過去問遊園地    動画ライブラリー  トップページ 
2022年令和4年10月試験 
【問 1】 次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。 (判決文) 所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、丙が当該不動産を甲から二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、たとい丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができるものと解するのが相当である。
1 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受けて登記を完了した場合、Cは、自らが背信的悪意者に該当するときであっても、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができる。
2 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者ではないCが当該不動産をAから二重に買い受けた場合、先に買い受けたBは登記が未了であっても当該不動産の所有権取得をもってCに対抗することができる。
3 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者であるCが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合、DもBに対する関係で背信的悪意者に該当するときには、Dは当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。
4 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け登記を完了した場合、Cが背信的悪意者に該当しなくてもBが登記未了であることにつき悪意であるときには、Cは当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。

解答解説
1× 判決文は、不動産の二重譲渡において、背信的悪意者である第二譲受人からの転得者は、第一譲受人に対する関係で自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって第一譲受人に対抗することができる、としている。このことは、背信的悪意者の第二譲受人は、たとえ登記を備えていても、第一譲受人に対抗できないことを前提としている。6-5・177条 よって、第二譲受人Cは、自らが背信的悪意者に該当するときであっても、当該不動産の所有権取得をもって第一譲受人Bに対抗することができる、とするのは誤り。 2× 不動産に関する物権変動は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。6-2・177条 よって、Bの登記が未了であれば、当該不動産の所有権取得をもってCに対抗することはできない。
3〇 判決文は、不動産の二重譲渡において、背信的悪意者である第二譲受人からの転得者は、「第一譲受人に対する関係で自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り」、当該不動産の所有権取得をもって第一譲受人に対抗することができる、としている。このことは、背信的悪意者である第二譲受人からの転得者は、第一譲受人に対する関係で自身も背信的悪意者と評価される場合は、当該不動産の所有権取得をもって第一譲受人に対抗することができないことを意味する。よって、背信的悪意者Dは、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。6-5・177条 チェック6のなお平成24年 問6 肢4
4× 不動産に関する物権変動は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない逆に、登記を備えていれば、物権変動を対抗できる。このことは、第三者が登記未了であることについての善意悪意を問わない。6-2・177条 正解3 【ワンポイント】本判決文は、平成24年 問6 肢4の元になった最判平8.10.29です。したがって、この過去問を知っていれば解きやすかったでしょう。

【問 2】 相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
2 家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。
3 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。
4 相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。

解答解説
1〇 遺留分は家庭裁判所の許可を受ければ、相続開始前でも放棄できる。12-16・1049条1項
2〇 相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならず、被相続人の生前に行うことはできない。12-16・915条1項
3× 遺留分の放棄は、相続の放棄ではないので、遺留分を放棄したとしても、相続権を失うことはない。12-16・1049条
4〇 兄弟姉妹「以外」の相続人は、遺留分として、一定の額を受けることができるが、兄弟姉妹には遺留分はない。12-14・1042条1項
正解3
【ワンポイント】遺留分に関する定番問題です。

【問 3】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 成年後見人は、後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意を得なければ、成年被後見人の法律行為を取り消すことができない。
2 相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。
3 成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。
4 令和4年4月1日からは、成年年齢が18歳となったため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。

解答解説
1× 後見監督人があるときは、後見人が、被後見人に代わって営業若しくは一定の重要な行為(保佐人の同意を要する行為)をするには、その同意を得なければならない。が、後見人が、取消権を行使するときには、後見監督人の同意は不要である。864条
2× 相続の放棄は相手方のない単独行為であるが、共同相続人の一部の相続放棄は、他の者の相続分を増加させることになるので、成年後見人が成年被後見人に代わって相続を放棄することは、両者が共同相続にである場合には、利益相反行為となる。なお、後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。860条826条2-2
3× 家庭裁判所は、一定の者の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。876条の4第1項 4〇 未成年者は、後見人となることができない(847条1号)。そして、年齢18歳をもって、成年とされている(4条)ので、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当せず、後見人となることができる。
正解4
【ワンポイント】細かいところなので、よくわからなかったろうが、成人年齢が18歳になったことは大きな法改正なので、肢4が正解らしいと見当がついたのではないか。

【問 4】 A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)が設定され、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aから甲土地を買い受けたDが、Cの請求に応じてその代価を弁済したときは、本件抵当権はDのために消滅する。
2 Cに対抗することができない賃貸借により甲土地を競売手続の開始前から使用するEは、甲土地の競売における買受人Fの買受けの時から6か月を経過するまでは、甲土地をFに引き渡すことを要しない。
3 本件抵当権設定登記後に、甲土地上に乙建物が築造された場合、Cが本件抵当権の実行として競売を申し立てるときには、甲土地とともに乙建物の競売も申し立てなければならない。
4 BがAから甲土地を買い受けた場合、Bは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができる。

解答解説
1〇 抵当不動産について所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。8-15・378条
2× 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である「建物」を競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その「建物」を買受人に引き渡すことを要しない。本制度は、建物を明けわさなければならない者に引っ越し猶予期間を与える趣旨だから、「建物」について適用されるものであり、「土地」については適用されない。8-14・395条1項
3× 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することが「できる」。建物を競売「しなければならない」のではない。8-19・389条1項
4× 「主たる債務者」、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。これは、主たる債務者が、物上保証人から抵当不動産を買い受けた場合でも同様である。8-16・380条
正解1
【ワンポイント】肢2~4がヒッカケ的だが、正解肢1は素直なので、やさしい。

【問 5】 期間の計算に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、明記された日付は、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日には当たらないものとする。
1 令和4年10月17日午前10時に、引渡日を契約締結日から1年後とする不動産の売買契約を締結した場合、令和5年10月16日が引渡日である。
2 令和4年8月31日午前10時に、弁済期限を契約締結日から1か月後とする金銭消費貸借契約を締結した場合、令和4年9月30日の終了をもって弁済期限となる。
3 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間はその前日に満了する。
4 令和4年5月30日午前10時に、代金の支払期限を契約締結日から1か月後とする動産の売買契約を締結した場合、令和4年7月1日の終了をもって支払期限となる。

解答解説
1× 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の「前日」に満了する。そして、初日不算入の原則があるので、本肢の場合、令和4年10月18日が起算日となり、その起算日の応答する日は令和5年10月18日となり、その前日の10月17日が満了日(引渡日)となる。143条2項
2〇 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。そして、初日不算入の原則があるので、本肢の場合、令和4年9月1日が起算日となり、その1か月後は、9月30日となる。143条1項
3× 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その「翌日」に満了する。「前日」ではない。142条
4× 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。本肢の場合、初日不算入の原則があるので、令和4年5月31日が起算日となり、その起算日の応答する日である6月31日は存在しないので、その月の末日である6月30日が満了日(支払期限)となる。143条2項
正解2
【ワンポイント】期間の計算は、初めての出題だ。初日不算入の原則は常識としても知っておく必要がある。知らなかった人は、この際確認しておこう。

【問 6】 Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲土地につき、資材置場とする目的で期間を2年として、AB間で、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、甲土地をBに引き渡す前であれば、①では口頭での契約の場合に限り自由に解除できるのに対し、②では書面で契約を締結している場合も自由に解除できる。
2 Bは、①ではAの承諾がなければ甲土地を適法に転貸することはできないが、②ではAの承諾がなくても甲土地を適法に転貸することができる。
3 Bは、①では期間内に解約する権利を留保しているときには期間内に解約の申入れをし解約することができ、②では期間内に解除する権利を留保していなくてもいつでも解除することができる。
4 甲土地について契約の本旨に反するBの使用によって生じた損害がある場合に、Aが損害賠償を請求するときは、①では甲土地の返還を受けた時から5年以内に請求しなければならないのに対し、②では甲土地の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

解答解説 1× ①の賃貸借契約は、契約が成立した以上、たとえ口頭の契約であっても自由に解除することはできない。また、②の使用貸借契約においては、貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができるが、書面による使用貸借については、この限りでない。11-18・593条の2 したがって、①についての記述も②についての記述も、ともに誤りである。
2× ①の賃貸借契約において、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。9-4・612条 また、②の使用貸借契約においても、借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。11-20・594条2項
3〇 ①の賃貸借契約において、当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、解約申入れをすることができる。9-10・618条 また、②の使用貸借契約においては、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。これは期間内に解除する権利を留保していなかった場合でも同様である。11-21・598条3項
4× ②の使用貸借契約においては、契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。600条1項 そして、①の賃貸借契約においても、使用貸借契約の規定が準用されており、返還を受けたときから「1年」以内に損害賠償を請求しなければならない。したがって、①に関する記述が誤りである。622条
正解3
【ワンポイント】使用貸借と賃貸借の比較は定番だが、やはりややこしい。特に肢4は、細かい。正解肢の3は、比較的わかりやすいと思う。

【問 7】 不在者Aが、家庭裁判所から失踪宣告を受けた。Aを単独相続したBは相続財産である甲土地をCに売却(以下この問において「本件売買契約」という。)して登記も移転したが、その後、生存していたAの請求によって当該失踪宣告が取り消された。本件売買契約当時に、Aの生存について、(ア)Bが善意でCが善意、(イ)Bが悪意でCが善意、(ウ)Bが善意でCが悪意、(エ)Bが悪意でCが悪意、の4つの場合があり得るが、これらのうち、民法の規定及び判例によれば、Cが本件売買契約に基づき取得した甲土地の所有権をAに対抗できる場合を全て掲げたものとして正しいものはどれか。
1 (ア)、(イ)、(ウ)
2 (ア)、(イ)
3 (ア)、(ウ)
4 (ア)

解答解説
失踪者が生存することの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に「善意」でした行為の効力に影響を及ぼさない。そして、この「善意」というのは、当事者双方に要求されるとされている(判例)。したがって、「(ア)Bが善意でCが善意」の場合のみ、Cが本件売買契約に基づき取得した甲土地の所有権をAに対抗できるので、肢4が正解となる。32条1項
正解 4
【ワンポイント】これは、難しい。宅建試験でこの知識を要求するのはやりすぎ。よって、落としてもよい。無意味な出題といえる。


【問 8】 AがB所有の甲土地を建物所有目的でなく利用するための権原が、①地上権である場合と②賃借権である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、AもBも対抗要件を備えているものとする。
1 ①でも②でも、特約がなくても、BはAに対して、甲土地の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2 CがBに無断でAから当該権原を譲り受け、甲土地を使用しているときは、①でも②でも、BはCに対して、甲土地の明渡しを請求することができる。
3 ①では、Aは当該権原を目的とする抵当権を設定することができるが、②では、Aは当該権原を目的とする抵当権を設定することはできない。
4 Dが甲土地を不法占拠してAの土地利用を妨害している場合、①では、Aは当該権原に基づく妨害排除請求権を行使してDの妨害の排除を求めることができるが、②では、AはDの妨害の排除を求めることはできない。

解答解説
1× ①の地上権は目的物を直接排他的に使用できる物権であり、地主は修繕義務を負わない。これに対して、②の賃借権は、賃借人が賃貸人に使用収益を請求できる債権であり、賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。9-1・606条1項
2× ①の地上権は、物権であり、土地の所有者の承諾なく自由に譲渡できるので、BはCに対して、甲土地の明渡しを請求することはできない。これに対し、②の賃借権では、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡すことができないので、BはCに対して、賃借権の無断譲渡を理由に、甲土地の明渡しを請求することができる。9-4・612条
3〇 「地上権」及び永小作権は、抵当権の目的とすることができる。8-9・369条 よって、①の地上権は抵当権の目的とすることはできる。が、②の賃借権は抵当権の目的とすることはできない。
4× ①の地上権は物権であり、すべての人に主張できるので、AはDに対して妨害排除を求めることができる。そして、②について、不動産の賃借人は、対抗要件を備えた場合において、その不動産の占有を第三者が妨害しているときは、その第三者に対する妨害の停止の請求をすることができる。9-20・605条の4第1号
正解3
【ワンポイント】目的物を直接排他的に使用できる物権である地上権と、賃貸人に目的物の使用を請求できる債権である賃借権の比較問題。設問記述肢のほか、地上権設定者は設定登記に協力する義務があるのに対し、賃貸人には、登記に協力する義務はない、という違いもある。9-29 いずれにせよ、マニアックな問題で落としてもよい。

【問 9】 辞任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 ア 委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。
イ 親権者は、やむを得ない事由があるときは、法務局に届出を行うことによって、親権を辞することができる。
ウ 後見人は、正当な事由があるときは、後見監督人の許可を得て、その任務を辞することができる。
エ 遣言執行者は、正当な事由があるときは、相続人の許可を得て、その任務を辞することができる。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

解答解説
ア〇 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。したがって、受任者は、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。これは受任者が報酬を受ける約束をしている場合でも同様である。11-8・651条1項
イ× 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、親権又は管理権を辞することができる。法務局に届出を行うだけでは辞任できない。837条1項 ウ× 後見人は、正当な事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、その任務を辞することができる。「後見監督人の許可」ではない。844条
エ× 遺言執行者は、正当な事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、その任務を辞することができる。「相続人の許可」では辞任できない。1019条2項
以上より、正しいものはアのみであり、正解は1。
正解1
【ワンポイント】この問題もマニアック。アを除いて、この問題を「知識」として知っていた人は、ほとんどいなかったと思う。本問も落としてよい。

【問 10】 AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。この場合におけるBによる甲土地の所有権の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bが甲土地をDに賃貸し、引き渡したときは、Bは甲土地の占有を失うので、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
2 Bが、時効の完成前に甲土地の占有をEに奪われたとしても、Eに対して占有回収の訴えを提起して占有を回復した場合には、Eに占有を奪われていた期間も時効期間に算入される。 3 Bが、甲土地の引渡しを受けた時点で所有の意思を有していたとしても、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったときは、その時点で所有の意思が認められなくなるので、Bは甲土地を時効により取得することはできない。
4 Bが甲土地の所有権を時効取得した場合、Bは登記を備えなければ、その所有権を時効完成時において所有者であったCに対抗することはできない。

解答解説
1× BはDに対して賃貸しても、Dを介して代理占有している。取得時効の要件となる専有は代理専有でもよいので、Bは占有を継続しており、時効取得することができる。7-3・181条
2〇 占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅するが、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。したがって、占有回収の訴えを提起して占有を回復すれば、占有を奪われていた期間も時効期間に算入される。203条 3× 所有の意思は、占有するに至った事情から客観的に判定されるもので、いったん所有の意思ありとされれば、客観的な占有状態に変化がなければ、その意思が認められなくなることはない。よって、記述では、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったとしても、所有の意思が認められなくなることはなく、時効取得に必要な占有を継続すれば、時効取得することができる。7-1
4× Cは時効完成時の所有者であるが、時効取得者は時効完成当時の所有者とは、物権変動の当事者類似の関係になるので、「登記なく」その所有権を主張することができる。7-5・177条参照
正解2
【ワンポイント】肢1・4は、過去問定番で誤りとわかる。肢3は、所有の意思の存否の解釈から誤りとわかる。よって、消去法で肢2が正解と判断できる。

【問 11】 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(定期借地権及び一時使用目的の借地権となる契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があった場合において、借地権者が借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造することにつき借地権設定者の承諾がない場合でも、借地権の期間の延長の効果が生ずる。
2 転借地権が設定されている場合において、転借地上の建物が滅失したときは、転借地権は消滅し、転借地権者(転借人)は建物を再築することができない。
3 借地上の建物が滅失し、借地権設定者の承諾を得て借地権者が新たに建物を築造するに当たり、借地権設定者が存続期間満了の際における借地の返還確保の目的で、残存期間を超えて存続する建物を築造しない旨の特約を借地権者と結んだとしても、この特約は無効である。
4 借地上の建物所有者が借地権設定者に建物買取請求権を適法に行使した場合、買取代金の支払があるまでは建物の引渡しを拒み得るとともに、これに基づく敷地の占有についても、賃料相当額を支払う必要はない。

解答解説
1× 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき「借地権設定者の承諾がある場合に限り」、借地権の期間の延長の効果が生じる。借地権設定者の承諾がない場合には、この延長の効果は生じない。9-34借地借家法7条1項
2× 借地上の建物が滅失した場合には、借地権設定者の承諾の有無を問わず、借地権者は建物を再築することができる(借地権設定者の承諾がない場合には、借地権の期間が当然延長される効果は生じないが、建物の再築自体はできる。)。この規定は、転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について準用されている。9-34法7条3項
3〇 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権の期間の延長の効果が生じる。この規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。本肢のような特約は、借地権者に不利であり、無効である。9-51法7条1項、9条
4× 借地権者が建物買取請求権を行使した場合、相手方との間に売買契約が成立したのと同じ効果が生じる。したがって、借地権者は、同時履行の抗弁権又は留置権により、買取代金の支払があるまでは建物の引渡しを拒み得るという点は正しい。しかし、これに基づく敷地の占有によって得る賃料相当額の利益は不当利得として相手方に返還しなければならない。10-19成立肯定の判例・法13条1項
正解3
【ワンポイント】正解肢3は、感覚的にわかったと思う。肢4は、留置権の10-19で成立肯定の判例として紹介している。

【問 12】 Aは、B所有の甲建物(床面積100㎡)につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)をBと締結してその日に引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 BはAに対して、本件契約締結前に、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した賃貸借契約書を交付して説明すれば、本件契約を借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約として締結することができる。
2 本件契約が借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約であるか否かにかかわらず、Aは、甲建物の引渡しを受けてから1年後に甲建物をBから購入したCに対して、賃借人であることを主張できる。
3 本件契約が借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約である場合、Aの中途解約を禁止する特約があっても、やむを得ない事情によって甲建物を自己の生活の本拠として使用することが困難になったときは、Aは本件契約の解約の申入れをすることができる。
4 AがBに対して敷金を差し入れている場合、本件契約が期間満了で終了するに当たり、Bは甲建物の返還を受けるまでは、Aに対して敷金を返還する必要はない。

解答解説
1× 定期建物賃貸借は、公正証書による等「書面」によって契約をする必要があり、また、契約前に建物の賃貸人が、契約の更新がない等を記載した「書面」を交付して説明しなければならない。この二つの書面は別々のものであり、「賃貸借契約書」という一つの書面を交付して説明するだけでは不十分である。9-27法38条1項・3項
2〇 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。これは、定期建物賃貸借でも同様である。9-19法31条
3〇 居住の用に供する建物の賃貸借(床面積が200㎡未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。したがって、Aは本件契約の解約の申入れをすることができる。 9-27法38条7項・8項
4〇 賃貸人は、敷金を受け取っている場合において、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の「返還」を受けたときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。したがって、Bは甲建物の返還を受けるまでは、Aに対して敷金を返還する必要はない。9-23民法622条の2第1項1号
正解1
【ワンポイント】定期借家権の定番問題。

【問 13】 建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 管理者は、規約により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、その旨を各区分所有者に通知しなくてよい。
2 管理者がないときは、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
3 集会において、管理者の選任を行う場合、規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
4 管理組合(法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。

解答解説
1× 管理者は、「規約」により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。区分所有法26条5項 13-9参照
2〇 管理者がないときは、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。 13-13区分所有法34条5項
3〇 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。この場合の決議要件は、区分所有者及び議決権の各過半数となる。13-9区分所有法25条1項
4〇 管理組合は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。13-10区分所有法47条1項
正解1
【ワンポイント】肢1は、細かい。管理者は、集会の決議によって原告又は被告となったときは、その旨の通知は不要だが、規約によって原告又は被告となったときは、その旨の通知が必要である。ただ、この問題は、肢2~4が簡単だったので、消去法によっても正解は導ける。

【問 14】 不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 所有権の移転の登記の申請をする場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
2 所有権の移転の登記の申請をする場合において、当該申請を登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってするときは、登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由があるとみなされるため、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。 3 所有権の移転の登記の申請をする場合において、登記権利者が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたときは、当該登記に係る登記識別情報は通知されない。
4 所有権の移転の登記の申請をする場合において、その登記が完了した際に交付される登記完了証を送付の方法により交付することを求めるときは、その旨及び送付先の住所を申請情報の内容としなければならない。

解答解説
1〇 権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。14-9不動産登記法61条
2× 登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供しなければならない。これは、当該申請を登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってするときでも同様である。ただし、申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、登記識別情報の提供は不要となる。14-9法22条
3〇 登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合は、この限りでない。14-9法21条
4〇 送付の方法により登記完了証の交付を求める場合には、申請人は、その旨及び送付先の住所を申請情報の内容としなければならない。規則182条
正解 2
【ワンポイント】権利登記の申請に関する基本問題。

【問 15】 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 市街化区域については、都市計画に、少なくとも用途地域を定めるものとされている。
2 準都市計画区域については、都市計画に、特別用途地区を定めることができる。
3 高度地区については、都市計画に、建築物の容積率の最高限度又は最低限度を定めるものとされている。
4 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とされている。

解答解説
1〇 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとされている。1-3都市計画法13条1項7号
2〇 準都市計画区域については、都市計画に、①用途地域、②「特別用途地区」、③特定用途制限地域、④高度地区、⑤景観地区、⑥風致地区、⑦都市緑地法による緑地保全地域、⑧文化財保護法による伝統的建造物群保存地区を定めることができる。1-11・8条2項
3× 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の「高さ」の最高限度又は最低限度を定める地区とする。1-18・9条18項
4〇 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とする。1-5法9条12項
正解3
【ワンポイント】基本的な問題です。

【問 16】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1 市街化区域内において、市街地再開発事業の施行として行う1haの開発行為を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 区域区分が定められていない都市計画区域内において、博物館法に規定する博物館の建築を目的とした8,000㎡の開発行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。
3 自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内の土地を含んではならない。⇒×
4 市街化調整区域内における開発行為について、当該開発行為が開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがあるかどうかにかかわらず、都道府県知事は、開発審査会の議を経て開発許可をすることができる。

解答解説
1× 市街地再開発事業の施行として行う開発行為は、区域、規模を問わず開発許可は不要である。1-16法29条1項6号
2〇 公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は、開発許可が不要となるが、博物館法に規定する博物館の用に供する施設である建築物は、この公益上必要な建築物に該当する。1-16施行令21条17号
3× 自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為(自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為)にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の「土砂災害特別警戒区域」を含まないこととされている。単なる「土砂災害警戒区域」ではない。法33条1項8号
4× 都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における「市街化を促進するおそれがなく」、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為は、都道府県知事は開発許可をすることができる。当該開発行為が開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがあるかどうかにかかわらず、開発許可をすることができるのではない。法34条14号
正解2
【ワンポイント】肢3は、異常に細かい。しかし、正解肢2の「博物館」が初出題ながら、図書館(公益上必要な建築物の一つ)との類推で、許可不要と判断できるので、正解は容易に導ける。

【問 17】 建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 法の改正により、現に存する建築物が改正後の法の規定に適合しなくなった場合には、当該建築物は違反建築物となり、速やかに改正後の法の規定に適合させなければならない。
2 延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であれば建築確認を受ける必要はない。
3 地方公共団体は、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。
4 地方公共団体が、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定した場合には、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築は一律に禁止されることとなる。

解答解説
1× 建築基準法の規定の施行又は適用の際現に存する建築物等がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない(既存不適格建築物)。したがって、改正後の法の規定に適合しなくなったからといって、速やかに改正後の法の規定に適合させる必要はない。2-27法3条2項
2× 延べ面積が500㎡を超える建築物は、木造以外ならもとより、木造でも、大規模建築物に該当するので、都市計画区域外であっても、大規模な修繕をしようとする場合は、建築確認が必要となる。2-20法6条1項
3〇 地方公共団体は、一定の場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。法40条
4× 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。そして、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、条例で定める。災害危険区域に指定されたからといって、住居の用に供する建築物の建築が一律に禁止されるとは限らない。法39条
正解3
【ワンポイント】1・2は定番でいずれも誤りと判断できる。3・4は細かいことだが、不自然な強調をしている4(一律に禁止される)は誤りと見当がつく。以上から、消去法的に3が正しく、正解と導けよう。

【問 18】 次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 第一種低層住居専用地域内においては、神社、寺院、教会を建築することはできない。
2 その敷地内に一定の空地を有し、かつ、その敷地面積が一定規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの建蔽率、容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、関係規定による限度を超えるものとすることができる。
3 法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建築物が立ち並んでいる幅員1.8m未満の道で、あらかじめ、建築審査会の同意を得て特定行政庁が指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。
4 第一種住居地域内においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

解答解説
1× 神社、寺院、教会は、すべての用途地域で建築することができる。2-5法48条1項
2× その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その「建蔽率、容積率及び各部分の高さ」について総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの「容積率又は各部分の高さ」は、その許可の範囲内において、関係規定による限度を超えるものとすることができる。「建蔽率」は、関係規定による限度を超えることはできない。法59条の2第1項
3〇 法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、「特定行政庁」の指定したものは、道路とみなされる。そして、特定行政庁は、幅員1.8m未満の道を道路と指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。2-1法42条2項・6項
4× 「第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内」においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。第一種住居地域内においては、このような規定はない。2-8法55条1項
正解3
【ワンポイント】1・4は定番でいずれも誤りと判断できる。2・3は細かいことだが、いずれかが正しい、となったら、より正しそうな3が正しいと見当がつく。

【問 19】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1 宅地造成工事規制区域内において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。
2 宅地造成工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、造成主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。
3 宅地造成工事規制区域内で過去に宅地造成に関する工事が行われ、現在は造成主とは異なる者がその工事が行われた宅地を所有している場合において、当該宅地の所有者は宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならない。
4 宅地造成工事規制区域外に盛土によって造成された一団の造成宅地の区域において、造成された盛土の高さが5m未満の場合は、都道府県知事は、当該区域を造成宅地防災区域として指定することができない。

解答解説 
1〇 宅地造成工事規制区域内の宅地において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設又は地滑り抑止ぐい等の全部又は一部の除却の工事を行おうとする者は、その工事に着手する日の14日前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。5-6法15条2項
2〇 宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地にするために行う切土であって、切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるものに関する工事については、造成主は、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した宅地造成に関する工事については、この限りでない。5-5施行令3条1号
3〇 宅地造成工事規制区域内の宅地の「所有者」、管理者又は占有者は、宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。したがって、現在の宅地の所有者は、過去の宅地造成工事の造成主とは異なっていても、宅地の保全義務を負う。5-7法16条1項
4× 都道府県知事は、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって「政令で定める基準」に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。この「政令で定める基準」の中には、「盛土の高さが5m以上であるもの」というのがあるが、それ以外にもいくつか基準があり、盛土の高さが5m未満の場合でも、造成宅地防災区域を指定することができる場合がある。5-8施行令19条
正解4
【ワンポイント】基本的な出題です。正解肢4は細かいが、28年 問20 肢1にも出題がある。

【問 20】 次の記述のうち、土地区画整理法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある建築物の新築を行おうとする者は、土地区画整理組合の許可を受けなければならない。
2 土地区画整理組合は、定款に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。
3 仮換地を指定したことにより、使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地については、当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から換地処分の公告がある日までは、施行者が当該宅地を管理する。
4 清算金の徴収又は交付に関する権利義務は、換地処分の公告によって換地についての所有権が確定することと併せて、施行者と換地処分時点の換地所有者との間に確定的に発生するものであり、換地処分後に行われた当該換地の所有権の移転に伴い当然に移転する性質を有するものではない。

解答解説
1× 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある建築物の新築等を行おうとする者は、「都道府県知事等」の許可を受けなければならない。3-6法76条1項 2〇 換地処分は、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において、遅滞なく、しなければならない。ただし、規準、規約、「定款」又は施行規程に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。3-14法103条2項
3〇 仮換地を指定した場合において、それらの処分に因り使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地については、当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から換地処分の公告がある日までは、施行者がこれを管理するものとする。3-12法102条の2
4〇 換地計画において定められた清算金は、換地処分の公告があった日の翌日において確定する。したがって、換地処分後に行われた当該換地の所有権の移転に伴い当然に移転する性質を有するものではない。3-15法104条8項
正解1
【ワンポイント】定番問題です。プレゼント問題でしょう。

【問 21】 農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 農地の賃貸借及び使用貸借は、その登記がなくても農地の引渡しがあったときは、これをもってその後にその農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。
2 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。
3 法第4条第1項、第5条第1項の違反について原状回復等の措置に係る命令の対象となる者(違反転用者等)には、当該規定に違反した者又はその一般承継人は含まれるが、当該違反に係る土地について工事を請け負った者は含まれない。
4 法の適用については、土地の面積は、登記簿の地積によることとしているが、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき農業委員会が認定したところによる。

解答解説
1× 農地又は採草放牧地の「賃貸借」は、その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡があったときは、これをもってその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。が、使用貸借については、引渡しは対抗要件にはならない。 農地でなく一般的な使用貸借権は、土地でも建物でも、無償契約上の権利だということから第三者対抗要件は一切定められていない(権利11-20)ことを知っていれば、この記述が誤りであることは気づかれよう。⒋-13法16条
2× 農地所有適格法人以外の法人は、農地の所有権を取得して農業を営むことはできないが、耕作目的で農地を借り入れることはできる。法3条2項
3× 都道府県知事等は、第4条第1項、第5条第1項の規定に違反した者又はその一般承継人、これらの者から「工事その他の行為を請け負った者」に対して、相当の期限を定めて原状回復その他違反を是正するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。 法51条1項 4〇 この法律の適用については、土地の面積は、登記簿の地積による。ただし、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき、農業委員会が認定したところによる。法56条
正解4
【ワンポイント】肢1のヒッカケに気づけば、2~4のなかでもっとも正しそうなものを選ぶことになるが、それは4だということになるだろう。 なお、3と4は初見だが、2は、平成28 問22 肢2、平成30 問22 肢3で出題されています。

【問 22】 国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。
1 都市計画区域外において、A市が所有する面積15,000㎡の土地を宅地建物取引業者Bが購入した場合、Bは事後届出を行わなければならない。
2 事後届出において、土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転又は設定の対価の額については届出事項ではない。
3 市街化区域を除く都市計画区域内において、一団の土地である甲土地(C所有、面積3,500㎡)と乙土地(D所有、面積2,500㎡)を宅地建物取引業者Eが購入した場合、Eは事後届出を行わなければならない。
4 都道府県知事は、土地利用審査会の意見を聴いて、事後届出をした者に対し、当該事後届出に係る土地の利用目的について必要な変更をすべきことを勧告することができ、勧告を受けた者がその勧告に従わない場合、その勧告に反する土地売買等の契約を取り消すことができる。

解答解説
1× 本肢の土地取引は、A市が行っているが、当事者の一方又は双方が国・地方公共団体等である場合には、事後届出は不要である。6-2法23条2項
2× 事後届出における届出事項の一つとして、「土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転又は設定の対価の額」がある。6-1法23条1項6号
3〇 市街化区域を除く都市計画区域内の届出対象面積は5,000㎡であるが、Eが甲土地と乙土地を購入する「買いの一団」で、両者の合計面積は6,000㎡であるから、権利取得者であるEは事後届出を行わなければならない。6-1法23条2項1号ロ
4× 都道府県知事が、事後届出に係る土地の利用目的について必要な変更をすべきことを勧告した場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。しかし、勧告に反する土地売買等の契約を取り消すことはできない。6-3法26条
正解3
【ワンポイント】基本的な問題です。

【問 23】 印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の覚書又は契約書はいずれも書面により作成されたものとする。
1 土地を8,000万円で譲渡することを証した覚書を売主Aと買主Bが作成した場合、本契約書を後日作成することを文書上で明らかにしていれば、当該覚書には印紙税が課されない。
2 一の契約書に甲土地の譲渡契約(譲渡金額6,000万円)と、乙建物の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。
3 当初作成した土地の賃貸借契約書において「契約期間は5年とする」旨の記載がされていた契約期間を変更するために、「契約期間は10年とする」旨を記載した覚書を貸主Cと借主Dが作成した場合、当該覚書には印紙税が課される。
4 駐車場経営者Eと車両所有者Fが、Fの所有する車両を駐車場としての設備のある土地の特定の区画に駐車させる旨の賃貸借契約書を作成した場合、土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

解答解説
1× 課税物件となる「契約書」とは、契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問わず、契約の「成立」若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書をいう。したがって、本肢覚書も印紙税が課税される。印紙税法 別表第一 通則5
2× 一の文書に、課税物件表の同一の号の課税事項の記載金額が2以上ある場合は、当該記載金額の合計額が記載金額となる。したがって、本肢の記載金額は9,000万円である。 法基本通達24条(1)
3○ 課税物件となる「契約書」とは、契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問わず、契約の成立若しくは更改又は「契約の内容の変更」若しくは補充の事実を証すべき文書をいう。したがって、本肢覚書も印紙税が課税される。8-8法 別表第一 通則5
4× 土地の賃貸借契約書は、印紙税の課税対象となるが、建物や施設、物品などの賃貸借契約書は、印紙税の課税対象とならない。そして、本肢は車庫という施設の賃貸借契約書に当たるものと認められ、印紙税は課税されない。8-8法別表第一の一の2
正解3
【ワンポイント】肢4がわかりにくかったが、正解肢3は、わかったと思う。

【問 24】 固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 固定資産税の徴収については、特別徴収の方法によらなければならない。
2 土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿の縦覧期間は、毎年4月1日から、4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間である。
3 固定資産税の賦課期日は、市町村の条例で定めることとされている。
4 固定資産税は、固定資産の所有者に課するのが原則であるが、固定資産が賃借されている場合は、当該固定資産の賃借権者に対して課される。

解答解説
1× 固定資産税の徴収については、「普通徴収」の方法によらなければならない。8-4地方税法364条1項
2〇 市町村長は、毎年4月1日から、4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿を固定資産税の納税者の縦覧に供しなければならない。8-5地方税法416条1項
3× 固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日と決められており、市町村の条例で定めるわけではない。8-4地方税法359条
4× 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。)に課する。賃借権者に対して課されるわけではない。8-4地方税法343条1項
正解2
【ワンポイント】基本的な問題です。

【問 25】 地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を判定したときは、標準地の単位面積当たりの価格のほか、当該標準地の地積及び形状についても官報で公示しなければならない。
2 正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引(一定の場合を除く。)において通常成立すると認められる価格をいい、当該土地に建物がある場合には、当該建物が存するものとして通常成立すると認められる価格をいう。
3 公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準とする必要があり、その際には、当該土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該土地の価格との間に均衡を保たせる必要がある。
4 公示区域とは、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域のうち、国土利用計画法第12条第1項の規定により指定された規制区域を除いた区域をいう。

解答解説
1〇 土地鑑定委員会が公示する事項には、標準地の単位面積当たりの価格以外にも、「標準地の地積及び形状」が含まれる。7-9法6条3項
2× 公示される「正常な価格」とは、土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいい、当該土地に建物その他の定着物がある場合には、これらの定着物が「存しない」ものとして通常成立すると認められる価格をいう。7-8法2条2項
3〇 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない。そして、この「規準」とは、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる一又は二以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行ない、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。7-7法13条
4〇 公示区域とは、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法第12条第1項の規定により指定された規制区域を除く。)をいう。7-7法2条1項
正解2
【ワンポイント】肢2は誤りの定番記述。プレゼント問題である。

【問 26】 宅地建物取引業法第3条第1項に規定する事務所(以下この問において「事務所」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 事務所とは、契約締結権限を有する者を置き、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所を指すものであるが、商業登記簿に登載されていない営業所又は支店は事務所には該当しない。
2 宅地建物取引業を営まず他の兼業業務のみを営んでいる支店は、事務所には該当しない。
3 宅地建物取引業者は、主たる事務所については、免許証、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、30日以内に必要な措置を執らなければならない。

解答解説
1× 事務所とは、本店又は支店のほか、継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くものをいう。そして、商業登記簿に登載されている必要はない。1-10施行令1条の2第2号
2〇 事務所のうち、本店又は支店は、商業登記簿等に登載されたもので、継続的に宅地建物取引業者の営業の拠点となる施設としての実体を有するものが該当し、宅地建物取引業を営まない支店は該当しないものとする。1-10施行令1条の2第1号
3× 宅地建物取引業者は、主たる事務所については、「標識」及び国土交通大臣が定めた「報酬の額」を掲げ、「従業者名簿」及び「帳簿」を備え付ける義務を負うが、「免許証」については、主たる事務所に掲げる必要はない。3-2・4参照
4× 宅地建物取引業者は、法定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を設置していない事務所等を開設してはならず、既存の事務所等がこの規定に抵触するに至ったときは、「2週間」以内に、この規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。2-15法31条の3第3項
正解2
【ワンポイント】基本的な出題です。

【問 27】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることができる報酬についての次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aが、Bから売買の媒介を依頼され、Bからの特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。
2 Aが、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。
3 Aが居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。
4 Aは、土地付建物について、売主Bから媒介を依頼され、代金300万円(消費税等相当額を含み、土地代金は80万円である。)で契約を成立させた。現地調査等の費用については、通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する旨、Bに対して説明し、合意の上、媒介契約を締結した。この場合、AがBから受領できる報酬の限度額は20万200円である。

解答解説
1〇 依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することができる。よって、宅地建物取引業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査に要する実費の費用に相当する額を受領することができる。 5-16報酬告示第9①
2× 宅地又は建物の使用貸借の媒介に関して受けることのできる報酬の額は、当該宅地又は建物の通常の借賃を基準に報酬の限度額を決める。そして、この「宅地又は建物の通常の借賃」の算定に当たっては、「必要に応じて」不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとされている。不動産鑑定業者の鑑定評価を「求めなければならない」というのは、誤り。5-13報酬告示第4 常識的にも、無料の使用貸借の媒介の報酬で、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めるのは、大げさだろう。
3× 宅地建物取引業者が居住の用に供する建物の貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内であるという点は正しい。そして、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合には、これを超えることができるが、その場合でも、双方から受ける報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてはならない。5-13報酬告示第4
4× 400万円以下の宅地又は建物の売買の媒介であって、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引業者が依頼者(売主に限る。)から受けることのできる報酬の額は、18万円×1.1(消費税)を限度として、通常の売買の媒介の報酬額に当該現地調査等に要する費用に相当する額を合計した金額以内である。記述の20万200円は、受領限度額の18万円の1.1倍に相当する金額(19.8万円)を超えているので、誤りとなる。5-10報酬告示第7
なお、20万200円は、通常の売買の媒介の報酬額に当該現地調査等に要する費用に相当する額を合計した金額である。(土地代金は80万円で、土地は消費税非課税なので、80万円が計算の基礎となる。建物代金は220万円だが、建物には消費税がかかるので、200万円が計算の基礎となる。結局、報酬計算の基礎となる土地付建物の取引金額は280万円となる。これを基礎に通常の報酬計算をすると、280万円×4%+2万円=13.2万円。これに現地調査等の費用5万円と消費税を加えると、(13.2万円+5万円)×1.1=20.02万円となる。)
正解1
【ワンポイント】報酬計算以外のところに正解があり、そこに気が付けば簡単な問題。

【問 28】 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者が、宅地建物取引業者ではない個人から媒介業者の仲介なしに土地付建物を購入する場合、買主である宅地建物取引業者は重要事項説明書を作成しなくても宅地建物取引業法違反とはならない。
2 宅地建物取引業者が、重要事項説明書を作成する際、調査不足のため、重要事項説明書に記載された内容が事実と異なるものとなったが、意図的に事実と異なる内容を記載したものではないため、宅地建物取引業法違反とはならない。
3 宅地建物取引業者は、土地売買の媒介を行う場合、宅地建物取引業者ではない売主に対して契約が成立する前までの間に、宅地建物取引士をして重要事項説明書を交付して説明をさせなければならない。
4 宅地又は建物の取引は権利関係や法令上の制限など取引条件に関する事項が複雑で多岐にわたるため、重要事項説明書は、宅地又は建物の取引の専門的知識を有する宅地建物取引士が作成しなければならない。

解答解説
1〇 重要事項の説明は、買主になろうとする者に対して行うものであるから、買主である宅地建物取引業者は重要事項説明書を作成しなくても宅地建物取引業法違反とはならない。6-1法35条1項
2× 重要事項説明書に記載された内容が事実と異なる場合には、たとえそれが意図的に事実と異なる内容を記載したものではなかったとしても、宅地建物取引業法違反となる。 6-1法35条1項
3× 重要事項の説明は、買主になろうとする者に対して行うものであり、売主に対して重要事項の説明をする必要はない。6-1法35条1項
4× 宅地建物取引業法上、宅地建物取引士に要求されているのは、重要事項の説明書の記名押印と説明だけであり、重要事項の説明書の作成は要求されていない。6-1法35条1項 正解1
【ワンポイント】超基本的問題。

【問 29】 宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 宅地建物取引士は、禁錮以上の刑に処せられた場合、刑に処せられた日から30日以内に、その旨を宅地建物取引士の登録を受けた都道府県知事に届け出なければならない。
2 宅地建物取引士は、業務に関して事務禁止の処分を受けた場合、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならず、これを怠った場合には罰則の適用を受けることがある。
3 宅地建物取引士は、有効期間の満了日が到来する宅地建物取引士証を更新する場合、国土交通大臣が指定する講習を受講しなければならず、また、当該宅地建物取引士証の有効期間は5年である。
4 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用を害するような行為をしてはならず、信用を害するような行為には、宅地建物取引士の職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。

解答解説
1〇 宅地建物取引士の登録を受けている者が禁錮以上の刑に処せられた場合においては、当該宅地建物取引士は、その日から30日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。2-13法21条2号
2〇宅地建物取引士は、事務禁止の処分を受けたときは、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。この規定に違反した者は、10万円以下の過料に処する。2-10法22条の2第7項
3× 宅地建物取引士証の更新を受けようとする者は、登録をしている「都道府県知事」が指定する講習で交付の申請前6月以内に行われるものを受講しなければならない。なお、宅地建物取引士証の有効期間は、5年であるという点は正しい。2-9法22条の2第2項・3項
4○ 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。そして、宅地建物取引士の信用を傷つけるような行為とは、宅地建物取引士の職責に反し、または職責の遂行に著しく悪影響を及ぼすような行為で、宅地建物取引士としての職業倫理に反するような行為であり、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。2-3法15条の2
正解3
【ワンポイント】基本的な問題です。

【問 30】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)及び犯罪による収益の移転防止に関する法律の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 法第35条第2項の規定による割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後6か月以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
イ 犯罪による収益の移転防止に関する法律において、宅地建物取引業のうち、宅地若しくは建物の売買契約の締結又はその代理若しくは媒介が特定取引として規定されている。
ウ 宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならないと法に定められている。
エ 宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないと法に定められている。
1 一つ   2 二つ   3 三つ   4 なし

解答解説
ア× 割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後「1年」以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。6-10法35条2項
イ〇 特定事業者は、顧客等との間で、特定業務のうち特定取引を行うに際しては、当該顧客等について、一定の事項の確認を行わなければならないが、この特定取引の中には、宅地建物取引業のうち、宅地又は建物の売買契約の締結又はその代理若しくは媒介が含まれている。犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令7条1項5号
ウ〇 宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない。7-1法31条の2
エ〇 宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。 7-8法75条の3 以上、正しいものは、イ、ウ及びエの3つ。
正解3
【ワンポイント】初見のイが難しい。個数問題なので、結局難問となった。

【問 31】 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の土地付建物の売却について媒介の依頼を受けた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aが、Bと一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該土地付建物の価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。
2 Aは、Bとの間で締結した媒介契約が一般媒介契約である場合には、専任媒介契約の場合とは異なり、法第34条の2第1項の規定に基づく書面に、売買すべき価額を記載する必要はない。
3 Aが、Bとの間で締結した専任媒介契約については、Bからの申出により更新することができ、その後の有効期間については、更新の時から3か月を超える内容に定めることができる。 4 Aが、当該土地付建物の購入の媒介をCから依頼され、Cとの間で一般媒介契約を締結した場合、Aは、買主であるCに対しては、必ずしも法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなくともよい。

解答解説
1〇 宅地建物取引業者は、売買すべき価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。そして、この根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できない。このことは一般媒介契約・専任媒介契約を問わない。5-4法34条の2第2項
2× 宅地建物取引業者は、法第34条の2第1項の規定に基づく書面に「当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額」を記載しなければならない。これは一般媒介契約・専任媒介契約を問わない。5-3法34条の2第1項2号
3× 専任媒介契約の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から3月を超えることができない。5-6法34条の2第4項
4× 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の「売買」又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。これは、買主と一般媒介契約を締結した場合でも同様である。5-2法34条の2第1項
正解1
【ワンポイント】超基本的な問題。

【問 32】 宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 宅地建物取引業者である売主Aは、宅地建物取引業者であるBの媒介により、宅地建物取引業者ではないCと宅地の売買契約を令和4年4月1日に締結した。AとBが共同で作成した37条書面にBの宅地建物取引士の記名押印がなされていれば、Aは37条書面にAの宅地建物取引士をして記名押印をさせる必要はない。
2 宅地建物取引士は、37条書面を交付する際、買主から請求があったときは、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
3 宅地建物取引業者である売主Dと宅地建物取引業者ではないEとの建物の売買契約において、手付金の保全措置を講ずる場合、Dはその保全措置の概要を、重要事項説明書に記載し説明する必要があるが、37条書面には記載する必要はない。
4 宅地建物取引業者である売主と宅地建物取引業者ではない個人との建物の売買において、建物の品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について特約を定めたときは、37条書面にその内容を記載しなければならない。

解答解説
1× 宅地建物取引業者は、37条書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。そして、一つの取引に複数の業者が関与する場合は、それぞれの立場から宅地建物取引士の記名押印のある37条書面の交付が必要であるから、AとBが共同で作成した37条書面には、Bの宅地建物取引士の記名押印とAの宅地建物取引士の記名押印の両方が必要となる。6-12法37条3項
2〇 宅地建物取引士は、単に37条書面を交付するだけであれば、宅地建物取引士証の提示は不要であるが、その際買主から宅地建物取引士証の提示を要求されれば、一般的に取引の関係者から請求があった場合として、宅地建物取引士証を提示しなければならない。2-10法22条の4
3〇 手付金等を受領しようとする場合における保全措置の概要は、35条書面の記載事項ではあるが、37条書面の記載事項ではない。6-4法35条1項10号、6-11・37条1項参照 4〇 「当該宅地若しくは建物が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容」というのは、37条書面の記載事項である。6-14法37条1項11号
正解1
【ワンポイント】基本的な出題です。

【問 33】 宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引士資格試験は未成年者でも受験することができるが、宅地建物取引士の登録は成年に達するまでいかなる場合にも受けることができない。
イ 甲県知事登録の宅地建物取引士が、宅地建物取引業者(乙県知事免許)の専任の宅地建物取引士に就任するためには、宅地建物取引士の登録を乙県に移転しなければならない。 ウ 丙県知事登録の宅地建物取引士が、事務の禁止の処分を受けた場合、丁県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときでも、その禁止の期間が満了するまで、宅地建物取引士の登録の移転を丁県知事に申請することができない。
エ 戊県知事登録の宅地建物取引士が、己県へ登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付を申請した場合、己県知事が宅地建物取引士証を交付するときは、戊県で交付された宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。
1 一つ   2 二つ   3 三つ   4 四つ

解答解説
ア× 宅地建物取引士資格試験については、未成年者でも受験することができる。そして、宅地建物取引士の登録については、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を「有しない」未成年者は登録を受けることができないが、成年者と同一の行為能力を「有する」未成年者については、登録を受けることができる。2-6法18条1項1号
イ× 宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士については、特にどの都道府県知事の登録が必要であるかというような制限はない。2-15法31条の3第1項参照
ウ〇 宅地建物取引士の登録を受けている者は、当該登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときは、登録の移転の申請をすることができる。ただし、その者が事務禁止の処分を受け、その禁止の期間が満了していないときは、この限りでない。2-12法19条の3
エ〇 宅地建物取引士が、登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請をしたときは、移転後の都道府県知事は、従前の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。2-12法22条の2第5項   以上、正しいものは、ウとエの二つ。
正解2 【ワンポイント】基本的な個数問題

【問 34】 宅地建物取引業者が建物の売買の媒介の際に行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
1 当該建物が既存の建物であるときは、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を過去1年以内に実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。
2 当該建物が宅地造成等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。
3 当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。
4 当該建物(昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したもの)が指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その旨を説明しなければならない。

解答解説
1〇 「当該建物が既存の建物であるときは、建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要」は、重要事項の説明対象である。6-8法35条1項6号の2
2〇 「当該宅地又は建物が宅地造成等規制法により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨」は、重要事項の説明対象である。6-5施行規則16条の4の3第1号
3〇 「当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容」は、重要事項の説明対象である。6-5施行規則16条の4の3第4号
4× 当該建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体が行う耐震診断を受けたものであるときは、その「内容」が重要事項の説明対象である。単に耐震診断を受けた旨の説明だけでは足りない。6-5施行規則16条の4の3第5号
正解4
【ワンポイント】正解肢4は、きついヒッカケ。

【問 35】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。
2 宅地建物取引業者Aが所有する甲建物を法人Bに売却するに当たり、Bが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、AはBに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。
3 法人Cが所有する乙建物の個人Dへの賃貸を宅地建物取引業者Eが媒介し、当該賃貸借契約が成立したときは、EはDに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。
4 宅地建物取引業者Fが所有する丙宅地を法人Gに売却する契約を締結したとき、Gが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、FはGに対し、法第37条の規定に基づく書面を交付しなければならない。

解答解説
1× 宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならない。これは、事務所で提示を求められた場合も同様で、従業者名簿や宅地建物取引士証の提示でこれに代えることはできない。3-1法48条2項
2× 買主となろうとするものが宅地建物取引業者であるときは、重要事項の説明書の交付は必要であるが、重要事項の「説明」は不要である。6-1法35条6項
3× 重要事項の説明は、契約が成立するまでの間にする必要があるが、記述では「当該賃貸借契約が成立したときは、EはDに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。」としており、契約成立後に説明するとするもので、誤りである。6-1法35条1項
4〇 宅地建物取引業者は、宅地の売買に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を交付しなければならない。これは、宅地建物取引業者相互間の取引にも適用される。6-12法37条1項
正解4
【ワンポイント】正解肢は、基本。

【問 36】 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
1 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは当該建物の検査済証(宅地建物取引業法施行規則第16条の2の3第2号に定めるもの)の保存の状況について説明しなければならず、当該検査済証が存在しない場合はその旨を説明しなければならない。
2 宅地の売買の媒介を行う場合、売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明しなければならない。
3 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面にその位置が表示されている場合には、該図面が存在していることを説明すれば足りる。
4 自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、当該建物の引渡しの時期について説明しなければならない。

解答解説
1〇 当該建物が既存の建物であるときは、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの「保存の状況」を説明しなければならない。したがって、当該検査済証が存在しない場合はその旨を説明しなければならない。6-8法35条1項6号の2ロ
2× 代金、交換差金及び借賃「以外」に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的は説明する必要があるが、売買代金そのものについては、その額並びにその支払の時期及び方法を説明する必要はない。6-4法35条1項7号参照
3× 水防法施行規則の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の「所在地」を説明しなければならない。単に当該図面が存在していることを説明するだけでは足りない。6-5施行規則16条の4の3第3号の2
4× 建物の引渡しの時期は、重要事項の説明対象にはなっていない。引き渡しの時期は、37条書面の必要的記載事項である。6-3法35条1項参照
正解1
【ワンポイント】1・3は、近年追加された説明事項から、2・4は37条書面のかならず記載の事項で重説事項ではないところからの出題。

【問 37】 宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア Aが未完成の建売住宅を販売する場合、建築基準法第6条第1項に基づく確認を受けた後、同項の変更の確認の申請書を提出している期間においては、変更の確認を受ける予定であることを表示し、かつ、当初の確認内容を合わせて表示すれば、変更の確認の内容を広告することができる。
イ Aが新築住宅の売買に関する広告をインターネットで行った場合、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を行ったが、当該広告について問合せや申込みがなかったときは、法第32条に定める誇大広告等の禁止の規定に違反しない。
ウ Aが一団の宅地の販売について、数回に分けて広告をするときは、そのたびごとに広告へ取引態様の別を明示しなければならず、当該広告を見た者から売買に関する注文を受けたときも、改めて取引態様の別を明示しなければならない。
1 一つ   2 二つ   3 三つ   4 なし

解答解説
ア〇 宅地建物取引業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築基準法第6条第1項の確認があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。7-3法33条 その際、当初の確認を受けた後、変更の確認の申請を建築主事へ提出している期間、又は提出を予定している場合においては、変更の確認を受ける予定である旨を表示し、かつ、当初の確認の内容も当該広告にあわせて表示すれば、変更の確認の内容を広告しても差し支えないものとする(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。
イ× 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、一定の事項について、実際のものよりも著しく優良であり、又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。これは、このような広告自体が禁止されているのであり、当該広告について問合せや申込みがなかったときでも、この誇大広告等の禁止の規定に違反する。7-2法32条
ウ〇 宅地建物取引業者は、宅地の売買に関する広告をするとき、及び注文を受けたときは、取引態様の別を明示しなければならない。これは、数回に分けて広告をするときでも、そのたびごとに広告へ取引態様の別を明示しなければならない。7-4法32条
以上正しいものは、アとウの2つ。
正解2
【ワンポイント】アは、難問。個数問題だから、正解率は極端に低くなった。

【問 38】 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買契約について、買受けの申込みを喫茶店で行った場合における宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 買受けの申込みをした者が、売買契約締結後、当該宅地の引渡しを受けた場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。
2 買受けの申込みをした者が宅地建物取引業者であった場合、クーリング・オフについて告げられていなくても、申込みを行った日から起算して8日を経過するまでは、書面により買受けの申込みの撤回をすることができる。
3 売主業者の申出により、買受けの申込みをした者の勤務先で売買契約を行った場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことはできない。
4 クーリング・オフによる売買契約の解除がなされた場合において、宅地建物取引業者は、買受けの申込みをした者に対し、速やかに、当該売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。

解答解説
1× 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときは、クーリング・オフできなくなるが、宅地の引渡しを受けただけであれば、クーリング・オフできる。7-14法37条の2第1項2号
2× 宅地建物取引業者相互間の取引については、クーリング・オフできない。7-12法37条の2第1項1号
3× 当該宅地建物取引業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相手方の自宅又は勤務する場所で買受けの申込みをした場合にはクーリング・オフできないが、売主業者が申し出た場合の勤務先で買受けの申込をした場合には、クーリング・オフできる。7-13施行規則16条の5第2号
4〇 申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。7-15法37条の2第3項
正解4
【ワンポイント】クーリング・オフの要件効果の各論点を問うもの。

【問 39】 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 保証協会は、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者から認証申出書の提出があり、認証に係る事務を処理する場合には、各月ごとに、認証申出書に記載された取引が成立した時期の順序に従ってしなければならない。
2 保証協会は、当該保証協会の社員から弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を当該社員の主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
3 保証協会の社員が弁済業務保証金分担金を納付した後に、新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金について、国債証券をもって充てることができる。
4 宅地建物取引業者と宅地の売買契約を締結した買主(宅地建物取引業者ではない。)は、当該宅地建物取引業者が保証協会の社員となる前にその取引により生じた債権に関し、当該保証協会が供託した弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する。

解答解説
1× 保証協会は、認証に係る事務を処理する場合には、認証申出書の「受理」の順序に従ってしなければならない。認証申出書に記載された取引が成立した時期の順序に従うわけではない。施行規則26条の7
2× 保証協会は、弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならないが、その供託先は、当該社員の主たる事務所の最寄りの供託所ではなく、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所である。 4-15法64条の7第2項
3× 保証協会の社員は、弁済業務保証金分担金を納付した後に、新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。この分担金の納付について、国債証券をもって充てることができる旨の規定はなく、金銭で納付しなければならない。4-14法64条の9第2項
4〇 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(社員とその者が「社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含み」、宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該保証協会が供託した弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する。4-16法64条の8第1項
正解4
【ワンポイント】 1以外基本的な事項。1は、消去法でも常識判断でも誤りとわかる。

【問 40】 建物の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者が、その取引の相手方(宅地建物取引業者を除く。)に対して、次のアからエの発言に続けて宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った場合のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。
ア 本日は重要事項の説明を行うためにお電話しました。お客様はIT環境をお持ちでなく映像を見ることができないとのことですので、宅地建物取引士である私が記名押印した重要事項説明書は現在お住まいの住所に郵送いたしました。このお電話にて重要事項の説明をさせていただきますので、お手元でご覧いただきながらお聞き願います。
イ 建物の貸主が宅地建物取引業者で、代表者が宅地建物取引士であり建物の事情に詳しいことから、その代表者が作成し、記名押印した重要事項説明書がこちらになります。当社の宅地建物取引士は同席しますが、説明は貸主の代表者が担当します。
ウ この物件の担当である弊社の宅地建物取引士が本日急用のため対応できなくなりましたが、せっかくお越しいただきましたので、重要事項説明書にある宅地建物取引士欄を訂正の上、宅地建物取引士である私が記名押印をし、代わりに説明をいたします。私の宅地建物取引士証をお見せします。
エ 本日はお客様のご希望ですので、テレビ会議を用いて重要事項の説明を行います。当社の側の音声は聞こえていますでしょうか。十分に聞き取れたとのお返事、こちらにも聞こえました。では、説明を担当する私の宅地建物取引士証をお示ししますので、画面上でご確認をいただき、私の名前を読み上げていただけますでしょうか。そうです、読み方も間違いありません。それでは、双方音声・映像ともやりとりできる状況ですので、説明を始めます。事前にお送りした私が記名押印した重要事項説明書をお手元にご用意ください。
1 一つ   2 二つ   3 三つ   4 四つ

解答解説
ア 違反する。重要事項の説明は、テレビ会議等のITを活用する場合以外では、対面で行わなければならない。6-1・2法35条
イ 違反する。自ら貸借する行為は宅地建物取引業に該当しないので、建物の貸主は重要事項の説明を行う義務はない。本肢では、媒介業者が重要事項の説明を行わなければならない。が、媒介業者の業務に従事する宅建士ではなく、貸主の代表が説明しているので、宅建業法に違反している。6-1法35条1項
ウ 違反しない。重要事項の説明は、宅地建物取引士の資格を有している者が行う必要があるが、物件の担当者が行う必要はない。よって、本肢のような重要事項の説明も認められる。6-1法35条1項
エ 違反しない。重要事項の説明にITを活用するには、宅地建物取引士が映像及び音声の状況について双方向でやりとりできる環境を確認し、重要事項説明書をあらかじめ交付した上で、宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認する必要があるが、本肢では、これらをすべて満たしているので、このような重要事項の説明も宅建業法に違反しない。6-2法35条1項 以上、宅建業法に違反しないのは、ウとエの二つ。正解2。
【ワンポイント】違反か違反しないか微妙なケースだが、落ち着いて考えれば正解できる。

【問 41】 営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引業者の代表者が、その業務に関し刑法第222条(脅迫)の罪により懲役の刑に処せられたことを理由に宅地建物取引業の免許を取り消された場合、当該宅地建物取引業者であった者は、当該刑の執行を終わった日から5年間は供託した営業保証金を取り戻すことができない。
イ 営業保証金の還付により、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったため、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた宅地建物取引業者は、その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
ウ 保証協会の社員は、自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならな
い。
エ 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が納付した弁済業務保証金の額に相当する額の範囲内において弁済を受ける権利を有する。
1 一つ   2 二つ   3 三つ   4 四つ

解答解説
ア× 営業保証金は、宅地建物取引業の免許を取り消された場合でも取り戻すことができる。問題文のように、刑の執行を終わった日から5年間取り戻せないというような制限はない。4-9法30条1項
イ〇 宅地建物取引業者は、営業保証金の還付により、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったときは、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。4-8法28条1項
ウ〇 保証協会は、宅地建物取引業者の相手方等から申出のあった苦情の解決について必要があると認めるときは、当該社員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。そして、社員は、保証協会からこの求めがあったときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。4-12法64条の5第3項
エ× 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき「営業保証金の額」に相当する額の範囲内において、弁済を受ける権利を有する。「弁済業務保証金の額」ではない。4-18法64条の8第1項
以上より、誤っているものは、アとエの二つ。正解2
【ワンポイント】基本的な個数問題である。慎重に切ろう。

【問 42】 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却を依頼され、Bと専属専任媒介契約(以下この問において「本件媒介契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 AはBに対して、契約の相手方を探索するために行った措置など本件媒介契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
2 AがBに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもどちらでもよい。
3 本件媒介契約の有効期間について、あらかじめBからの書面による申出があるときは、3か月を超える期間を定めることができる。
4 Aは所定の事項を指定流通機構に登録した場合、Bから引渡しの依頼がなければ、その登録を証する書面をBに引き渡さなくてもよい。

解答解説
1× 専属専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、依頼者に対し、当該専属専任媒介契約に係る業務の処理状況を「1週間」に1回以上報告しなければならない。5-6法34条の2第9項
2〇 宅地建物取引業者は、売買すべき価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。この根拠の明示は、書面でしなければならない旨の規定はなく、口頭でも書面を用いてもどちらでもよい。5-4法34条の2第2項
3× 専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができない。これは依頼者から書面による申出があった場合でも同様であり、これに反する特約は、無効となる。5-6法34条の2第3項 4× 指定流通機構に登録をした宅地建物取引業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。これは、依頼者からの依頼がなくても引き渡す必要がある。5-6法34条の2第6項
正解2 【ワンポイント】基本的な問題です。

【問 43】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として行う売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
1 Aが、宅地又は建物の売買契約に際して手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。
2 Aが、土地付建物の売買契約を締結する場合において、買主との間で、「売主は、売買物件の引渡しの日から1年間に限り当該物件の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保する責任を負う」とする旨の特約を設けることができる。
3 販売代金2,500万円の宅地について、Aが売買契約の締結を行い、損害賠償の額の予定及び違約金の定めをする場合、その合計額を500万円と設定することができる。
4 Aが建物の割賦販売を行った場合、当該建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の10分の3を超える額の支払を受けた後は、担保の目的で当該建物を譲り受けてはならない。

解答解説
1〇 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。 7-17法39条2項
2× 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を「通知すべき期間」についてその目的物の引渡しの日から「2年以上」となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。本肢の特約は、担保責任の追及期間を制限していない民法より買主に不利であり無効となる。7-21法40条
3〇 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならない。本肢では、500万円は、売買代金の額の2割であり、このように設定することも可能である。7-17法38条
4〇 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地又は建物の割賦販売を行なった場合には、当該宅地又は建物を引き渡し、かつ、代金の額の10分の3を超える額の金銭の支払を受けるまでに、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。7-23法43条
正解2
【ワンポイント】この問題も、基本的です。

【問 44】 宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業者Aが法の規定に違反するものはどれか。
1 Aは、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅地建物取引業者Cが関与していたことから、37条書面をBに加え、Cにも交付した。
2 Aは、その媒介により建物の貸借の契約を成立させ、37条書面を借主に交付するに当たり、37条書面に記名した宅地建物取引士が不在であったことから、宅地建物取引士ではないAの従業員に書面を交付させた。
3 Aは、その媒介により借主Dと建物の貸借の契約を成立させた。この際、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるので、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、Dに交付した。
4 Aは、自ら売主として宅地建物取引業者Eの媒介により、宅地建物取引業者Fと宅地の売買契約を締結した。37条書面については、A、E、Fの三者で内容を確認した上で各自作成し、交付せずにそれぞれ自ら作成した書類を保管した。

解答解説
1 違反しない。宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を交付しなければならない。この場合、代理業者のCに対しては、37条書面を交付する義務はないが、交付すること自体は差し支えない。6-12法37条1項
2 違反しない。宅地建物取引業者は、37条書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。そして、この37条書面を「交付」するのは、宅地建物取引士である必要はない。6-12法37条3項
3 違反しない。貸借の契約を成立させた場合の37条書面には、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び「目的」を記載する必要がある。6-14法37条2項3号
4 違反する。宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、37条書面を「交付」しなければならない。37条書面を交付せずにそれぞれ自ら作成した書類を保管することは認められていない。6-12法37条1項
正解4
【ワンポイント】引き続き基本問題。

【問 45】 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物取引業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し、その住宅を引き渡す場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。
2 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡し時から10年以上有効でなければならないが、当該新築住宅の買主の承諾があれば、当該保険契約に係る保険期間を5年間に短縮することができる。
3 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅(住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。)について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。
4 宅地建物取引業者が住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、基準日において、販売新築住宅の合計戸数を基礎として算定する基準額を超えることとなった場合、宅地建物取引業法の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認がなくても、その超過額を取り戻すことができる。

解答解説
1× 宅地建物取引業者が、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負うのは、自ら売主として「宅地建物取引業者でない買主」との間で新築住宅の売買契約を締結し、その住宅を引き渡す場合である。7-24住宅瑕疵担保履行法2条7項2号ロ
2× 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の買主が当該新築住宅の売主である宅地建物取引業者から当該新築住宅の引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたって有効であることが必要である。買主の承諾があるからといって、当該保険契約に係る保険期間を5年間に短縮することはできない。7-27法2条7項4号
3〇 宅地建物取引業者は、毎年、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。7-25法11条1項
4× 宅地建物取引業者であった者は、基準日において当該住宅販売瑕疵担保保証金の額が当該基準日に係る基準額を超えることとなったときは、その超過額を取り戻すことができる。この取戻しは、宅地建物取引業法の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の「承認を受けなければ」、することができない。7-25法16条
正解3
【ワンポイント】正解肢3は、法改正がズバリ出された。

【問 46】 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 機構は、住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受けを業務として行っているが、当該住宅の建設又は購入に付随する土地又は借地権の取得に必要な資金については、譲受けの対象としていない。
2 機構は、団体信用生命保険業務において、貸付けを受けた者が死亡した場合のみならず、重度障害となった場合においても、支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当することができる。
3 証券化支援事業(買取型)において、機構による譲受けの対象となる貸付債権の償還方法には、元利均等の方法であるものに加え、元金均等の方法であるものもある。
4 機構は、証券化支援事業(買取型)において、MBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。

解答解説
1× 機構は、住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受けを行うことができるだけでなく、当該住宅の建設に付随する土地又は借地権の取得に必要な資金の貸付債権の譲受けを行うこともできる。9-4住宅金融支援機構法施行令5条1号
2〇 機構は、貸付けを受けた者とあらかじめ契約を締結して、その者が死亡した場合(「重度障害の状態となった場合を含む」。)に支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当することができる。9-3法13条1項11号
3〇 機構が債権譲受けの業務により譲り受ける貸付債権は、毎月払い(6箇月払いとの併用払いを含む。)の元金均等又は元利均等の方法により償還されるものであることが必要である。業務方法書3条6号
4〇 機構は、証券化支援事業(買取型)において、MBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。9-4
正解1
【ワンポイント】過去問で出ている記述ばかりである。

【問 47】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 物件からスーパーマーケット等の商業施設までの徒歩所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは、端数を切り捨てて表示しなければならない。
2 インターネット上に掲載した賃貸物件の広告について、掲載直前に契約済みとなっていたとしても、消費者からの問合せに対して既に契約済みであり取引できない旨を説明すれば、不当表示に問われることはない。
3 マンションの管理費について、住戸により管理費の額が異なる場合において、その全ての住宅の管理費を示すことが困難であるときは、最高額のみを表示すればよい。
4 建築条件付土地の取引の広告においては、当該条件の内容、当該条件が成就しなかったときの措置の内容だけでなく、そもそも当該取引の対象が土地であることも明らかにして表示しなければならない。

解答解説
1× 徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、「1分」として算出すること。つまり、1分未満の端数は切り上げる必要がある。10-4公正競争規約施行規則9条(9)
2× 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示はしてはならない。契約済みの物件はこれに該当する。公正競争規約21条(2)
3× 管理費については、住戸により管理費の額が異なる場合において、その全ての住宅の管理費を示すことが困難であるときは、「最低額」及び最高額のみで表示することができる。公正競争規約施行規則9条(41)・10-5参
4〇 建築条件付土地取引に関する広告表示については、「建築条件が成就しない場合においては、土地売買契約は、解除され、かつ、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、全て遅滞なく返還する旨」だけでなく、「取引の対象が建築条件付土地である旨」を分かりやすい表現で表示しなければならない。公正競争規約6条(1)3ア・ウ
正解4
【ワンポイント】正解肢4は初出題だが、他の肢は既出の問題だから、消去法で正解できよう。

【問 48】 次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建築着工統計調査報告(令和3年計。令和4年1月公表)によれば、令和3年の新設住宅の着工戸数のうち、持家は前年比で増加したが、貸家及び分譲住宅は前年比で減少した。
2 令和4年地価公示(令和4年3月公表)によれば、令和3年1月以降の1年間の住宅地の地価は、三大都市圏平均では下落したものの、それ以外の地方圏平均では上昇した。
3 令和4年版土地白書(令和4年6月公表)によれば、令和3年の全国の土地取引件数は約133万件となり、土地取引件数の対前年比は令和元年以降減少が続いている。
4 国土交通省の公表する不動産価格指数のうち、全国の商業用不動産総合の季節調整値は、2021年(令和3年)においては第1四半期から第4四半期まで連続で対前期比増となった。

解答解説
1× 建築着工統計調査報告によれば、持家が前年比で増加したという点は正しいが、貸家及び分譲住宅でも前年比で増加している。
2× 地価公示によれば、令和3年1月以降の1年間の住宅地の地価は、三大都市圏平均では上昇している。後半の地方圏平均で上昇しているという部分は正しい。
3× 土地白書によれば、令和3年の全国の土地取引件数は約133万件であるという点は正しいが、対前年比は令和元年以降減少の年もあれば、増加している年もある。
4× 国土交通省の公表する不動産価格指数のうち、全国の商業用不動産総合の季節調整値は、2021年(令和3年)においては、第2四半期は対前期比でわずかに減少しており、第1四半期から第4四半期まで連続で対前期比増ではない。
正解なし
【ワンポイント】当初は、正解は肢4として出題していたのではないかと思われるが、全国の商業用不動産総合の季節調整値の第2四半期は、当初のプレスリリースでは、増加と発表されていたものの、その数値は速報値であり、その後修正がなされ、減少となっている。結局、正解なしとされた。

【問 49】 土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 台地の上の浅い谷は、豪雨時には一時的に浸水することがあり、注意を要する。
2 低地は、一般に洪水や地震などに対して強く、防災的見地から住宅地として好ましい。
3 埋立地は、平均海面に対し4~5mの比高があり護岸が強固であれば、住宅地としても利用が可能である。
4 国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、洪水、土砂災害、高潮、津波のリスク情報などを地図や写真に重ねて表示できる。

解答解説
1 適当。台地は、一般に水はけがよく地盤が安定しているが、台地の上の浅い谷は、豪雨時には一時的に浸水することがあり、注意を要する。11-1
2 不適当。低地は、一般に洪水や地震などに対して「弱く」、防災的見地から住宅地として「好ましくない」。11-1
3 適当。埋立地は、海面や湖面の一部を堤防で囲み、土砂で埋め立てた土地で、一般には住宅地としてはあまり好ましい土地とはいえない。しかし、平均海面に対し4~5mの比高があり護岸が強固であれば、住宅地としても利用が可能である。11-1
4 適当。国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、洪水、土砂災害、高潮、津波のリスク情報、道路防災情報、地形分類を地図や写真に重ねて表示できる。
正解2
【ワンポイント】消去法で容易に正解を導けよう。

【問 50】 建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 木構造は、主要構造を木質系材料で構成するものであり、在来軸組構法での主要構造は、一般に軸組、小屋組、床組からなる。
2 在来軸組構法の軸組は、通常、水平材である土台、桁、胴差と、垂直材の柱及び耐力壁からなる。
3 小屋組は、屋根の骨組であり、小屋梁、小屋束、母屋、垂木等の部材を組み合わせた和小屋と、陸梁、束、方杖等の部材で形成するトラス構造の洋小屋がある。
4 軸組に仕上げを施した壁には、真壁と大壁があり、真壁のみで構成する洋風構造と、大壁のみで構成する和風構造があるが、これらを併用する場合はない。

解答解説
1 適当。木構造は、主要構造を木質系材料で構成するものであり、在来軸組構法での主要構造は、一般に壁の骨組である軸組、屋根の骨組である小屋組、床の骨組である床組からなる。
2 適当。在来軸組構法の軸組は、通常、水平材である土台、桁、胴差と、垂直材の柱及び耐力壁、及び斜材である筋違からなる。
3 適当。小屋組は、屋根の骨組であり、小屋梁、小屋束、母屋、垂木等の部材を組み合わせた和小屋と、陸梁、束、方杖等の部材で三角形を形成したいわゆるトラス構造の洋小屋がある。
4 不適当。真壁のみで構成するのは「和風」構造で、大壁のみで構成するのは「洋風」構造であり、問題文は記述が逆である。また、これらを併用することもある。
正解4
【ワンポイント】内容がよくわからなくとも、真壁と大壁を併用する場合はない。という4肢が常識的に違和感がある。


 
 過去問遊園地    動画ライブラリー  トップページ