりました。

2〇 令和5年地価公示(令和5年3月公表)によれば、令和4年1月以降の1年間の地価について、地方圏平均では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年連続で上昇し、工業地は6年連続で上昇しました。

3〇 建築着工統計調査報告(令和4年計。令和5年1月公表)によれば、令和4年の民間非居住建築物の着工床面積は、前年と比較すると、工場及び倉庫は増加したが、事務所及び店舗が減少したため、全体で減少となりました。

4〇 年次別法人企業統計調査(令和3年度。令和4年9月公表)によれば、令和3年度における不動産業の売上高営業利益率は11.1%と2年連続で前年度と比べ上昇し、売上高経常利益率も12.5%と2年連続で前年度と比べ上昇しました。

正解1

【ワンポイント】例年、統計は、正しいものはどれかという問い方であったが、今回は

誤まっているものはどれかという問いであった。内容的には、定番の統計項目で、やさしかったと思う。

 

 

【問 49土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 自然堤防の後背湿地側の縁は、砂が緩く堆積していて、地下水位も浅いため、地震時に液状化被害が生じやすい地盤である。

2 谷底低地に軟弱層が厚く堆積している所では、地震動が凝縮されて、震動が小さくなる。

3 1923年の関東地震の際には、東京の谷底低地で多くの水道管や建物が被害を受けた。

4 大都市の近郊の丘陵地では、丘を削り谷部に盛土し造成宅地が造られたが、盛土造成に際しては、地下水位を下げるため排水施設を設け、締め固める等の必要がある。

解答解説

1〇 自然堤防の後背湿地側の縁は、砂が緩く堆積していて、地下水位も浅い。このような地盤は、地震時に液状化被害が生じやすい。

2× 谷底低地に軟弱層が厚く堆積している所では、谷底低地に軟弱層が厚く堆積している所では、地震動が拡大されて、震動が大きくなる。

3〇 1923年の関東地震の際には、水道管や建物の被害は、東京の谷底低地に集中していた。

4〇 大都市の近郊の丘陵地では、丘を削り谷部に盛土し造成宅地が造られたが、盛土造成に際しては、切土部より盛土部の方が地盤が軟弱になり、地下水位を下げるため排水施設を設け、締め固める等の必要がある。

【ワンポイント】常識的に判断できると思う。

 

問 50】建物の構造と材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 鉄筋コンクリート構造は、地震や風の力を受けても、躯体の変形は比較的小さく、耐火性にも富んでいる。

2 鉄筋コンクリート構造は、躯体の断面が大きく、材料の質量が大きいので、建物の自重が大きくなる。

3 鉄筋コンクリート構造では、鉄筋とコンクリートを一体化するには、断面が円形の棒鋼である丸鋼の方が表面に突起をつけた棒鋼である異形棒鋼より、優れている。

4 鉄筋コンクリート構造は、コンクリートが固まって所定の強度が得られるまでに日数がかかり、現場での施工も多いので、工事期間が長くなる。

解答解説

1〇 記述のとおり。鉄筋コンクリート構造は、鉄筋をコンクリートで覆っている構造であり、強度が高いので、地震や風の力を受けても、躯体の変形は比較的小さく、耐火性にも富んでいる。

2〇 記述のとおり。鉄筋コンクリート構造は、コンクリートを使っているので、躯体の断面が大きく、材料の質量が大きいので、建物の自重が大きくなる。

3× 鉄筋コンクリート構造において、鉄筋とコンクリートを一体化したいのであれば、断面が円形の棒鋼である丸鋼よりも、表面に突起をつけた棒鋼である異形棒鋼の方が、鉄筋とコンクリートがズレにくいので、優れている。

4〇 鉄筋コンクリート構造のような多量の水を使う湿式工法では、コンクリートが固まって所定の強度が得られるまでに日数がかかり、現場での施工も多いので、工事期間が長くなる。

正解3

【ワンポイント】常識判断と消去法で、3に絞れるのではないか。