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 平成30年
【問 1】 AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。

2 Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。

3 AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに甲土地を転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。

4 Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を知らなかったとしても、Dが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。


1〇 詐欺を理由に契約を取り消した場合、既に履行された状態は原状回復しなければならない(売買契約の結果、代金を支払い、登記を移していたならば、取消しにより、登記は戻し、代金は返還しなければならない)が、原状回復相互は、同時履行の関係(5-3参照)となる。3-1 法533条参照https://youtu.be/ughArTAdHA0?t=4093

2〇 錯誤による意思表示の無効の主張は、表意者であるAを保護するためのものであり、Aが無効を主張できないのに、相手方であるBが、Aの錯誤を理由として無効を主張することはできない。3-5 法95条 法改正により錯誤は取消しが問題となった。
改正法の錯誤の規律https://youtu.be/ughArTAdHA0?t=1h35m37s

3〇 虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。したがって、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。3-3 https://youtu.be/ughArTAdHA0?t=1h23m27s法94条2項

4× 第三者の詐欺による意思表示は、相手方がその事実を知っていたときに限り(法改正により、知り又は知りえたときに限り、となったhttps://youtu.be/ughArTAdHA0?t=1h2m19s)取り消すことができるが、本肢のBは第三者の詐欺の事実を知らなかったのであるから、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができない。たとえ、転得者のDが第三者の詐欺の事実を知っていたとしても、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことはできない。3-1 法96条2項

正解4
【ワンポイント】意思表示に関する基本問題。

【問 2】 Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果はAに帰属する。

2 AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。

3 BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。

4 AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。


1× 代理人が自己又は第三者の利益を図るため権原内の行為をなしたときは、相手方がその意図を知り又は知ることができた場合に限り、代理行為として無効となる(判例)。代理人Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、相手方Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合につき、この判例を当てはめると、代理行為として無効となり、本件契約の効果はAに帰属しない。
要するに、代理人の権限濫用を相手方が知っていたか知ることができた場合には、代理行為として無効となる。この判例は初出題。平成30年論点ローラー7回第4問で紹介してある。
なお、改正民法草案に代理権の濫用についての次の規定がある。
●「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」
  要するに、上記解説の下線部分とほぼ同様のことを言っている。なお、これはあくまで改正案で現行民法ではない。⇒2020年施行の民法改正で条文に入った。https://youtu.be/NsjC4m4Cpxs?t=2m20s

2× 代理人は、行為能力者であることを要しないので、Bが被補助人であっても、Bは有効に代理権を取得することができる。4-6 法102条
旧102条は、4-7代理人の行為能力  (1)制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取 り消すことができない。 と規定し直された。
https://youtu.be/NsjC4m4Cpxs?t=12m45s
  よって、2の解説は、新法では
2☓ 代理人は、行為能力者であることを要しない(4‐7 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取 り消すことができない。 202条参照)ので、Bが被補助人であっても、Bは有効に代理権を取得することができる。
とすべきことになった。

3× 同一の法律行為については、当事者双方の代理人となることはできないが、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。したがって、Aの許諾があれば、本件契約は有効となる。4-4 法108条 https://youtu.be/NsjC4m4Cpxs?t=482

4〇 代理人が後見開始の審判を受ければ、代理権の消滅事由となるので。本件契約は無権代理行為となる。4-5 法111条1項2号
なお、相手方が善意無過失であれば、代理権消滅後の表見代理が成立する可能性がある。4-11

正解4
【ワンポイント】代理人の権限乱用は初見だが、出題が予想されていた。改正法では、条文に落とす予定である。https://youtu.be/NsjC4m4Cpxs?t=2m20s


【問 3】 AとBとの間で、5か月後に実施される試験(以下この問において「本件試験」という。)にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した(以下この問において「本件約定」という。)。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 本件約定は、停止条件付贈与契約である。

2 本件約定の後、Aの放火により甲建物が滅失し、その後にBが本件試験に合格した場合、AはBに対して損害賠償責任を負う。

3 Bは、本件試験に合格したときは、本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。

4 本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件試験に合格しても、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。


https://youtu.be/w4wHPlH1ejM?t=1h21m2s
1〇停止条件とは、法律行為の効力の発生を将来の不確定な事実の成否にかからしめるものである。本問は、Bが試験に合格したときに建物を贈与する契約であるから、本件約定は、停止条件付贈与契約になる。5-9 法127条1項

2〇 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。そして、相手方の利益を害した当事者は、不法行為になるので、損害賠償責任を負う。5-9 法128条

3× 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。5-9 したがって、本問ではBは、約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得するのではなく、条件が成就した時点、すなわち試験に合格したときに甲建物の所有権を取得する。 法127条1項

4〇 停止条件付契約であっても、契約である以上、契約の時点で意思能力が必要である。したがって、契約の時点でAに意思能力がなかったのであれば、Bは甲建物の所有権を取得することはできない。1-3 法127条1項

正解3
【ワンポイント】条件に関する問題も周期であった。ほとんど常識的に解けよう。


【問 4】 時効の援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。

2 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。

3 詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。

4 債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。



1〇 時効を援用することができる者は、当事者及び時効の完成により直接利益を受ける者である。保証人はこの時効の完成により直接利益を受ける者に該当し、時効を援用することができる。7-10 法145条
これは、主たる債務者が時効の利益を放棄した場合でも同様である。

2× 時効を援用することができる者は、当事者及び時効の完成により直接利益を受ける者である。後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権が時効消滅すると、抵当権の順位が上昇し配当額が増加する利益があるが、これはあくまで抵当権の順位上昇による反射的利益にすぎず、時効の完成により「直接」利益を受けるとはいえないので、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することはできない、とされた。判例 7-10 法145条 以上https://youtu.be/Gl7GGQvqGUE?t=19m16s

3〇 時効を援用することができる者は、当事者及び時効の完成により直接利益を受ける者である。詐害行為の受益者は、債権者の有する被保全債権が時効消滅すれば、詐害行為によって得ていた利益の喪失を免れることができるので、時効の完成により直接利益を受ける者に該当する。判例 法145条

4〇 債務者が時効の完成後に債務の承認をした場合、時効完成の事実について債務者の知・不知にかかわらず、債務者は消滅時効の援用をすることはできない。 7-14
https://youtu.be/Gl7GGQvqGUE?t=35m43s
正解2
【ワンポイント】肢2は、出題が予想されていた。肢1と肢4は過去既出。肢3は難問だが、正解とは関係のない飾りの既述。


https://youtu.be/lrmAdfQV6Fg?t=80 開発許可制度について
1〇 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為については、開発許可は不要である。これは市街化調整区域内の開発行為についても同様である。
1-17 法29条1項10号

2〇 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、工事完了の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物又は特定工作物を新築してはならない。ただし、都道府県知事が許可したとき、又は当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときは、この限りでない。本問では、用途地域が定められていないので、都道府県知事の許可がなければ、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を新築することができない。1-32https://youtu.be/lrmAdfQV6Fg?t=2815
 法42条1項

3〇 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において開発行為をしようとする場合には、10,000㎡以上の場合に開発許可が必要となる。1-14 法29条2項

4× 準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うものは、開発許可は不要である。1-15 法29条1項2号

正解4
【ワンポイント】都市計画法の定番、開発許可。落とすわけにはいかない。


【問 18】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建築物の高さ31m以下の部分にある全ての階には、非常用の進入口を設けなければならない。

2 防火地域内にある3階建ての木造の建築物を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、その工事が完了した際に、建築主事又は指定確認検査機関の完了検査を受ける必要はない。

3 4階建ての事務所の用途に供する建築物の2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

4 建築基準法の改正により、現に存する建築物が改正後の規定に適合しなくなった場合、当該建築物の所有者又は管理者は速やかに当該建築物を改正後の建築基準法の規定に適合させなければならない。

1× 誤り。建築物の高さ31m以下の部分にある「3階以上の階」には、非常用の進入口を設けなければならない。すべての階に非常用の進入口が必要となるわけではない。施行令126条の6

2× 木造建築物は、3以上の階数を有する場合の増築には、基本的に建築確認及び完了検査が必要となるが、防火地域及び準防火地域「外」において建築物を増築しようとする場合で、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときは、建築確認及び完了検査は不要である。本肢では、防火地域「内」であるから、増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても完了検査を受ける必要がある。2-17 法6条2項参照
https://youtu.be/tyYO64tT7T4?t=7336
3〇 2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。施行令126条1項

4× 建築基準法の改正により、現に存する建築物が改正後の規定に適合しなくなった場合、改正後の建築基準法の規定は適用されず、当該建築物の所有者又は管理者は当該建築物を改正後の建築基準法の規定に適合させる必要はない。いわゆる既存不適格建築物である。2-24 法3条2項 https://youtu.be/tyYO64tT7T4?t=8091

正解3
【ワンポイント】肢1と肢3が建築基準法施行令からの出題で細かいが、常識的に1は誤りである推測がつく(例外を認めぬ断定的記述は誤りのセオリー)。2・4は定番問題だから誤りであることが判断できなければならない。結局、3が消去法的に正しく、正解である。

問 19】 建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 田園住居地域内においては、建築物の高さは、一定の場合を除き、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

2 一の敷地で、その敷地面積の40%が第二種低層住居専用地域に、60%が第一種中高層住居専用地域にある場合は、原則として、当該敷地内には大学を建築することができない。

3 都市計画区域の変更等によって法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員2mの道で、特定行政庁の指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。

4 容積率規制を適用するに当たっては、前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が一定の基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなす。

解答解説
1〇 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は「田園住居地域」内においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。2-8 法55条1項
https://youtu.be/tyYO64tT7T4?t=4613
2× 建築基準法の用途制限では、過半主義がとられており、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する地域の建築物に関する用途制限が適用される。したがって、本肢では敷地全体が第一種中高層住居専用地域にあるものとして用途制限が適用され、第一種中高層住居専用地域においては大学を建築することができる。2-5 法91条、48条3項 https://youtu.be/tyYO64tT7T4?t=2318

3〇 都市計画区域又は準都市計画区域の指定又は変更等によりこの章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定したものは道路とみなされる。2-1 42条2項 https://youtu.be/tyYO64tT7T4?t=435

4〇 前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が一定の基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなして、容積率規定を適用するものとする。法52条11項
https://youtu.be/tyYO64tT7T4?t=3483 参照
正解2
【ワンポイント】法改正の田園住居地域は、都市計画法と建築基準法の双方に関連するが、両法で出題された。肢4は細かい規定だが、正解肢の肢2は基本なので、正解を導く

2〇 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については、造成主は、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。そして、都道府県知事は、この許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができる。   5-3 法8条3項

3〇 宅地造成とは、宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更をいうが、「宅地を宅地以外の土地にするために行うもの」は除かれているので、宅地造成に該当しない。5-4 法2条2項

4× 宅地造成工事規制区域内で行う切土で、当該切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの以外の場合は、当該切土をする土地の面積が500㎡を超えるものは、都道府県知事の許可が必要となるが、本肢では400㎡であるから、許可は不要である。5-4

【ワンポイント】基本的な問題。


【問 21】 土地区画整理法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 土地区画整理事業とは、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、土地区画整理法で定めるところに従って行われる、都市計画区域内及び都市計画区域外の土地の区画形質の変更に関する事業をいう。

2 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある建築物その他の工作物の新築を行おうとする者は、都道府県知事及び市町村長の許可を受けなければならない。

3 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、従前の宅地に存する建築物を移転し、又は除却することが必要となったときは、当該建築物を移転し、又は除却することができる。

4 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、当該仮換地について使用又は収益を開始することができる日を当該仮換地の効力発生の日と同一の日として定めなければならない。


https://youtu.be/J8mb-RtmPeo?t=1789
1× 土地区画整理事業とは、「都市計画区域内」の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び「公共施設の新設又は変更」に関する事業をいう。土地区画整理事業は、都市計画区域外で行われることはない。3-1 法2条1項

2× 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物等の新築等を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内において施行する土地区画整理事業にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。したがって、都道府県知事か市町村長のどちらかの許可を受ければよく、都道府県知事「及び」市町村長の許可を受けるのではない。3-6 法76条1項

3〇 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、従前の宅地に存する建築物等を移転し、又は除却することが必要となったときは、これらの建築物等を移転し、又は除却することができる。3-7 法77条1項

4× 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、その仮換地に使用又は収益の障害となる物件が存するときその他特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生の日と「別に」定めることができる。3-13 法99条2項

正解3
【ワンポイント】プレゼント問題です。


【問 22】 農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 市街化区域内の農地を宅地とする目的で権利を取得する場合は、あらかじめ農業委員会に届出をすれば法第5条の許可は不要である。

2 遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。

3 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。

4 雑種地を開墾し耕作している土地でも、登記簿上の地目が雑種地である場合は、法の適用を受ける農地に当たらない。


https://youtu.be/l38Yvp7RqIg?t=1351
1〇 市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、あらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合には、農地法5条の許可は不要である。4-11 法5条1項6号

2× 遺産の分割によって農地を農地として取得する場合には、農地法3条の許可は不要である。4-4 法3条1項12号

3× 農地所有適格法人以外の法人は、基本的に農地法3条の許可を得ることはできないが、地上権又はこれと内容を同じくするその他の権利が設定され、又は移転されるときは、農地法3条の許可を得ることができるので、農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社であっても、耕作目的で農地を借り入れることができる。 法3条2項

4× 農地とは、耕作の目的に供される土地をいうが、これは登記簿上の地目ではなく、現況で判断される。4-1 法2条1項

正解1
【ワンポイント】本問もプレゼント問題


【問 23】 住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 個人が他の個人と共有で住宅用の家屋を購入した場合、当該個人は、その住宅用の家屋の所有権の移転登記について、床面積に自己が有する共有持分の割合を乗じたものが50㎡以上でなければ、この税率の軽減措置の適用を受けることができない。

2 この税率の軽減措置は、登記の対象となる住宅用の家屋の取得原因を限定しており、交換を原因として取得した住宅用の家屋について受ける所有権の移転登記には適用されない。

3 所有権の移転登記に係る住宅用の家屋が耐火建築物の場合、築年数25年以内であっても、耐震基準適合証明書により一定の耐震基準を満たしていることが証明されないときは、この税率の軽減措置の適用を受けることができない。

4 この税率の軽減措置の適用を受けるためには、登記の申請書に、その家屋が一定の要件を満たす住宅用の家屋であることについての税務署長の証明書を添付しなければならない。


1× 住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置は、単独所有の住宅用家屋に限定されておらず、住宅用家屋が共有に属する場合であっても、共有者全員が適用を受けることができる。8-13 租税特別措置法73条

2〇 住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置が適用される住宅用家屋の取得原因は、「売買又は競落」とされており、交換にはこの税率の軽減措置は適用されない。8-13 租税特別措置法施行令42条3項

3× 住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置が適用される住宅用家屋の要件としては、耐火建築物の場合、「当該家屋がその取得の日以前25年以内に建築されたものであること」とされており、この場合には、一定の耐震基準を満たしていることが証明されている必要はない。耐震基準を満たしている必要があるのは、25年以上前に建築された家屋の場合である。8-13 租税特別措置法施行令42条1項2号イ

4× 住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減を受けるためには、その登記の申請書に、その家屋が一定の要件を満たす住宅用の家屋であることについての「市町村長等」の証明書を添付しなければならない。 租税特別措置法施行規則25条の2第1項

正解2
【ワンポイント】肢1と肢4は、初見で、しかもかなり細かい。しかし、正解肢2は過去既出で正解は容易だった。


【問 24】 不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 不動産取得税は、不動産の取得があった日の翌日から起算して3月以内に当該不動産が所在する都道府県に申告納付しなければならない。

2 不動産取得税は不動産の取得に対して課される税であるので、家屋を改築したことにより当該家屋の価格が増加したとしても、新たな不動産の取得とはみなされないため、不動産取得税は課されない。

3 相続による不動産の取得については、不動産取得税は課されない。

4 一定の面積に満たない土地の取得については、不動産取得税は課されない。


1× 不動産取得税は、普通徴収の方法で徴収される。申告納付ではない。8-1 地方税法73条の17第1項

2× 家屋を改築したことにより、当該家屋の価格が増加した場合には、当該改築をもって家屋の取得とみなして、不動産取得税を課する。8-1 地方税法73条の2第3項

3〇 都道府県は、相続による不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
*地方税法73条の7第1号

4× 不動産取得税の「課税標準」となるべき額が、一定の額に満たない場合においては、不動産取得税を課することができないが(免税点)、土地が一定の「面積」に満たない場合に不動産取得税を課さないという規定はない。8-1 地方税法73条の15の2第1項

正解3
【ワンポイント】プレゼント問題といってよい。


【問 25】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
1 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを最有効使用の原則という。

2 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効な手法であるが、事業の用に供さない自用の不動産の鑑定評価には適用すべきではない。

3 鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、実際の鑑定評価に際しては、地域分析及び個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した手法をいずれか1つ選択して、適用すべきである。
4 限定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格のことをいい、民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提として求められる価格が例としてあげられる。


1〇 記述のとおり、不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として把握される価格を標準として形成される。これを最有効使用の原則という。不動産鑑定評価基準4章Ⅳ

2× 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。また、不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものであり、収益は、不動産の経済価値の本質を形成するものである。したがって、この手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものには基本的にすべて適用すべきものであり、自用の不動産といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。7-2

3× 不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別される、という点は正しい。しかし、鑑定評価の手法の適用に当たっては、地域分析及び個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した「複数」の鑑定評価の手法を適用すべきであり、対象不動産の種類、所在地の実情、資料の信頼性等により複数の鑑定評価の手法の適用が困難な場合においても、その考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである。7-1

4× 限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。問題文の定義と事例は、「特定価格」に関する記述である。7-5

正解1
【ワンポイント】正解肢1は、常識的におかしくなく、消去法でも容易に導けた。

【問 26】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地の売買に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約成立後に継続して広告を掲載していたとしても、当該広告の掲載を始めた時点で当該宅地に関する売買契約が成立していなかったときは、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反しない。

2 販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6月以下の懲役及び100万円以下の罰金を併科されることがある。

3 建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。

4 宅地建物取引業者がその業務に関して広告をするときは、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことによりそのような誤認をさせる場合は、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反しない。

https://youtu.be/AQGiIuoWtVQ?t=723
1× 広告の掲載を始めた時点で当該宅地に関する売買契約が成立していなかったとしても、売買契約成立後に継続して広告していれば、取引の対象となりえない物件の表示をしていることになり、オトリ広告=誇大広告の禁止の規定に違反する。5-2 法32条

2〇 販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をすれば、誇大広告の禁止の規定に違反するが、この規定に違反した場合、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。5-2、7-9 法81条1号

3× 宅地建物取引業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。貸借の媒介に関する広告もすることはできない。5-3 法33条

4× 宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような広告は、デメリット不表示といい、このような場合も誇大広告の禁止の規定に違反する。5-2 法32条

正解2
【ワンポイント】誇大広告の禁止の罰則は、よく出題される。


【問 27】宅地建物取引業者Aは、Bが所有し、居住している甲住宅の売却の媒介を、また、宅地建物取引業者Cは、Dから既存住宅の購入の媒介を依頼され、それぞれ媒介契約を締結した。その後、B及びDは、それぞれA及びCの媒介により、甲住宅の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建物状況調査」とは、法第34条の2第1項第4号に規定する調査をいうものとする。

1 Aは、甲住宅の売却の依頼を受けた媒介業者として、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。

2 A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、甲住宅について、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況及びそれぞれの書類に記載されている内容について説明しなければならない。

3 CがDとの間で媒介契約を締結する2年前に、甲住宅は既に建物状況調査を受けていた。この場合において、A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施している旨及びその結果の概要について説明しなければならない。

4 A及びCは、Dが宅地建物取引業者である場合であっても、法第37条に基づき交付すべき書面において、甲住宅の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項があるときにその記載を省略することはできない。

https://youtu.be/6CmTL0h8_CQ?t=6463
1× 宅地建物取引業者は、「媒介契約」を締結したときは、遅滞なく、「当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」を記載した書面を作成して依頼者に交付しなければならない。よって、Bから依頼を受けたAは、Dに対し何らかの確認をすることは必要ない。まったくでたらめの記述。5-7 法34条の2第1項4号

2× 宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況」を重要事項として説明しなければならないが、それぞれの書類に記載されている内容についてまで説明する必要はない。5-18 法35条1項6号の2ロ

3× 当該建物が既存の建物であるときは、建物状況調査(実施後「1年」を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を重要事項として説明しなければならない。したがって、「2年」前の建物状況調査についてはその結果の概要を説明する必要はない。5-18 法35条1項6号の2、施行規則16条の2の2

4〇 37条書面の記載事項として「当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」があるが、これは宅地建物取引業者相互間の取引であるからといって免除されているわけではなく、記載しなければならない。5-23 法37条1項2号の2

正解4
【ワンポイント】建物状況調査は、媒介契約書面(5-7)、重要事項説明(5-18)、37条書面(5-23)の3つの規制に関する重要な問題。これからも本問のように、3つの規制にかかる問が出題されるだろう。


【問 28】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引業者が、買主として、造成工事完了前の宅地の売買契約を締結しようとする場合、売主が当該造成工事に関し必要な都市計画法第29条第1項の許可を申請中であっても、当該売買契約を締結することができる。

イ 宅地建物取引業者が、買主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結した場合、法第37条の規定により交付すべき書面を交付しなくてよい。

ウ 営業保証金を供託している宅地建物取引業者が、売主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結しようとする場合、営業保証金を供託した供託所及びその所在地について、買主に対し説明をしなければならない。

エ 宅地建物取引業者が、宅地の売却の依頼者と媒介契約を締結した場合、当該宅地の購入の申込みがあったときは、売却の依頼者が宅地建物取引業者であっても、遅滞なく、その旨を当該依頼者に報告しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし


ア× 宅地建物取引業者は、宅地の造成に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項の許可があった後でなければ、当該工事に係る宅地につき、自ら当事者としてその売買の契約を締結してはならない。開発許可を申請しているだけでは、売買契約を締結できない。
なお、本規制は、業者が買主で非業者が、売主の時にもかかることに注意しよう。5-3 法36条

イ× 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買に関し、「自ら当事者」として契約を締結したときはその「相手方」に、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を交付しなければならない。したがって、宅地建物取引業者が買主として売買契約を締結した場合でも、売主に対して37条書面を交付する必要がある。また、これは宅地建物取引業者相互間の取引においても同様である。5-22 法37条

ウ× 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等(「宅地建物取引業者に該当する者を除く」。)に対して、当該売買の契約が成立するまでの間に、供託所等について説明をするようにしなければならない。宅地建物取引業者は、営業保証金から還付を受けることはできないので、この説明が必要な相手方等から除かれている。5-21 法35条の2

エ〇 媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。これは、依頼者が宅地建物取引業者であっても同様である。5-9 法34条の2第8項

以上より、正しいものは、エのみであり、肢1が正解となる。
【ワンポイント】業者が買主でも規制がかかるというアが、ひっかかりやすいが、他は基本的な問題。


【問 29】 Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。
1 A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、Aは、本件契約の成立後、法第37条の規定により交付すべき書面を作成し、記名押印は宅地建物取引士ではない者が行い、これをBに交付した。

2 A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除があったときの損害賠償の額を600万円とする特約を定めた。

3 Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、Aは、本件契約の締結に際して、500万円の手付を受領した。

4 Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物の瑕疵を担保すべき責任に関し、契約の解除又は損害賠償の請求は目的物の引渡しの日から1年以内にしなければならないものとする旨の特約を定めた。


https://youtu.be/AQGiIuoWtVQ?t=903
1 違反する。宅地建物取引業者相互間の取引においても37条書面の交付は必要であるが、当該書面には宅地建物取引士が記名押印しなければならない。5-22 法37条1項

2 違反しない。宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2をこえることとなる定めをしてはならない。この規定は宅地建物取引業者相互間の取引には適用されないので、本肢では損害賠償額の予定を600万円とすることができる。6-7 法38条

3 違反する。宅地建物取引業者が自ら売主で、買主が宅地建物取引業者でない場合、宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2をこえる額の手付を受領することができない。500万円は、売買代金の2割を超えている。6-8 法39条1項

4 違反する。宅地建物取引業者が自ら売主で、買主が宅地建物取引業者でない場合、宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任の期間に関し、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をすることはできる。よって、引渡しの日から1年以内にしなければならないものとすることは違反である。6-12 法40条

正解2
【ワンポイント】基本的な問題。落としてはならない。なお、肢4は、法改正により過去問価値はなくなっている。


【問 30】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、Bが所有する建物について、B及びCから媒介の依頼を受け、Bを貸主、Cを借主とし、1か月分の借賃を10万円(消費税等相当額を含まない。)、CからBに支払われる権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものであり、消費税等相当額を含まない。)を150万円とする定期建物賃貸借契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 建物が店舗用である場合、Aは、B及びCの承諾を得たときは、B及びCの双方からそれぞれ10万8,000円の報酬を受けることができる。

2 建物が居住用である場合、Aが受け取ることができる報酬の額は、CからBに支払われる権利金の額を売買に係る代金の額とみなして算出される16万2,000円が上限となる。

3 建物が店舗用である場合、Aは、Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。

4 定期建物賃貸借契約の契約期間が終了した直後にAが依頼を受けてBC間の定期建物賃貸借契約の再契約を成立させた場合、Aが受け取る報酬については、宅地建物取引業法の規定が適用される。


https://youtu.be/dq1ZA5ZKYaA?t=4523
1× 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の「双方」から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該建物の借賃の1月分の1.08倍に相当する金額以内とする。依頼者の双方から「それぞれ」1か月分の借賃(10万8,000円)を受領することはできない。また、本肢は店舗用建物の賃貸借の媒介であるから、権利金を売買代金とみなすことができるが、そのときでも依頼者の一方から受領できる報酬額の上限は150万円×5%×1.08=8.1万円である。5-28

2× 賃貸借の媒介において、権利金の額を売買代金とみなすことができるのは、居住用の建物「以外」の場合である。5-28

3× 宅地建物取引業者は、依頼者の「依頼によって」行う広告の料金に相当する額については、報酬とは別に請求することができる。依頼者の依頼に基づかない場合は、広告料金は請求できない。5-31

4〇 定期建物賃貸借は、更新のない賃貸借であるから、再契約は新規契約と同様に扱われる。したがって、定期建物賃貸借の再契約に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬についても、新規の契約と同様に宅地建物取引業法の規定が適用される。 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

正解4
【ワンポイント】報酬の問題だが、計算はなく、文章題なので、やさしい。

【問 31】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬の上限額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 土地付中古住宅(代金500万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Bから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をBに対し説明した上で、AがBから受け取ることができる報酬の上限額は280,800円である。

2 土地付中古住宅(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが買主Cから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ4万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をCに対し説明した上で、AがCから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。

3 土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をDに対し説明した上で、AがDから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。

4 中古住宅(1か月分の借賃15万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借について、Aが貸主Eから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の貸借の媒介に比べ3万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をEに対し説明した上で、AがEから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。


https://youtu.be/dq1ZA5ZKYaA?t=4210
1× 宅地建物取引業者は、低廉な空家等について、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要する場合には、一定額までは報酬に上積みして請求することができるが、この「低廉な空家等」とは、400万円以下の金額の宅地又は建物をいうので、本肢では、通常の売買の媒介の場合の報酬である(500万円×3%+6万円)×1.08=226,800円を超えて請求することはできない。5-25-2 報酬額告示第七

2× 宅地建物取引業者は、低廉な空家等について、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要する場合には、一定額までは報酬に上積みして請求することができるが、この「低廉な空家等」とは、400万円以下の金額の宅地又は建物をいうので、本肢では、この要件は満たしている。ただ、現地調査等の費用を上乗せできるのは、空家等の「売主」である依頼者に限り、買主から受領する報酬に現地調査等の費用を上乗せすることはできない。したがって、AがCから受領できるのは通常の報酬の上限額であり、(300万円×4%+2万円)×1.08=151,200円である。5-25-2 報酬額告示第七

3〇 宅地建物取引業者は、低廉な空家等について、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要する場合には、通常の報酬と現地調査等の費用の合計で18万円の1.08倍に相当する金額(194,400円)までは請求することができるが、この「低廉な空家等」とは、400万円以下の金額の宅地又は建物をいうので、本肢では、この要件を満たしている。そして、本肢では、報酬の上限は350万円×4%+2万円=16万円となり、この16万円に2万円の現地調査等の費用を上乗せすれば18万円となる。これに消費税を加え18万円×1.08=194,400円まで宅地建物取引業者は請求することができる。5-25-2 報酬額告示第七

4× 宅地建物取引業者は、低廉な空家等の「売買又は交換」の媒介であって、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要する場合には、一定額までは報酬に上積みして請求することができるが、貸借の場合には、現地調査等の費用を請求することはできない。したがって、本肢では中古「住宅」の貸借であるから、月額の借賃をもとに報酬を算出するので、15万円×1.08=162,000万円が報酬の上限額である。5-28

正解3
【ワンポイント】低廉な空家等の特例は、重要な改正なので出題が予想されていた。通常の報酬計算とは異なり、独特の適用範囲と計算方法なので、それだけでの出題が予想されていたがそのとおりとなった。そこで、通常の報酬計算の問題とあわせ、報酬規制で2問の出題となった。


【問 32】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引士が都道府県知事から指示処分を受けた場合において、宅地建物取引業者(国土交通大臣免許)の責めに帰すべき理由があるときは、国土交通大臣は、当該宅地建物取引業者に対して指示処分をすることができる。

2 宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士の登録を受けた場合、その登録をした都道府県知事は、宅地建物取引士資格試験の合格の決定を取り消さなければならない。

3 国土交通大臣は、すべての宅地建物取引士に対して、購入者等の利益の保護を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる。

4 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、乙県知事から事務の禁止の処分を受けた場合は、速やかに、宅地建物取引士証を乙県知事に提出しなければならない。


https://youtu.be/1aTYyHtMjkE?t=1822
1〇  宅地建物取引士が、指示処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるときは、国土交通大臣は、その免許を受けた宅地建物取引業者に対して、指示処分をすることができる。7-2 法65条1項4号

2× 宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士の登録を受けた場合は、登録の消除の処分を受けるが、宅地建物取引士資格試験の合格の決定を取り消されるという規定はない。7-5 法68条の2

3× 国土交通大臣は、全ての宅地建物取引士に対して、宅地建物取引士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その事務について必要な「報告」を求めることができる。「指導、助言及び勧告」をすることができるのは、宅地建物取引業者に対してである。7-1 法72条3項

4× 宅地建物取引士は、事務の禁止の処分を受けたときは、速やかに、宅地建物取引士証をその「交付を受けた都道府県知事」に提出しなければならない。宅地建物取引士証を交付するのは、登録をしている知事であるから、乙県知事から事務の禁止の処分を受けた場合でも、宅地建物取引士証を提出するのは甲県知事である。2-10 法22条の2第7項

正解1
【ワンポイント】正解肢1は、定番。肢2は、常識的におかしい。肢3は、細かい。肢4は、定番のひっかけ。

【問 33】 宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが甲住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の制度概要を紹介し、Bが同調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合、Aは、同項の規定に基づき交付すべき書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。

2 Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結日から7日以内(休業日を含まない。)に、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。

3 Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。

4 AとBの間で専任媒介契約を締結した場合、Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、BがA以外の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置について記載しなければならない。


https://youtu.be/dq1ZA5ZKYaA?t=1810
1× 「当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」は媒介契約書の記載事項である。建物状況調査を実施する者のあっせんの「有無」について記載する必要があるので、依頼者があっせんを希望しなかった場合は、「なし」と「記載」しなければならない。5-7 法34条の2第1項4号

2× 宅地建物取引業者は、専属専任媒介契約を締結したときは、当該媒介契約の締結の日から「5日」以内に、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。5-10 法施行規則15条の10

3× 宅地建物取引業者は、宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、この根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できない。5-8 法34条の2第2項

4〇 媒介契約書には、「専任媒介契約にあっては、依頼者が他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置」を記載しなければならない。5-7 規則15条の9第1号

正解4
【ワンポイント】肢1は法改正。正解肢4は簡単だったと思います。

【問 34】 宅地建物取引業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合、宅地建物取引業法第37条の規定により、当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せはどれか。
ア 瑕疵担保責任の内容

イ 当事者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所

ウ 建物の引渡しの時期

エ 建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項

1 ア、イ
2 イ、ウ
3 イ、エ
4 ウ、エ


https://youtu.be/6CmTL0h8_CQ?t=6792
ア 記載する必要はない。「当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容」は、売買又は交換の場合は、37条書面に記載しなければならないが、貸借の場合には記載する必要はない。瑕疵担保責任は、売主について問題となる。5-24 法34条の2第2項

イ 必ず記載しなければならない。「当事者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所」は、貸借の場合であっても、37条書面に必ず記載しなければならない。5-23 法34条の2第2項

ウ 必ず記載しなければならない。「宅地又は建物の引渡しの時期」は、貸借の場合であっても、37条書面に必ず記載しなければならない。5-23 法34条の2第2項

エ 記載する必要はない。「当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」は、売買又は交換の場合は、37条書面に記載しなければならないが、貸借の場合には記載する必要はない。5-23 法34条の2第2項

以上より、必ず記載しなければならないのは、イ及びウであり、正解は肢2。
【ワンポイント】37条書面の記載事項は、基本的な問題。貸借であることに注意。


【問 35】 宅地建物取引業者間の取引における宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び重要事項を記載した書面(以下この問において「重要事項説明書」という。)の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建物の売買においては、売主は取引の対象となる建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)について耐震診断を受けなければならず、また、その診断の結果を重要事項説明書に記載しなければならない。

2 建物の売買においては、その対象となる建物が未完成である場合は、重要事項説明書を交付した上で、宅地建物取引士をして説明させなければならない。

3 建物の売買においては、その建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。

4 宅地の交換において交換契約に先立って交換差金の一部として30万円の預り金の授受がある場合、その預り金を受領しようとする者は、保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。


https://youtu.be/6CmTL0h8_CQ?t=3966
1× 「当該建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が耐震診断を受けたものであるときは、その内容」を重要事項として説明しなければならないが、これは耐震診断を受けることを義務付けるものではない。5-15 施行規則16条の4の3第5号

2× 宅地建物取引業者間の取引においては、重要事項記載書面の交付は必要であるが、その説明は不要である。5-12 法35条6項

3〇 建物の売買においては、「当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要」を重要事項説明書に記載しなければならない。5-14 法35条1項13号

4× 「支払金又は預り金を受領しようとする場合において、保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要」は重要事項の説明書の記載事項であるが、ただし、「受領する額が50万円未満のもの」は除かれており、記載は不要である。5-14 施行規則16条の3第1号

正解3
【ワンポイント】物件を取得しようとする者又は借りようとする者が宅地建物取引業者の場合、重要事項の説明は不要で、重要事項記載書面を交付すればよいされたので、宅地建物取引業者間の取引では、重要事項の説明ではなく、重要事項記載書面の交付が問題となる。


【問 36】 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者Aが免許の更新の申請を行った場合において、免許の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、Aの従前の免許は、有効期間の満了によりその効力を失う。

2 甲県に事務所を設置する宅地建物取引業者B(甲県知事免許)が、乙県所在の宅地の売買の媒介をする場合、Bは国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。

3 宅地建物取引業を営もうとする個人Cが、懲役の刑に処せられ、その刑の執行を終えた日から5年を経過しない場合、Cは免許を受けることができない。

4 いずれも宅地建物取引士ではないDとEが宅地建物取引業者F社の取締役に就任した。Dが常勤、Eが非常勤である場合、F社はDについてのみ役員の変更を免許権者に届け出る必要がある。

https://youtu.be/Oqxmqb9MyQM?t=3146
1× 宅地建物取引業者から免許の更新の申請があった場合において、有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお「効力を有する」。1-13 法3条4項

2× 甲県知事免許の宅地建物取引業者でも、乙県所在の宅地の売買の媒介をすることができるので、その場合に免許換えをする必要はない日東洋ははできない。。免許換えは、事務所の変動により、免許権者が異なるにいたったときに問題となる。1-16 法7条1項

3〇 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、免許を受けることはできない。1-11 法5条1項3号

4× 「法人である場合においては、その役員の氏名」は、宅地建物取引業者名簿の記載事項である。この役員は常勤・非常勤を問わない。したがって、Dのみでなく、Eについても役員の変更を免許権者に届け出る必要がある。1-14 法8条2項3号

正解3
【ワンポイント】基本的な問題。これを落としてはだめ。


【問 37】 宅地建物取引業者ある売主Aが、宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者ではない買主Cと新築マンションの売買契約を締結した場合において、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。

イ Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

ウ Cは、Bからの提案によりCの自宅で買受けの申込みを行ったが、クーリング・オフについては告げられず、その10日後に、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

エ クーリング・オフについて告げる書面には、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし


https://youtu.be/AQGiIuoWtVQ?t=331
ア〇 クーリング・オフによる申込みの撤回等は、クーリング・オフの告知の日から起算して8日以内に行わなければならないが、この撤回等は申込者等が書面を「発した」時に、その効力を生ずる。そして、これに反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。6-6 法37条の2第2項

イ〇 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、事務所等以外の場所において、買受けの申込み又は売買契約を締結した場合、買主は、クーリング・オフをすることができるが、「事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主」は除かれているので、このような場合はクーリング・オフによる契約の解除はできない。
6-4 法37条の2第1項

ウ× 買主が自ら申し出て、買主の自宅で買受けの申込みをした場合は、クーリング・オフによる解除はできないが、宅地建物取引業者から申し出た場合は解除できる。また、クーリング・オフの期間は、書面で告げられてから8日であるから、告げられていない場合は、10日後であっても解除できる。6-4・5 法37条の2第1項

エ× クーリング・オフについて告げる書面には、「売主」である宅地建物取引業者の商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。媒介業者Bの商号等を記載するのではない。6-5 施行規則16条の6第2号

以上より、正しいものはア及びイの2つであり、肢2が正解となる。
【ワンポイント】肢エは、ひっかかりやすい。しかも、個数問題なので、誤りに気付きにくい。注意して問題文を読むほかない。



【問 38】 宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。この場合における宅地建物取引業法第41条又は第41条の2の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 当該住宅が建築工事の完了後で、売買代金が3,000万円であった場合、売主は、買主から手付金200万円を受領した後、当該住宅を引き渡す前に中間金300万円を受領するためには、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。

2 当該住宅が建築工事の完了前で、売買代金が2,500万円であった場合、売主は、当該住宅を引き渡す前に買主から保全措置を講じないで手付金150万円を受領することができる。

3 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、売主は、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、買主からその手付金を受領することができない。

4 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金等を受領する場合において売主が銀行との間で締結する保証委託契約に基づく保証契約は、建築工事の完了までの間を保証期間とするものでなければならない。


https://youtu.be/AQGiIuoWtVQ?t=8697
1〇 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買に関しては、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。そして、完成物件の場合、宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額が代金の額の10分の1以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置が不要であるが、この手付金等の額は「既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額」が基準となっており、本肢では中間金300万円を受領する際には、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。6-9 法41条の2第1項

2× 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買に関しては、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。そして、未完成物件の場合、宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額が代金の額の100分の5以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、保全措置が不要である。本肢では、2,500万円の5%は125万円であり、保全措置を講じた後でなければ、手付金150万円を受領することができない。6-9 法41条第1項

3× 未完成物件の場合、保全措置として本肢のような指定保管機関による保管は認められていない。6-10 法41条第1項

4× 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金等を受領する場合において売主が銀行との間で締結する保証委託契約に基づく保証契約は、当該住宅を引き渡すまでの間を保証期間とするものでなければならない。6-11 法41条第2項2号

正解1
【ワンポイント】基本的な問題。落とすと痛い。


【問 39】 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合における宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、特に断りのない限り、当該建物を借りようとする者は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 当該建物を借りようとする者が宅地建物取引業者であるときは、貸借の契約が成立するまでの間に重要事項を記載した書面を交付しなければならないが、その内容を宅地建物取引士に説明させる必要はない。

2 当該建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。

3 台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況について説明しなければならない。

4 宅地建物取引士は、テレビ会議等のITを活用して重要事項の説明を行うときは、相手方の承諾があれば宅地建物取引士証の提示を省略することができる。


https://youtu.be/6CmTL0h8_CQ?t=4130
1〇 宅地建物取引業者相互間の取引においては、重要事項の説明書の交付は必要であるが、重要事項の説明は不要である。5-12 法35条6項

2〇 当該建物が既存の建物であるときは、建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。これは貸借の場合であっても同様である。5-18 法35条1項6号の2イ

3〇 建物の貸借の場合には、「台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況」を重要事項として説明しなければならない。5-16 法施行規則16条の4の3第7号

4× 宅地又は建物の貸借の代理又は媒介に係る重要事項の説明にITを活用する場合には、宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していることが要件とされている。5-12 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

正解4
【ワンポイント】正解肢の肢4は、通達改正の部分です。内容的には平易なものだったと思います。


【問 40】 宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア Aは、自ら売主として、建物の売買契約を締結するに際し、買主が手付金を持ち合わせていなかったため手付金の分割払いを提案し、買主はこれに応じた。

イ Aは、建物の販売に際し、勧誘の相手方から値引きの要求があったため、広告に表示した販売価格から100万円値引きすることを告げて勧誘し、売買契約を締結した。

ウ Aは、土地の売買の媒介に際し重要事項の説明の前に、宅地建物取引士ではないAの従業者をして媒介の相手方に対し、当該土地の交通等の利便の状況について説明させた。

エ Aは、投資用マンションの販売に際し、電話で勧誘を行ったところ、勧誘の相手方から「購入の意思がないので二度と電話をかけないように」と言われたことから、電話での勧誘を諦め、当該相手方の自宅を訪問して勧誘した。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


https://youtu.be/AQGiIuoWtVQ?t=2445
ア 違反する。宅地建物取引業者は、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止されている。本肢の手付の分割受領もこれに該当する。5-32 法47条3号

イ 違反しない。宅地建物取引業者は、「手付」について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止されているが、「代金」の減額については、禁止されていない。5-32参照

ウ 違反しない。重要事項の説明は、宅地建物取引士が行わなければいけないが、重要事項の説明の対象となっていない事項を宅地建物取引業者の従業者が説明することは差し支えない。土地の交通等の利便の状況は、重要事項の説明の対象ではない。5-12参照

エ 違反する。宅地建物取引業者は、相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続することは禁止されている。勧誘の方法を電話から訪問に替えても同じである。5-33 施行規則16条の12第1号ニ

以上より、宅建業法に違反するのは、ア及びエの2つであり、正解は肢2となる。
【ワンポイント】基本的な事項の、個数問題。


【問 41】 次の記述のうち、宅地建物取引業の免許を要する業務が含まれるものはどれか。
1 A社は、所有する土地を10区画にほぼ均等に区分けしたうえで、それぞれの区画に戸建住宅を建築し、複数の者に貸し付けた。

2 B社は、所有するビルの一部にコンビニエンスストアや食堂など複数のテナントの出店を募集し、その募集広告を自社のホームページに掲載したほか、多数の事業者に案内を行った結果、出店事業者が決まった。

3 C社は賃貸マンションの管理業者であるが、複数の貸主から管理を委託されている物件について、入居者の募集、貸主を代理して行う賃貸借契約の締結、入居者からの苦情・要望の受付、入居者が退去した後の清掃などを行っている。

4 D社は、多数の顧客から、顧客が所有している土地に住宅や商業用ビルなどの建物を建設することを請け負って、その対価を得ている。


https://youtu.be/Oqxmqb9MyQM?t=2731
1 含まれない。自ら貸借する行為は、宅地建物取引業に該当しないので、免許は要しない。1-2 法2条2項

2 含まれない。自ら貸借する行為は、宅地建物取引業に該当しないので、免許は要しない。1-2 法2条2項

3 含まれる。「貸主を代理して行う賃貸借契約の締結」は、貸借の代理にあたり、宅地建物取引業に該当するので、免許を要する。1-2 法2条2項

4 含まれない。建築工事の請負をすることは宅地建物取引業に該当しない。1-2 法2条2項

正解3
【ワンポイント】通常は宅建業法の最初の方で出題される免許の要否。内容的には平易。


【問 42】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引士が死亡した場合、その相続人は、死亡した日から30日以内に、その旨を当該宅地建物取引士の登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。

2 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときは、乙県知事に対し登録の移転の申請をし、乙県知事の登録を受けなければならない。

3 宅地建物取引士は、事務禁止の処分を受けたときは宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなくてよいが、登録消除の処分を受けたときは返納しなければならない。

4 宅地建物取引士は、法第37条に規定する書面を交付する際、取引の関係者から請求があったときは、専任の宅地建物取引士であるか否かにかかわらず宅地建物取引士証を提示しなければならない。


https://youtu.be/Oqxmqb9MyQM?t=6027
1× 宅地建物取引士が死亡した場合、その相続人は死亡の事実を「知った日」から30日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。死亡した日から30日以内ではない。2-13 法21条1号

2× 宅地建物取引士は、当該登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときは、当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、登録をしている都道府県知事を経由して、登録の移転の申請をすることが「できる」。登録の移転は任意のものであり、義務ではない。2-12 法19条の2

3× 宅地建物取引士は、事務禁止の処分を受けたときは、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。なお、宅地建物取引士が登録消除の処分を受けたときは宅地建物取引士証を返納しなければならないという点は正しい。2-10 法22条の2第7項

4〇 宅地建物取引士は、37条書面を交付するときに宅地建物取引士証の提示が求められているわけではないが、「取引の関係者から請求があったとき」は、宅地建物取引士証の提示が必要である。2-10 法22条の4

正解4
【ワンポイント】基本的なプレゼント問題。


【問 43】 宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出を行わなかったことにより国土交通大臣又は都道府県知事の催告を受けた場合、当該催告が到達した日から1月以内に届出をしないときは、免許を取り消されることがある。

2 宅地建物取引業者に委託している家賃収納代行業務により生じた債権を有する者は、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受けることができる。

3 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の開始後1週間以内に、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、営業保証金を供託した旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

4 宅地建物取引業者は、新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の供託について国債証券と地方債証券を充てる場合、地方債証券の額面金額が800万円であるときは、額面金額が200万円の国債証券が必要となる。


https://youtu.be/t8hm90SjV5A?t=709
1〇 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から3月以内に宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならない。そして、この催告が到達した日から1月以内に宅地建物取引業者が届出をしないときは、その免許を取り消すことが「できる」。任意的な免許取消事由である。3-4 法25条7項

2× 宅地建物取引業者と「宅地建物取引業」に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。家賃収納代行業務は宅地建物取引業に該当しない。3-7 法25条7項

3× 宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。そして、宅地建物取引業者は、この届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。宅地建物取引業の開始後1週間以内に届け出るわけではない。3-1 法25条5項

4× 宅地建物取引業者が、新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の金額は、500万円×2=1,000万円である。そして、国債証券は額面金額と同じ金銭と評価されるが、地方債証券は額面の9割の評価となる。したがって、地方債証券の額面金額が800万円であるときは、800万円×0.9=720万円の評価となるので、額面金額が「280万円」の国債証券が必要となる。3-3 規則15条

正解1
【ワンポイント】基本的なプレゼント問題。


【問 44】 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員である宅地建物取引業者Aに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、保証協会の社員の地位を失った場合、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権に関し権利を有する者に対し、6月以内に申し出るべき旨の公告をしなければならない。

2 保証協会は、Aの取引の相手方から宅地建物取引業に係る取引に関する苦情を受けた場合は、Aに対し、文書又は口頭による説明を求めることができる。

3 Aは、保証協会の社員の地位を失った場合において、保証協会に弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしていたときは、全ての事務所で営業を継続するためには、1週間以内に主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金として1,500万円を供託しなければならない。

4 Aは、その一部の事務所を廃止したときは、保証協会が弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に申し出るべき旨の公告をした後でなければ、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができない。


https://youtu.be/9tvJl8kcSvk?t=1116
1× 「保証協会」は、社員が社員の地位を失ったときは、当該社員であつた者に係る宅地建物取引業に関する取引により生じた債権に関し権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければならない。この公告をするのは、保証協会であり、宅地建物取引業者Aではない。3-22 法64条の11第4項

2〇 保証協会は、宅地建物取引業者の相手方等から社員の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する苦情の解決について必要があると認めるときは、当該社員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。3-12 法64条の5第2項

3× 弁済業務保証金分担金として150万円納付しているということは、150万円=60万円(本店)+30万円(支店)×3ということになるので、これを営業保証金の額に直すと、1,000万円(本店)+500万円(支店)×3=2,500万円となる。1,500万円の供託では足りない。3-14 施行令2条の4、7条

4× 宅地建物取引業者が、社員の地位を失ったときは、本肢の公告が必要であるが、その一部の事務所を廃止したときは、この公告は不要である。3-23 法64条の11第4項参照

正解2
【ワンポイント】正解肢2は初見だが、苦情の解決が保証協会の業務であることから、このような規定があることは推測できる。また、消去法でも導けよう。


【問 45】 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者は、自ら売主として新築住宅を販売する場合及び新築住宅の売買の媒介をする場合において、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。

2 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、その住宅を引き渡した日から3週間以内に、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、宅地建物取引業の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

3 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することができない。

4 住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結している宅地建物取引業者は、当該住宅を引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害についてのみ保険金を請求することができる。


https://youtu.be/T_qTBw8DUFI?t=1043
1× 宅地建物取引業者が、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負うのは、自ら売主として新築住宅を販売する場合であり、新築住宅の売買の媒介をする場合には、この義務を負わない。6-16 法11条

2× 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、「基準日」から3週間以内に、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、宅地建物取引業の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。「住宅を引き渡した日から3週間以内」ではない。6-19 法12条1項

3〇 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。6-20 法13条

4×地建物取引業者が保険金を請求することができる住宅の「瑕疵」は、「構造耐力上主要な部分」だけではなく、「雨水の浸入を防止する部分」も含まれる。6-18 法2条4項

正解3
【ワンポイント】すべて定番論点である。


【問 46】 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 機構は、住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受けを業務として行っているが、当該住宅の建設又は購入に付随する土地又は借地権の取得に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権については、譲受けの対象としていない。

2 機構は、金融機関による住宅資金の供給を支援するため、金融機関が貸し付けた住宅ローンについて、住宅融資保険を引き受けている。

3 機構は、証券化支援事業(買取型)において、MBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。

4 機構は、高齢者の家庭に適した良好な居住性能及び居住環境を有する住宅とすることを主たる目的とする住宅の改良(高齢者が自ら居住する住宅について行うものに限る。)に必要な資金の貸付けを業務として行っている。


https://youtu.be/6oSvs2Ckd_8?t=1309
1× 機構は、住宅の建設又は購入に必要な資金(当該「住宅の建設又は購入に付随する行為」で政令で定めるものに必要な資金を含む。)の貸付けに係る主務省令で定める金融機関の貸付債権の譲受けを行うことができるが、「住宅の建設又は購入に付随する行為」には、住宅の建設又は購入に付随する土地又は借地権の取得がある。9-5 施行令5条1項

2〇 機構は、住宅融資保険法による保険を行うことができる。9-3 法13条3号

3〇 機構が行う証券化支援事業(買取型)においては、MBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。9-4 法13条1号

4〇 機構の業務の一つとして、高齢者の家庭に適した良好な居住性能及び居住環境を有する住宅とすることを主たる目的とする住宅の改良(高齢者が自ら居住する住宅について行うものに限る。)に必要な資金の貸付けを行うこと、がある。9-2 法13条9号

正解1
【ワンポイント】本問も、定番論点。


【問 47】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 新築分譲住宅について、価格Aで販売を開始してから3か月以上経過したため、価格Aから価格Bに値下げをすることとし、価格Aと価格Bを併記して、値下げをした旨を表示する場合、値下げ金額が明確になっていれば、価格Aの公表時期や値下げの時期を表示する必要はない。

2 土地上に古家が存在する場合に、当該古家が、住宅として使用することが可能な状態と認められる場合であっても、古家がある旨を表示すれば、売地と表示して販売しても不当表示に問われることはない。

3 新築分譲マンションの広告において、当該マンションの完成図を掲載する際に、敷地内にある電柱及び電線を消去する加工を施した場合であっても、当該マンションの外観を消費者に対し明確に示すためであれば、不当表示に問われることはない。

4 複数の売買物件を1枚の広告に掲載するに当たり、取引態様が複数混在している場合には、広告の下部にまとめて表示すれば、どの物件がどの取引態様かを明示していなくても不当表示に問われることはない。


https://youtu.be/85GfodaHSjA?t=944
1× 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が認められるための要件として、「比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること」だけでなく、「過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること」がある。10-2 公正競争規約施行規則13条

2〇 土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示すればよい。10-3 公正競争規約施行規則8条(6)

3× 宅地又は建物の見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないことが必要である。公正競争規約施行規則10条(23)

4× 取引態様は、「売主」、「貸主」、「代理」又は「媒介(仲介)」の別をこれらの用語を用いて表示する必要があり、広告の下部にまとめて表示することは許されない。公正競争規約施行規則10条(1)

正解2
【ワンポイント】常識的に判断できよう。


【問 48】 次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建築着工統計(平成30年1月公表)によれば、平成29年の新設住宅着工戸数は前年比0.3%の増加だったが、新設住宅のうち、分譲住宅の着工戸数は前年比1.9%の減少となった。

2 平成28年度法人企業統計年報(平成29年9月公表)によれば、平成28年度における全産業の売上高は前年度に比べ1.7%増加したが、不動産業の売上高は9.1%減少した。

3 平成30年地価公示(平成30年3月公表)によれば、平成29年1月以降の1年間の地価変動率は、住宅地の全国平均では、昨年の横ばいから10年ぶりに上昇に転じた。

4 平成30年版土地白書(平成30年6月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権移転登記の件数でその動向を見ると、平成29年の全国の土地取引件数は132万件となり、5年連続で減少した。



1× 建築着工統計によれば、平成29年の新設住宅着工戸数は前年比0.3%の「減少」だったが、新設住宅のうち、分譲住宅の着工戸数は前年比1.9%の「増加」となった。問題文は、増加と減少が逆になっている。

2× 法人企業統計年報によれば、平成28年度における全産業の売上高は前年度に比べ1.7%増加したという点は正しいが、不動産業の売上高も9.1%「増加」している。

3〇 地価公示によれば、平成29年1月以降の1年間の地価変動率は、住宅地の全国平均では、昨年の横ばいから10年ぶりに上昇(プラス0.3%)に転じた。

4× 土地白書によれば、土地取引について、売買による所有権移転登記の件数でその動向を見ると、平成29年の全国の土地取引件数は132万件であるという点は正しいが、これは3年連続の増加である。

正解3
【ワンポイント】https://youtu.be/bU_cLqSBDbI
動画を見ておけば、簡単だった。本動画は、試験後の解説動画ではなく、試験前の情報提供動画です。


【問 49】 土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 山麓の地形の中で、地すべりによってできた地形は一見なだらかで、水はけもよく、住宅地として好適のように見えるが、末端の急斜面部等は斜面崩壊の危険度が高い。

2 台地の上の浅い谷は、豪雨時には一時的に浸水することがあり、現地に入っても気付かないことが多いが、住宅地としては注意を要する。

3 大都市の大部分は低地に立地しているが、この数千年の間に形成され、かつては湿地や旧河道であった地域が多く、地震災害に対して脆弱で、また洪水、高潮、津波等の災害の危険度も高い。

4 低地の中で特に災害の危険度の高い所は、扇状地の中の微高地、自然堤防、廃川敷となった旧天井川等であり、比較的危険度の低い所が沿岸部の標高の低いデルタ地域、旧河道等である。

https://youtu.be/FLb8EkesdAU?t=697
1 適切。山麓部は一般的に宅地としての利用に適しているが、地すべりによってできた地形は一見なだらかで、水はけもよく、住宅地として好適のように見えるが、末端の急斜面部等は斜面崩壊の危険度が高い。11-1

2 適切。台地は、一般に水はけがよく地盤が安定しているので宅地に適しているが、台地の上の浅い谷は、豪雨時には一時的に浸水することがあり、現地に入っても気付かないことが多いが、住宅地としては注意を要する。11-1

3 適切。日本の低地は、この数千年の間に形成され、かつては湿地や旧河道であった地域が多く、地震災害に対して脆弱で、また洪水、高潮、津波等の災害の危険度も高い。ただ、日本の場合は、低地を宅地として使わざるを得ず、大都市の大部分は低地に立地しているので注意が必要である。

4 不適切。低地の中で特に災害の危険度の「低い」所は、扇状地の中の微高地、自然堤防、廃川敷となった旧天井川等であり、比較的危険度の「高い」所が沿岸部の標高の低いデルタ地域、旧河道等である。問題文は、危険度の「高い」「低い」が逆となっている。11-1

正解4
【ワンポイント】各地形の宅地適合性は、定番中の定番。


【問 50】 建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 木造建物を造る際には、強度や耐久性において、できるだけ乾燥している木材を使用するのが好ましい。

2 集成木材構造は、集成木材で骨組を構成したもので、大規模な建物にも使用されている。

3 鉄骨構造は、不燃構造であり、耐火材料による耐火被覆がなくても耐火構造にすることができる。

4 鉄筋コンクリート構造は、耐久性を高めるためには、中性化の防止やコンクリートのひび割れ防止の注意が必要である。


https://youtu.be/FLb8EkesdAU?t=867
1 適切。木造建築物の主要な材料である木材は、含水率が少ないほうが強度や耐久性が強く、できるだけ乾燥している木材を使用するのが好ましい。11-5

2 適切。集成木材構造は、単板等を積層した集成木材で骨組を構成したもので、大規模な建物にも使用されている。

3 不適切。鉄骨構造は、不燃構造ではあるが、火熱による耐力の低下が大きいので、耐火材料による耐火被覆がなければ耐火構造にすることができない。11-6

4 適切。鉄筋コンクリート構造は、コンクリートの中性化やひび割れが起きやすいので、耐久性を高めるためには、中性化の防止やコンクリートのひび割れ防止の注意が必要である。

正解3
【ワンポイント】「建物」は、難解な問題が出題されることがあるが、本問は素直な問題であった。

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