令和2年度第1回   動画ライブラリー 過去問遊園地 トップページ
 【問1 Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。

Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。

Aが、甲土地を囲んでいる土地の一部である乙土地を公道に出るための通路にする目的で賃借した後、甲土地をBに売却した場合には、乙土地の賃借権は甲土地の所有権に従たるものとして甲土地の所有権とともにBに移転する。

Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、ACが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。

解答解説 正解1

1〇 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。10-10 213

2× 最高裁平成18316日判決が、「自動車による通行を前提とする210条通行権の成否及びその具体的内容は、他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、自動車による通行を前提とする210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである」と判示。つまり、自動車による通行権が認められることもある。

3×土地賃借権が土地所有権に従たるものとして、土地所有権の移転に伴うことはない。

4×囲んでいる土地の通行権は、囲んでいる土地が時効取得されても、消滅することはない。 


【問2 令和271日に下記ケース及びケースの保証契約を締結した場合に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

(ケース①)

個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合

(ケース②)

個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合

1 ケース①の保証契約は、口頭による合意でも有効であるが、ケース②の保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。

2 ケース①の保証契約は、Cが個人でも法人でも極度額を定める必要はないが、ケースの保証契約は、Eが個人でも法人でも極度額を定めなければ効力を生じない。

3 ケース①及びケース②の保証契約がいずれも連帯保証契約である場合、BCに債務の履行を請求したときはCは催告の抗弁を主張することができるが、DEに債務の履行を請求したときはEは催告の抗弁を主張することができない。

4 保証人が保証契約締結の日前1箇月以内に公正証書で保証債務を履行する意思を表示していない場合、ケースCAの事業に関与しない個人であるときはケースの保証契約は効力を生じないが、ケースの保証契約は有効である。


解答解説

1×保証契約は書面でしなければ、その効力を生じない。8-24

2×①は、根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約)ではないので、Cが法人でも個人でも極度額を定める必要はない。
➁は、Eが法人でない場合、個人根保証契約だがとなるが、個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。465条の22

3×連帯保証である以上、①②とも保証人CEは、催告の抗弁権を主張できない。

4〇事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。465条の6事業に係る債務についての保証契約の特則(公正証書の作成と保証の効力)


【問3次の1から4までの契約に関する記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。なお、これらの契約は令和241日以降に締結されたものとする。

(判決文)法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解するのが相当である。

1土地の売買契約において、売主が負担した当該土地の税金相当額を買主が償還する付随的義務が定められ、買主が売買代金を支払っただけで税金相当額を償還しなかった場合、特段の事情がない限り、売主は当該売買契約の解除をすることができない。

2債務者が債務を履行しない場合であっても、債務不履行について債務者の責めに帰すべき事由がないときは付随的義務の不履行となり、特段の事情がない限り、債権者は契約の解除をすることができない。

3債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。

4債務者が債務を履行しない場合であって、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めてその履行を催告することなく、直ちに契約の解除をすることができる。


解答解説

1〇付随的義務の不履行では、売主は当該売買契約の解除をすることができないと、判決と同様のことを言っている。

2×本肢は、債務不履行について債務者の責めに帰すべき事由がないときは付随的義務の不履行となり、と言っているが、判決はそのようなことは言っていない。

3〇債務不履行が軽微な時は、債権者は契約を解除できないと、判決と同趣旨のことを言っている。

4〇債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。5-11 542


【問4 建物の賃貸借契約が期間満了により終了したる場合における次の記述のうち正しいものはどれか。なお、賃貸借契約は、令和271日付けで締結され、原状回復義務について特段の合意はないものとする。

1 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。

2 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。

3 賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。

4 賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。


解答解説

1×通常の使用及び収益によって生じた損耗については、原状に復する義務を負わない。9-12 621

2×損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由による時は、原状に復する義務を負わない。9-12 621

3〇敷金は、賃貸借が終了し、賃貸物の返還を受けた時、返還すればよいのだから、賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。9-233

4×賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することはできない。賃借人の債務の担保という敷金の性格から、当然である。9-23(2)

正解3


【問5ABとの間で令和271日に締結された委任契約において、委任者Aが受

任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をA対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。

2 Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。

3 Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BAに対して報酬を請求することができない。

4 Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。


解答解説
1〇 債権者()の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者(B)は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。5-17(2)

2× 善良な管理者の注意義務が要求される。11-9(2)

3× 受任者Bの責めに帰すべき事由=委任者の責めに帰することができない事由によって履行の途中で委任が終了した場合でも、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。648311-14と同趣旨の規定

4×委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。11-11 654


【問6 ABとの間 で令和2年711日 に締結された売買契約に関する次の氾述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、ABに対し、錯誤よる取り消しができるものはどれか。

1  Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりBに対して10万円で売却するといってしまった場合、Bが過失なく「Aは本当に10 万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、AB間に売買契約が成立した場合

2  Aは、自己所布の時価100 万円の壺を10 万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10 万円で売却したい」と言ったところ、BAの言業を信じ「それなら10 万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

3  Aは、自己所有の時価100 万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10 万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10 万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

4  Aは、自己所有の腕時計を100 万円で外国人Bに売却する際、当日の正しい為替レート( 1ドル100 円)を重大な過失により、1ドル125 円で計算して「8,000 ドルで売却する」と言ってしまい、Aの錯誤について過失なく知らなかったBが「8,000 ドルなら買いたい」と言って、AB間に売買契約が成立した場合


解答解説
1×取消しできない。100万円で売るつもりで、10万円で売りたいといったことは、意思を欠く錯誤だが、この錯誤は、重大な過失によるもので、相手方がその錯誤につき善意無重過失のときは、取り消しできない。3-5

2×取消しできない 100万の壺を10万と思い込み、10万で売却したいと言ったのは、基礎事情に関する錯誤だが、この錯誤は、相手方に、その事情を基礎事情とした(価値10万だから売る)ことが表示されていないと取消しできない。-5

3〇取り消せる。名画を贋作だと思い込んだのは、基礎事情に関する錯誤だが、基礎事情に関する錯誤は、相手方も同一の錯誤に陥っていたときは、取り消せる。

4×取り消せない。為替レートに関する錯誤は、基礎事情に関する錯誤だが、この錯誤は、相手方に、その事情を基礎事情とした(1ドル125 円で計算して8,000 ドルになるから売却する)ことが表示されていないと取消しできない。仮に表示されていたとしても、重大な過失があれば取り消せない。3-5 

正解3。


【問7保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和241日以降に締結されたものとする。

1特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。

2 主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。

3 委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

4 委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。


解答解説
1〇 記述のとおり。判例特定物の売買でされる、売主のための保証では、通常、その契約で発生する売主の債務(特定物の引渡し)について、保証人が自分で履行する責任があるというより、むしろ、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任があるという趣旨でされると考えられる。昭和40630日最判

2× 保証契約後、主債務が加重されても、保証人の負担が加重されることはない。また

主債務者の時効利益の放棄の効力は、保証人には及ばない。

3〇(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権) 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。459条の2

4〇(通知を怠った保証人の求償の制限等) 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。463条〇 

正解2


 【問8相続(令和271に相続があったもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相絞権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

2 被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。

3 被相絣人に相統人となる子及びその代襲相続人がおらず、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、被相統人の兄弟姉妹が相続人となることはない。

4 被相統人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合であっても、相続開始以前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときは、その者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となることはない。

正解2


解答解説
1〇(相続回復請求権) 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。884

2×被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となる(再代襲)。
よって、「代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。」とするのは誤り。
条文を示しておこう
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

3〇被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、被相統人の兄弟姉妹が相続人となることはない。条文は、下記のとおり。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二 被相続人の兄弟姉妹

4〇被相続人の兄弟姉妹には、被相続人の子の代襲相続についての規定(8872項)は準用されるが、再代襲の規定(8873項)は準用されない。8892

したがって、記述のとおり、


【問 9】Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、これらの契約は、令和271日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

1 ①の契約において、Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。

2 ②の契約が書面によらずになされた場合、Aは、甲建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでは、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができる。

3 ②の契約については、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。

4 ①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。


解答解説

1×Bが、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合は、Bの履行の着手に当たるので、Aは手付倍返しによるかいじょはできなくなる。5-16

2×書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。不動産の贈与では、引き渡しか所有権移転登記が終われば、履行の終了となるので、そのいずれかが終われば、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができなくなる。

3〇負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。11-25 5512

4×負担付贈与については、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。553条 よって、⑵の契約についても、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生する。541543条の準用

正解3


【問10】Aが甲土地を所有している場合の時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。

2 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。

3 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。

4 Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。 


解答解説
1〇甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有したCが、前占有者が所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有したことを併合主張すれば、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。7-4

2×占有につき善意無過失か悪意又は善意過失ありかは、占有の開始時点で決めるので、記述の場合、善意無過失の10年の占有継続を主張できる。よって、Dは、甲土地の所有権を時効取得することができる。7-1

3〇買受により占有を承継したFは、前主の占有も併合主張でき、併合主張するときは、前主の善意無過失も承継するので、Fは善意無過失占有10年を主張し、甲土地の所有権を時効取得することができる。7-4

4〇所有権は、消滅時効にかからない。私有財産制の下では、当然のこと。7-7

正解2


【問11】A所有の甲土地につき、令和271日にBとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

Bは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、甲土地を令和272日に購入したCに対して借地権を主張することができる。

2本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、ABも借賃の増減を請求することができない。

3本件契約で「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。

ABとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。


解答解説 
1×未登記の借地権は、引き渡しを受けても、第三者Cに対抗できない。9-36参照

2×借賃の増減を行わない旨定めても、賃借人からの減額請求はできる。9-53(1)の注

3×借地人が債務不履行解除された場合に建物買い取り請求権がある旨の規定は借地借家法にはないので、「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨の合意は、借地借家法に定める借地人保護規定より不利な定めではないので、有効である。9-51

4〇初回の更新期間は、最短20年と法定されているので、記述のとおりである。9-31(2)

正解4

 


【問12】

ABとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 ACに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。

2 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、ABに対し、賃料増額請求をすることができる。

3 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Aは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Bに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。

4 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。


解答解説 

1〇賃貸人がAからCに移転した場合、契約期間中の賃料全額をAが受領していた地位も賃貸人の地位と一体となって、新賃貸人Cに引き継がれるから、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。

2〇定期建物賃貸借で、賃料改定に関する特約がない場合は、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、賃料増額請求をすることができる。9-27()参照

3×定期建物賃貸借では、賃貸人からの中途解約は、できない。9-27(3)参照

4〇定期建物賃貸借であっても、特約がなければ造作買い取り請求はできる。9-25


【問13】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、この区分所有者の定数は、規約で2分の1以上の多数まで減ずることができる。×13-5過半数まで

2共用部分の管理に係る費用については、規約に別段の定めがない限り、共有者で等分する。

3共用部分の保存行為をするには、規約に別段の定めがない限り、集会の決議で決する必要があり、各共有者ですることはできない。13-5

4一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するとすることもできる。11条?正解


解答解説 

1×共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)決議は、区分所有者定数を過半数まで減じることができる。よって、2分の1以上の多数まで減ずることができる、とするのは誤り。13-5 これはきついヒッカケ。

2×共用部分の管理に係る費用については、規約に別段の定めがない限り、原則・専有部分の床面積に割合による、各区分所有者の持分割合となる。

3×共用部分の保存行為をするには、規約に別段の定めがない限り、各共有者ですることができる。13-5 

4〇一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するとすることもできる。1113-3参照


【問14】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければ、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができない。

2 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合であっても、その承諾を得ることなく、申請することができる。

3 債権者Aが債務者Bに代位して所有権の登記名義人CからBへの所有権の移転の登記を申請した場合において、当該登記を完了したときは、登記官は、Aに対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。

4 配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれない。


解答解説 

1〇区分所有建物の所有権保存の登記は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければ、申請することができない。敷地権付き区分建物は、区分建物と敷地権が一体的に権利変動する(14-22)ので、それについての敷地権の登記名義人の承諾を要求した。14-1274

2×所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合は、その承諾を得ないと、申請することができない。14-16 109

3×登記官は、登記権利者であるBに対し、当該登記に係る登記識別情報を通知するべきである。14-9(4)のせつめい

4×配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれる。14-13


 

【問15】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1地区計画については、都市計画に、地区施設及び地区整備計画を定めるよう努めるものとされている。

2都市計画事業の認可の告示があった後に当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、施行者の許可を受けなければならない。

3第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とされている。

4市街化調整区域における地区計画は、市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めることとされている。


解答解説

1×地区計画については、都市計画に、地区施設及び地区整備計画を定めるものとする。つまり、地区施設と地区整備計画は「定めるよう努め」なければならない、ではなく、定めなければならない。

1-43 12条の57

2×都市計画事業の認可の告示があった後に当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、施行者に届け出なければならない。先買いのための、届出である。都市計画法67条1項

3×第二種住居地域は、主として、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とされている。第二種だから、「主として・・・」となる。1-5

4〇市街化調整区域における地区計画については、市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めることが必要である。 都市計画法13条1項14号イ 本記述は、〇であることを、消去法で導くことを期待されている。


【問16】都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない。

2 都市計画事業の施行として行う建築物の新築であっても、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物の新築をすることができない。

3 開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、工事完了の公告の日の翌日において、原則としてその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされている。

4開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。


解答解説
1〇 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない。1-19

2×都市計画事業の施行として行う建築物の新築は、許可不要である。1-35

3〇開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、工事完了の公告の日の翌日において、原則としてその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされている。1-30

4〇開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。1-27


【問17】建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 階数が2で延べ面積が200㎡の鉄骨造の共同住宅の大規模の修繕をしようとする場合、建築主は、当該工事に着手する前に、確認済証の交付を受けなければならない。〇

2 居室の天井の高さは、一室で天井の高さの異なる部分がある場合、室の床面から天井の最も低い部分までの高さを2.1m以上としなければならない。

3 延べ面積が1,000㎡を超える準耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。

4 高さ30mの建築物には、非常用の昇降機を設けなければならない。×31m以上2-27


解答解説

1〇 階数が2で鉄骨造は大規模建築物に当たり、その大規模の修繕は、建築確認を要するので、当該工事に着手する前に、確認済証の交付を受けなければならない。2-18

2× 細かいが、1が〇であること明らかなので、×とわかる。居室の天井の高さは、2.1m以上でなければならない。そして、この天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その「平均」の高さによるものとする。建築基準法施行令21条

3× 延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならないが、準耐火建築物はこの限りではない。2-26(2)

4× 高さ31m以上の建築物には、非常用の昇降機を設けなければならない。30mでは、まだ不要。2-27


【問18】建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。

2 近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができない。

3 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。〇2-7

4 日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。

解答解説

1×建築物又は敷地造成のための擁壁は、道路内に又は道路に突き出して建築・築造してはならない。ただし、地盤面下に設ける建築物、公益上必要な建築物等で特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したものはこの限りでない。つまり、許可は必要である。

2-3

2×近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができる。200㎡以上の映画館は、近商・商業・準工業で建つ。2-5

3〇建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。2-7

4×3が〇であることが明らかなので、4は×と推認できる。3が〇であることが明らかなので、4は×と推認できる。日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、「冬至日」の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。「夏至日」ではない。 法56条の2第1項


【問19】宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 土地の占有者又は所有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、宅地造成工事規制区域の指定のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。

2 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。

3 宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用する者は、宅地造成に関する工事を行わない場合でも、都道府県知事の許可を受けなければならない。

4 宅地造成に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。

解答解説
 

1〇記述のとおり。都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、宅地造成工事規制区域の指定のため他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる。土地の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、この立入りを拒み、又は妨げてはならない。 法4条5項 何度か出題されている。常識的にも、おかしくない。

2〇宅地にする土地の造成が宅地造成だから、宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。5-4

3×工事を行なわない、単なる宅地への転用は、転用後14日以内の届出でよい。5-6

4〇施行者の変更のような軽微な変更は、許可を受けることは必要なく、遅滞なく届け出ればよい。5-5


【問20】土地区画整理組合(以下この問において「組合」という。)に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 組合の設立認可を申請しようとする者は、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有するすべての者の3分の2以上の同意を得なければならないが、未登記の借地権を有する者の同意を得る必要はない。

2 組合の総会の会議は、定款に特別な定めがある場合を除くほか、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3 組合が賦課金を徴収する場合、賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の地積等にかかわらず一律に定めなければならない。

4 組合の施行する土地区画整理事業に参加することを希望する者のうち、当該土地区画整理事業に参加するのに必要な資力及び信用を有する者であって定款で定められたものは、参加組合員として組合員となる。

1× 組合の設立は、7人以上共同して、定款及び事業計画を定め、施行地区内の宅地の所有者及び借地権者の各3分の2(人数と地積)以上の同意を得て都道府県知事の認可を受けなければならない。未登記の借地権者は、市町村長に申告することにより借地権者と扱われるが、申告しない場合は、その借地権は存しないものとみなされる(25条)。よって、未登記の借地権についても、その申告があったものについては、その借地権者も含めて3分の2以上の同意を得なければならない。つまり、未登記の借地権を有する者の同意を得る必要がある場合もある。 法18条、19条 3-3

2〇 会議は構成員の半数以上が出席しなければ開くことができないのが普通なので、正しそうと見当がつく。 条文では「総会の会議は、定款に特別の定めがある場合を除くほか、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができない。」とあるから、正しい。法34条1項

3× 賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の位置、地積等を「考慮して」公平に定めなければならない。一律に定めるわけではない。法40条2項

4× 参加組合員になれるのは、土地区画整理事業に参加することを希望する者のうち、必要な資力及び信用を有する者ではなく、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社その他政令で定める者で土地区画整理事業に参加することを希望する者である。25条の2  3-3


【問21】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 法第3条第1項の許可が必要な農地の売買については、この許可を受けずに売買契約を締結しても所有権移転の効力は生じない。

2 市街化区域内の自己の農地を駐車場に転用する場合には、農地転用した後に農業委員会に届け出ればよい。

3 相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。

4 農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。


解答解説 正解1

1〇無許可行為は、無効である。4-3

2×市街化区域内の自己の農地を駐車場に転用する場合には、事前に届け出なければならない。4-

3×相続による取得は、許可不要である。4-4

4×農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。4-2


【問22】国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aが所有する市街化区域内の1,500㎡の土地をBが購入した場合には、Bは事後届出を行う必要はないが、Cが所有する市街化調整区域内の6,000㎡の土地についてDと売買に係る予約契約を締結した場合には、Dは事後届出を行う必要がある。

2 Eが所有する市街化区域内の2,000㎡の土地をFが購入した場合、Fは当該土地の所有権移転登記を完了した日から起算して2週間以内に事後届出を行う必要がある。

3 Gが所有する都市計画区域外の15,000㎡の土地をHに贈与した場合、Hは事後届出を行う必要がある。

4 Iが所有する都市計画区域外の10,000㎡の土地とJが所有する市街化調整区域内の10,000㎡の土地を交換した場合、I及びJは事後届出を行う必要はない。


解答解説 正解1

1〇 届出を要する 規模基準は、
2(市街化:2000㎡以上)×5(調整+非線引き:5000㎡以上)=10(都計外:10000㎡以上)だから、Aが所有する市街化区域内の1,500㎡の土地をBが購入した場合には、Bは事後届出を行う必要はないが、Cが所有する市街化調整区域内の6,000㎡の土地についてDと売買に係る予約契約を締結した場合には、Dは事後届出を行う必要がある。6-1

2× Eが所有する市街化区域内の2,000㎡の土地をFが購入した場合、Fは当該土地の売買契約後2週間以内に事後届出を行う必要がある。6-1

3× 贈与による取得は、許可不要である。6-1

4× 届出を要する 規模基準は、2(市街化:2000㎡以上)×5(調整+非線引き:5000㎡以上)=10(都計外:10000㎡以上)だから、ⅠもJも、事後届け出が必要である。


【問23印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 「建物の電気工事に係る請負代金は1,100万円(うち消費税額及び地方消費税額100万円)とする」旨を記載した工事請負契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1,100万円である。

2 「Aの所有する土地(価額5,000万円)とBの所有する土地(価額4,000万円)とを交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は4,000万円である。

3 国を売主、株式会社Cを買主とする土地の売買契約において、共同で売買契約書を2通作成し、国とC社がそれぞれ1通ずつ保存することとした場合、C社が保存する契約書には印紙税は課されない。

4 「契約期間は10年間、賃料は月額10万円、権利金の額は100万円とする」旨が記載された土地の賃貸借契約書は、記載金額1,300万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。


解答解説 正解3
1× 消費税は、区分記載されている等で消費税額が明らかにされているときは記載金額に含めないので、「建物の電気工事に係る請負代金は1,100万円(うち消費税額及び地方消費税額100万円)とする」旨を記載した工事請負契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1,000万円である。8-10

2× 交換契約書は、双方の金額(評価額)が記載してある場合には高い方の金額が、交換差金のみが記載してある場合にはその交換差金が記載金額となるので、記述の場合は、5,000万円が記載金額となる。8-10

3〇 私人と国が契約書を取り交わす場合、私人が保存するものには印紙税が課されない(非課税の国等が作成したとみなされるから 4条5項)。よって、C社が保存する契約書には印紙税は課されない。8-9

4× 土地の賃借権の設定に関する契約書の記載金額は、設定の対価たる金額(権利金等)がそれにあたり、賃貸料、敷金、保証金等は含まない。よって、記述の場合は、記載金額1,00万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。8-10


【問24】不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 令和24月に個人が取得した住宅及び住宅用地に係る不動産取得税の税率は3%であるが、住宅用以外の土地に係る不動産取得税の税率は4%である。

2 一定の面積に満たない土地の取得に対しては、狭小な不動産の取得者に対する税負担の排除の観点から、不動産取得税を課することができない。

3 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、家屋を改築したことにより、当該家屋の価格が増加したとしても、不動産取得税は課されない。

4 共有物の分割による不動産の取得については、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超えない部分の取得であれば、不動産取得税は課されない。


 解答解説 正解4

1× 不動産取得税の税率は、地方税法本則は、100分の4だが、令和3331日までに取得した住宅及び土地については100分の3とする特例が定めている。8-1よって、住宅用以外の土地に係る不動産取得税の税率も3%である。

2× 免税点(未満には税がかからない)は、土地取得10万円、家屋建築(新築・増築・改築)23万円・その他(売買など)12万円未満である。つまり、免税点の基準は、面責でなく、価格である。

3× 家屋を改築したことにより、当該家屋の価格が増加すれば、不動産取得税は課される。8-1

4〇 共有物の分割による取得の場合、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超えない部分の取得であれば、不動産取得税は課されない。不動産を取得したといえないからである。


【問25】不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。

1 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。

2 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。

3 特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。

4 原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるが、対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない。


解答解説 正解4
1〇「不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成される(最有効使用の原則)が、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合がある。」常識的にみて、変なところはない。7-5チェック2不動産鑑定評価基準第4章Ⅳ

2〇常識的にみて、そうだろう。造成に関する工事が完了していない土地又は建築に係る工事が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすることがある(この場合の鑑定評価を未竣工建物等鑑定評価という。)。不動産鑑定評価基準第5章第1節1Ⅰ(5)

3〇特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。7-5

4×原価法は、対象不動産が土地のみである場合にも、適用することができる。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法であり、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効でありが、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。7-4 不動産鑑定評価基準第7章第1節Ⅱ1  


【問26】宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。

2 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。

3 個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、免許を受けなければならない。

4 宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。


解答解説 正解3

1×合併会社は、合併消滅した会社の免許を承継できない。1-5

2×信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣に届け出ればよい。1-23

3〇Cは、代理業者Dを介して、宅地を不特定多数の者に分譲するのだから、免許が必要である。1-8

4×乙県知事免許の業者が、乙県内にいくつ事務所を設けようと、免許換えは不要である。1-16


27】宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

1 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。

2 広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。

3 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。

4 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

一つ

二つ

三つ

四つ


解答解説 正解2
ア× 当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合も、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。7-4

イ〇 記述のとおり、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。7-2

ウ〇 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。7-4

エ× 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。7-3


【問28】宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引士資格試験に合格した者は、合格した日から10年以内に登録の申請をしなければ、その合格は無効となる。

2 宅地建物取引士証の有効期間の更新の申請は、有効期間満了の90日前から30日前までにする必要がある。

3 宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは説明の相手方からの請求の有無にかかわらず宅地建物取引士証を提示しなければならず、また、取引の関係者から請求があったときにも宅地建物取引士証を提示しなければならない。

4 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、乙県知事に登録の移転を申請するときは、乙県知事が指定する講習を受講しなければならない。


解答解説 正解3

1× 登録は義務ではないし、登録をしないからといって、合格が無効となることもない。2-4

2× 宅建士証の更新には、期限は設けられていない。2-9

3〇 宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは説明の相手方からの請求の有無にかかわらず宅地建物取引士証を提示しなければならず、また、取引の関係者から請求があったときにも宅地建物取引士証を提示しなければならない。〇2-10

4× 登録の移転では、講習を受講する必要はない。2-12


【問29】宅地建物取引業者Aが、BからB所有の住宅の売却の媒介を依頼された場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結し、所定の事項を指定流通機構に登録したときは、その登録を証する書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。

イ Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の21項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。

ウ Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、Bの要望に基づく場合を除き、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできない。

エ Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結したときは、Bに対し、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。

一つ

二つ

三つ

四つ


解答解説 正解3
ア〇 記述のとおり。5-6

イ〇 記述のとおり。5-3

ウ× Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、Bの要望に基づく場合も含め、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできない。5-6

エ〇 記述のとおり。
    3か月 【有効期間の制限】浮気はできない (専任)

    な(7日)ご(5日)やの             【登録義務】

    兄(2・1週間)ちゃん               【報告義務】


【問30】宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(ともに消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃には消費税等相当額を含まないものとする。

1 Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から3432,000円、Bは買主から1716,000円、合計で5148,000円の報酬を受けることができる。

2 Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。

3 Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含む。)の賃貸借契約を成立させた場合、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、308,000円である。

4 Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。


解答解説 正解4

1× 代理業者と媒介業者が関与した場合、その業者全員が受け取れる報酬総額は、
《売買の媒介依頼者一方から受けられる報酬限度額》の2倍以内でなければならない。⇒Aは、(5000×3+6×1.1×2-Bの受領額1716,000
 343.2-171.6=171.6
を限度として受け取れる。
しかし、Aだけで3432,000円受領しているから違反。5-12

2× 居住用建物の賃貸借では、依頼者一方から受けられるのは、借賃の1月の0.55倍に相当する額以内とするが、媒介の依頼を受けるに当たって依頼者の承諾を得ている場合には、依頼者双方から受けられる報酬総額は、借賃の1.1か月分である。依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額が、借賃の1.1か月分になることはない。5-13

3権利金計算をすると、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、

300[330を税抜きとする]×4+2)×1.1=25.4万円 違反 5-15

4〇依頼者双方から受けられる報酬額総額(消費税込み)は、借賃*1.1月分※1に相当する金額以内とする。5-13


【問31】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 建物の売買の媒介だけでなく建物の貸借の媒介を行う場合においても、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項について、説明しなければならない。6-4

2 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときは、宅地建物取引業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施し、その結果を説明しなければならない。6-5

3 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。6-8

4 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、区分所有建物の貸借の媒介を行う場合は、説明しなくてよい。


解答解説 正解1

1〇 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項は、建物の売買の媒介だけでなく建物の貸借の媒介を行う場合においても、説明しなければならない。6-4

2× 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明すればよく、取引業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施する必要はない。6-5

3× 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明しなければならない。6-8

4× 区分所有建物の貸借の媒介を行う場合も、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。 6-7


【問32宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。

2 AB間の建物の売買契約における「法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しABから受領した手付金は返還しない」旨の特約は有効である。

3 AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。

4 AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Bから200万円の手付金を受領してはならない。


解答解説 正解1
1〇 解約手付による解除は、相手方が履行に着手したときまでしか認められないから、AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。7-17

2× 業者は、クオフされたことによって、損害賠償や違約金の請求はできない。すでに手付金等を受け取っていた場合、速やかに返還しなければならない。これより、買主に不利な特約は無効とする。7-15 よって、AB間の建物の売買契約における「法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しABから受領した手付金は返還しない」旨の特約は無効である。

3× 売主業者は、非業者との宅地建物の割賦販売で、賦払金(分割金)の支払いがないときは、①30日以上の期間を定めてその支払いを書面で催告(催促)し、②その期間内にその義務が履行されないときでなければ、契約を解除することはできない。よって、AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる、とするのは誤り。7-22

4× 未完成物件では、引き渡しも登記もしないで、代金額5%又は1000万円を超える代金充当金を受け取ろうとするならその前に保善措置を講じなければならない。よって、AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、Bから、代金額5%を超えていない200万円の手付金を受領する際、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じないでもよい。7-18 


【問33】宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 Aが媒介により建物の貸借の契約を成立させたときは、37条書面に借賃の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならず、また、当該書面を契約の各当事者に交付しなければならない。

 Aが媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合において、当該宅地の引渡しの時期について重要事項説明書に記載して説明を行ったときは、その内容を37条書面に記載する必要はない。

 Aが自ら売主として宅地建物取引業者である買主と建物の売買契約を締結した場合、37条書面に宅地建物取引士をして記名押印させる必要はない。

 Aが自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。


解答解説 正解1
1〇 Aが媒介により建物の貸借の契約を成立させたときは、37条書面に借賃の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならず、また、当該書面を契約の各当事者に交付しなければならない。6-1213

2× 宅地の貸借の媒介において、当該宅地の引渡しの時期は、重要事項説明書に記載して説明をしなくともよいが、その内容を37条書面に記載しなければならない。6-13

3× Aが自ら売主として宅地建物取引業者である買主と建物の売買契約を締結した場合、37条書面に宅地建物取引士をして記名押印させなければならない。6-12

4× Aが自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載しなければならない。6-14特約があれば記載する、手・解・損・ローンに不・契(契約不適合担保責任特約・契約不適合担保責任履行の措置)・租。


【問34】宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という)及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1甲県で宅地建物取引士資格試験に合格した後1年以上登録の申請をしていなかった者が宅地建物取引業者(乙県知事免許)に勤務することとなったときは、乙県知事あてに登録の申請をしなければならない。

2登録を受けている者は、住所に変更があっても、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請する必要はない。

3宅地建物取引士は、従事先として登録している宅地建物取引業者の事務所の所在地に変更があったときは、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。

4丙県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、丁県知事への登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請をした場合は、丁県知事から、移転前の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする新たな宅地建物取引士証が交付される。


解答解説 正解4

1× 登録の申請は、試験に合格した都道府県の知事に対してしかできない。2-4

2× 登録を受けている者は、住所に変更があれば、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。2-11

3× 宅地建物取引士は、従事先として登録している宅地建物取引業者の事務所の所在地に変更があったときは、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請する必要はない。従事先として登録している宅地建物取引業者の事務所の所在地は、登録事項ではない。2-11

4〇 丙県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、丁県知事への登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請をした場合は、丁県知事から、移転前の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする新たな宅地建物取引士証が交付される。2-12


【問35】宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aから建設工事を請け負った建設業者は、Aに対する請負代金債権について、営業継続中のAが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有する。

2 Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。

3 Aは、営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。

4 Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は1,200万円である。


解答解説 正解3

1× 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者は除く)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、Aから建設工事を請け負った建設業者のAに対する請負代金債権は、宅地建物取引業に関する取引により生じた債権ではないので、Aが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有しない。4-7
2× 宅地建物取引業者が開業後、新たに事務所を設置したときは、事務所ごとに500万円の営業保証金を、主たる事務のもよりの供託所に供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、その事務所での事業を開始してはならない。4-5 つまり、供託して、その旨届け出なければ、事業を開始できない。

3〇 業者は、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託し、供託したときは、2週間以内にその旨を免許権者に届け出なければならない。4-8

4× Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は2,000万円である。4-2


【問36】宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、当該社員が納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。

2 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、当該保証協会の認証を受けるとともに、当該保証協会に対し還付請求をしなければならない。

3 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金をその主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。

4 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。


解答解説 正解4

1× 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、<業者が社員でないとしたならば、その者が供託しなければならない営業保証金の相当額>の範囲内で弁済を受ける権利を有する。4-18

2× 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、当該保証協会の認証を受けて、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に対し還付請求をしなければならない。4-151618

3× 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付すべきことを通知しなければならない。4-19

4〇 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。4-19


【問37宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「37条書面」とは、同法第37条の規定に基づき交付すべき書面をいうものとする。

 Aは、専任の宅地建物取引士をして、37条書面の内容を当該契約の買主に説明させなければならない。

 Aは、供託所等に関する事項を37条書面に記載しなければならない。

 Aは、買主が宅地建物取引業者であっても、37条書面を遅滞なく交付しなければならない。

エ Aは、買主が宅地建物取引業者であるときは、当該宅地の引渡しの時期及び移転登記の申請の時期を37条書面に記載しなくてもよい。

一つ

二つ

三つ

なし


解答解説 正解1

ア× 37条書面の内容を当該契約の買主に説明させる必要はない。6-12

イ× 供託所等に関する事項は、37条書面の記載事項ではない。6-1314

ウ〇 37条書面は、買主が宅地建物取引業者であっても、遅滞なく交付しなければならない。6-12

エ× Aは、買主が宅地建物取引業者であるときも、当該宅地の引渡しの時期及び移転登記の申請の時期を37条書面に記載しなければならない。6-13


【問38】宅地建物取引業者Aが、BからB所有の甲住宅の売却に係る媒介の依頼を受けて締結する一般媒介契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、法第34条の21項の規定に基づき交付すべき書面に、宅地建物取引士をして記名押印させなければならない。

2 Aは、甲住宅の価額について意見を述べる場合、Bに対してその根拠を口頭ではなく書面で明示しなければならない。

3 Aは、当該媒介契約を締結した場合、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。

4 Aは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を、法第34条の21項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。


解答解説 正解4

1× 法第34条の21項の規定に基づき交付すべき書面に記名押印するのは、宅地建物取引業者である。5-2
2× 根拠の明示は、口頭でもよい。5-4

3× 一般媒介契約には、物件情報を指定流通機構に登録すべき義務はない。5-6参照

4〇 媒介契約の有効期間及び解除に関する事項は、法第34条の21項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。5-3


【問39】次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、従業者名簿の閲覧の請求があったときは、取引の関係者か否かを問わず、請求した者の閲覧に供しなければならない。

2 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならず、その者が宅地建物取引士であり、宅地建物取引士証を携帯していても、従業者証明書を携帯させなければならない。

3 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は、個人情報保護の観点から従業者名簿から消去しなければならない。

4 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯させなくてもよい。


解答解説 正解2

1× 取引関係者から請求があったときは、その者の閲覧に供しなければならない。3-2

2〇 宅地建物取引士証と従業者証明書は、別のものだから、その業務に従事させる者が宅地建物取引士であり、宅地建物取引士証を携帯していても、従業者証明書を携帯させなければならない。3-1

3× 従業者名簿は、①従業者氏名、従業者証明書の番号、主たる職務内容、宅建士であるか否かの別、当該事務所の従業者となった年月日、当該事務所の従業者でなくなったときは、その年月日等を記載しなければならない。最終記載から10年間保存しなければならない。3-2

4× 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならず、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者であっても携帯させなければならない。3-1


【問40宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、Bがクーリング・オフにより契約の解除を行うことができるものはいくつあるか。

ア Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、Bが、Aからクーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、10日目にAに到達したとき。

イ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間内に、Aが契約の履行に着手したとき。

ウ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、ABとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしたとき。

エ Aの事務所ではないがAが継続的に業務を行うことができる施設があり宅地建物取引業法第31条の31項の規定により専任の宅地建物取引士が置かれている場所で、Bが買受けの申込みをし、2日後に喫茶店で売買契約を締結したとき。

一つ

二つ

三つ

四つ


解答解説 正解2

ア できない。喫茶店で買受け申込をした場合はクオフできるが、その場合でも業者が買主に、<クーリング・オフできる旨とその方法>を書面で告知し、告知があった日から起算して8日経過したときは、クオフできなくなる。記述は、書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送しているので、クオフできる期間を経過しており、クオフできない。

イ できる。クオフは、クオフできる期間内なら、買主Aが物件の引渡しを受け、代金の全額を支払ったときを除き、クオフできる。7-14

ウ できる。クオフできる場合に、クオフしない旨合意しても、その特約はクオフの規定より買主に不利なものとして無効となるので、ABとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしたときも、なおクオフできる。

エ できない。申し込みと契約締結が異なる場所で行われた場合は、申込場所を基準にクオフできるかどうかを決めるので、契約行為をする継続的業務施設(売主業者の継続的に業務を行うことができる施設で、宅地建物取引業法第31条の31項の規定により専任の宅地建物取引士が置かれている場所)で、申し込みが行われている場合は、クオフできない。7-13


【問41】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 重要事項説明書には、代表者の記名押印があれば宅地建物取引士の記名押印は必要がない。

2 重要事項説明書に記名押印する宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなければならないが、実際に重要事項の説明を行う者は専任の宅地建物取引士でなくてもよい。

3 宅地建物取引士証を亡失した宅地建物取引士は、その再交付を申請していても、宅地建物取引士証の再交付を受けるまでは重要事項の説明を行うことができない。

4 重要事項の説明は、宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。


解答解説 正解3

1× 重要事項説明書には、宅地建物取引士の記名押印がなければならない。6-1

2× 重要事項説明書に記名押印する宅地建物取引士も実際に重要事項の説明を行う者も、専任の宅地建物取引士でなくてもよい。6-1

3〇 宅地建物取引士証を亡失した宅地建物取引士は、宅地建物取引士証の再交付を受けるまでは重要事項の説明を行うことができない。6-1

4× 重要事項の説明はどこで行ってもよいので、宅地建物取引業者の事務所で行わなくてもよい。6-1


【問42】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。

2 Aが宅地建物取引業者ではないCとの間で建築工事の完了前に締結する建物(代金5,000万円)の売買契約においては、Aは、手付金200万円を受領した後、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなければ、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領することができない。

3 Aが宅地建物取引業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。

4 Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。


解答解説 正解1or4

1☓不適合担保責任を負う期間を、買主が不適合を知ったときから2年とするのは、不適合担保責任を、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を通知して、消滅時効が経過する「知ったときから5年」経過するまで責任追及できる(7-7)とする民法より買主に不利であり、よって、無効である。7-21

7-21

2〇 未完成物件につき引き渡しをしないで、5%又は1000万円を超える代金充当金を受け取ろうとするなら保全措置を講じなければならない。よって、建物(代金5,000万円)の売買契約において、手付金200万円を受領したAが、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領しようとするなら、その前に法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなければならない。7-18

3〇 手付金等保全措置の規制及び手付の額の制限は、業者間取引には、適用されないので、Aが宅地建物取引業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。7-1718

4× Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、契約不適合責任は民法566条に定める通りの責任となるが、同法は、不適合担保責任を、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を通知して、責任追及できる、としている。


【問43】宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 免許を受けようとするA社の取締役が刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を満了し、その日から5年を経過しなければ、A社は免許を受けることができない。

2 宅地建物取引業者である個人Bが死亡した場合、その相続人Cは、Bが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされ、Bが売主として締結していた売買契約の目的物を買主に引き渡すことができる。

3 宅地建物取引業者D社について破産手続開始の決定があった場合、D社を代表する役員は廃業を届け出なければならない。また、廃業が届け出られた日にかかわらず、破産手続開始の決定の日をもって免許の効力が失われる。

4 免許を受けようとするE社の取締役について、破産手続開始の決定があった場合、復権を得た日から5年を経過しなければ、E社は免許を受けることができない。


解答解説 正解2

1× 免許を受けようとするA社の取締役が刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を満了した場合は、A社は直ちに免許を受けることができる。1-11
2〇 宅地建物取引業者である個人Bが死亡した場合、その相続人Cは、Bが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされ、Bが売主として締結していた売買契約の目的物を買主に引き渡すことができる。1-16
3× 破産手続き開始の決定があった場合、廃業の届出をするのではなく、破産手続き開始の決定があった旨を届け出なければならんらず、免許が失効するのは、その届け出があった時点である。1-17

4× 免許を受けようとするE社の取締役について、破産手続開始の決定があった場合、復権を得れば、E社は直ちに免許を受けることができる。1-11


【問44宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、特に断りのない限り、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 昭和55年に新築の工事に着手し完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならない。

2 貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。

3 自らを委託者とする宅地又は建物に係る信託の受益権の売主となる場合、取引の相手方が宅地建物取引業者であっても、重要事項説明書を交付して説明をしなければならない。

4 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、既に積み立てられている額について説明する必要はない。


解説解答 正解4

1〇 昭和566月1日以降に新築着工したものを除き、建築物の耐震改修促進法に基づき、耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならないので、昭和55年に新築の工事に着手し完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならない。6-5

2〇 貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。6-6

3〇 自らを委託者とする宅地又は建物に係る信託の受益権の売主となる場合、取引の相手方が宅地建物取引業者であっても、重要事項説明書を交付して説明をしなければならない、とされている。35条〇講参照 6-1参照

4× 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容と既に積み立てられている額を説明しなければならない。6-7


【問45】宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合における次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが媒介を依頼した宅地建物取引業者又はBが住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結をしていれば、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う必要はない。

2 Aが住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、基準日において、販売新築住宅の合計戸数を基礎として算定する基準額を超えることとなった場合、甲県知事の承認を受けた上で、その超過額を取り戻すことができる。

3 新築住宅をBに引き渡したAは、基準日ごとに基準日から50日以内に、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、甲県知事に届け出なければならない。

4 Bが宅地建物取引業者である場合であっても、Aは、Bに引き渡した新築住宅について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。


解答解説 正解2

1×宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合には、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行わなければならない。7-24自ら売主として新築住宅を業者でない買主に引き渡した業者は、基準日から3週間以内に、当該基準日に係る資力確保措置(住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結)の状況について、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

2〇 記述のとおり。 本記述は、常識と消去法で導けよう。

3×新築住宅をBに引き渡したAは、基準日ごとに基準日から3週間以内に、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、甲県知事に届け出なければならない。7-28

4× Bが宅地建物取引業者である場合には、Aは、Bに引き渡した新築住宅について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負わない。7-24


【問46】独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、証券化支援事業(買取型)において、金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行している。

2 機構は、災害により住宅が滅失した場合におけるその住宅に代わるべき住宅の建設又は購入に係る貸付金については、元金据置期間を設けることができない。

3 機構は、証券化支援事業(買取型)において、賃貸住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権については譲受けの対象としていない。

4 機構は、貸付けを受けた者とあらかじめ契約を締結して、その者が死亡した場合に支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当する団体信用生命保険を業務として行っている。


解答解説 正解2

1〇 機構は、証券化支援事業(買取型)において、金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行している。9-4

2× 機構は、災害により住宅が滅失した場合におけるその住宅に代わるべき住宅の建設又は購入に係る貸付金については、元金据置期間を設けることができる。9-2参照

3〇 機構が譲受の対象とする貸付債権は、証券化支援事業として行っている債権だが、証券化支援事業では、債務者又は債務者の親族が居住する住宅の建設購入資金の貸付は行っているが、賃貸住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けは行っていない(【資金の使いみち】参照)。よって、同貸付債権については譲受けの対象とならない。9-5

4〇 機構は、あらかじめ貸付けを受けた者と契約をし、その者が死亡した場合に支払われる生命保険金を当該貸付に係る債務の弁済に充てる団体信用生命保険を業務として行っている。9-3


47】宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 路地状部分(敷地延長部分)のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占める場合には、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示しなければならない。

2 新築住宅を販売するに当たり、当該物件から最寄駅まで実際に歩いたときの所要時間が15分であれば、物件から最寄駅までの道路距離にかかわらず、広告中に「最寄駅まで徒歩15分」と表示することができる。

3 新築分譲住宅を販売するに当たり、予告広告である旨及び契約又は予約の申込みには応じられない旨を明瞭に表示すれば、当該物件が建築確認を受けていなくても広告表示をすることができる。

4 新築分譲マンションを販売するに当たり、住戸により管理費の額が異なる場合であって、すべての住戸の管理費を示すことが広告スペースの関係で困難なときは、全住戸の管理費の平均額を表示すればよい。

解答解説 正解1

1〇 記述のとおり。
2☓ 徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示しなければならない。10-4
3☓ 建築確認を受けていない物件は、広告表示できない。
4☓ すべての住戸の管理費を示すことが広告スペースの関係で困難なときは、最低価格、最高価格及び最多価格帯を表示すればよい。10-5


【問48】次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 令和2年地価公示(令和23月公表)によれば、平成311月以降の1年間の地価変動は、全国平均では、住宅地については下落であったが、商業地については上昇であった。

2 令和2年版土地白書(令和26月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向をみると、令和元年の全国の土地取引件数は約131万件となり、前年に比べて大きく増加した。

3 建築着工統計(令和21月公表)によれば、平成311月から令和元年12月までの持家及び分譲住宅の新設住宅着工戸数は前年に比べて増加したが、貸家の新設住宅着工戸数は減少した。

4 平成30年度法人企業統計調査(令和元年9月公表)によれば、不動産業の売上高経常利益率は、平成26年度から平成30年度までの5年間は、いずれも5%以下となっている。


解答解説 正解3

1× 令和2年地価公示(令和23月公表)によれば、平成311月以降の1年間の地価変動は、全国平均では、住宅地も商業地も上昇であった。

2× 令和2年版土地白書(令和26月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向をみると、令和元年の全国の土地取引件数は約131万件となり、横ばいで推移している。

3〇 令和元年の新設住宅着工は、持家(28.9万 1.9%増)及び分譲住宅(26.8万 4.9%増)は増加したが、貸家(34.2万 13.7%減)が減少したため,全体(90.5万 4.0%減)で減少となった。

4× 不動産業の売上高経常利益率は、平成26年度から平成30年度までの5年間は、いずれも5%以下となっている。というのは、3が明白に正しいので、誤り。


【問49】土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 都市の中小河川の氾濫の原因の一つは、急速な都市化、宅地化に伴い、降雨時に雨水が短時間に大量に流れ込むようになったことである。

2 中小河川に係る防災の観点から、宅地選定に当たっては、その地点だけでなく、周辺の地形と防災施設に十分注意することが必要である。

3 地盤の液状化については、宅地の地盤条件について調べるとともに、過去の地形についても古地図などで確認することが必要である。

4 地形や地質的な条件については、宅地に適しているか調査する必要があるが、周辺住民の意見は聴かなくてよい。


解答解説 正解4

1〇 記述のとおり。1-11チェック15
2・3〇 記述のとおり。常識的に判断できよう。

4×不適当。地形や地質的な条件については、宅地に適しているか調査する必要があり、周辺住民の意見も聴かなければならない。


【問50建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 建物の構成は、大きく基礎構造と上部構造からなっており、基礎構造は地業と基礎盤から構成されている。

2 基礎の種類には、基礎の底面が建物を支持する地盤に直接接する直接基礎と、建物を支持する地盤が深い場合に使用する杭基礎(杭地業)がある。

3 直接基礎の種類には、形状により、柱の下に設ける独立基礎、壁体等の下に設けるべた基礎、建物の底部全体に設ける布基礎(連続基礎)等がある。

4 上部構造は、重力、風力、地震力等の荷重に耐える役目を負う主要構造と、屋根、壁、床等の仕上げ部分等から構成されている。


解答解説 正解3

1〇記述のとおり。

2〇記述のとおり。

3×不適当。直接基礎の種類には、形状により、柱の下に設ける独立基礎、壁体等の下に設ける布基礎(連続基礎)、建物の底部全体に設けるべた基礎等がある。布基礎とべた基礎の説明が逆である。

4〇記述のとおり。

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