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平成22年
権利関係  問1~14

制限行為能力者A
【問1】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、婚姻していない未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。

2 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには 家庭裁判所の許可が必要である。

3 被保佐人については、不動産を売却する場合だけでなく、日用品を購入する場合も保佐人の同意が必要である。

4 被補助人が法律行為を行うためには、常に補助人の同意が必要である。


着眼点 1は、「理由を付けて結論を導く記述は誤り」のパターンである。なお、3と4は、ほぼ同じことを問うており、やさしすぎるだろう。
1×未成年者の法律行為は、得する行為(条文上は、単に権利を得,又は義務を免れる行為)以外は、法定代理人の同意が必要であり、土地の売却には、当然法定代理人の同意が必要である。1-1-5

2○成年後見人が、成年後見人に代わって、その居住用不動産を処分にするには、家庭裁判所の許可が必要である。成年被後見人が、路頭に迷わぬようするための規制である。17p下段

3×比較的能力がある被保佐人は家計崩壊につながるような重大行為だけ、保佐人の同意が必要である。日用品の購入などは、保佐人の同意は必要ない。1-1-6

4×被保佐人より能力がある被補助人は、被保佐人にとって同意が必要な家計崩壊につながる重大行為中の特定行為だけ補助人の同意を要する。常に同意が必要であるというのは言い過ぎ。1-1-7          解答2

代理A
【問2】 AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。

1 Aが死亡した後であっても、BがAの死亡を知らず、かつ、知らないことにつき過失がない場合には、BはAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

2 Bが死亡しても、Bの相続人はAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

3 18歳であるBがAの代理人として甲土地をCに売却した後で、Bが18歳であることをCが知った場合には、CはBが未成年者であることを理由に売買契約を取り消すことができる。

4 Bが売主Aの代理人であると同時に買主Dの代理人としてAD間で売買契約を締結しても、あらかじめ、A及びDの承諾を受けていれば、この売買契約は有効である。

着眼点
 本問もきわめて素直。プレゼント問題といってよい。
1×本人Aの死亡は、代理権消滅事由でありそのことを代理人が知っていたかどうかは関係がない。よって、Bの行為は無権代理行為となり、記述は誤りである。1-1-23

2×代理人Bの死亡も代理権の消滅事由であり、よって、代理権は相続されることはなく、「Bの相続人はAの代理人」になるという記述は誤りである。1-1-23

3×代理人は行為能力者でなくともよいのであるから、相手方Cは、代理人Bが未成年者であったことを理由に売買契約を取り消すことはできない。1-1-24

4○Bが、売主Aと買主Dの代理人となるということは、原則的には禁止されている双方代理になってしまうが、この禁止は本人の利益を配慮してのものだから本人双方の承諾があれば、禁止はなくなり、有効な代理行為となる。1-1-22
答4

取得時効
【問3】 所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。

2 自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。

3 時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。

4 通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

着眼点 1~3は初見。1は、賃借権の時効取得がイメージしにくく、3は、結局何を問題にしているのかわかりにくかったと思う。
1×土地賃借権は、時効取得できる(判例)。賃借権の時効取得は、土地賃貸借契約を口頭で締結して、賃借人が土地を長期間利用していたにもかかわらず、賃貸人が、契約書がないのをいいことに賃貸借契約の存在を否定してきた場合(おまえと賃貸借契約を結んだ覚えはない)に、賃借人が、長期間賃借の意思で(=賃料を払って)同土地を使用収益してきたから、賃借権を時効取得したと切り返すときに問題となる。112p中段

2○土地の筆の一部でも、要件があれば時効取得できる。当然である。判例

3○取得時効の起算点は、時効の基礎たる事実が開始されたときで、時効援用者において起算点を選択し、時効完成時期を早めたり、遅らせたりすることはできない(判例)。もし、これを認めると、時効完成時点が流動的になり、時効と登記に関する判例理論(時効取得者は、時効完成当時の権利者には登記なくして時効取得を対抗できるが、時効完成後の権利取得者には登記なくして時効取得を対抗できない。1-4-5)が、成り立たなくなってしまう。

4○地役権は、継続的に行使され、かつ外形上認識することができるものに限り、時効取得できる。そのようなものでないと、時効中断措置を取れず、取得時効になじまないからである。112p中段           答1

物権変動と登記
【問4】 AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 CもBから甲土地を購入しており、その売買契約書の日付とBA間の売買契約書の日付が同じである場合、登記がなくても、契約締結の時刻が早い方が所有権を主張することができる。

2 甲土地はCからB、BからAと売却されており、CB間の売買契約がBの強迫により締結されたことを理由として取り消された場合には、BA間の売買契約締結の時期にかかわらず、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。

3 Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているときには、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。

4 Cは債権者の追及を逃れるために売買契約の実態はないのに登記だけBに移し、Bがそれに乗じてAとの間で売買契約を締結した場合には、CB間の売買契約が存在しない以上、Aは所有権を主張することができない。

着眼点 1は基本。23は、問い方がわかりにくい。4は、わかりやすい。
1×典型的な二重売買で、買主相互の優劣は、登記の早い者勝ちとなる。1-3-2 

2×土地がC→B→Aへと転々譲渡され、CBの売買がBの強迫を理由に取り消された場合、①B→Aの契約がCの取消し前になされたときは、Cは、強迫取消しをもって利害関係を持った第三者Aに(登記なくして)対抗できる(1-1-14)が、②B→Aの契約がCの取消し後になされたときは、B→Aの契約と取消しによるC←Bの物権の復帰がBを起点とする二重譲渡類似となるので、Cは登記がなければ所有権を主張できない(1-3-3)。よって、BAの売買契約締結時期にかかわらず、Cは登記がなくてもAに対して所有権を対抗できるとするのは誤り。

3○Cの取得時効の進行中に、B→Aの売買契約が行われたので、Aは、時効完成当時の権利者である。取得時効は、時効完成当時の権利者には登記なくして対抗できるので、記述のとおりである。1-4-5

4×Cが売買契約の実態がないのにBに登記を移したのは、虚偽表示類似であるので、Cは、虚偽登記の無効を、利害関係を持った第三者Aが善意のときには対抗できなくなり、逆に、Aは所有権を主張できる。1-1-15、1-3-5答3

抵当権A
【問5】 AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。

1 AがBとは別にCから500万円を借り入れていた場合、Bとの抵当権設定契約がCとの抵当権設定契約より先であっても、Cを抵当権者とする抵当権設定登記の方がBを抵当権者とする抵当権設定登記より先であるときには、Cを抵当権者とする抵当権が第1順位となる。

2 当該建物に火災保険が付されていて、当該建物が火災によって焼失してしまった場合、Bの抵当権は、その火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができる。

3 Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要がない。

4 AがBとは別に事業資金としてEから500万円を借り入れる場合、当該土地及び建物の購入代金が2,000万円であったときには、Bに対して500万円以上の返済をした後でなければ、当該土地及び建物にEのために2番抵当権を設定することはできない。

着眼点 3は、法改正後の初出題。1・2は基本。4は、法律的常識である。
1○同一目的物に複数の抵当権を設定したときの抵当権者相互の優劣は、二重売買の場合の買主相互の優劣同様、登記の早い者勝ちとなる。1-3-3

2○抵当権は、抵当目的物に付された火災保険に基づく損害賠償請求権に対しても、差押えをして効力を及ぶすことができる。物上代位である。1-5-7

3○抵当権設定登記後生じた目的物利用権は抵当権に対抗できないが、抵当権者に対抗できない賃貸借であって、抵当権の目的である建物を競売手続の開始前から使用収益をする者は、その建物の競落人の競落のときから6月を経過するまでは、その建物を競落人に引き渡すことを要しない。1-5-14の2

4×1番抵当権の被担保債権額が抵当目的物の評価額を上回る場合でも、2番抵当権を設定することができる。                答4


債務不履行・損害賠償請求権B
【問6】 両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務の不履行によって生じる損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り、賠償請求できる。

2 債権者は、特別の事情によって生じた損害のうち、契約締結当時、両当事者がその事情を予見していたものに限り、賠償請求できる。

3 債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始する。

4 債務の不履行に関して債権者に過失があったときでも、債務者から過失相殺する旨の主張がなければ、裁判所は、損害賠償の責任及びその額を定めるに当たり、債権者の過失を考慮することはできない。

着眼点 全記述が初見。2のひっかけは細かく、3は理論的にむずかしい。4は本来訴訟法の論点。よって、本問は落としてもよい。
1×債務不履行によって通常生ずべき損害は、当事者が予見していたか否かにかかわらず、全部、賠償請求できる(416条1項)。

2×特別の事情によって生じた損害は、債務者が予見していたか予見できたものに限り、賠償請求できる(416条2項)。記述は、予見の主体を両当事者とする点及び、損害賠償の範囲を予見していたものだけに限る点が誤りである。

3○履行不能によって生じる損害賠償請求権は、不履行となった本来の債務と同一性があるから、その(損害賠償請求権)消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得るときからその進行を開始する(判例)。これに対して、解除に基づく原状回復義務は、解除によって生じた本来の債務とは別個のものだから、その(原状回復義務)消滅時効は、契約解除のときからその進行を開始する(判例)。次は、原状回復義務の消滅時効の起算点が出題されるだろう。

4×過失相殺は、債務者の主張がなくても、裁判所が職権ですることができる。判例      解答3


債権者代位権C
【問7】 民法第423条第1項は、「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」と定めている。これに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 債務者が既に自ら権利を行使しているときでも、債権者は、自己の債権を保全するため、民法第423条に基づく債権者代位権を行使することができる場合がある。
2 未登記建物の買主は、売主に対する建物の移転登記請求権を保全するため、売主に代位して、当該建物の所有権保全登記手続を行うことができる場合がある。
3 建物の賃借人は、賃貸人(建物所有者)に対し使用収益を求める債権を保全するため、賃貸人に代位して、当該建物の不法占有者に対し当該建物を直接自己に明け渡すよう請求できる場合がある。
4 抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し当該不動産を適切に維持又は保存することを求める請求権を保全するため、その所有者の妨害排除請求権を代位行使して、当該不動産の不法占有者に対しその不動産を直接自己に明け渡すよう請求できる場合がある。

着眼点 正解肢は、債権者代位権の概念を少しでも知っていればわかった。
1×債権者代位権は、自己の債権保全のため、債務者に属する権利を債務者に代わって行使するものだから、その行使のためには、債務者が、債権者代位権の対象となる権利を行使していないことが絶対的な要件となる。1-8-24
2○債権者代位権は、本来金銭債権保全のため認められたのだが、金銭債権以外の債権保全のためにも、他に手段がない場合には債権者代位権の行使が認められる(債権者代位権の転用)。その一は、未登記建物の買主は、売主が所有権保存登記をしない場合、売主に対する建物の移転登記請求軒を保全するため、売主に代位して、当該建物の所有権保存登記手続を行うことができる。判例 1-8-23-
3○もう一つは、建物賃借人が、賃貸人に対し使用収益を求める債権を保全するため、賃貸人に代位して、当該建物の不法占有者に対し当該建物を直接自己に請求する場合である。判例 1-8-23
4○これも、債権者代位権の転用の例になるが、抵当権者は、抵当建物を不法に占拠する者に対しては、所有者の妨害排除請求権を代位行使して、自己に明け渡しを請求できる場合もある。1-5-2              解答1

保証A
【問8】 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 保証人となるべきものが、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。
2 保証人となるべき者が、口頭で明確に特定の債務につき保証する旨の意思表示を債権者に対してすれば、その保証契約は有効に成立する。
3 連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りではない。
4 連帯保証人が2人いる場合、連帯保証人間に連帯の特約がなくても、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。

着眼点 正解肢は初見だが、この改正は重要なので当然知っていなければならない。他の記述は、保証又は連帯保証に関する基本であり、プレゼント問題である。
1○保証委託があることは、保証契約成立の要件ではない。従って、保証委託がない保証契約も有効に成立する。141p下段
2×保証契約は、法改正で、書面(又は電磁的記録)でしなければ有効に成立しない要式行為とされている。1-5-26
3○連帯保証でない保証人は、いきなり請求されても、まず主債務者に催告すべき旨を請求できるが、主債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明の場合は、この限りでない。1-5-37
4○連帯保証人が2人いる場合、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。連帯保証と普通の保証の3つの違いの一つである。1-5-40
                           解答2

契約解除に関する判例B
【問9】 契約の解除に関する次の1から4までの記述のうり、民法の規定及び下記判決文によれば誤っているものはどれか。
 (判決文)
 同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった2個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができる。
1 同一当事者間で甲契約と乙契約がなされても、それらの契約の目的が相互に密接に関連付けられていないのであれば、 甲契約上の債務の不履行を理由に甲契約と合わせて乙契約をも解除できるわけではない
2 同一当事者間で甲契約と乙契約がなされた場合、甲契約の債務が履行されることが乙契約の目的の達成に必須であると乙契約の契約書に表示されていたときに限り、甲契約上の債務の不履行 を理由に甲契約と合わせて乙契約をも解除することができる
3 同一当事者間で甲契約と乙契約がなされ、それらの契約の目的が相互に密接に関連付けられていても、そもそも甲契約を解除することができないような付随的義務の不履行があるだけでは、乙契約も解除することはできない
4 同一当事者間で甲契約(スポーツクラブ会員権契約)と同時に乙契約(リゾートマンションの区分所有権の売買)が締結された場合に、甲契約の内容たる屋内プールの完成及び供用に遅延があると、この履行遅滞を理由として乙契約を民法第541条により解除できる場合がある。

着眼点 判例の読み取り問題。これは、国語の問題ととらえた方がよい。
1○判例は、「甲乙契約に密接な関係(A)があれば、甲の債務不履行を理由に、乙も解除(B)できる」とし、記述は、「Aがなければ、Bはできない」とするもので、誤ってはいない。
2×判例は、記述のように、甲乙契約の密接不可分の関係が契約書に表示されていたときに限り、甲契約上の債務不履行を理由に乙契約も解除できる、とまでは言っていない。国語的に誤りである。
3○判例は、「甲契約を解除(A)できる場合は、乙契約も解除(B)できる」とし、記述は、「Aができない場合は、Bもできない」とし、誤ってはいない。
4○記述は、設問判例の一般論に対応する具体例であり、正しい。解答2
          

遺言A
【問10】 遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 自筆証書遺言は、その内容をワープロ等で印字していても、日付と氏名を自書し、押印すれば、有効な遺言となる。
2 疾病によって死亡の危急に迫った者が遺言をする場合には、代理人が2名以上の証人と一緒に公証人役場に行けば、公正証書遺言を有効に作成することができる。
3 未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。
4 夫婦又は血縁関係がある者は、同一の証書で有効に遺言をすることができる。

着眼点 正解肢(遺言能力)は、過去出題されているが、遺言の方式に関する出題(肢1・2)は初めてなので、戸惑った人も多いだろう。https://youtu.be/m9VRSa8m7tc?t=3s
1×自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(928条)。
ただし、2020年に下記改正が行われた。https://youtu.be/titD86zbhzI?t=40m45s

*全文の自書を要求している従来の自筆証書遺言の方式を緩和し,自筆証書と一体のものとして添付する財産目録については、自書することを要しない。ただし,財産目録の各頁に署名押印することを要する。9682項 


2× 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる(976条1項1文)。また、公正証書によって遺言をするには、証人二人以上の立会い等の方式に従わなければならない(969条)。記述は、この2つの条文をまぜたようなもので、誤りである。
3○15歳に達した者は、遺言をすることができる。遺言能力は、満15歳で認められる。12‐14
4×遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない。共同遺言は絶対的に禁止される。12-15
    解答3


事業用定期借地権等B 
【問11】 借地借家法第23条の借地権(以下この問において「事業用定期借地権」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 事業の用に供する建物の所有を目的とする場合であれば、従業員の社宅として従業員の居住の用に供するときであっても、事業用定期借地権を設定することができる。
2 存続期間を10年以上20年未満とする短期の事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によらなくても、書面又は電磁的記録によって適法に締結することができる。
3 事業用定期借地権が設定された借地上にある建物につき賃貸借契約を締結する場合、建物を取り壊すこととなるときに建物賃貸借契約が終了する旨を定めることができるが、その特約は公正証書によってしなければならない。
4 事業用定期借地権の存続期間の満了によって、その借地上の建物の賃借人が土地を明け渡さなければならないときでも、建物の賃借人がその満了をその1年前までに知らなかったときは、建物の賃借人は土地の明渡しにつき相当の期限を裁判所から許与される場合がある。

着眼点 全記述が、過去出題されている。
1×事業用定期借地権は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする場合でも、その建物が居住の用に供するものである場合は設定することができない。したがって、記述の場合は設定できない。             1-6-47
2×事業用定期借地権は、公正証書を持ってしなければ設定できない。1-6-47
3×設問は、取壊し予定の建物の定期借家権の設定を問題にしているが、同借家権は書面によりさえすれば設定することができ、必ずしも公正証書でなくともよい(1-6-44)。定期借家又は借地権の中で公正証書が必要なのは、事業用借地権(1-6-47)だけである。
4○借地上の建物につき賃貸借がされている場合に、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人がその満了をその1年前までに知らなかったときは、裁判所は、建物の賃借人の請求により、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる(1-6-36)。借地上の建物の賃借人の保護である。解答4

借家B
【問12】 Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この間において「本件契約」という。)をBと締結して建物の引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 本件契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張することができる。
2 AがBとの間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには、民法第541条所定の催告が必要である。
3 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求権を排除する特約がない場合、Bの同意を得てAが甲建物に付加した造作については、期間満了で本件契約が終了するときに、Aは造作買取請求権を行使できる。
4 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。

着眼点 1はよく出るが、2と4は初見。2~3で回答が割れるであろう。
1○借家権は、目的建物の引渡しを受けておけば、賃借権の登記がなくても、建物の譲受人に借家権の存在を対抗できる。1-6-14
2×信頼関係破壊を理由に賃貸借契約を解除するときは、民法541条所定の催告は不要である(判例)。破壊された信頼関係を回復することは不可能であるから、履行不能の場合と同様に無催告解除(1-2-7)を認めるのである。
3○造作買取り請求権を排除する特約がなければ、賃貸人Bの同意を得て賃借人Aが建物に付加した造作につき、期間満了で契約が終了するときには、Aは造作買取り請求権を行使できる。1-6-19
4○定期借家権においては、賃料の増減額請求権は、賃料の改定に係る特約がある場合には、適用しない(1-6-43の4)が、記述では特約がないというのだから、A又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。正解2


区分所有法A
【問13】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 専有部分が数人の共有に属するときは、規約で別段の定めをすることにより、共有者は議決権を行使すべき者を2人まで定めることが出きる。
2 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しては、その効力を生じない。
3 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約で別段の定めがあるときを除き、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができる。
4 集会において、管理者の選任を行う場合、規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
 
着眼点 1は、テキストに載せていないが、常識的に判断できる。4は、管理者の選任決議が特別決議事項になっていない(1-11-26)ことから判断できよう。
1×専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない(40条)。一専有部分に割り当てられた議決権行使者が複数になっては、各人の議決権の行使が食い違ったときに処理できなくなるから、当然であろう。
2×規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる(46条1項)。特定承継人とは、専有部分を後から買受けたような人だが、規約及び集会の決議は、当該区分所有建物及びその敷地内では法律類似の効力を有するのだから、当然であろう。1-11-18
3×敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。つまり、原則的には分離処分が禁止され、例外として規約で分離処分できる旨定めることができる。1-11-9
4○管理者の選任は、規約に別段の定めが内限り、集会の普通決議で決する。1-11-12                    解答4


不動産登記法 登記事項証明書C
【問14】 不動産の登記事項証明書の交付の請求に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 登記事項証明書の交付を請求する場合は、書面をもって作成された登記事項証明書の交付のほか、電磁的記録をもって作成された登記事項証明書の交付を請求することもできる。
2 登記事項証明書の交付を請求するに当たり、請求人は、利害関係を有することを明らかにする必要はない。
3 登記事項証明書の交付を請求する場合は、登記記録に記録されている事項の全部が記載されたもののほか、登記記録に記録されている事項のうち、現に効力を有するもののみが記載されたものを請求することもできる。
4 送付の方法による登記事項証明書の交付を請求する場合は、電子情報処理組織を使用して請求することができる。

着眼点 1の「電磁的記録をもって作成された登記事項証明書」とは、「電磁的記録による登記事項証明」なのか、「電磁的記録を印字して作成された登記事項証明書」なのかわかりにくく、難問となった。前者の意味であるが、素直に「電磁的記録による登記事項証明」ときいてほしかった。
1×登記事項証明書とは、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面であるから、書面をもって作成されたものしかなく、電磁的記録をもって作成された登記事項証明書というものはない。1-10-2
2○登記事項証明書の交付請求に当たっては、請求人は,利害関係を有することを明らかにする必要はない。それが必要なのは、登記簿の附属書類(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求する場合である。
3○登記事項証明書には、登記記録に記録されている事項の全部が記載された全部事項証明書と、登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するものを記載した現在事項証明書があり、それらを請求できる。250p上段の表
4○送付の方法による登記事項証明書の交付を請求する場合は、電子情報処理組織を使用して請求することができる。250p上段    解答1

事後届出制A
【問15】
 国土利用計画法第23条の都道府県知事への届出 (以下この問において「事後届出」という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者Aが、自ら所有する市街化区域内の5,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Bに売却する契約を締結した場合、Bが契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行わなかったときは、A及びBは6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合がある。
2 事後届出に係る土地の利用目的について、甲県知事から勧告を受けた宅地建物取引業Cは、甲県知事に対し、当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができる。
3 乙市が所有する市街化調整区域内の10,000平方メートルの土地と丙市が所有する市街化区域内の2,500平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Dが購入する契約を締結した場合、Dは事後届出を行う必要はない。
4 事後届出に係る土地の利用目的について、丁県知事から勧告を受けた宅地建物取引業者Eが勧告に従わなかった場合、丁県知事は、その旨及びその勧告の内容を公表しなければならない。

着眼点 やさしいプレゼント問題。落とすと厳しい。
1×法23条の事後届出は土地に関する権利の取得者Bに義務づけられているので、それを怠っても、Bのみが罰則適用を受け、Aは受けない。3-6-5
2×事後届出に係る土地の利用目的につき、勧告を受けた場合でも、当該土地に関する権利の買取り請求はできない。それができるのは、規制区域内の土地取引に付き許可が得られなかった場合である(19条1項)。3-6-5
3○当事者の一方又は双方が、国又は地方公共団体等である場合は、事後届出は必要ない。535p下段
4×勧告を受けた者が勧告に従わなかった場合は、その旨と勧告内容を公表できる。しなければならないわけではない。536p下段         解答3

 都市計画法:各種計画A
【問16】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。
2 準都市計画区域は、都市計画区域外の区域のうち、新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、及び保全する必要がある区域に指定するものとされている。
3 区域区分は、指定都市、中核市及び特例市の区域の全部又は一部を含む都市計画区域には必ず定めるものとされている。
4 特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。

着眼点いきなり正解肢がきている。これも落とすと痛い。
1○記述のとおり、市街化区域については、少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。3-1-6
2×都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物の建築若しくは建設又はこれらの敷地の造成が現に行われ、・・・・・そのまま・・放置すれば、・・・支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、準都市計画区域として指定することができる。423p下段
3×区域区分は、首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯・・・等には、必ず定めるものとされている(7条)。3-1-2
4×特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。記述は、特別用途地区(3-1-7)についてのものである。                     3-1-8                          解答1

開発許可制度A
【問17】 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。また、各選択肢に掲げる行為は、都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業及び防災街区整備事業の施行として行うもの、公有水面埋立法2条1項の免許を受けた埋立地で行うもの並びに非常災害のため必要な応急措置として行うものを含まない。
1 区域区分が定められていない都市計画区域内において、20戸の分譲住宅の新築を目的として5,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする場合は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、土地の区画形質の変更を伴わずに、床面積が150㎡の住宅の全部を改築し、飲食店としようとする場合には、都道府県知事の許可を受けなければならない。
3 開発許可を受けた開発区域内において、当該区域内の土地の所有権を有し、かつ、都市計画法第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者は、開発行為に関する工事が完了した旨の公告があるまでの間は、その権利の行使として建築物を新築することができる。
4 開発許可申請者以外の者は、開発許可を受けた開発区域のうち、用途地域等の定められていない土地の区域においては、開発行為に関する工事が完了した旨の公告があった後は、都道府県知事の許可を受けなくても、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を新築することができる。

着眼点 4がわかりにくいが、おかしな記述であることは気がつくだろう。
1○区域区分の定められていない都市計画区域内では、3,000㎡以上の開発行為は、許可が必要なので、記述のとおりである。3-1-15
2○何人も、市街化調整区域のうち開発区域以外の区域内においては、知事の許可を受けなければ、建築物の改築・用途変更をしてはならない。3-1-31
3○開発区域内の土地所有者で、開発行為に同意をしていない者は、工事完了公告があるまでの間は、その権利行使として新築することができる。3-1-28
4×何人も、開発区域のうち、用途地域等が定められていない区域においては、工事完了公告後も、開発許可に係る予定建築物等以外の建築物を新築してはならない。記述は、許可申請者以外の者は、新築してよいとするが、誤り。3-1-29

建築確認等A
【問18】 3階建て、延べ面積600平方メートル、高さ10mの建築物に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 当該建築物が木造であり、都市計画区域外に建築する場合は、確認済証の交付を受けなくとも、その建築工事に着手することができる。
2 用途が事務所である当該建築物の用途を変更して共同住宅にする場合は、確認を受ける必要はない。
3 当該建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。
4 用途が共同住宅である当該建築物の工事を行う場合において、2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事を終えたときは、中間検査を受ける必要がある。

着眼点 中間検査が必要な場合を具体的に覚えることは難しいので、4は、消去法的に判断すべきである。出題者もそれを期待している。
1×木造建築物は「3階以上又は延べ面積500㎡超、若しくは高さ13m超若しくは軒高9m超」の場合には、大規模建築物として、全国的に建築行為には確認が必要となるので、確認済み証の交付を受けなければ、その建築工事に着手することができない。3-2-20・21
2×事務所は一般建築物であり共同住宅は特殊建築物だが、全国的に、特殊な用途に供する床面積が100㎡超の特殊建築物に用途変更することは、確認を受けなければならない。3-2-20
3×避雷設備を設けなければならないのは、高さ20m超の建築物であるから、設問の場合には、不要である。3-2-21
4○記述のとおり、中間検査を受ける必要がある。492p下段     解答4


用途規制B
【問19】 建築物の用途規制に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域地区等の指定及び特定行政庁の許可は考慮しないものとする。
1 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において、当該敷地の過半が工業地域内であるときは、共同住宅を建築することができる。
2 準住居地域内においては、原動機を使用する自動車修理工場で作業場の床面積の合計が150平方メートルを超えないものを建築することができる。
3 近隣商業地域内において映画館を建築する場合は、客席の部分の床面積の合計が200平方メートル未満となるようにしなければならない。
4 第一種低層住居専用地域内においては、高等学校を建築することができるが、高等専門学校を建築することはできない。

着眼点 いくらでも細かい問題を出せる用途制限は、正解肢がわかればよい。
1○規制の異なる地域地区にわたる敷地は、その過半が属する地域地区の規制に従うから、記述は工業地域の規制にしたがう。そして、工業専用では住宅(共同住宅も含む)は建たない⇒工業等それ以外では、建つ。記述は、○ 3-2-7
2○準住居地域では、原動機を使用するする作業所で床面積の合計が150㎡を超えないものは、建築することができる。建築基準法・別表
3×200㎡以上映画館は、近商・商業・準工業で建つ。記述は、× 3-2-7
4○1低専では、高校は建つが、高専は建たない。記述は、○ 3-2-7解答4


宅地造成等規制法A
【問20】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
1 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。
2 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事は、擁壁、排水施設の設置など、宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
3 宅地造成工事規制区域内の宅地において、地表水等を排除するための排水施設の除却の工事を行おうとする者は、宅地造成に関する工事の許可を受けた場合を除き、工事に着手する日までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
着眼点 届出義務を正解肢としているが、届出義務の趣旨がわかっていれば、正解は容易である。
1○ 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質変更は、宅地造成に該当しない。3-5-3
2○記述のとおり。
3×排水施設の除却工事を行おうとする者は、その工事に着手する14日前までに、その旨を都道府県知事に届出なければならない。この届出は、行政が行政指導を行うかどうかを検討するための情報提供だから、工事を着手する日まででは遅すぎる。3-5-6
4○記述のとおり。527p上段              解答3


土地区画整理法C
【問21】 土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 施行地区の土地についての土地区画整理事業は、都市計画事業として施行されることから、これを土地収用法第3条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。
2 宅地について所有権を有する者は、1人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地及び一定の区域の宅地以外の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
3 宅地について所有権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
4 国土交通大臣は、施行区域の土地について、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で特別の事情により急施を要すると認められるもののうち、国土交通大臣が施行する公共施設に関する工事と併せて施行することが必要であると認められるものについては自ら施行することができる。

着眼点 消去法で解くべき問題。解説のとおり、かなり微妙なひっかけ。
1×施行地区とは土地区画整理事業を施行する土地をいう。都市計画事業として土地区画整理事業を行う区域は施行区域という。したがって、「施行区域についての土地区画整理事業には、・・・同法の規定を適用する」が正しい記述である。施行区域と施行地区の用語逆転のひっかけ。かなり微妙なひっかけ。
3-1     
2○記述のとおり。
3-2
3○記述のとおり。
3-3
4○記述のとおり(3条5項)。このようにごちゃごちゃといろいろ書いてある場合は、でたらめを書くわけがないと考えてよい。
3-5         解答1



農地法A
【22年問22】 農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。
2 宅地に転用する目的で市街化区域外の農地を購入する場合は、農地の権利移動に係る法第3条第1項の許可のほか、農地転用に係る法第4条第1項の都道府県知事の許可を受ける必要がある。
3 会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者が罰せられるのみならず、その会社も1億円以下の罰金刑が科せられる。
4 賃貸借の存続期間については、民法上は20年を超えることができないこととされているが、農地の賃貸借については、50年までの存続期間が認められる。

着眼点
  改正点を3つ出したが、正解肢は、改正とは関係のない定番ひっかけ。
これも、落とすと痛い。
1○記述のとおり。今回もっとも重要な改正点である。3-3-4、500p下段
2×転用目的で農地を購入する場合は、5条の許可を受ければよい。3・4条の許可は必要ない。3-3-8
3○記述のとおり。今回の改正点である。3-3-9
4○記述のとおり。今回の改正点である(19条)。解答2

相続時精算課税の特例C
【問23】 特定の贈与者から住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 65歳未満の親から住宅用家屋の贈与を受けた場合でも、この特例の適用を受けることができる。
2 父母双方から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合において、父母のいずれかが65歳以上であるときには、双方の贈与ともこの特例の適用を受けることはできない。
3 住宅取得のための資金の贈与を受けた者について、その年の所得税法に定める合計所得金額が2,000万円を超えている場合でも、この特例の適用を受けることができる。
4 相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の合計額が2,500万円以内であれば、贈与時には贈与税は課されないが、相続時には一律20
%の税率で相続税が課される。

着眼点  1と3がうっかりしているとひっかかる。
1×確かに住宅取得資金の贈与を受けた場合は、65歳未満の親からの贈与にも適用があるが、そもそも、住宅取得資金の贈与の特例では、その名のとおり、住宅取得資金の贈与につき適用され、住宅用家屋の贈与には適用されない。3-7-22
2×住宅取得資金の贈与を受けた場合は、65歳以上の親からの贈与に加え、65才未満の親からの贈与についても相続時精算課税制度が適用される。したがって、双方の贈与とも適用できる。3-7-22
3○住宅取得資金の贈与の特例では、所得要件はないので、記述のとおりである。565p中段
4×贈与時には、2,500万円を越える部分につき一律20パーセントの税率で課すが、相続時には精算するのである。これも逆転パターンのひっかけである。3-7-21
                 解答3


不動産取得税A
【問24】 不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 生計を一にする親族から不動産を取得した場合、不動産取得税は課されない。
2 交換により不動産を取得した場合、不動産取得税は課されない。
3 法人が合併により不動産を取得した場合、不動産取得税は課されない。
4 販売用に中古住宅を取得した場合、不動産取得税は課されない。

着眼点
 これは基本。
1×生計を一にする親族から不動産を取得した場合も、課される。3-7-2
2×交換による取得の場合は、双方が不動産を取得するので、双方に課される。3-7-2
3○法人が合併により取得した場合は、所有者名義の形式的な移転として、課されない。541p下段
4×販売用に取得した場合も、当然課される。3-7-2     解答3

不動産の鑑定評価A
【問25】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
1 原価法は、求めた再調達原価について減価修正を行って対象物件の価格を求める手法であるが、建設費の把握が可能な建物のみに適用でき、土地には適用できない。
2 不動産の効用及び相対的稀(き)少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因を価格形成要因といい、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。
3 正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
4 取引事例に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例に係る価格等に影響を及ぼしているときは、適正に補正しなければならない。

着眼点 いきなりわかりやすい正解肢がきているが、これを見落とすと迷路にはまる。
1×原価法は、土地でも作り直すことが想定できる造成地などには適用できる。568p下段
2○価格形成要因について記述であり、記述のとおり。569p中段
3○正常価格の定義であり、記述のとおり。569p下段
4○記述のとおり。事情補正である。568p上段           解答1




免許A
【問26】 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 農地所有者が、その所有する農地を宅地に転用して売却しようとするときに、その販売代理の依頼を受ける農業協同組合は、これを業として営む場合であっても、免許を必要としない。
2 他人の所有する複数の建物を借り上げ、その建物を自ら貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合は、免許が必要になるが、自ら所有する建物を賃貸する場合は、免許を必要としない。
3 破産管財人が、破産財団の換価のために自ら売主となり、宅地又は建物の売却を反復継続して行う場合において、その媒介を業として営む者は、免許を必要としない。
4 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合、免許を取得する必要はないが、その旨を国土交通大臣に届け出ることが必要である。

着眼点  定番の免許の要否。絶対に落としてはならない。
1×宅地の販売の代理を業として営むことは、宅地建物取引業の定義に当てはまるので、当該農業協同組合は、免許を要する。2-1-1-
2×複数の建物を借り上げ、その建物を自ら売主として転貸すること及び所有する建物を貸借することは、いずれも宅地建物取引業の定義に当てはまらないので、免許は不要である。よって、前者につき免許が必要とする前段は誤り。2-1-1-
3×宅地・建物の売却を反復継続して行う場合に、その媒介を業として営むことは、宅地建物取引業の定義に当てはまるので、免許を要する。2-1-1-
4○信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合、免許を取得する必要はないが、その旨を国土交通大臣に届け出ることは必要である。2-1-1-   解答4


免許の基準A
【問27】 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 法人Aの役員のうちに、破産手続開始の決定がなされた後、復権を得てから5年を経過しない者がいる場合、Aは、免許を受けることができない。
2 法人Bの役員のうちに、宅地建物取引業法の違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、Bは、免許を受けることができない。
3 法人Cの役員のうちに、刑法第204条(傷害)の罪を犯し懲役1年の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を経過したが、その経過した日から5年を経過しない者がいる場合、Cは、免許を受けることができない。
4 法人Dの役員のうちに、道路交通法の規定に違反したことにより、科料に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、Dは、免許を受けることができない。

着眼点  定番の免許基準。法人役員が免許欠格では、法人自体免許欠格になるが、そのことについて問う。
1×破産手続き開始の決定を受けた者は、復権を受ければ直ちに免許を受けられるので、その者を役員とする法人Aは、免許を受けることができる。2-1-9
2○宅建業法に違反し、罰金刑に処せられた者は、刑の執行が終わった日から5年間は免許欠格なので、その者を役員とする法人Bもその間免許を受けられない。2-1-9
3×懲役刑に処せられると免許欠格事由になるが、その執行猶予期間が経過すれば直ちに免許欠格でなくなるので、その者を役員とする法人Cは、免許を受けることができる。2-1-9
4×道路交通法違反で科料に処せられても免許欠格とはならないので、その者を役員とする法人Dは、免許を受けることができる。2-1-9      解答2

名義貸し等A
【問28】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 免許を受けている個人Aが死亡した場合、相続人にAの免許は承継されないが、相続人は、Aが生前に締結した契約に基づく取引を結了するための業務を行うことができるので、当該業務が終了した後に廃業届を提出すればよい。
2 免許を受けている法人Bが免許を受けていない法人Cとの合併により消滅した場合、Cは、Bが消滅した日から30日以内に、Bを合併した旨の届出を行えば、Bが受けていた免許を承継することができる。
3 免許を受けている個人Dが、自己の名義をもって個人Eに宅地建物取引業を営ませる行為は、Eが免許を受けているとしても、法第13条で禁止する名義貸しに該当する。
4 免許を受けている法人Fが、宅地建物取引業保証協会の社員でない場合は、営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始してはならないので、当該届出前に宅地建物取引業を営む目的で広告をした行為は、法第12条で禁止する無免許事業に該当する。

着眼点
 3は、つまらないひっかけ。
1×業者の相続人が、業者が生前締結した契約に基づく取引を結了した場合は、廃業届出をする必要はない。2-1-2
2×免許を受けていない法人が免許を受けている法人を吸収合併した場合に、合併した法人が届け出ることにより消滅した法人の免許を承継することができるという規定はない。2-1-2
3○業者が免許を受けている者に名義貸しをした場合も、当然、法の禁止する名義貸しにあたる。2-1-6
4×免許を受けた者が、営業保証金の供託済みの届出前に、事業を開始することは、「営業保証金の供託済み届出前の事業開始の禁止」違反にはなるが、無免許営業にはならない。2-3-1                      解答3


業務運営体制上の規制A 
【問29】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「事務所」とは、同法第15条に規定する事務所等をいう。
1 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、免許証及び国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
2 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備える業務を怠った場合、監督処分を受けることはあっても罰則の適用を受けることはない。
3 宅地建物取引業者は、各事務所の業務に関する帳簿を主たる事務所に備え、取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積等の事項を記載しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の取引主任者を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。

着眼点 プレゼント問題である。 
1×事務所には、標識は掲げなければならないが、免許証は掲示する必要はない。2-5-7
2×従業者名簿を備える義務を怠った場合は、当然罰則の適用がありうる。本法は、宅地建物取引業者の業務を適正なものにすることが最大の目的なので、業務運営体制上の義務違反には、すべて罰則を設けている。2-8-9
3×業務に関する帳簿は事務所ごとに備えなければならない。2-5-1
4○記述のとおりである。2-2-15        解答4

登録と取引主任者証A 
【問30】 宅地建物取引主任者の登録(以下この問において「登録」という。)及び宅地建物取引主任者証(以下この問において「取引主任者証」という。)に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 婚姻している未成年者は、登録実務講習を修了しても、法定代理人から宅地建物取引業を営むことについての許可を受けなければ登録を受けることができない。
2 登録を受けている者は、取引主任者証の交付を受けていない場合は、その住所に変更があっても、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請する必要はない。
3 取引主任者証を亡失し、その再交付を申請している者は、再交付を受けるまでの間、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明をするときは、取引主任者証に代えて、再交付申請書の写しを提示すればよい。
4 甲県知事から取引主任者証の交付を受けている者が、取引主任者としての事務を禁止する処分を受け、その禁止の期間中に本人の申請により登録が消除された場合は、その者が乙県知事で宅地建物取引主任者資格試験に合格したとしても、当該期間が満了していないときは、乙県知事の登録を受けることができない。

着眼点 すべて過去頻出の記述である。
1×婚姻している未成年者は、成年者とみなされるので、法定代理人から許可を受けなくても登録を受けることができる。2-2-4・14
2×登録を受けている者の住所が変更した場合は、取引主任者証の交付を受けていなくとも、変更の登録を申請しなければならない。2-2-5
3×どのような事情があろうと、取引主任者証以外の書面を提示して、重要事項説明をすることはできない。2-6-8
4○事務禁止処分を受けたときは、申請により登録を消除しても、事務禁止の期間中は、再登録を受けることはできない。2-2-4


営業保証金A
【問31】 宅地建物取引業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において、「還付請求権者」とは、同法第27条第1項の規定に基づき、営業保証金の還付を請求する権利を有する者をいう。
1 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いとして免許を取り消されたときであっても、営業保証金を取り戻すことができる場合がある。
2 宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。
3 宅地建物取引業者は、一部の支店を廃止したことにより、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合は、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかったときに、その超過額を取り戻すことができる。
4 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者保証協会の社員となった後において、社員となる前に供託していた営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。

着眼点 本問もプレゼント問題。
1○免許取消しと営業保証金の取戻しは別個の制度だから、前者を受けたからといって、後者ができなくなるわけではない。2-3-9
2×免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をしなければ、営業保証金を取り戻せない。2-3-10
3○一部支店を廃止し、営業保証金の額が政令で定める額を超過した場合も、還付請求権者に対する公告をしなければ、その超過額は取り戻せない。2-3-10
4○保証協会社員になった後に、社員となる前に供託していた営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく営業保証金を取り戻せる。
保証協会社員の弁済業務は保証協会が行うので、公告不要で営業保証金を取り戻しても、取引上の債権者の保護に欠けない。       2-3-10    解答2

広告規制A
【問32】 宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア Aが行う広告については、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。
イ Aがテレビやインターネットを利用して行う広告は、新聞の折込チラシや配布用のチラシと異なり法の規制の対象とならない。
ウ Aが行う広告については、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示であっても、誤認による損害が実際に発生しなければ、監督処分の対象とならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

着眼点 アが微妙だが、具体例(3-10-1参照)を考えると○と判断できる。
ア○宅地建物に係る現在又は将来の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。2-6-1
イ×テレビやインターネットを利用して行う広告も、規制の対象となる。当然だろう。2-6-1
ウ×誤認させるような表示自体の禁止だから、誤認させるような表示をした以上、損害が実際に発生しなくても、監督処分の対象となる。2-6-1    解答1


媒介契約規制A
【問33】 宅地建物取引業者Aが、Bから自己所有の宅地の売買を依頼された場合における当該媒介に係る契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結したときは、取引主任者に法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面の記載内容を確認させた上で、当該取引主任者をして記名押印させなければならない。
2 Aは、Bとの間で有効期間を2月とする専任媒介契約を締結した場合、Bの申出により契約を更新するときは、更新する媒介契約の有効期間は当初の有効期間を超えてはならない。
3 Aは、Bとの間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結する際、Bから媒介契約の有効期間を6月とする旨の申出があったとしても、当該媒介契約において3月を超える有効期間を定めてはならない。
4 Aは、Bとの間で締結した媒介契約が一般媒介契約であるか、専任媒介契約であるかにかかわらず、宅地を売買すべき価額をBに口頭で述べたとしても、法第34条の2第1項の規定に基づく書面に当該価額を記載しなければならない。

着眼点 基本的事項である。 
1×媒介契約内容記載書面(法34条の2に基づき交付すべき書面)に記名押印するのは、宅地建物取引業者である。2-6-4
2×専任媒介契約を更新するときは、3月を超えてはならない。2-6-7
3×一般媒介契約では、有効期間の制限はないから、3月を超える有効期間を定めてもよい。2-6-7参照
4○媒介契約内容記載書面(法34条の2に基づき交付すべき書面)には、宅地を売買すべき価額を記載しなければならない。2-6-5        解答4



37条書面等A
【問34】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に金銭の授受があるときは、その額及び授受の目的について、法第35条に規定する重要事項を記載した書面に記載しているのであれば、法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に記載する必要はない。
2 宅地建物取引業者が区分所有建物の貸借の媒介を行う場合、損害賠償の予定又は違約金に関する特約の内容について、37条書面に記載する必要はないが、売買の媒介を行う場合は、当該内容について37条書面に記載する必要がある。
3 土地付建物の売買契約において、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取り決めがある場合、当該売買の媒介を行う宅地建物取引業者は、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなくても、37条書面にその取り決めの内容を記載する必要がある。
4 宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者でないBから建物の売却の依頼を受け、AとBとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、Aが探索した相手方以外の者とBとの間で売買契約締結したときの措置について、AとBとの間で取り決めがなければ、Aは法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載する必要はない。

着眼点 3が、ローンのあっせんに関する説明を問題としているような書き方をしているのは、ひっかけである。問題としているのは、解除に関する事項である。
1×借賃以外に金銭の授受があるときのその額及び授受の目的については、37条書面に記載しなければならない。2-6-19
2×区分所有建物の貸借の媒介においても、また売買の媒介を行う場合でも、損害賠償額の予定又は違約金に関する特約の内容は、37条書面に記載しなければならない。2-6-19
3○土地付建物の売買において、解除に関する取り決めがある場合は、その取り決めの内容を37条書面に記載しなければならない。2-6-19
4×専属専任媒介契約を締結した場合、依頼者が依頼を受けた業者が探索した相手方以外の者と売買契約を締結したときの措置について、業者は、媒介契約内容記載書面(法34条の2に基づき交付すべき書面)に記載しなければならない。)。2-6-5解答3


重要事項の説明A
【問35】 宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を取引主任者が行う場合における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 建物の売買の媒介の場合は、建築基準法に規定する建ぺい率及び容積率に関する制限があるときはその概要を説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合は説明する必要はない。
2 宅地の売買の媒介の場合は、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法第6条第1項により指定された土砂災害警戒区域内にあるときはその旨を説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合は説明する必要はない。
3 建物の売買の媒介の場合は、住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときはその旨を説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合は説明する必要はない。
4 宅地の売買の媒介の場合は、私道に関する負担について説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合は説明する必要はない。

着眼点 宅地の場合と建物の場合、売買の場合と貸借の場合の説明事項の相違を問うものだが、落ち着いて解こう。それぞれ関心事を説明することになる。  
1○建物の売買の媒介の場合は、建ぺい率及び容積津に関する制限はその概要を説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合は、説明する必要はない。2-6-9,367p上段
2×土砂災害警戒区域内にあることの説明は、宅地の売買の媒介の場合も、建物の貸借の媒介の場合も説明しなければならない。2-6-11・12
3○品質確保法による住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、建物の売買の媒介の場合には説明しなければならないが、貸借の媒介の場合には説明する必要はない。2-6-11・12
4○私道に関する負担いついては、宅地の売買の媒介の場合には説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合には説明する必要はない。2-6-9  解答2


重要事項の説明A

【問36】 宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を取引主任者が行う場合における次の記述のうち、同条の規定に違反しないものはどれか。
1 中古マンションの売買の媒介において、当該マンションに係る維持修繕積立金については説明したが、管理組合が保管している維持修繕の実施状況についての記録の内容については説明しなかった。
2 自ら売主となる新築住宅の売買において、重要事項の説明の時点で瑕疵(かし)担保責任の履行に関する責任保険の契約を締結する予定であることは説明したが、当該責任保険の概要については説明しなかった。
3 宅地の売買の媒介において、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条の規定に基づく急傾斜地崩壊危険区域内にあることは説明したが、立木竹の伐採には都道府県知事の許可を受けなければならないことについては説明しなかった。
4 建物の売買の媒介において、登記された権利の種類及び内容については説明したが、移転登記の申請の時期については説明しなかった。

着眼点 3は相当細かいが、正解肢は基本事項である。  
1×中古マンションの売買の媒介においては、当該マンションに係る維持修繕積立金のほか、管理組合が保管している維持修繕の実施記録についても説明しなければならない。2-6-13
2×自ら売主となる新築住宅の売買において、瑕疵担保責任の履行に関する責任保険の契約を締結する予定であること及び当該責任保険の概要についても重要事項の説明として、説明しなければならない。2-6-10
3×宅地売買の媒介において、急傾斜地崩壊危険区域内にあること及び立木竹の伐採には都道府県知事の許可を受けなければならないことについて説明しなければならない。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法施行令3条
4○建物売買媒介において、登記された権利の種類及び内容については説明しなければならないが、移転登記の申請時期については説明しなくてもよい。2-6-9解答4

37条書面A
【問37】 宅地建物取引業者Aが、売主Bと買主Cとの間の宅地の売買について媒介を行う場合において、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aが、取引主任者をして、37条書面に記名押印させた場合には、37条書面の交付を、取引主任者でないAの代表者や従業員が行ってもよい。
2 公正証書によってなされる売買契約の場合には、当該公正証書に取引主任者の記名押印がなくても、法第35条に規定する書面に取引主任者の記名押印があれば、当該公正証書をもって37条書面に代えることができる。
3 B及びCが宅地建物取引業者である場合には、37条書面において、引渡しの時期の記載を省略することができる。
4 37条書面に記名押印する取引主任者は、法第35条に規定する書面に記名押印した取引主任者と同一の者でなければならない。

着眼点 これも基本中の基本。  
1×○37条書面の交付は、取引主任者でない宅地建物取引業者の代表者や従業員が行ってもよい。2-6-7
2×37条書面又は37条書面に代わる書面には、取引主任者の記名押印がなくてはならない。2-6-7
3×業者間取引の場合でも、37条書面は、引渡しの時期の記載は省略できない。
2-6-18
4×37条書面に記名押印する取引主任者と35条書面に記名押印した取引主任者は同一の者でなくともよい。2-6-8・17               解答1


クーリング・オフA 
【問38】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 Bが、自ら指定したホテルのロビーで買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられず、その3日後、Aのモデルルームで契約を締結した場合、Bは売買契約を解除することができる。
2 Bは、テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。その5日後、代金の全部を支払い、翌日に宅地の引渡しを受けた。この場合、Bは売買契約を解除することができる。
3 Bは、喫茶店で買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、翌日、喫茶店で契約を締結した。その5日後、契約解除の書面をAに発送し、その3日後に到達した。この場合、Bは売買契約を解除することができない。
4 Bは、自ら指定した知人の宅地建物取引業者C(CはAから当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼を受けていない)の事務所で買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられず、翌日、Cの事務所で契約を締結した場合、Bは売買契約を解除することができない。

着眼点 落ち着いて解けば、容易。  
1○申込みと契約締結場所が異なる場合は、決定的に重要な申込み場所を基準にクーリング・オフできるかを決定する。申込みはホテルのロビーで行われているので、Bは、売買契約を解除できる。393p下段
2×テント張り案内所で行われた申込みも、代金全額を支払い物件の引渡しを受けてしまうとクオフできなくなる。よって、Bは、解除できない。2-7-7
3×Bは、喫茶店で行った申込みにつき、クオフできる旨書面告知を受け、8日経過後にはクオフできなくなるが、5日後に契約解除の書面を発送しており、クオフは書面発信で効力が発生するので、すでに契約は解除されている。2-7-9
4×売主業者の、又はその業者から代理・媒介の依頼を受けた業者の事務所はクオフできない場所だが、売主業者の知人の業者の事務所は、正常な業務場所とはいえず、クオフできる。よって、Bは、契約を解除できる。2-7-5・6参照


手付規制A
【問39】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、損害賠償の請求額は売買代金の額を超えてはならない。
2 当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を売買代金の2割とし、違約金の額を売買代金の1割とする定めは、これらを合算した額が売買代金の3割を超えていないことから有効である。
3 Aが、当該売買契約の解除を行う場合は、Bに対して「手付の倍額を償還して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除することができる。
4 Aは、当該売買契約の締結日にBから手付金を受領し、翌日、Bから内金を受領した。その2日後、AがBに対して、手付の倍額を償還することにより契約解除の申出を行った場合、Bは、契約の履行に着手しているとしてこれを拒むことができる。

着眼点  3、4は、民法の知識を要するが、難しくはない。
1×業者自ら売主で買主が非業者の場合、損害賠償額の予定額を定めていないときは、損害賠償額の請求額は売買代金の額を超えられないという制限はない。損害額を立証することにより、超えることもできる。1-2-4
2×業者自ら売主で買主が非業者の場合、債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定と違約金は、合算して代金額2割を超えられない。3割は、誤り。2-7-10
3○業者自ら売主で買主が非業者の場合、手付はすべて解約手付の効力が与えられるので、売主業者は手付けの倍額を償還して、契約を解除できる(2-7-11)。ただし、手付の倍額償還で契約を解除する場合は、現実に手付けの倍額を提供しなければならない(判例)。したがって、Aは、手付倍額償還して契約を解除する旨の意思表示を書面で行うだけでは、契約を解除できない。66p下段
4×解約手付による契約の解除は、相手方が履行の着手をしてしまうとできなくなる。買主の履行の着手は、手付以外に代金充当金を支払ったときであるが、買主は、内金を支払っているので履行の着手があり、売主はもはや手付による解除はできない。よって、記述は正しい。2-7-11、68p上段      解答3


業者自ら売主規制A
【問40】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で宅地(代金2,000万円)の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、当該宅地の瑕疵(かし)についてAが担保の責任を負うべき期間を当該宅地の引渡しの日から3年とする特約をすることができる。
2 Aは、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を300万円とし、かつ、違約金を300万円とする特約をすることができる。
3 Aは、Bの承諾がある場合においても、「Aが契約の履行に着手した後であっても、Bは手付を放棄して、当該売買契約を解除することができる」旨の特約をすることができない。
4 当該宅地が、Aの所有に属しない場合、Aは、当該宅地を取得する契約を締結し、その効力が発生している場合においても、当該宅地の引渡しを受けるまでは、Bとの間で売買契約を締結することができない。

着眼点 業者自ら売主規制の基本的な問題。  
1○業者自ら売主で買主が非業者の場合、瑕疵担保責任につき責任追及期間を引渡し日か2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利な特約を定めてはならない。記述は、責任追及期間を引渡し日から3年とする特約をしたので、正しい。2-7-15
2×業者自ら売主で買主が非業者の場合、債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定と違約金は、合算して代金額2割を超えられない。記述は、合算して600万円となり、代金額2割の400万円を超えているので、違反である。2-7-10
3×業者自ら売主で買主が非業者の場合、手付はすべて解約手付の効力が与えられ、これより買主に不利となる特約はしてはならない。解約手付の効力は、売主が契約の履行に着手した後は、買主は手付による解除はできない、というものだが、記述は売主の履行着手後も、買主は手付放棄で契約を解除できるというもので、買主に有利であり、することができる。2-7-11
4×業者は、他人所有物件につき、その物件の取得契約をしないで、自ら売主となって非業者と売買契約を締結してはならない。記述は取得契約をしているので、売買契約をすることができ、その物件の引渡しを受けるまでは売買契約をすることができないとするのは誤り。2-7-3        解答1


手付金等保全措置A
【問41】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結するに当たり、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)が必要な場合における次の記述のうち、同法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア 売買契約において、当該マンションの代金の額の10%に相当する額の中間金を支払う旨の定めをしたが、Aが保全措置を講じないことを理由に、Bが当該中間金を支払わないときは、Aは、Bの当該行為が債務不履行に当たるとして契約を解除することができる。
イ Aが受領した手付金の返還債務を連帯して保証することを委託する契約をAとAの代表取締役との間であらかじめ締結したときは、Aは、当該マンションの代金の額の20%に相当する額を手付金として受領することができる。
ウ Aが受領した手付金の返還債務のうち、保全措置を講じる必要があるとされた額を超えた部分についてのみ保証することを内容とする保証委託契約をAと銀行との間であらかじめ締結したときは、Aは、この額を超える額の手付金を受領することができる。
エ 手付金の受領後遅滞なく保全措置を講じること予定である旨を、AがあらかじめBに対して説明したときは、Aは、保全措置を講じることなく当該マンションの代金の額の10%に相当する額を手付金として受領することができる。

 1 一つ 2 二つ 3 三つ  4 四つ

着眼点 一つ一つは難しくないが、個数問題なので、正解率は高くない。  
未完成物件の売主業者は、買主が非業者の場合、代金額5%又は1,000万円を超える代金充当金を受け取る前に保全措置を講じなければならない。2-7-12
ア×Aが保全措置を講じなければ、Bは、代金額5%超の中間金を支払わなくとも債務不履行とはならず、よって、Aは契約を解除できない。404p下段
イ×手付金返還債務についての連帯保証の委託は、金融機関等に対して行わなければ保全措置とならないので、Aの代表取締役に保証委託をしても、Aは、代金額の5%を超える額の手付金を受領することはできない。404p上段
ウ×Aは、すでに受け取った代金充当金とこれから受け取ろうとする代金充当金の全額に付き保全措置を講じなければ、代金額5%超の代金充当金を受領することはできない。402p上段
エ×保全措置を講じなければ、代金額5%超の代金充当金は受領できない。2-7-12         解答4



報酬規制A 
【問42】 宅地建物取引業者(消費税課税事業者)の媒介により建物の賃貸借契約が成立した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税相当額を含まないものとする。
1 依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、当該依頼者は宅地建物取引業者に対して国土交通大臣が定めた報酬の限度額を報酬として支払わなければならない。
2 宅地建物取引業者は、国土交通大臣が定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。
3 宅地建物取引業者が居住用建物の貸主及び借主の双方から媒介の依頼を受けるに当たって借主から承諾を得ていなければ、借主から借賃の1.05月分の報酬を受領することはできない。
4 宅地建物取引業者が居住用建物以外の建物の貸借の媒介を行う場合において、権利金の授受があるときは、当該宅地建物取引業者が受領できる報酬額は、借賃の1.05月分又は権利金の額を売買代金とみなして算出した金額のいずれか低い方の額を上限としなければならない。

着眼点 計算がややこしい報酬計算も、今回は文章題でやさしかった。
1×あらかじめ報酬額を定めていなかったときは、依頼者と業者で協議をして、依頼者が支払う報酬額を、国土交通大臣が定めた報酬の限度額の範囲内で定めるべきである。378p上段参照
2×宅地建物取引業者は、いかなる名目をもってしても、国土交通大臣の定める限度額を超えて報酬を受領してはならない。よって、相手方が好意で支払う謝金としても、報酬限度額とは別に受領することはできない。2-6-26
3○居住用建物の貸借の媒介の依頼を受けるに当たって、当該依頼者の承諾を得ていれば、依頼者の一方から借賃の1.05月分の報酬を受領することができる。2-6-23
4×権利金の授受があり、権利金の額を売買代金の額とみなして報酬計算をできる場合は、借賃の額を基準とする報酬額との、いずれか高い方の額を上限とすることができる。2-6-25           解答3

保証協会A
【問43】 宅地建物取引業保証協会(この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者が保証協会の社員となる前に、当該宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する。
2 保証協会の社員である宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者が、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、当該保証協会の認証を受けるとともに、当該保証協会に対し、還付請求をしなければならない。
3 保証協会から還付充当金を納付すべきことの通知を受けた社員は、その通知を受けた日から1月以内に、その通知された額の還付充当金を当該保証協会に納付しなければならない。
4 保証協会は、新たに宅地建物取引業者がその社員として加入しようとするときは、あらかじめ、その旨を当該宅地建物取引業者が免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。

着眼点 これもいきなり、基本的な正解肢がきている。 
1○宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引が、当該業者が保証協会の社員となる前になされたものであっても、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する。2-4-4
2×弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、当該保証協会の認証を受け、当該保証協会が供託をした供託所(東京法務局が指定されている)に対し還付請求をする。2-4-6参照
3×還付充当金は、納付をすべきことの通知を受けた日から2週間以内に納付しなければならない。2-4-8
4×保証協会は、新たに宅地建物取引業者がその社員として加入したときは、その旨を当該業者の免許権者に報告しなければならない。64条の4第2号


監督処分B
【問44】 宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 国土交通大臣は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対し、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要な勧告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に通知しなければならない。
2 甲県知事は、乙県知事の登録を受けている取引主任者に対し、甲県の区域内において取引主任者として行う事務に関し不正な行為をしたことを理由として指示処分をしようとするきは、あらかじめ、乙県知事に協議しなければならない。
3 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内における業務に関し乙県知事から指示処分を受けたときは、甲県に備えられる宅地建物取引業者名簿には、当該指示の年月日及び内容が記載される。
4 甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。

着眼点 1と3で悩むのではなかろうか。扱いの違いの根拠は、解説で述べたとおり、勧告は、行政指導だからである。  
1×国土交通大臣が、知事免許の宅地建物取引業者に対し勧告をしたとき、その旨を、免許をした知事に通知しなければならないという規定はない。勧告は、もともと法的強制力のない行政指導なので、厳格な手続は必要ないからである。
2×都道府県知事が、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けた取引主任者に対して指示処分をしようとするとき、あらかじめ登録をした都道府県知事と協議をしなければならないという定めはない。なお、処分後遅滞なく登録をした都道府県知事に対し、遅滞なく通知をする(70条4項)。
3○甲県知事免許を受けた宅地建物取引業者が、乙県知事から指示処分を受けたときは、甲県に備えられる宅地建物取引業者名簿には、当該指示の年月日及び内容が記載される。その前提として、乙県知事は甲県知事に、乙県知事が指示処分をしたことを通知する(70条3項)。2-1-10
4×公告される監督処分は、宅地建物取引業者に対する免許取消処分と業務停止処分だけである。指示処分は、公告はしない。2-8-8

住宅瑕疵担保履行確保法A
【問45】 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵(かし)担保責任保険の締結(以下この問いにおいて「資力確保措置」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物取引業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し、当該住宅を引渡す場合、資力確保措置を講ずる義務を負う。
2 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託をする場合、宅地建物取引業者でない買主に対して供託所の所在地等について記載した書面の交付及び説明を、新築住宅を引き渡すまでに行えばよい。
3 宅地建物取引業者は、自ら売主として新築住宅を販売する場合だけでなく、新築住宅の売買の媒介をする場合においても、資力確保措置を講ずる義務を負う。
4 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る資力確保措置について、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

着眼点 出題範囲に編入された新法だが、基本的なところを問うている。 
1×業者間取引においては、資力確保措置は講じる必要はない。2-8-1
2×供託宅地建物取引業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。421p中段
3×資力確保措置を講じなければならないのは、自ら売主となって新築住宅を買主に引き渡した宅地建物取引業者に限られる。 2-8-1
4×自ら売主となって新築住宅を買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日から3週間以内に、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 2-8-2

住宅金融支援機構A
【問46】 独立行政法人 住宅金融支援機構 (以下この問において 「機構」 という。) が行う証券化支援事業(買取型)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 証券化支援事業(買取型)において、機構による買取りの対象となる貸付債権には、中古住宅の購入のための貸付債権も含まれる。
2 証券化支援事業(買取型)において、銀行、保険会社、農業協同組合、信用金庫、信用組合などが貸し付けた住宅ローンの債権を買い取ることができる。
3 証券化支援事業(買取型)の住宅ローン金利は全期間固定金利が適用され、どの取扱金融機関に申し込んでも必ず同一の金利になる。
4 証券化支援事業(買取型)において、機構は買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。

着眼点 正解肢は、簡単だった。
1○記述のとおり、機構による買取り対象となる貸付け債券には,中古住宅の購入のための貸付け債権も含まれる。579p中段参照
2○記述のとおり、機構は銀行等が貸し付けた住宅ローン債権を買い取ることができる。578p下段表
3×金利は取扱い金融機関ごとに異なる。578p下段表
4○記述のとおり、機構は、買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場から資金を調達している。578p下段表                             解答3



景品表示法C
【問47】 宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法 (不動産の表示に関する公正競争規約を含む。) の規定によれば、正しいものはどれか。
1 路地状部分のみで道路に接する土地を取引する場合は、その路地状部分の面積が当該土地面積の50%以上を占めていなければ、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示せずに表示してもよい。
2 不動産物件について表示する場合、当該物件の近隣に、現に利用できるデパートやスーパーマーケット等の商業施設が存在することを表示する場合は、当該施設までの徒歩所要時間を明示すれば足り、道路距離は明示せずに表示してもよい。
3 傾斜地を含むことにより当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は、原則として、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければならないが、マンションについては、これを明示せずに表示してもよい。
4 温泉法による温泉が付いたマンションであることを表示する場合、それが温泉に加温したものである場合であっても、その旨は明示せずに表示してもよい。

着眼点
 2も3も正しそうなので、悩んだと思う。
1×路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示すること。3-10-1
2×商業施設については、その道路距離も明示しなければならない。3-10-2
3○急傾斜地を含むことにより、当該土地の有効利用が著しく阻害される場合も,マンションについては、その旨を明示せずに表示してよい。3-10-1
4×加温した温泉は、その旨明示して表示しなければならない。公正競争規約

土地建物に関する統計B
【問48】 宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 平成20年度法人企業統計年報(財務省、平成21年9月公表)によれば、平成20年度における不動産業の経常利益は約2兆9,200億円となっており、2年連続の増加となった。
2 住宅着工統計(国土交通省、平成22年1月公表)によれば、平成21年の分譲住宅の新設住宅着工戸数は、前年比43.7%減で、そのうち、マンション、一戸建住宅とも前年に比べて減少した。
3 平成22年版土地白書(平成22年6月公表)によれば、平成21年中の全国の土地取引件数は、売買による所有権の移転登記の件数で見ると、117.9万件となっており、前年に比べ増加した。
4 平成22年地価公示(平成22年3月公表)によれば、平成21年の1年間の地価の下落率は、三大都市圏の方が地方圏よりも小さく、かつ、全圏域において商業地の方が住宅地よりも小さい。

着眼点 正解肢以外は、定番のデータなので、消去法で解ける。 
1×平成20年度法人企業統計年報によれば、平成20年度における不動産業の経常利益は約2兆9,000億円であり、対前年度比14.7%減となっている。
2○記述のとおり、平成21年の分譲住宅の新設住宅着工戸数は、前年度比43.7%減で、そのうち、マンション、一戸建てとも前年比減である。
3×平成22年版土地白書によれば、平成21年中の土地取引の件数は、売買による所有権の移転登記の件数でみると、117.9万件(対前年比8.6%減)となった。
4×平成22年地価公示によると、平成21年の1年間の下落率は、三大都市圏の方が地方圏よりも、また商業地の方が住宅地よりも大きい。
                          統計問題情報参照
土地の知識A
【問49】 土地に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
1 地すべり地の多くは、地すべり地形と呼ばれる独特の地形を呈し、棚田などの水田として利用されることがある。
2 谷出口に広がる扇状地は、地盤は堅固でないが、土石流災害に対して安全であることが多い。
3 土石流は、流域内で豪雨に伴う斜面崩壊の危険性が大きい場所に起こりやすい。
4 断層地形は、直線状の谷など、地形の急変する地点が連続して存在するといった特徴が見られることが多い。

着眼点 正解肢は、過去出題されている。  
1○適当。
2×不適当。他に出口に広がる扇状地は、土石流災害の危険がある。588p中段参照
3○適当。588p中段参照
4○適当。

建物の知識B
【問50】 建築物の構造と材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
1 常温において鉄筋と普通コンクリートの熱膨張率は、ほぼ等しい。
2 コンクリートの引張強度は、圧縮強度より大きい。
3 木材の強度は、含水率が大きい状態のほうが小さくなる。
4 集成材は、単板などを積層したもので、大規模な木造建築物に使用される。

着眼点 3、4は過去既出。1、2は初出題だが、1は、なんとなく正しいのがわかると思う。そうすると、消去法的に2が×だと判断できる。
1○適当。熱膨張率がほぼ等しいから、堅固なものとなる。588p中段参照
2×不適当。コンクリートは、圧縮に強いのである。588p中段参照
3○木材は、乾燥しているほうが強度が大きい。591p上段
4○単板などを積層した集成材は、強度が大きいので、大規模な木造建築物に使用される。








 
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