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2021年令和3年12月試験 
【問 1】次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。
(判決文)私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。
1 権利に対する違法な侵害に対抗して法律に定める手続によらずに自力救済することは、その必要の限度を超えない範囲内であれば、事情のいかんにかかわらず許される。
2 建物賃貸借契約終了後に当該建物内に家財などの残置物がある場合には、賃貸人の権利に対する違法な侵害であり、賃貸人は賃借人の同意の有無にかかわらず、原則として裁判を行わずに当該残置物を建物内から撤去することができる。
3 建物賃貸借契約の賃借人が賃料を1年分以上滞納した場合には、賃貸人の権利を著しく侵害するため、原則として裁判を行わずに、賃貸人は賃借人の同意なく当該建物の鍵とシリンダーを交換して建物内に入れないようにすることができる。
4 裁判を行っていては権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合には、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に私力の行使が許される。

解答解説
判決は、私力行使の原則的禁止と、それが例外的に許される条件に付いて示している。
記述肢だけを読んでも、ほぼ常識的に正解らしいものはわかる、
1× 判決文は、私力行使の原則的禁止と、それが例外的に許される条件に付いて示したが、記述は、自力救済の原則的禁止について何も言っておらず、「その必要の限度を超えない範囲内であれば、事情のいかんにかかわらず許される。」と言っている。
2× 判決文は、私力行使の原則的禁止と、それが例外的に許される条件に付いて、一般論を示しているが、記述は、建物賃貸借契約終了後に当該建物内に家財などの残置物がある場合の、自力救済措置を述べるだけで。
3× 判決文は、私力行使の原則的禁止と、それが例外的に許される条件に付いて、一般論を示しているが、記述は、「建物賃貸借契約の賃借人が賃料を1年分以上滞納した場合の、賃貸人の対抗措置を述べている。
4○ 記述は、自力救済が例外的に許される条件を述べており、判決文と同趣旨のことを言っている。
正解1


【問 2】相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
2 隣接する土地の境界線上に設けた障壁は、相隣者の共有に属するものと推定される。
3 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすためであっても、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることはできない。
4 土地の所有者が直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根を設けた場合、隣地所有者は、その所有権に基づいて妨害排除又は予防の請求をすることができる。

解答解説
1○ (境界標の設置) 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。223条
2○(境界標等の共有の推定)境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。229条
3×(排水のための低地の通水)高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。220条
4○(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。218条 よって、土地の所有者が直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根を設けた場合、隣地所有者は、その所有権に基づいて妨害排除又は予防の請求をすることができる。
正解3


【問 3】成年後見人が、成年被後見人を代理して行う次に掲げる法律行為のうち、民法の規定によれば、家庭裁判所の許可を得なければ代理して行うことができないものはどれか。
1 成年被後見人が所有する乗用車の第三者への売却
2 成年被後見人が所有する成年被後見人の居住の用に供する建物への第三者の抵当権の設定
3 成年被後見人が所有するオフィスビルへの第三者の抵当権の設定
4 成年被後見人が所有する倉庫についての第三者との賃貸借契約の解除

解答解説
日常生活上の行為以外の行為は、保護者である成年後見人が代理して行える(代理 859条1項)が、居住用不動産(建物又はその敷地)を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定)するには家庭裁判所の許可を得なければならない。859条の3 2-3
この条文を、記述肢に当てはめるだけの簡単な問題。
1× 成年被後見人が所有する乗用車の第三者への売却は、家庭裁判所の許可を得ずに、代理して行うことができる。
2○ 成年被後見人が所有する成年被後見人の居住の用に供する建物への第三者の抵当権の設定は、家庭裁判所の許可を得なければ代理して行うことができない。
3× 成年被後見人が所有するオフィスビルへの第三者の抵当権の設定は、家庭裁判所の許可を得ずに、代理して行うことができる。
4× 成年被後見人が所有する倉庫についての第三者との賃貸借契約の解除は、家庭裁判所の許可を得ずに、代理して行うことができる。
正解 2

【問 4】いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間で令和3年7月1日に締結した売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。
2 売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。
3 Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。
4 目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。

解答解説
肢1の解約手付の効力は、定番。肢2の買戻し特約は、20年以上ぶりの出題。今後も出されないと思う。肢3は、他人物売買の他人物であることについての善意売主からの契約解除という、現行制度にはない旧法からの出題。4が正解肢で、改正契約不適合責任からの出題。
1× 買主が売主に手付を交付したときは、その相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。5-16 557条 よって、売主Aは、「買主Bが契約の履行に着手するまでは、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。」のであって、「 目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。」とするのは誤り。
というのは、誤り。
2× 買戻しの期間については、買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする(580条1項)。買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない(同条2項)。買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない(同条3項)とする規定がある。よって、「買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。」は、誤り。
3× そのような規定はない。旧562条は、他人の権利の売買で、売主が売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、売主は、売買契約を解除することができる旨の規定があったが、その規定はなくなった。
4○ 引き渡された売買目的物が品質に関して契約内容に不適合である場合、買主が一定期間内に、その旨通知しないと、契約内容不適合担保責任の追及権は失権するが、目的物の引渡しの時点で契約不適合を売主が知っていたときは、買主が不適合を通知しなくとも、売主の責任追及権は失権しない(6-26 566条)ので、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。
正解4

【問 5】AがBの代理人として行った行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの行為もBの追認はないものとし、令和3年7月1日以降になされたものとする。
1 AがBの代理人として第三者の便益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方Cがその目的を知っていたとしても、AC間の法律行為の効果はBに帰属する。
2 BがAに代理権を与えていないにもかかわらず代理権を与えた旨をCに表示し、Aが当該代理権の範囲内の行為をした場合、CがAに代理権がないことを知っていたとしても、Bはその責任を負わなければならない。
3 AがBから何ら代理権を与えられていないにもかかわらずBの代理人と詐称してCとの間で法律行為をし、CがAにBの代理権があると信じた場合であっても、原則としてその法律行為の効果はBに帰属しない。
4 BがAに与えた代理権が消滅した後にAが行った代理権の範囲内の行為について、相手方Cが過失によって代理権消滅の事実を知らなかった場合でも、Bはその責任を負わなければならない。

解答解説
代理人の権限濫用と無権代理を問う定番問題。
1× 代理人が第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方がその目的を知っていたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。4-2 107条 よって、AがBの代理人として第三者の便益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方Cがその目的を知っていた場合は、Aの行為は無権代理行為とみなされ、AC間の法律行為の効果はBに帰属しない。
2× BがAに代理権を与えていないにもかかわらず代理権を与えた旨をCに表示し、Aが当該代理権の範囲内の行為をした場合、Cが、Aに代理権があると過失なく誤信したときは、Bに誤解を与える行為があり、Ⅽが善意無過失なので、Bに表見代理が成立し、Bはその責任を負わなければならない。が、CがAに代理権がないことを知っていた(悪意)ときは、表見代理は成立しないので、Bはその責任を負わない。4-12 109条
3○ AがBから何ら代理権を与えられていないにもかかわらずBの代理人と詐称してCとの間で法律行為をした場合は、単純な無権代理行為なので、CがAにBの代理権があると信じたとしても、その法律行為の効果はBに帰属しない。4-9 113条
4× BがAに与えた代理権が消滅した後にAが行った代理権の範囲内の行為について、相手方Cが代理権消滅につき過失なく知らなかったときは、Bに誤解を与える行為があり、Ⅽが善意無過失なので、Bに表見代理が成立し、Bはその責任を負わなければならない。が、Cが過失によって代理権消滅の事実を知らなかったときは、表見代理は成立しないので、Bはその責任を負わない。4-12 112条
正解3


【問 6】不動産に関する物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 不動産の所有権がAからB、BからC、CからDと転々譲渡された場合、Aは、Dと対抗関係にある第三者に該当する。
2 土地の賃借人として当該土地上にある登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。
3 第三者のなした登記後に時効が完成して不動産の所有権を取得した者は、当該第三者に対して、登記を備えなくても、時効取得をもって対抗することができる。
4 共同相続財産につき、相続人の一人から相続財産に属する不動産につき所有権の全部の譲渡を受けて移転登記を備えた第三者に対して、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗することができる。

解答解説
同一不動産に利害関係を有する者相互は対抗関係にあり、利害関係を有しない者は、対抗関係にない。
対抗関係にある者相互では、登記なくして権利主張できないが、対抗関係にない者には
権利者は登記なくして権利主張できる。
6-5 
1× 不動産の所有権がAからB、BからC、CからDと転々譲渡された場合、Aは、Bに譲渡したことにより不動産に利害関係を失っているので、同不動産を取得したDと対抗関係にない。6-5 177条
2○ 土地の賃借人として当該土地上にある登記ある建物を所有する者は、当該土地に利害関係を有するので、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある。6-5 177条
3○ 第三者のなした登記後に時効が完成して不動産の所有権が取得された場合、登記をした第三者は、時効完成当時の原権利者となり、時効取得者とは物権変動の当事者類似となるので、時効取得者は当該第三者に対して、登記を備えなくても、時効取得をもって対抗することができる。6-5 177条
4○ 共同相続財産につき、相続人の一人から相続財産に属する不動産につき所有権の全部の譲渡を受けて移転登記を備えた第三者は、他の共同相続人の持分については無権利なので、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗することができる。6-5 177条
正解1

【問 7】令和3年7月1日になされた遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 自筆証書遺言によって遺言をする場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。
2 公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。
3 船舶が遭難した場合、当該船舶中にいて死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いがあれば、口頭で遺言をすることができる。
4 遺贈義務者が、遺贈の義務を履行するため、受遺者に対し、相当の期間を定めて遺贈の承認をすべき旨の催告をした場合、受遺者がその期間内に意思表示をしないときは、遺贈を放棄したものとみなされる。

解答解説
1○ 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。(968条1項)。前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押さなければならない(同2項)。よって、記述は正しい。
2○ (1)未成年者(2)推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族(3)公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は、遺言の証人又は立会人となることができない。974条 よって、記述は、正しい。
3○ 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。979条
4× 遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。987条 よって、記述は、誤り。
正解4


【問8】AはBに対して、Aが所有する甲土地を1,000万円で売却したい旨の申込みを郵便で令和3年7月1日に発信した(以下この問において「本件申込み」という。)が、本件申込みがBに到達する前にAが死亡した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Bが承諾の通知を発する前に、BがAの死亡を知ったとしても、本件申込みは効力を失わない。
2 Aが、本件申込みにおいて、自己が死亡した場合には申込みの効力を失う旨の意思表示をしていたときには、BがAの死亡を知らないとしても本件申込みは効力を失う。
3 本件申込みが効力を失わない場合、本件申込みに承諾をなすべき期間及び撤回をする権利についての記載がなかったときは、Aの相続人は、本件申込みをいつでも撤回することができる。
4 本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する。

解答解説
1× 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実を知ったときは、その申込みは、効力を有しない。526条「・・・BがAの死亡を知ったとしても、本件申込みは効力を失わない。は、誤り。
2○ 申込者が申込みの通知を発した後に死亡した場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたときは、その申込みはその効力を有しない。526条 Aが、本件申込みにおいて、自己が死亡した場合には申込みの効力を失う旨の意思表示をしていたときには、BがAの死亡を知らないとしても本件申込みは効力を失う。は、正しい。
3× 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。525条 本件申込みに承諾をなすべき期間及び撤回をする権利についての記載がなかったときは、Aの相続人は、本件申込みをいつでも撤回することができるは、誤り。
4× 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。97条よって、本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する。は、誤り。
【ワンポイント】条文があるから出したというような問題で、面食らわれたと思う。が、落ち着いて考えれば、正解肢2は、意思表示の一般的な解釈の問題としても結論が出る。


【問 9】AがBに対してA所有の甲建物を令和3年7月1日に①売却した場合と②賃貸した場合についての次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 ①と②の契約が解除された場合、①ではBは甲建物を使用収益した利益をAに償還する必要があるのに対し、②では将来に向かって解除の効力が生じるのでAは解除までの期間の賃料をBに返還する必要はない。
2 ①ではBはAの承諾を得ずにCに甲建物を賃貸することができ、②ではBはAの承諾を得なければ甲建物をCに転貸することはできない。
3 甲建物をDが不法占拠している場合、①ではBは甲建物の所有権移転登記を備えていなければ所有権をDに対抗できず、②ではBは甲建物につき賃借権の登記を備えていれば賃借権をDに対抗することができる。
4 ①と②の契約締結後、甲建物の引渡し前に、甲建物がEの放火によって全焼した場合、①ではBはAに対する売買代金の支払を拒むことができ、②ではBとAとの間の賃貸借契約は終了する。

解答解説
1○ 売買契約を解除した場合、原状回復義務が生じる結果、目的物の使用収益利益を償還する必要がある(5-15 545条)が、賃貸借を解除した場合は、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる(620条)ので、Aは解除までの期間の賃料をBに返還する必要はない。
2○ 売買契約の結果、目的物所有権は売主Bに移転するので、Bは自由に甲建物をⅭに賃貸することができるが、賃借人BはAの承諾を得なければ甲建物を第三者Cに転貸することはできない。9-4 612条
3× 所有者は、不法占拠者に対しては登記なくして対抗できるので前段は×。6-5
また、不動産賃借人は、登記を備えていれば、賃借権を対抗できるので、後段は○。9-36
4○ 売買契約締結後引渡し前に売主の責めに帰さない事由により滅失した場合、買主は代金支払を拒絶でき(5-17 536条)、賃貸借契約締結後目的物が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。616条の2
【ワンポイント】第4肢が、売買の場合も(536条)も、賃貸借の場合も(616条の2)2020年の改正規定なので、難しかったもしれない。

【問 10】Aは、Bからの借入金の担保として、A所有の甲建物に第一順位の抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)を設定し、その登記を行った。AC間にCを賃借人とする甲建物の一時使用目的ではない賃貸借契約がある場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 本件抵当権設定登記後にAC間の賃貸借契約が締結され、AのBに対する借入金の返済が債務不履行となった場合、Bは抵当権に基づき、AがCに対して有している賃料債権を差し押さえることができる。
2 Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていたとしても、AC間の賃貸借契約の期間を定めていない場合には、Cの賃借権は甲建物の競売による買受人に対抗することができない。
3 本件抵当権設定登記後にAC間で賃貸借契約を締結し、その後抵当権に基づく競売手続による買受けがなされた場合、買受けから賃貸借契約の期間満了までの期間が1年であったときは、Cは甲建物の競売における買受人に対し、期間満了までは甲建物を引き渡す必要はない。
4 Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていたとしても、Cは、甲建物の競売における買受人に対し、買受人の買受けの時から1年を経過した時点で甲建物を買受人に引き渡さなければならない。

解答解説
1○ 抵当権は、その担保する債権に不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。よって、Bの抵当権に担保されるAのBに対する借入金の返済が債務不履行となった場合、Bは抵当権に基づき、本件抵当権設定登記後に締結されたAC間の賃貸借契約から生じるAがCに対して有する賃料債権を差し押さえることができる。8-7 371条
2× Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていた場合は、Cの賃借権はBの抵当権に優先するので、Bの抵当権実行による甲建物の競売による買受人に対抗することができる。結果、AC間の賃貸借契約は、買受人とC間に移行する。このことは、AC間の賃貸借契約が期間を定めていない場合も変わらない。
3× 抵当権設定登記後、抵当目的物の建物を賃借した者は、抵当権実行による競売で買受けがあったときは、買受け時から6か月は、建物引き渡しが猶予される。8-14 395条
買受人に対し1年の期間満了時まで建物引き渡しが猶予されるとするのは誤り。
4× Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていた場合は、Cの賃借権はBの抵当権に優先するので、Bの抵当権実行による甲建物の競売による買受人に対抗することができる。結果、AC間の賃貸借契約は、買受人とC間に移行すし、建物を買受人に引き渡す必要はない。8-12 177条
【ワンポイント】抵当権者と抵当物件の利害関係者の優劣の話である。利害関係を持ったのが、抵当権設定登記の前(2・4)か後(1・3)かで、異なる。

【問 11】次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 借地権の存続期間を契約で30年と定めた場合には、当事者が借地契約を更新する際、その期間を更新の日から30年以下に定めることはできない。
2 借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が契約の更新を請求したとき、その土地上に建物が存在する限り、借地権設定者は異議を述べることができない。
3 借地権者が借地上の建物にのみ登記をしている場合、当該借地権を第三者に対抗することができるのは、当該建物の敷地の表示として記載されている土地のみである。
4 借地権設定者は、弁済期の到来した最後の3年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有する。

解答解説
1× 借地権の更新期間は、初回が20年以上、次回以降は10年以上であればよく、記述のような制限(当初期間30年であれば、更新期間も30年以下に定めることはできない)はない。
2× 借地上に建物があり、借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が契約の更新を請求したときにも、借地権設定者は正当事由のある異議を述べることはできる。9-31、
3○ 借地権は借地上に存する建物登記によって対抗できるが、借地権者が借地上の建物にのみ登記をしている場合、当該借地権を第三者に対抗することができるのは、当該建物の敷地の表示として記載されている土地である。9-36 10条
4× 借地権設定者は、弁済期の到来した最後の二年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有する。前項の先取特権は、地上権又は土地の賃貸借の登記をすることによって、その効力を保存する。10-21 12条
【ワンポイント】肢4は、初出題事項。今後も出題されると思う。


【問 12】賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和3年7月1日に締結した一時使用目的ではない建物賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)の終了に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。
2 本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。
3 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。
4 BがAの同意を得て建物に付加した造作がある場合であっても、本件契約終了時にAに対して借地借家法第33条の規定に基づく造作買取請求権を行使することはできない、という特約は無効である。

解答解説
1× 借家契約が、当事者双方が更新拒絶をしなかったため、法定更新される場合は、期間の定めのないものとして更新される。9-13
2○ 賃貸人が期間の定めのない借家契約につき、正当事由のある解約申入れをしたときは、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。9-16
3× 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除された場合は、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求すれば、転貸人の転借人に対する債務が履行不能になるので、転貸借契約は終了する。9-8 終了通知から6か月経過後に転貸借が終了するのは、賃貸借が期間満了又は解約申入れによって終了する場合である。9-24
4× 造作買い取り請求を認めない旨の特約は有効である。一見借家人に不利な特約で借りているものに不利な特約は無効のルールが適用されるのではとも思われるが、これを無効にすると、借家人が造作買い取り請求されるのを嫌って、造作の付加に同意しないことが考えられるので、造作の付加には同意するが、造作買い取り請求は認めないという余地を残すため、造作買い取り請求は認めない旨の特約は有効である旨の法改正をした。9-25 33条
【ワンポイント】正解肢は、借家における賃貸人からの解約申入れと、民法上賃貸借の解約申入れの場合の違いを問うもので、基本事項。


【問 13】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 区分所有者以外の者であって区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することはできないが、意見を述べることはできる。
2 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、共用部分(数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分)の規約を設定することができる。
3 共用部分は、区分所有者全員の共有に属するが、規約に特別の定めがあるときは、管理者を共用部分の所有者と定めることもできる。
4 管理組合法人を設立する場合は、理事を置かなければならず、理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。

解答解説
1○ 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。13-15 44条1項
2× 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、4条2項(規約共用部分)、5条第一項(規約敷地)並びに第二十二条第一項ただし書(分離処分の禁止の別段の定め)及び第二項ただし書(専有部分にかかる敷地利用権の割合についての別段の定め)の規約を設定することができる。32条 が、共用部分の規約を設定することは、できない。
3○ 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。管理所有
13-3 27条 
4○ 管理組合法人を設立する場合は、理事を置かなければならず(49条1項)、理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。同2項
【ワンポイント】2について 最初に建物の専有部分の全部を所有する者が、公正証書により規約設定できる事項は、当初から決めておかなければ後で決めることが困難になる事項に限られる。

【問 14】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
2 共用部分である旨の登記がある建物について、合併の登記をすることができる。
3 登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
4 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

解答解説
1○ 記述のとおり。14-8 36条
2× 建物の合併の登記とは、表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記であるが(54条)、共用部分である旨の登記がある建物について、合併の登記は、することができない。56条
3○ 登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。29条1項
4○ 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。47条2項
【ワンポイント】1は基本で、テキストでも紹介しているが、他は紹介していない。難問だが、正解肢2については、共用部分である旨の登記がある建物について、さらに合併する=付属建物とするということに違和感が生じるのではないか。


【問15】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 近隣商業地域は、主として商業その他の業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
2 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
3 第一種低層住居専用地域については、都市計画に特定用途制限地域を定めることができる場合がある。
4 第一種住居地域については、都市計画に高層住居誘導地区を定めることができる場合がある。

解答解説
1× 近隣商業地域は、近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域である。1-4 9条
記述は、・・・・・・これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。のがおかしい。
2× 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域である。1-4条 9条
記述は、・・・・・・これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。のがおかしい。
3× 特定用途制限地域は、市街化調整区域を除く用途地域の定めのない区域で定めることができるので、第1種住居地域には定められない。1-8 9条14項
4○ 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一・二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築物の容積率が10分の40又は50と定められたものの内において、建築物の容積率・建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区なので、第一種住居地域については定めることができる場合がある。1-7 9条


【問16】都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1 開発許可を受けようとする者は、開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事を施行する者を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
2 開発許可を受けた者は、開発行為に関する国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事の廃止をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
4 開発行為に同意していない土地の所有者は、当該開発行為に関する工事完了の公告前に、当該開発許可を受けた開発区域内において、その権利の行使として自己の土地に建築物を建築することができる。

解答解説
1○ 1-20 30条
2○ 1-26 36条の2
3× 工事の廃止は、届出でよい。1-28 38条
4○ 開発行為に同意していない土地の所有者は、当該開発行為に関する工事完了の公告前に、当該開発許可を受けた開発区域内において、その権利の行使として自己の土地に建築物を建築することができる。1-31 27条
【ワンポイント】定番記述だらけの易しい問題。


【問 17】建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 4階建ての建築物の避難階以外の階を劇場の用途に供し、当該階に客席を有する場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
2 床面積の合計が500㎡の映画館の用途に供する建築物を演芸場に用途変更する場合、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要はない。
3 換気設備を設けていない居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して10分の1以上としなければならない。
4 延べ面積が800㎡の百貨店の階段の部分には、排煙設備を設けなくてもよい。

解答解説
1○ 建築物の避難階(地上への出入り口を持つ階)以外の階が劇場の用途に供し、その階に客席を有するもの場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
施行令121条1項
2○ 建築物の用途を変更して第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならない。87条1項 映画館を演芸場とするのは、87条第1項の規定により政令で指定する類似の用途変更に当たる。政令第137条の18 以上2-18
3× 居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して20分の1以上としなければならない。 2-26 28条
10分の1以上では、広すぎるだろう。
4○ 特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物等には、排煙設備を設けなければならない。ただし、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する建築物の部分については、この限りでない。施行令126条の2 確かに、階段部分は大きな煙突のようだから、さらに排煙設備は不要だろう。
【ワンポイント】1は細かすぎ、4は技術的なヒッカケだが、2が正しく、3が誤りであることはわかったと思う。正解肢は、3だから難しくはない。


【問18】次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 法第68条の9第1項の規定に基づく条例の制定の際、現に建築物が立ち並んでいる道は、法上の道路とみなされる。
2 都市計画により、容積率の限度が10分の50とされている準工業地域内において、建築物の高さは、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が35m以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、1.5を乗じて得た値以下でなければならない。
3 第一種住居地域においては、畜舎で、その用途に供する部分の床面積が4,000㎡のものを建築することができる。
4 建築物の敷地が、法第53条第1項の規定に基づく建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の敷地の過半の属する地域又は区域における建蔽率に関する制限が、当該建築物に対して適用される。

解答解説
1× 法第68条の9第1項の規定に基づく条例とは、「都市計画区域及び準都市計画区域外でも、知事指定区域内においては、地方公共団体は、条例で、(1)建築物又はその敷地と道路との関係、(2)建築物の容積率、建築物の高さその他の建築物の敷地又は構造に関して必要な制限を定めることができる。」場合の条例のことだが、同条例を制定する際、現に建築物が立ち並んでいる道は、法上の道路とみなされる旨の規定はない。
2○ 別表第3 道路斜線制限だが、このような細かい数字を覚えられるわけもないので、消去法で正解を導くほかない。
3× 第一種住居地域においては、畜舎は、その用途に供する部分の床面積が3,000㎡を超えては建築することができない。別表2
4× 建築物の敷地が、法第53条第1項の規定に基づく建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。2-6 53条2項
【ワンポイント】4は、定番記述だが、1~3は細かすぎ。



【問19】宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1 宅地造成工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事について、造成主は、
工事に着手する前に都道府県知事に届け出なければならない。
2 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該宅地又は当該宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。
3 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さ5mを超える擁壁に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
4 都道府県知事は、偽りその他不正な手段によって宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の許可を受けた者に対して、その許可を取り消すことができる。

解答解説
1× 宅地造成工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事について、そのような規制はない。
2○ 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該宅地又は当該宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。5-7 19条1項
3○ 設計者の資格 高さ5m超の擁壁・切り盛り面積が1500超の土地における排水施設の設置の工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない(施行令16)。5-3 9条2項、施行令16条(宅地造成に関する工事の技術的基準等)
4○ 都道府県知事は、偽りその他不正な手段により第8条1項本文若しくは第12条1項の許可を受けた者又はその許可に付した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。14条
【ワンポイント】いきなり正解肢がきており、やさしい。 


【問20】土地区画整理法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、
誤っているものはどれか。
1 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その土地区画整理組合の組合員とはならない。
2 法において、「公共施設」とは、道路、公園、広場、河川その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
3 施行者は、換地処分の公告があった場合においては、直ちに、その旨を換地計画に係る区域を管轄する登記所に通知しなければならない。
4 市町村が施行する土地区画整理事業では、事業ごとに、市町村に土地区画整理審議会が設置され、換地計画、仮換地の指定及び減価補償金の交付に関する事項について法に定める権限を行使する。

解答解説
1× 組合設立により、施行地区内の宅地所有者・借地権者は、すべて組合員となる。3-3 25条
2○ この法律において「公共施設」とは、道路、公園、広場、河川その他政令で定める
公共の用に供する施設をいう。2条5項
3○ 施行者は、換地処分の公告があつた場合においては、直ちに、その旨を換地計画に係る区域を管轄する登記所に通知しなければならない。3-16 107条1項  
4○ 都道府県又は市町村が施行する土地区画整理事業ごとに、都道府県又は市町村に、
土地区画整理審議会(以下この節において「審議会」という。)を置く。56条1項 審議会は、換地計画、仮換地の指定及び減価補償金の交付に関する事項についてこの法律に定める権限を行う。同3項 3-8
正解1
【ワンポイント】前問同様、いきなり正解肢がきており、やさしい。 

【問21】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
2 農地の賃貸借の解除については、農地の所有者が、賃借人に対して一方的に解約の申入れを行う場合には、法第18条第1項の許可を受ける必要がない。
3 登記簿の地目が宅地となっている場合には、現況が農地であっても法の規制の対象とはならない。
4 市街化区域内の自己所有の農地を駐車場に転用するため、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要がない。

解答解説
1× 許可が必要なのは、使用収益権の移転設定であり、抵当権の設定に許可不要。 4-2
2× 農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の 更新をしない旨の通知をしてはならない。4-13 18条
3× 規制対象となる農地か否かは現況で判断するから、現況が農地であれば法の規制の対象となる。4-1
4○ 市街化区域内の農地は、 転用するため、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、
法第4条第1項の許可を受ける必要がない。4-8
【ワンポイント】2を除き、定番記述であり、やさしい。


【問22】国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、
地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。
1 都道府県知事は、事後届出に係る土地の利用目的及び対価の額について、届出をした宅地建物取引業者に対し勧告することができ、都道府県知事から勧告を受けた当該業者が勧告に従わなかった場合、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
2 事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者が事後届出を行わなかった場合、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。
3 国が所有する市街化区域内の一団の土地である1,500平方メートルの土地と500平方メートルの土地を個人Aが購入する契約を締結した場合、Aは事後届出を行う必要がある。
4 個人Bが所有する都市計画区域外の11,000平方メートルの土地について、個人CがBとの間で対価を支払って地上権設定契約を締結した場合、Cは事後届出を行う必要がある。

解答解説
1× 地価抑制の目的はない事後届出制では、対価額については勧告できない。6-3
2× 事後届け出を行わなかった場合、罰則の適用がある。6-1
3× 国が契約当事者である場合は、届出は不要である。6-2
4○ 届出要する土地取引は、所・地・賃(しょちちん)の移転設定を目的とする対価のある契約。
届出要する 規模基準は、2(市街化:2000平方メートル)×5(調整+非線引き:5000平方メートル)
=10(都計外:10000平方メートル)。6-1
【ワンポイント】全記述、定番であり、やさしい。

【問23】住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 この税率の軽減措置の適用対象となる住宅用家屋は、床面積が100㎡以上で、その住宅用家屋を取得した個人の居住の用に供されるものに限られる。
2 この税率の軽減措置の適用対象となる住宅用家屋は、売買又は競落により取得したものに限られる。
3 この税率の軽減措置は、一定の要件を満たせばその住宅用家屋の敷地の用に供されている土地の所有権の移転登記についても適用される。
4 この税率の軽減措置の適用を受けるためには、登記の申請書に、一定の要件を満たす住宅用家屋であることの都道府県知事の証明書を添付しなければならない。

解答解説
1× 50㎡以上の個人の居住の用に供される住宅用家屋であれば、適用がある。8-13
2○ 記述のとおり。本特例の特色である。8-13
3× この税率の軽減措置は、住宅用家屋の敷地の用に供されている土地の所有権の移転登記については適用されない。8-13
4× そのような必要はない。8-13
【ワンポイント】なんども出題されている、本特例の特色が正解肢で、やさしい。

【問24】固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 市町村長は、固定資産課税台帳に登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。
2 固定資産税の納税義務者は、その納付すべき当該年度の固定資産課税に係る固定資産について、固定資産課税台帳に登録された価格について不服があるときは、公示の日から納税通知書の交付を受けた日後1月を経過するまでの間において、文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。
3 年度の途中において家屋の売買が行われた場合、売主と買主は、当該年度の固定資産税を、固定資産課税台帳に所有者として登録されている日数で按分して納付しなければならない。
4 住宅用地のうち小規模住宅用地に対して課する固定資産税の課税標準は、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額である。

解答解説
1○ 市町村長は、登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに固定資産課税台帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し、又は決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。417条
2× 登録価格に不服があれば、納税通知書の交付を受けた日以後3月経過する日までに、文書で、固定資産評価審査委員会に審査の申出ができる(432条)。8-5
3× 納税義務者は、当該年度と同一年の1月1日(賦課期日)現在、所有者として登記されている者(未登記の場合は、土地・家屋の補充課税台帳に登録されている者)で、年度の途中において家屋の売買が行われた場合もこのことは変わりない。8-4
4×住宅用地のうち小規模住宅用地(住宅一戸当たり200㎡までの部分)に対して課する固定資産税の課税標準は、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の6分の1の額である。8-7
【ワンポイント】積極的に学習するような事項ではない正解肢1は消去法で導くほかないが、2を除き定番なので、比較的やさしいと思います。


【問25】地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 地価公示法の目的は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与することである。
2 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格と実際の取引価格を規準としなければならない。
3 不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案しなければならない。
4 関係市町村の長は、土地鑑定委員会が公示した事項のうち、当該市町村が属する都道府県に存する標準地に係る部分を記載した書面等を、当該市町村の事務所において一般の閲覧に供しなければならない。

解答解説
1○ 記述のとおり。7-6 1条
2× 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合に、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない。 7-12
3○ 標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して鑑定評価しなければならない(4条)。7-8
4○ 記述のとおり7-10 7条
【ワンポイント】素直な問題です。

37条書面
【問 26】宅地建物取引業者が宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者は、その媒介により建物の売買の契約を成立させた場合において、当該建物の引渡しの時期又は移転登記の申請の時期のいずれかを37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。
2宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。
3宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。
4宅地建物取引業者は、37条書面を交付するに当たり、宅地建物取引士をして、その書面に記名押印の上、その内容を説明させなければならない。

解答解説
1× 当該建物の引渡しの時期又は移転登記の申請の時期のいずれも、記載しなければならに。6-13
2× 媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合は、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項は、37条書面に記載しない。6-13
3○ 媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。6-14
4× 宅地建物取引業者は、37条書面を交付するに当たり、宅地建物取引士をして、その書面に記名押印させなければならないが、その内容を説明させる必要はない。6-12
【ワンポイント】基本的な問題です。

業者自ら売り主
【問27】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 AB間で建物の売買契約を締結する場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額についての特約を、代金の額の10分の2を超えて定めた場合、当該特約は全体として無効となる。
2 AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、AがBから保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、Aは、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、Bからその手付金を受領することができない。
3 AB間で建物の売買契約を締結する場合において、Aは、あらかじめBの承諾を書面で得た場合に限り、売買代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができる。
解答解説
4 AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、売買代金の10分の2の額を手付金として定めた場合、Aが手付金の保全措置を講じていないときは、Bは手付金の支払を拒否することができる。

解答解説
1× 債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定は、代金額2割を超えては定められないが、もし超えて定めた場合、全体として無効になるのではなく、超える部分が無効となる。7-16
2× 工事完了前の物件については、手付金等保全措置の方法として、指定保管期間と手付金等寄託契約を締結する方法は認められていない。7-19
3× 売買代金の額の10分の2を超える額の手付は、Aが、あらかじめBの承諾を得ていても受け取れない。
4○ AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、売買代金の10分の2の額を手付金として定めた場合、売主は代金額5%又は1000万円超の手付金等は手付金の保全措置を講じないと受け取れないのだから(7-18)、Aが手付金の保全措置を講じていないときは、手付金を受け取れず、また、Bは手付金の支払を拒否することができる。7-17
【ワンポイント】ヒッカケもなく、素直で基本的な問題です。

監督罰則
【問 28】宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
アAが、不正の手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。
イAが、法第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。
ウAが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。
エAの従業者名簿の作成に当たり、法第48条第3項の規定により記載しなければならない事項についてAの従業者Bが虚偽の記載をした場合、Bは罰則の適用を受けることはあるが、Aは罰則の適用を受けることはない。
1一つ
2二つ
3三つ
4四つ

解答解説
ア○ 不正手段により免許を受けたとき、免許権者は、当該免許を取り消さなければならない。8-3
イ× 付された条件に違反したときは、免許を取り消すことができる。8-3 67条
ウ× 報酬の額を掲示しなかった場合、罰則(罰金)の適用がある。業務運営体制上の規制違反には、すべて罰則の適用がある。8-8
エ×Aも罰則の適用を受ける。8-9
正解1


免許(業務活動消滅届出)
【問 29】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 宅地建物取引業の免許の有効期間は5年であり、免許の更新の申請は、有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に行わなければならない。
2宅地建物取引業者から免許の更新の申請があった場合において、有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
3個人である宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が死亡した場合、Aの相続人は、Aの死亡の日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
4法人である宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。

解答解説
1○ 免許の更新の申請は、有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に行わなければならない。免許の更新を受けようとする者は、免許の有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に免許申請書を提出しなければならない。
2○所定の更新申請があった場合は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、従前免許は、なお有効とする。
3× 死亡を知った日から30日以内である。1-17
4○ 1-17
正解3
【ワンポイント】正解肢は、超定番のヒッカケ。

広告
【問 30】宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、中古の建物の売買において、当該建物の所有者から媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに広告を掲載したものの、広告を見た者からの問合せはなく、契約成立には至らなかった場合には、当該広告は法第34条の規定に違反するものではない。
2 Aは、自ら売主として、建築基準法第6条第1項の確認の申請中である新築の分譲マンションについて「建築確認申請済」と明示した上で広告を行った。当該広告は、建築確認を終えたものと誤認させるものではないため、法第33条の規定に違反するものではない。
3 Aは、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとしたが注文がなく、売買が成立しなかった場合であっても、監督処分の対象となる。
4 Aは、免許を受けた都道府県知事から宅地建物取引業の免許の取消しを受けたものの、当該免許の取消し前に建物の売買の広告をしていた場合、当該建物の売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。

解答解説
1× 取引態様の別を明示せずに広告を掲載した以上、広告を見た者からの問合せはなく、契約成立には至らなかったとしても、当該広告は法第34条の規定に違反する。7-4
2× 新築の分譲マンションについて建築確認を受ける前に広告を行ったことは、違反である。当該広告は、建築確認を終えたものと誤認させるものかどうかは関係ない。7-3
3○ 売る意思のない物件を広告するおとり広告は、誇大広告として法に違反し、監督処分の対象となる。売ろうとした物件の注文がなく、売買が成立しなかったことは、関係ない。
4× 免許失効時に、契約を締結していた場合は、その契約に基づく取引を結了する限度でなお業者とみなされるが、免許失効時に、広告をしていた場合は、その契約を締結する限度でなお業者とみなされるといいう規定はない。
【ワンポイント】4が、免許失効時に、契約を締結していた場合は、その契約に基づく取引を結了する限度でなお業者とみなされるを、もじったヒッカケでおもしろい。正解肢3は、簡単でしょう。

報酬
【問 31】宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)が借主Dから媒介の依頼を受け、BとDとの間で賃貸借契約を成立させた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。なお、1か月分の借賃は8万円とし、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税等相当額を含まないものとする。
ア 建物を住居として貸借する場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。
イ 建物を店舗として貸借する場合、AがBから受領する報酬とCがDから受領する報酬の合計額は88,000円を超えてはならない。
ウ 建物を店舗として貸借する場合、200万円の権利金の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の額の合計は、110,000円を超えてはならない。
エ Aは、Bから媒介報酬の限度額まで受領する他に、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。
1一つ
2二つ
3三つ
4四つ

解答解説
ア○ 貸借の媒介・代理では、「借賃の1月分+消費税」が依頼者の双方から受領できる報酬の限度だが、居住用建物の媒介の場合、依頼を受けるに当たってその依頼者からの承諾を得ている場合を除き、依頼者の一方から受領できる報酬は「借賃の0.5月分+消費税」以下である(報酬告示第4)。本問では借賃が8万円なので、Dから承諾を得ていなければ「8万円×0.5月×1.1=44,000円」がDから受領できる報酬の限度額となる。
イ○ 貸借の代理・媒介では、「借賃の1月分+消費税」が依頼者の双方から受領できる報酬の限度である(報酬告示第5)。複数の宅地建物取引業者が取引に関与するときでも限度額は変わらない。よって、A及びCがB及びDから受領する報酬は、合わせて「8万円×1.10=88,000円」以下でなければならない。
ウ× 店舗用建物の貸借で権利金の授受があるときは、権利金を売買代金とみなして、売買と同様の報酬計算をすることができる。(報酬告示第7)それによると、売買代金が200万円以下のときは「売買代金×5%+消費税」が、媒介依頼者一方から受け取れる報酬限度額となる。よって、
A(代理)がCから受領できる報酬額、媒介依頼者一方から受け取れる報酬限度額の2倍だから、
200万円×5%×1.1×2=220,000円
B(媒介)がDから受領できる報酬額
200万円×5%×1.1=110,000円
依頼者双方から受領できる報酬額も、媒介依頼者一方から受け取れる報酬限度額の2倍だから、
220,000円
この制限に違反しないように報酬を受領することになる。A及びCが受領できる報酬の額の合計は220,000円である。
エ× 通常の広告費用、通常の物件調査費用は宅地建物取引業者の負担となる(解釈運用の考え方-第34条の2関係)。よって、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金を報酬とは別に受領することはできない(報酬告示第9)。
本来の報酬と別途受領することができるのは、依頼者からの依頼に基づく特別な広告や調査の費用に限られ、これらを受領するためには、依頼者に事前説明して同意を得ておくことが必要である。
したがって誤っているものは「二つ」で、正解は2。

供託所等に関する説明
【問32】宅地建物取引業法第35条の2に規定する供託所等に関する説明についての次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、特に断りのない限り、宅地建物取引業者の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
1 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方に対して供託所等の説明を行う際に書面を交付することは要求されていないが、重要事項説明書に記載して説明することが望ましい。
2 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者が取引の相手方の場合においても、供託所等に係る説明をしなければならない。
3 宅地建物取引業者は、売買、交換又は貸借の契約に際し、契約成立後、速やかに供託所等に係る説明をしなければならない。
4 宅地建物取引業者は、自らが宅地建物取引業保証協会の社員である場合、営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所及び所在地の説明をしなければならない。
解答解説
1○供託所等の説明は重要事項説明書と同じく契約成立するまでに行うこととされているが、法律上は書面で説明する必要はない(35条の2)。が、宅建業法解釈運用の考え方では、供託所等に関する事項を重要事項説明書に記載して説明することが望ましい、としている(解釈運用の考え方-第35条の2関係)。
2×宅地建物取引業は、営業保証金・弁済業務保証金から弁済を受けられないので、それらから弁済を受けられる者の参考として行う供託所等に係る説明は、必要ない。
3×供託所等の説明は重要事項説明書と同じく契約成立するまでに行うこととされている。
4×宅地建物取引業保証協会の社員は、社員である旨、当該社団法人名・住所、事務所所在地ならびに弁済業務保証金を供託している供託所、その所在地を説明する。6-11

媒介契約規制
【問 33】宅地建物取引業者Aは、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「専任媒介契約」とは、専属専任媒介契約ではない専任媒介契約をいう。
ア AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、AはBに対して、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。
イ AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、Bの要望により当該宅地を指定流通機構に登録しない旨の特約をしているときを除き、Aは、当該専任媒介契約締結日から7日以内(休業日数を含まない。)に、指定流通機構に当該宅地の所在等を登録しなければならない。
ウ AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AはBに対して、遅滞なく、宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならない。
エ AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもよい。
1一つ
2二つ
3三つ
4四つ

解答解説
ア× 専属専任媒介契約ではない専任媒介契約では、業務の処理状況を2週間に1回以上報告すればよい。5-6
イ× 専任媒介契約を締結した場合には、当該宅地を指定流通機構に登録しない旨の特約は無効なので、この特約をしたときも含み、Aは、当該専任媒介契約締結日から7日以内(休業日数を含まない。)に、指定流通機構に当該宅地の所在等を登録しなければならない。5-6
ウ○ 宅地建物取引業者が、宅地・建物の売買(交換)の媒介契約を締結したときは、遅滞なく契約内容記載書面を作成して記名押印し*、依頼者に交付しなければならない。5-2
エ○ 業者は、売買すべき価額(交換の場合は評価額)について意見を述べるとき、その根拠を明らかにしなければならない。根拠は書面で述べる必要はなく、口頭でよい。5-4
正解2

免許(宅地・建物定義)
【問34】宅地、建物に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地とは、建物の敷地に供せられる土地をいい、道路、公園、河川、広場及び水路に供せられているものは宅地には当たらない。
2 建物の一部の売買の代理を業として行う行為は、宅地建物取引業に当たらない。
3 建物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものをいうが、学校、病院、官公庁施設等の公共的な施設は建物には当たらない。
4 宅地とは、現に建物の敷地に供せられている土地をいい、その地目、現況によって宅地に当たるか否かを判断する。

解答解説
1○ 宅地とは、建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものとする。=建物の敷地に供せられる土地をいい、道路、公園、河川、広場及び水路に供せられているものは宅地には当たらない。1-1 2条1号
2× 建物の一部も建物である(2条2号カッコ書き参照)ので、建物の一部の売買の代理を業として行う行為は、宅地建物取引業に当たる。
3× 宅建業法上の「建物」は建築基準法上の建築物と同じ意味である。すなわち「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(建築基準法2条1号)」に未完成建物を加えた範囲です。学校、病院、官公庁施設等は特殊建築物であり、建築物の一種なので宅建業法上の「建物」に該当する。
4× 宅地 建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものとする。=2条1号

重説
【問 35】宅地建物取引業者が宅地及び建物の売買の媒介を行う場合における宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び重要事項説明書の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引士は、テレビ会議等のITを活用して重要事項の説明を行うときは、相手方の承諾があれば宅地建物取引士証の提示を省略することができる。
2 宅地建物取引業者は、その媒介により売買契約が成立したときは、当該契約の各当事者に、遅滞なく、重要事項説明書を交付しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、重要事項説明書の交付に当たり、専任の宅地建物取引士をして当該書面に記名押印させるとともに、売買契約の売買契約の各当事者にも当該書面に記名押印させなければならない。
4 宅地建物取引業者は、買主が宅地建物取引業者であっても、重要事項説明書を交付しなければならない。

解答解説
1× ITを活用して重要事項の説明を行うときで、相手方の承諾があっても宅地建物取引士証の提示を省略できない。6-2
2× 重要事項説明書は、契約が成立するまでに、買主になろうとする者に交付しなければならない。6-1売買契約が成立したときは、当該契約の各当事者に、遅滞なく、交付しなければならないのは、37条書面である。
3× 記名押印をするのは、専任でなくてもよいし、売買契約の各当事者に当該書面に記名押印させる必要はない。6-1
4○ 買主が宅地建物取引業者であっても、重要事項説明書を交付しなければならない。6-1
正解4
【ワンポイント】基本的な出題。

守秘義務
【問36】宅地建物取引業者の守秘義務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者は、依頼者本人の承諾があった場合でも、秘密を他に漏らしてはならない。
2 宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を営まなくなった後は、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしても、法に違反しない。
3 宅地建物取引業者は、裁判の証人として、その取り扱った宅地建物取引に関して証言を求められた場合、秘密に係る事項を証言することができる。
4 宅地建物取引業者は、調査の結果判明した法第35条第1項各号に掲げる事項であっても、売主が秘密にすることを希望した場合は、買主に対して説明しなくてもよい。

解答解説
1× 依頼者本人の承諾があれば実質的に秘密ではなくなるので、その秘密を他に漏らしてもよい。7-8
2× 守秘義務は、終生の義務なので、宅地建物取引業を営まなくなった後も、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしては、法に違反する。7-8
3○ 正当な理由があれば、秘密を漏らすこともできる。正当な理由とは、警察や税務署からの問合せを受けた場合、裁判所で証言する場合などだ。7-8
4× 売主が秘密にすることを希望しても、法第35条第1項各号に掲げる事項は、買主に対して説明しなければならない。
【ワンポイント】素直な問題です。

登録
【問 37】宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「登録」とは、宅地建物取引士の登録をいうものとする。
1 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。
2 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていないが、専任の宅地建物取引士は、その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され、当該名簿が一般の閲覧に供される。
3 宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
4 未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは登録を受けることができない。

解答解説
1× 登録した都道府県以外の都道府県に所在する事務所の業務に従事し又は従事しようとする場合に登録の移転をできるが、登録の移転は、義務ではなく、任意なので、「乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。」というのは、誤り。2-12 19条の2
2○ 宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていないが、国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿を備え、免許をした宅地建物取引業者(及び都道府県知事の場合は、主たる事務所が当該都道府県にある国土交通大臣免許の宅地建物取引業者)に関する下記の事項を登載し、業者名簿閲覧所を設け、一般の閲覧に供しなければならない。
①免許証番号及び免許年月日 ②商号又は名称 ③事務所の名称及び所在地 
④役員(個人業者本人)及び政令で定める使用人の氏名
⑤事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名   
⑥指示又は業務停止処分を受けたときは、その年月日及び内容
⑦宅地建物取引業以外の事業を行っているときは、その事業の種類 1-14
よって、記述は正しい。
3× 当該登録が消除された日から5年を経過するまでではなく、罰金刑の執行が終了してから5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。2-5
4× 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者は、成年者にならなくても、登録を受けられる。2-6
【ワンポイント】肢3は、細かいヒッカケだがよく出る。

業務上規制
【問38】次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せとして、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。
ア 宅地建物取引業者Aは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。
イ 宅地建物取引業者Cは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Dから当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主Eとの間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。
ウ 宅地建物取引業者Fは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Gと売買契約の予約を締結した。
エ 宅地建物取引業者Hは、農地の所有者Iと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人JとI所有の農地の売買契約を締結した。
1ア、イ
2ア、エ
3イ、ウ
4ウ、エ

解答解説
ア×違反 未完成物件は建築確認等工事に必要な許可等の処分以降でなければ、業務に関する広告と売買(交換)の契約・売買(交換)の代理・媒介をしてはならない。7-3
イ○違反しない。未完成物件は建築確認等工事に必要な許可等の処分以降でなければ、業務に関する広告と売買(交換)の契約・売買(交換)の代理・媒介をしてはならない。が、
貸借の代理・媒介をすることは、禁止されていない。7-3
ウ○違反しない。他人所有物件につき、取得契約をしないで、自ら売主として、非業者に対して売買の予約をすることは禁止されるが、業者に対してすることは、禁止されていない。7-11
エ違反。他人所有物件につき、取得契約(条件付きを除く)をしないで、自ら売主として、非業者に対して売買契約をすることは禁止される。Hは、I所有の農地につき取得契約をしているが、取得契約は農地法第5条の許可を条件とするものなので、なお、その農地を自ら売主として非業者に売ることは禁止される。7-11
正解3

保証協会
【問 39】宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 保証協会は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
2 保証協会は、新たに社員が加入したときは、直ちに、その旨を当該社員である宅地建物取引業者が免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。
3 宅地建物取引業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入した日から1週間以内に、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。
4 保証協会の社員は、自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から説明を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。

解答解説
1○ 保証協会は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。64条の2第3項
2○ 保証協会は、新たに社員が加入したときは、直ちに、その旨を当該社員である宅地建物取引業者が免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。4-14*64条の4
3× 保証協会に加入しようとする者は、加入しようとする日までに、弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。⒋-13 64条の9
4○ 宅地建物取引業保証協会は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該社員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。社員は、宅地建物取引業保証協会から前項の規定による求めがあつたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。64条の5第2・3項 4-12
【ワンポイント】基本的な正解肢。

37条書面
【問40】宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)についての宅地建物取引業者Aの義務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、Cと宅地の売買契約を締結した。Bが宅地建物取引士をして37条書面に記名押印させている場合、Aは宅地建物取引士をして当該書面に記名押印させる必要はない。
2 Aは、Dを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した。当該売買契約に、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合においてその不適合を担保すべき責任に関する特約があるときは、Aは、当該特約について記載した37条書面をD及びEに交付しなければならない。
3 Aは、自ら買主として、Fと宅地の売買契約を締結した。この場合、Fに対して37条書面を交付する必要はない。
4 Aは、自ら貸主として、Gと事業用建物の定期賃貸借契約を締結した。この場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aはその内容を37条書面に記載しなければならず、Gに対して当該書面を交付しなければならない。

解答解説
1× 自ら売主として宅地の売買契約を締結したAは、契約締結後遅滞なく、宅地建物取引士をして記名押印させた37条書面を買主Cに交付しなければならない。本件では媒介業者Bも関与しているので、Cに交付する書面は、Bが交付するものと兼ねられるが、同書面へのAの宅建士の記名押印は省略することはできない。6-12
2○ Dを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介したAは、当該売買契約に、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合においてその不適合を担保すべき責任に関する特約があるときは、当該特約について記載した37条書面をD及びEに交付しなければならない。6-12・14
3× 宅地売買に買主として関与した宅地建物取引業者Aは、相手方である売主Fに37条書面を交付しなければならない。6-12
4× 宅地建物取引業者Aが、自ら貸主としてGと事業用建物の定期賃貸借契約を締結したことは、宅地建物取引業法上の宅地建物取引ではない(1-2)ので、37条書面交付の規制はかからない。6-12
正解2
【ワンポイント】一取引に複数業者が関与した場合、業者が買主で関与した場合など、イレギュラーな場合も問われるが、難しくはないと思います。

専任の宅建士の設置義務
【問 41】宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 宅地建物取引業者Aは、一団の宅地建物の分譲をするため設置した案内所には、契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがないときでも、1名以上の専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
2 宅地建物取引業者Bは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士が退職したときは、2週間以内に、宅地建物取引業法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
3 宅地建物取引業者Cが、20戸の一団の分譲建物の売買契約の申込みのみを受ける案内所甲を設置した場合、売買契約の締結は事務所乙で行うとしても、甲にも専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
4法人である宅地建物取引業者D社の従業者であり、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する20歳未満の婚姻歴のない宅地建物取引士Eは、D社の役員であるときを除き、D社の専任の宅地建物取引士となることができない。

解答解説
1× 契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがないのならば、専任の宅地建物取引士を置かなくともよい。2-15。
2○ 宅地建物取引士の退職や一般従業員の増加により、専任の宅地建物取引士の数が既定の数を下回ったときは、業者は2週間以内に適合措置を取らなければならない。2-15
3○ 事務所以外でも、契約行為をする案内所等には、1人以上の成年者である専任の宅地建物取引士を、置かなければならない。2-15
4○ 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する20歳未満の婚姻歴のない宅地建物取引士Eは、D社の役員であるときは、D社の専任の宅地建物取引士とみなされることがある。が、D社の役員でないときは、成年者に限られるD社の専任の宅地建物取引士となることができない。2-16
正解1


37条書面
【問 42】宅地建物取引業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法第37条の規定により当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に記載しなければならない事項はいくつあるか。
ア 借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
イ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書面で、国土交通省令で定めるものの保存の状況
ウ 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
エ 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
1一つ
2二つ
3三つ
4四つ

解答解説
ア○ 記載しなければならない。6-14
イ× 記載不要。6-13参照 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書面で、国土交通省令で定めるものの保存の状況は、既存建物を取得しようとするものに対する重説書面に記載する。6-8
ウ○ 記載しなければならない。6-14
エ○ 記載しなければならない。6-14
正解3
【ワンポイント】イ設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書面で、国土交通省令で定めるものの保存の状況、が既存建物売買における重説事項というひっかけで、わかりにくかったと思う。アウエは、貸借の37条書面で定めがあれば記載する事項で、定番の記述です。


クーリング・オフ
【問43】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない法人B又は宅地建物取引業者ではない個人Cをそれぞれ買主とする土地付建物の売買契約を締結する場合において、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、買主は本件売買契約に係る代金の全部を支払ってはおらず、かつ、土地付建物の引渡しを受けていないものとする。
1 Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その8日後にAの事務所で契約を締結したが、その際クーリング・オフについて書面の交付を受けずに告げられた。この場合、クーリング・オフについて告げられた日から8日後には、Bはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。
2 Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、その書面を交付された日から12日後であっても契約の解除をすることができる。
3 Cは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。Cは、その書面を受け取った日から起算して8日目に、Aに対しクーリング・オフによる契約の解除を行う旨の文書を送付し、その2日後にAに到達した。この場合、Aは契約の解除を拒むことができない。
4 Cは、Aの事務所で買受けの申込みをし、その翌日、喫茶店で契約を締結したが、Aはクーリング・オフについて告げる書面をCに交付しなかった。この場合、Cはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。

解答解説
1× クオフできる旨とその方法につき書面交付で告知された場合は、告げられた日から8日以降はクオフできなくなるが、書面交付の告知がない限り、代金全額を支払いかつ引き渡しを受けるまでは、クオフできる。
2○ クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合は、その特約はクオフに関する法の規定(書面告知後8日経過まではクオフできる)より買主に有利であり有効なので、Bは、その書面を交付された日から12日後であっても契約の解除をすることができる。7-15
3○ 仮設テント張りの案内所で買受けの申込みは、クオフできる。クオフできる申込も、クオフできる旨とその方法を書面告知され、8日経過するとクオフできなくなる。記述では、有効にクオフできる最終日の書面告知後8日目にクオフ通知を発送している。クオフは、書面発信で効力が発生するので、クオフの効力は発生している。よって、Aは契約の解除を拒むことができない。
4○ 申し込みをした場所と契約を締結した場所が異なる場合、申込場所を基準にクオフの是非を決めるので、Cが、Aの事務所で買受けの申込みをした場合は、翌日喫茶店で契約を締結しても、クーリングできない。
正解1

重要事項説明
【問 44】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明についての次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
ア 賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1項の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。
イ 賃貸借契約において、対象となる建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。
ウ 建物の売買において、その建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその措置の概要を説明しなければならない。
1一つ
2二つ
3三つ
4なし

解答解説
ア○ 水防法の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)に当該宅地・建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地・建物の所在地 6-5
イ○ 当該建物が既存の建物であるときは、
建物を借りようとする者には、下記の事項を説明しなければならない。
    記
建物状況調査(実施後1年を経過していないもの)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要 6-8
ウ○ 建物の売買において、その建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその措置の概要は、説明しなければならない。6-4
正解3

住宅瑕疵担保履行法
【問 45】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合における次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、Bの承諾を得た場合には、Bに引き渡した新築住宅について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行わなくてもよい。
2 Aは、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して1月を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することができない。
3 Aが住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結する場合、保険金額は2,000万円以上でなければならないが、Bの承諾を得た場合には、保険金額を500万円以上の任意の額とすることができる。
4 Aが住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結した場合、住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の瑕疵があり、Aが相当の期間を経過してもなお特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときは、Bは住宅販売瑕疵担保責任保険契約の有効期間内であれば、その瑕疵によって生じた損害について保険金を請求することができる。

解答解説
1× 新築住宅の売主業者が住宅瑕疵担保責任を履行するため資力確保措置(住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結)を講ずべき義務を負う旨の規定は、当事者の特約では変更できない強行規定なので、買主の承諾があった場合でも、宅地建物取引業者は瑕疵担保責任の履行を確保するために、資力確保措置をする義務がある。7-25
2× 当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することができない。7-29
3× 住宅販売瑕疵担保責任保険契約の保険金額は2,000万円以上でなければならず、これも強行規定であり、買主の承諾があっても減額することはできない(履行確保法2条7項3号)。7-27
4○ 住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分に瑕疵があり、売主である宅地建物取引業者が瑕疵担保責任を履行しないときには、買主は住宅販売瑕疵担保責任保険契約に基づき損害を補填するための保険金を請求することができる(履行確保法2条7項2号ロ)。7-27

【問 46】独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務として行っていない。
2 機構は、災害により住宅が滅失した場合において、それに代わるべき建築物の建設又は購入に必要な資金の貸付けを業務として行っている。
3 機構が証券化支援事業(買取型)により譲り受ける貸付債権は、自ら居住する住宅又は自ら居住する住宅以外の親族の居住の用に供する住宅を建設し、又は購入する者に対する貸付けに係るものでなければならない。
4 機構は、マンション管理組合や区分所有者に対するマンション共用部分の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。

解答解説
1× 機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金又は当該賃貸住宅の改良に必要な資金の貸付けを行っている。(機構法13条1項8号)。9-2
2○ 機構は、災害により、住宅が滅失した場合において、それに代わるべき建築物の建設又は購入に必要な資金の貸付けを業務として行っている(機構法13条1項5号)。9-2
3○ 証券化支援事業(買取型)の対象は、自ら居住する住宅または親族が居住する住宅の購入・建築に係る貸付債権である。賃貸住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権については譲受けの対象としていない(機構業務方法書3条1号)。9-4
4○ 機構は、マンション管理組合や区分所有者に対して、マンションの共用部分の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている(機構法13条1項7号)。9-2
正解は、1
【ワンポイント】直接融資業務から3つ、証券化支援業務から1つ問う、基本的な出題。

【問 47】宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 新築分譲マンションの販売広告において、近隣のデパート、スーパーマーケット、商店等の商業施設は、将来確実に利用できる施設であっても、現に利用できるものでなければ表示することができない。
2 有名な旧跡から直線距離で1,100mの地点に所在する新築分譲マンションの名称に当該旧跡の名称を用いることができる。
3 土地の販売価格については、1区画当たりの価格並びに1㎡当たりの価格及び1区画当たりの土地面積のいずれも表示しなければならない。
4 新築分譲マンションの修繕積立金が住戸により異なる場合、広告スペースの関係で全ての住戸の修繕積立金を示すことが困難であっても、修繕積立金について全住戸の平均額で表示することはできない。

解答解説
1× 商業施設は現に利用できるもののほか、工事中であるなど将来確実に利用できると認められるものも整備予定時期を明示して表示することができる(公正競争規約施行規則10条(31))。10-5
2× 物件に公園、庭園、旧跡その他の施設の名称を用いるには、その施設から直線距離で300m以内に所在していなければならない(公正競争規約19条1項(3))。また、別荘地に関しては旧跡から1,000m以内であればその名称を用いることができる(公正競争規約19条2項(5))。
本肢では旧跡から1,100m離れているので、当該旧跡の名称を用いることはできない。
3× 土地の販売価格は、原則として1区画当たりの価格で表示する。ただし、1区画当たりの土地面積を明らかにし、それを基礎として算出する場合に限り、1㎡当たりの価格で表示することができる(公正競争規約施行規則10条(35))。
両方を表示しなければならないわけではないので、本肢は誤りです。
4○ マンションの修繕積立金は1戸当たりの価格を月額で表示するのが原則である。ただし、修繕積立金の額が住戸により異なり、その全てを示すことが困難であるときは、最低額及び最高額のみで表示することができる。(公正競争規約施行規則10条(41))。
修繕積立金を全戸の平均額で表示することはできない。
なお、最低額及び最高額のみで表示することができるのは、宅地の価格、新築住宅・新築マンションの価格、賃料、管理費、共益費で共通です。
正解は、4

【問 48】次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 令和3年版国土交通白書(令和3年6月公表)によれば、宅地建物取引業者数は、令和元年度末において10万業者を下回っている。
2 令和3年地価公示(令和3年3月公表)によれば、令和2年1月以降の1年間の地価の変動を見ると、全国平均の用途別では、住宅地、商業地及び工業地のいずれの用途も下落に転じた。
3 令和3年版土地白書(令和3年6月公表)によれば、令和元年における我が国の国土面積は約3,780万haであり、このうち住宅地、工業用地等の宅地は約197万haとなっており、宅地及び農地の合計面積は、森林の面積を超えている。
4 建築着工統計(令和3年1月公表)によれば、令和2年1月から令和2年12月までのマンション着工戸数は、「三大都市圏計」及び「その他の地域」のいずれにおいても前年を下回っている。

解答解説
1× 令和2年3月末における宅地建物取引業者数は125,638業者となっており、前年3月時点に比べ1.0%増加している(6年連続の増加)。
2× 令和2年の地価公示は、全用途平均、住宅地と商業地は下落、工業地は連続して上昇というのが令和2年の傾向です。
3× 国土面積に占める割合は、森林が最も多く、次いで農地、宅地、水面・河川・水路、原野の順で多くなっている。日本の国土面積が約3,780万haというのは、適切です。
4○ 令和2年のマンション着工戸数は、三大都市圏計が6.3%減少、その他の地域が17.3%減少といずれも減少しています。
正解は、4

【問 49】土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 沿岸地域における地震時の津波を免れるためには、巨大な防波堤が必要であるが、それには限度があり、完全に津波の襲来を防ぐことはできない。
2 一般に凝灰岩、頁岩、花崗岩(風化してマサ土化したもの)は、崩壊しにくい。
3 低地は、大部分が水田や宅地として利用され、大都市の大部分もここに立地している。
4 平地に乏しい都市の周辺では、住宅地が丘陵や山麓に広がり、土砂崩壊等の災害を引き起こす例も多い。

解答解説
1○ 記述のとおり。
2× 凝灰岩(ぎょうかいがん)は、火山から噴出された火山灰が地上や水中に堆積してできた岩石。頁岩(けつがん)は堆積岩の一種。1/16(=0.0625)mm以下の粒子(泥)が水中で水平に堆積したものが脱水・固結してできた岩石のうち、堆積面に沿って薄く層状に割れやすい性質(へき開性)があるもの。「頁」の字は本のページを意味し、この薄く割れる性質から命名された真砂土(まさつち・まさど)とは、花崗岩が風化してできた砂状の土壌
3○ 記述のとおり。
4○ 記述のとおり。

【問 50】建物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 組積式構造は、耐震性は劣るものの、熱、音などを遮断する性能が優れている。
2 組積式構造を耐震的な構造にするためには、大きな開口部を造ることを避け、壁厚を大きくする必要がある。
3 補強コンクリートブロック造は、壁式構造の一種であり、コンクリートブロック造を鉄筋コンクリートで耐震的に補強改良したものである。
4 補強コンクリートブロック造は、壁量を多く必要とはせず、住宅等の小規模の建物には使用されていない。

解答解説
1○ 組積造(そせきぞう、英: masonry construction)は、石・煉瓦・コンクリートブロック等を積み上げて作る建築物の構造のこと。
2○
3○
4×空洞コンクリートブロックを鉄筋で補強して耐力壁をつくり、壁頂部を鉄筋コンクリート造の梁でつなぎ一体化した形式の構造。簡易的な建物に用いられる場合が多い。
正解4
 
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