20年度 
【問1】行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。

2 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。

3 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。

4 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。

解答解説 制限行為能力者  正解1 
着眼点 周期的に出題が予想されたところで、正解肢も基本中の基本である。
1○ 成年被後見人が行った法律行為は、事理弁識能力がある状態で行われたものであっても、日常生活に関する行為以外は、取り消せる(民法9条)。1-2-2

2× 婚姻をした未成年者は、成年に達したものとみなされるので(同法753条)、その法定代理人の同意を得ずに行った行為も取り消すことはできない(同法5条1項参照)。19p中段

3× 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない(同法15条2項)。21p中段

4× 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない(同法21条)。1-2-10

【問2】所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 CはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、甲土地の真の所有者はAであって、Bが各種の書類を偽造して自らに登記を移していた場合、Aは所有者であることをCに対して主張できる。

2 DはBとの間で売買契約を締結したが、AB間の所有権移転登記はAとBが通じてした仮装の売買契約に基づくものであった場合、DがAB間の売買契約が仮装であることを知らず、知らないことに無過失であっても、Dが所有権移転登記を備えていなければ、Aは所有者であることをDに対して主張できる。

3 EはBとの間で売買契約を締結したが、BE間の売買契約締結の前にAがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除していた場合、Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できる。

4 FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。

解答解説 真の権利者・虚偽表示者・解除者・被強迫者と第三者  正解1
着眼点 売買契約の外形(1)や問題のある売買契約(2~4)の第三者関係を横断的に問うものだが、すべて過去出題されている定番問題。
1○ 無権利者Bと売買契約をし、Cに所有権移転登記をしても、特段の事情がない限り、Cに権利は移転しないので、真の所有者Aは当該登記名義人Cに所有者であることを主張できる。137p下段

2× 虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない(民法94条2項)。したがって、ABの仮装売買につき善意でBと売買契約を締結したDに、Aは、仮装売買が無効であり、甲土地の所有者であることをDに主張できない。このことは、Dが所有権移転登記の備えている・いないにかかわらない。1-3-2

3× 不動産売買契約に基づき所有権移転登記が済んだ後、右契約が解除され所有権が売主Aに復帰した場合でも、売主はその旨の登記をしなければ、契約解除後に買主Bから不動産を取得した第三者Eに対して、対抗することはできない(判例)。Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できるとするのは、誤りである。1-8-3

4× 強迫による意思表示の取消しは、善意・悪意にかかわらず第三者に対抗することができる(同法96条2項参照)。したがって、強迫を理由にAB間の売買契約を取り消したAは、当該売買契約の目的物を転得した第三者Fが悪意の場合でも、自己が所有者であることを主張できる。1-3-5 
                            

                           
【20問3】AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、A自らが買主となって売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得する。

2 Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。

3 Aが無権代理人であってDとの間で売買契約を締結した後に、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。

4 Aが無権代理人であってEとの間で売買契約を締結した後に、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Eは甲土地の所有権を当然に取得する。


 自己契約・双方代理、無権代理と相続      正解3
着眼点 無権代理の定番問題。とくに、無権代理と相続は複数回出題されている。
1× 同一の法律行為について、相手方の代理人となる自己契約は、本人があらかじめ許諾した場合を除き無権代理行為となる(民法108条1項)。したがって、甲土地売買につき自己契約をしたAが、当然に甲土地の所有権を取得することはない。1-4-7

2× 同一の法律行為について当事者双方の代理人となる双方代理は、本人があらかじめ許諾した場合を除き無権代理行為となる(民法108条1項)。したがって、双方代理によりなされた甲土地売買の買主Cが、当然に甲土地の所有権を取得することはない。1-4-7

3○4× 無権代理人が本人を単独相続した場合は、その無権代理行為は相続とともに当然有効となるが、本人が無権代理人を相続した場合には、被相続人の無権代理行為は本人の相続により、当然には有効とならない(判例)。無権代理人が本人を単独相続した場合における買主Dは、甲土地の所有権を当然に取得するが、本人が無権代理人を相続した場合における買主Eは、甲土地の所有権を当然には取得しない。3は、正しく、4は、誤りである。83・84p

抵当権、借家                               
【間 4】 Aは、Bから借り入れた2,000万円の担保として抵当権が設定されている甲建物を所有しており、抵当権設定の後である平成20年4月1日に、甲建物を賃借人Cに対して賃貸した。Cは甲建物に住んでいるが、賃借権の登記はされていない。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

l AがBに対する借入金の返済につき債務不履行となった場合、Bは抵当権の実行を申し立てて、AのCに対する賃料債権に物上代位することも、AC間の建物賃貸借契約を解除することもできる。

2 抵当権が実行されて、Dが甲建物の新たな所有者となった場合であっても、Cは民法第602条に規定されている短期賃貸借期間の限度で、Dに対して甲建物を賃借する権利があると主張することができる。

3 AがEからさらに1,000万円を借り入れる場合、甲建物の担保価値が1,500万円だとすれば、甲建物に抵当権を設定しても、EがBに優先して甲建物から債権全額の回収を図る方法はない。

4 Aが借入金の返済のために甲建物をFに任意に売却してFが新たな所有者となった場合であっても、Cは、FはAC間の賃貸借契約を承継したとして、Fに対して甲建物を賃借する権利があると主張することができる。


【21年問 4】 抵当権、借家権    正解4
着眼点 抵当権の問題であるようだが、正解肢は、借地借家法である。なお、3は、自分で問題設定を補わないと結論が出ないから、回答に時間がかかる。
1× 抵当権者は、被担保債権が債務不履行になったときには、目的物件の賃料債権に物上代位することはできるが(民法372・304条)、目的物件についての賃貸借契約を解除することはできない。

2× 抵当権設定登記後に生じた賃貸借は、抵当権に対抗できない。

3× 後順位の抵当権者は、先順位の抵当権者との合意により、抵当権の順位を変更することができる(374条)ので、後順位抵当権者Eが先順位抵当権者Bと合意をして、その順位を逆転させ、その旨の登記をしたときは、EがBに優先して甲建物から債権全額の回収を図ることもできる。1-13-9

4○ 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、賃借権を対抗できる(借地借家法31条)。賃借建物の引き渡しを受けそこに住んでいるCは、自己の賃借権を賃借建物の取得者Fに対抗できるので、FはAC間の賃貸借契約を承継したとして、Fに対して甲建物を賃借する権利があると主張できる。1-18-7


【問5】Aは、Bに対する債権者であるが、Bが債務超過の状態にあるにもかかわらずB所有の甲土地をCに売却し所有権移転登記を経たので、民法第424条に基づく詐害行為取消権(以下この問において「取消権」という。)の行使を考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 対象となる詐害行為が行われた時点において、AのBに対する債権が、発生済みでかつ履行期が到来している場合でなければ、Aは取消権を行使できない。

2 Cが甲土地の購入時においてこの購入がBの債権者を害すべきことを知らなかったとしても、Bが売却時においてこの売却がBの債権者を害することを意図していた場合は、Aは取消権を行使できる。

3 Bが甲土地の売却においてCから相当の対価を取得しているときは、Aは取消権を行使できない。

4 Aが取消権を行使できる場合でも、AはCに、直接自分に対して甲土地の所有権移転登記をするよう求めることはできない。


【問 5】 詐害行為取消権  正解4
着眼点 初出題で、一般には面食らったようだ。しかし、債務者財産保全の制度では共通する債権者代位権が複数回出題されているのだから、早晩出題されるはずであった。合格ゼミでは、ポイントを押さえて解説してある。
1× 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる(民法424条1項)が、債権者を害すると言うには、詐害行為が行われた時点において、その債権が発生済みでなければならないが、履行期は到来していなくともよい。1-25-10

2× 詐害行為取消権は、詐害行為によって利益を受けた者が債権者を害すべきことを知らなかったときは、たとえ詐害行為者が債権者を害することを意図していた場合でも、行使することはできない(同法424条1項但書)。1-25-10

3× 不動産の売却は、それが相当価格による売却であっても、債務者の財産が消費しやすい金銭に代わるから詐害行為となる(判例)。3は、誤りである。

4○ 詐害行為取消権行使の目的は、取消し対象となった財産を債務者財産へ復帰させることであるから(同法425条参照)、取消権者が、直接自分に対し取消し対象不動産の所有権移転登記をするよう求めることはできない。162p中段

                             
【問6】AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。

2 Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。

3 Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。

4 AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。

【問 6】 連帯債務と連帯保証    正解 2
着眼点 最近権利関係でよくみられる、1問で二つのこと(連帯債務と連帯保証)を問う問題。権利関係回答で時間がかかる要因となっている。内容的には、連帯債務の絶対的効力事由、保証債務の付従性、連帯保証の三つの違いを押さえておけば取れる。なお、本問は、保証と連帯債務を比較した総仕上げテスト第3回問9と酷似している。
1× 連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分について、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる(民法437条)⇒Aが、連帯債務者Bに対して債務を免除した場合は連帯債務者Cが、Cに対して債務を免除した場合はBがそれぞれ500万円の債務を免れる。
保証債務は、主たる債務に付従する(同法457条参照)⇒債権者Dが、主たる債務者Eに債務を免除した場合には、連帯保証人Fも全額の債務を免れる。主たる債務は、保証債務に付従しない⇒DがFに対して債務を免除しても、E債務は債務を免れることはできない。

2○ 連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる(同法434条)⇒Aが、連帯債務者Bに対して履行を請求した効果は連帯債務者Cに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。
保証債務は、主たる債務に付従する(同法457条参照)⇒Eに対して履行を請求した効果はFに及ぶ。また、連帯保証人に対する履行の請求の効果は主たる債務者に及ぶ(同法458・434条)⇒Eに履行を請求した効果はFに及ぶ。

3× 連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる(同法439条)⇒Bについて時効が完成した場合はCが、Cについて時効が完成した場合はBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。保証債務は、主たる債務に付従する(同法457条参照)⇒Eについて時効が完成した場合にはFが全額の債務を免れる。主たる債務は、保証債務に付従しない⇒Fについて時効が完成しても、Eは債務を免れることはできない。

4× 連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない(同法433条)⇒AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。が、保証債務は主たる債務に付従する(同法457条参照)⇒DE間の契約が無効であった場合は、Fの保証債務も成立しない。が、主たる債務は、保証債務に付従しない⇒DF間の契約が無効であっても、Eは、1,000万円の債務を負う。

                             
【問7】注意義務に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 ある物を借り受けた者は、無償で借り受けた場合も、賃料を支払う約束で借り受けた場合も、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

2 委任の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、無報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。

3 商人ではない受寄者は、報酬を受けて寄託を受ける場合も、無報酬で寄託を受ける場合も、自己の財産と同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。

4 相続人は、相続放棄前はもちろん、相続放棄をした場合も、放棄によって相続人となった者が管理を始めるまでは、固有財産におけると同一の注意をもって相続財産を管理しなければならない。


【問 7】 各種契約等と注意義務  正解3
着眼点 注意義務の程度は、善良な管理者の注意義務が有名だが、自己の財産と同一の注意でよい場合もある。無償受寄者の場合である。これを意識的に覚えておけば容易に正解できる。
1○ ある物を無償で借り受ける使用貸借も、有償で借り受ける賃貸借も、借り受け人は、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない(民法400条)。

2○ 委託の受任者は、報酬の有無を問わず、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う(同法644条)。

3× 商人でない受寄者は、無報酬で寄託を受ける場合は、自己の財産をと同一の注意をもって受寄物を保管すればよい(同法659条)が、報酬を受けて寄託を受ける場合は、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない(民法400条)。

4○ 相続人は、相続放棄前はもちろん、相続放棄をした場合も、放棄によって相続人となった者が管理を始めるまでは、固有財産におけると同一の注意をもって相続財産を管理すればよい(同法918条1項、940条1項)。4は、正しい。


【問8】弁済に関する次の1から4までの記述のうち、判決文及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
 借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である。思うに、建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが、土地賃借権が消滅するときは、建物賃借人は土地賃貸人に対して、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり、建物賃借人は、敷地の地代を弁済し、敷地の賃借件が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解されるからである。

1 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、借地人の意思に反しても、地代を弁済することができる。

.2 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても、土地賃貸人がこれを受け取らないときは、当該賃借人は地代を供託することができる。

3 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は土地賃貸人の意思に反しても、地代について金銭以外の代物弁済することができる。

4 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない。


【問 8】 弁済(第三者の弁済、供託、代物弁済・弁済の意味)正解3
着眼点 判決文を設問に取り入れるという新形式の出題だが、これは目くらまし出、内容的には非常にやさしく、とくに3は常識問題、4は国語の問題である。
1○ 借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する(最判昭63.7.1 159p上段)ので、借地上の建物の賃借人は、借地人の意思に反しても、地代を弁済することができる(民法474条2項)。1-10-1

2○ 債権者が弁済の受領を拒むときは、弁済をすることができる者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる(同法494条)。借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても、土地賃貸人がこれを受け取らないときは、当該賃借人は地代を供託することができる。1-9-7

3× 約束した給付物(この場合は金銭)に換え、米俵など別のものを給付する代物弁済は、債権者の承諾を得ないとできない(同法482条)。これは常識だろう。よって、借地上の建物の賃借人は、土地賃貸人の意思に反しては、地代について金銭以外のもので代物弁済することはできない。1-9-7

4○ 借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、地代は支払われたことになるので、土地賃貸人は借地人の地代の不払いを理由として借地契約を解除することはできない。これは、国語の問題だ。


【問 9】 宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合のAの責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 売買契約で、Aが一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、瑕疵担保責任を負わなければならない。

2 甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。

3 Bが瑕疵担保責任を追及する場合には、瑕疵の存在を知った時から1年以内にAの瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して瑕疵担保責任を追及するまでの必要はない。

4 売買契約で、Aは甲土地の引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う旨を合意したとしても、Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵については、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。


【問 9】 売主の担保責任、宅建業法の担保責任特約制限  正解1
着眼点宅建業法と民法の担保責任の複合問題。これまでも、この形式の問題があったのが、宅建業法の規定を正解肢にするのは初めて。
1× 宅建業者が自ら売主で、宅建業者でない者が買主である売買契約においては、責任負担期間を引渡し日から2年以上とする場合を除き、民法の定めた瑕疵担保責任より買主に不利な特約をしても無効となり、売主業者は、民法の定めた瑕疵担保責任を負わなければならない。よって、売主業者Aが、一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の瑕疵をBが知ったときから1年間は、瑕疵担保責任を負わなければならない(宅地建物取引業法40条、民法570条)。3-13-6

2○ 売買の目的である不動産について存した抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、抵当権が設定されていることを知っていたとしても、契約を解除をすることができる(同法567条1項)。1-11-3

3○ 買主が瑕疵担保責任を追及する場合は、瑕疵の存在を知った時から1年以内に売主の瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して瑕疵担保責任を追及するまでの必要はない(判例)。

4○ 売主が責任負担期間を引渡し日から2年とする特約をしても、売主Aが知っていながら告げなかった瑕疵については、民法の定めどおりの責任を負う(同法572条 Ⅰ-11-9)ので、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまでは、Bは当該損害賠償を請求できる。

                              
【問 10】 Aは、自己所有の甲建物(居住用)をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。この堤合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 賃貸借が終了した場合、AがBに対し、社会通念上通常の使用をした場合に生じる通常損耗について原状回復義務をを負わせることは、補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているなど、その旨の特約が明確に合意されたときでもすることができない。

2 Aが甲建物をCに譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからCに承継される。

3 BがAの承諾を得て賃借権をDに移転する場合、賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権(敷金が存在する限度に限る。)はBからDに承継されない。

4 甲建物の抵当権者がAのBに対する賃料債権につき物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、その賃料が支払われないまま賃貸借契約が終了し、甲建物がBからAに明け渡されたときは、その未払賃料債権は敷金の充当により、その限度で消滅する。


【問 10】 賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせる条件、当事者の交代と敷金関係の承継、賃料債権差押えと敷金        正解1
着眼点 正解肢は、最近の判例であるが、2~4は過去出題済みの判例で、消去法で解けたろう。
1× 建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、・・・、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である(最判平17.12.16)。したがって、その旨の特約が明確に合意されたときでも、賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせることはできないとするのは、誤りである。

2○  賃貸人が賃貸建物を第三者に譲渡し所有権移転登記を経れば、賃貸人たる地位は第三者に承継されるが、この場合は、賃借人の承諾がなくとも、敷金返還債務は旧賃貸人から新賃貸人に承継される(判例)。したがって、記述は、正しい。

3○ 賃借人が賃貸人の承諾を得て賃借権を第三者に移転する場合、賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権は、旧賃借人から新賃借人に承継されない(判例)なぜならば、この場合は、敷金を差し入れた旧賃借人は、賃借関係から離脱するのであるから、そこで清算する必要がある。したがって、記述は、正しい。

4○ 敷金の授受された賃貸借契約にかかる賃料債権が差し押さえられた場合、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する(判例)。なぜならば、敷金の充当により消滅させられるという賃料債権の性質が、差押えにより変更されるいわれはないからである)。よって、記述は正しい。

                               
【問 11】 Aが故意又は過失によりBの権利を侵害し、これによってBに損害が生じた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aの加害行為によりBが即死した場合には、BにはAに対する慰謝料請求権が発生したと考える余地はないので、Bに相続人がいても、その相続人がBの慰謝料請求権を相続することはない。

2 Aの加害行為がBからの不法行為に対して自らの利益を防衛するためにやむを得ず行ったものであっても、Aは不法行為責任を負わなければならないが、Bからの損害賠償請求に対しては過失相殺をすることができる。

3 AがCに雇用されており、AがCの事業の執行につきBに加害行為を行った場合には、CがBに対する損害賠償責任を負うのであって、CはAに対して求償することもできない。

4 Aの加害行為が名誉毀損で、Bが法人であった場合、法人であるBには精神的損害は発生しないとしても、金銭評価が可能な無形の損害が発生した場合には、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。

【問 11】 不法行為 正解4
着眼点 正解肢は、初出題の判例である。不動産取引と直接関係のない事例であり、出題者が取らせまいとして出題したのであろう。なお、1は既出の判例、3は頻出の条文、2は初出題の条文である。
1× 即死の場合でも、傷害の瞬間に賠償請求権が生じ死亡の時に相続人にそれが承継される(判例)。したがって、記述は誤りである。

2× 他人の不法行為に対し、自己の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない(民法720条)。AがBからの不法行為に対して自らの利益を防衛するためやむを得ず行った場合も損害賠償責任を負う、とするのは誤りである。

3× 使用者責任が成立するとき、使用者が賠償した場合は、使用者に求償することができる(同法715条3項)。できないとするのは誤り。1-25-2

4○ 法人の名誉権が侵害され、無形の損害を生じた場合、その金銭的評価が可能である限り、当該法人は、加害者に対して損害賠償を請求することができる(判例)。よって、記述は、正しい。

                              
【問 12】 Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を合む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。この場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。

2 Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。

3 Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。

4 Bは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。


【問 12】 遺留分 正解3
標(易) 4は、初出題の条文で、目くらまし。1・2は、過去頻出。正解肢は、常識的に判断できるはず。
1×遺留分を侵害する遺贈は、当然に無効となるのではなく、遺留分に基づく減殺請求の対象となる(民法1031条)。183p中段

2× 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生じる(同法1043条)。1-26-11

3○ 遺留分減殺請求の対象となる不動産につき、受遺者への所有権移転登記がなされた場合でも、遺留分に基づく減殺請求は行使できる。というより、減殺請求が実際に問題となるのは、遺留分を侵害する遺贈等が履行された後であろう。そういう想像力が働けば容易な問題である。

4× 受遺者及び受贈者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる(1041条)が、遺留分権利者のほうから減殺請求に代えて、受遺者及び受贈者に価額による弁償を求めることはできない。よって、誤りである。


【問 13】 Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに開する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の土地賃貸借契約の期間は、AB間で60年と合意すればそのとおり有効であるのに対して、AC間の土地賃貸借契約の期間は、50年が上限である。

2 土地賃貸借契約の期間満了後に、Bが甲土地の使用を継続していてもAB間の賃貸借契約が更新したものと推定されることはないのに対し、期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合には、AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。

3 土地賃貸借契約の期間を定めなかった場合、Aは、Bに対しては、賃貸借契約開始から1年が経過すればいつでも解約の申入れをすることができるのに対し、Cに対しては、賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。

4 AB間の土地賃貸借契約を書面で行っても、Bが賃借権の登記をしないままAが甲土地をDに売却してしまえばBはDに対して賃借権を対抗できないのに対し、AC間の土地賃貸借契約を口頭で行っても、Cが甲土地上にC所有の登記を行った建物を有していれば、Aが甲土地をDに売却してもCはDに対して賃借権を対抗できる。


【問 13】 民法上の土地賃借権と借地権の比較 正解
難(標) 借地借家法は、ここ2・3年1問で複数のことを問うグリコ(一粒で3度うまい)問題が多いが、その典型。回答に時間がかかる。
1× 平置き駐車場用地として利用するためのAB間の土地賃貸借契約には借地借家法は適用されず(借地借家法2条1号参照)、民法の規定のみ適用され、その存続期間は20年を超えることができず、これより長い期間を定めた時は、その期間は20年となる(民法604条 14p下段)。また、一時使用目的でない建物所有を目的とするAC間の土地賃貸借契約には、借地借家法が適用されるので、その存続期間に最長期はない(同法3条)。AB間の土地賃貸借の存続期間が60年となり、AC間の土地賃貸借の期間が上限50年だとするのは、誤り。1-19-3

2× 民法上の土地賃貸借契約において期間満了後、賃借人が当該土地の使用を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定される(同法619条 1-17-10)ので、前段は誤り。なお、借地契約において、借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、従前契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる(借地借家法5条1・2項)ので、後段は正しい。1-19-4

3× 民法上の土地賃貸借の場合、期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる(同法617条 1-17-10)。また、一般の借地契約の場合、期間の定めのない契約は認められない(借地借家法3・4条参照 1-19-3)から、解約申し入れすることは原則として認められない。民法上の土地賃借人B及び借地権者Cに対する解約申し入れにつき、上記と異なったことを述べているので、誤りである。

4○ 民法上の土地賃貸借の場合、賃借権は登記をしなければ第三者に対抗できないが、借地契約は登記をしなくても、借地上に自己名義の登記した建物を有すれば第三者に対抗できる。1-20-1民法上の土地賃借権及び借地権の対抗力につき、これと同趣旨のことを述べるので、正しい。


【問 14】 借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 賃貸人は、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難であり、かつ、その期間経過後はその本拠として使用することになることが明らかな場合に限って、定期建物賃貸借契約を締結することができる。

2 公正証書によって定期建物賃貸借契約を締結するときは、賃貸人は、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了することについて、あらかじめ、その旨を記載した書面を交付して説明する必要はない。

3 期間が1年以上の定期建物賃貸借契約においては、賃貸人は、期間の満了の1年前から6か月前までの間に賃借人に対し期間満了により賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、当該期間満了による終了を賃借人に対抗することができない。

4 居住の用に供する建物に係る定期建物賃貸借契約においては、転勤、療養その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、床面積の規模にかかわりなく、賃借人は同契約の有効な解約の申入れをすることができる。


【問 14】 定期建物賃貸借 正解3
着眼点 問13とは逆に、一つのこと(定期建物賃貸借)しか問うていない。
1× 定期建物賃貸借を締結するに際して、賃貸人がどのような状況かについての要件はない。

2× 定期建物賃貸借をしようとするときは、あらかじめ、賃貸人は賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により当該賃貸借は終了することについて、書面を交付して説明しなければならない(同法38条2項)。2は、誤りである。

3○ 定期建物賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない(同法38条4項)。3は、正しい。

4× 建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときに、解約申入れをすることができるのは、床面積が200㎡未満の建物の場合に限る(同法38条5項)。記述は、誤りである。以上1-18-14


【問 15】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。

2 集会は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。

3 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。

4 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。


【問 15】 区分所有法集会、管理者の選任解任、規約の保管 正解3
着眼点 区分所有法は、細かいことを問うことがあるが、本問は基本である。
1× 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない(区分所有法34条2項)。254p上段

2× 集会を招集手続を経ないで開くことができるは、区分所有者全員の同意があるときである(同法36条)。255p中段

3○ 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる(同法25条1項)。1-29-12

4× 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない(同法33条1項)。1-30-2


【問 16】 不動産の登記の申請に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

2 仮登記の登記義務者の承諾がある場合であっても、仮登記権利者は単独で当該仮登記の申請をすることができない。

3 二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、持分が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。

4 二筆の土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が同じであっても、地目が相互に異なる土地の合筆の登記は、申請することができない。


【問 16】 仮登記、合筆登記の制限、正解2
着眼点 仮登記と合筆登記の制限は、平成16年全面改正前からの定番問題。
1○ 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる(不動産登記法109条1項)。1-28-6

2× 仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も、同様とする(同法110条)。よって、記述は誤り。1-28-7

3・4○ 次に掲げる合筆の登記は、することができない。①相互に接続していない土地の合筆の登記 ②地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
③表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記④  表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記 ⑤所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記⑥  所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記(同法41条)。3と4は、正しい。201p


【問 17】 国土利用計画法第23条に基づく都道府県知事への届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者Aが所有する市街化区域内の1,500㎡の土地について、宅地建物取引業者Bが購入する契約を締結した場合、Bは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。

2 甲市が所有する市街化調整区域内の12,000㎡の土地について、宅地建物取引業者Cが購入する契約を締結した場合、Cは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。

3 個人Dが所有する市街化調整区城内の6,000㎡の土地について、宅地建物取引業者Eが購入する契約を締結した場合、Eは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。

4 個人Fが所有する都市計画区域外の30,000㎡の土地について、その子Gが相続した場合、Gは、相続した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。


【問 17】国土利用計画法 正解3
着眼点 実際に運用されている事後届け出制だけを問う素直な問題。
1× 市街化区域内においては、2,000㎡以上の土地売買等の契約をした 場合に、事後届出が必要となる(国土利用計画法23条2項1号イ)。1は、誤りである。3-10-4

2× 土地売買等の契約の当事者の一方又は双方が国、地方公共団体その他政令で定める法人である場合は、事後届出は必要ない(同法23条2項3号)。市は地方公共団体であるから、2は、誤りである。3-10-6

3○ 市街化調整区域内においては、5,000㎡以上の土地売買等の契約をした場合には、権利の取得者が、2週間以内に事後届出を行わなければならない(同法23条1・2項)。3は、正しい。3-10-4

4× 事後届出は、土地売買等の契約をしたときに必要になり、相続は契約ではないので届出は不要である。4は、誤りである。3-10-3



【問18】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を都道府県知事に届け出なければならない。

2 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内において当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設を行おうとする者は、当該事業の施行者の同意を得て、当該行為をすることができる。

3 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡した者は、当該譲渡の後速やかに、譲渡価格、譲渡の相手方その他の事項を当該事業の施行者に届け出なければならない。

4 市町村長は、地区整備計画が定められた地区計画の区域内において、地区計画に適合しない行為の届出があった場合には、届出をした者に対して、届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。20-18


【問 18】 都市計画制限 正解4
着眼点 正解肢は、地区計画区域内の市町村長に対する事前届出勧告制から。1は、許可を届け出に、2は都道府県知事を施行者に、3は事前を事後に逆転させた典型的逆転パターンのひっかけ。   
1× 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない(都市計画法53条1項)。1は、誤りである。2-3-4

2× 都市計画事業の認可の告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行なおうとする者は、「都道府県知事の許可」を受けなければならない(同法65条1項)。2は、誤りである。2-3-8

3× 都市計画事業の認可の公告の日の翌日から起算して10日を経過した後に事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該土地建物等、その予定対価の額及び当該土地建物等を譲り渡そうとする相手方その他の事項を書面で施行者に届け出なければならない(同法67条1項)。3は、誤りである。
2-3-9

4○ 市町村長は、地区整備計画等が定められた地区計画の区域内において、地区計画に適合しない届出があつた場合には、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる(同法58条の2)。4は、正しい。64p上段


【問 19】 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいうものとする。

1 開発許可を受けた開発区域内の土地であっても、当該許可に係る開発行為に同意していない土地の所有者は、その権利の行使として建築物を建築することができる。

2 開発行為をしようとする者は、当該開発行為に係る開発許可の取得後から当該開発行為の完了までに、当該開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

3 都市計画法に違反した者だけでなく、違反の事実を知って、違反に係る建染物を購入した者も、都市計画法の規定により、都道府県知事から建築物の除却等の命令を受ける対象となる。

4 地方公共団体は、一定の基準に従い、条例で、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることが可能であり、このような条例が定められている場合は、制限の内容を満たさない開発行為は許可を受けることができない。


【問 19】開発許可 正解2
着眼点 正解肢がおかしいのは常識的にも判断できる(工事をすることについての同意を、工事完了までに得ればよいと言っている)。
1○ 開発許可を受けた開発区域内の土地であっても、当該許可に係る開発行為に同意をしていない者は、その権利の行使として建築物を建築することができる(都市計画法37条2号)。1は、正しい。2-2-17

2× 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない(同法32条1項)。2は、誤りである。2-2-5

3○ 都市計画法に違反した者だけでなく、違反の事実を知って、違反に係る建築物を購入した者も、都市計画法の規定により、都道府県知事から建築物の除却等の命令の対象となる(同法81条)。3は、正しい。

4○ 地方公共団体は、一定の基準に従い、条例で、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができ、このような条例が定められている場合は、制限の内容を満たさない開発行為は許可を受けることができない(同法33条1・4項)。4は、正しい。


【問 20】 建築物の建築面積の敷地面積に対する割合(以下この問において「建ぺい率」という。)及び建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下この問において「容積率」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 建ぺい率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率による制限は適用されない。

2 建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(以下「特定道路」という。)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち、当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合における当該敷地の容積率の限度の算定に当たっては、当該敷地の前面道路の幅員は、当該延長及び前面道路の幅員を基に一定の計算により算定した数値だけ広いものとみなす。

3 容積率を算定する上では、共同住宅の共用の廊下及び階段部分は、当該共同住宅の延べ面積の3分の1を限度として、当該共同住宅の延べ面積に算入しない。

4 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、当該許可の範囲内において建ぺい率による制限が緩和される。


【問 20】 建ぺい率と容積率 正解3
着眼点 建ぺい率と容積率の複合問題だが、正解肢は、過去既出。
1○ 建ぺい率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建ペイ率による制限は適用されない(建築基準法53条5項)。1は、正しい。2-4-8やぼったいから敵はない

2○ 建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(以下「特定道路」という。)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合における当該敷地の容積率の限度の算定にあたっては当該敷地の前面道路の幅員は、当該延長及び前面道路の幅員を基に一定の計算により算定した数値だけ広いものとみなす(同法52条9項)。2は、正しい。

3× 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする(同法52条6項)。3は、誤りである。2-4-10

4○ 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、その許可の範囲内において建ぺい率による制限が緩和される(同法53条4項)。4は、正しい。


【問 21】 建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、用途地域以外の地域地区等の指定及び特定行政庁の許可は考慮しないものとする。

1 店舗の用途に供する建築物で当該用途に供する部分の床面積の合計が20,000㎡であるものは、準工業地域においては建築することができるが、工業地域においては建築することができない。

2 第一種住居地域において、カラオケボックスで当該用途に供する部分の床面積の合計が500㎡であるものは建築することができる。

3 建築物が第一種中高層住居専用地域と第二種住居地域にわたる場合で、当該建築物の敷地の過半が第二種住居地域内に存するときは、当該建築物に対して法第56条第1項第3号の規定による北側高さ制限は適用されない。

4 第一種中高層住居専用地域において、火葬場を新築しようとする場合には、都市計画により敷地の位置が決定されていれば新築することができる。


【問 21】 用途制限   正解1
着眼点 近年は、改正点をいきなり出題することが多いが、これもその典型。
1○ 店舗の用途に供する建築物で当該用途に供する部分の床面積の合計が10,000㎡を超えるものは、準工業地域においては建築することができるが、工業地域においては建築することができない(建築基準法別表2)。1は、正しい。83p下段

2× 第一種住居地域には、カラオケは、建築することができない(同法別表2)。2は、誤りである。2-4-7

3× 第一種中高層住居専用地域に所在する建築物の一部には法56条1項3号の規定による北側斜線制限が適用される(同法56条5項)。3は、誤りである。100p下段

4× 第一種中高層住居専用地域においては、火葬場は新築できない((第一種中高層住居専用地域内に建築することができる公益上必要な建築物 同法施行令130条の5の4参照)。



【問 22】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいうものとする。

1 宅地造成工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mのがけを生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、造成主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都造府県知事の許可を受けなければならない。

2 宅地造成工事規制区域内の宅地において、高さが3mの擁壁の除却工事を行う場合には、宅地造成等規制法に基づく都道府県知事の許可が必要な揚合を除き、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならず、届出の期限は工事に着手する日の前日までとされている。

3 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、宅地造成工事規制区域又は造成宅地防災区域の指定のため測量又は調査を行う必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる。

4 都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、宅地造成に伴う災害で、相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの防止のため必要があると認める場合は、その造成宅地の所有者のみならず、管理者や占有者に対しても、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。

【問 22】 宅地造成等規制法 正解2
着眼点 本問も、正解肢(2)がおかしいのは常識的に判断できよう(工事に対する行政指導等のための情報収集手段である届出を工事着手前日までに行えばよい、と言っている)。
1○ 宅地造成工事規制区域内において行われる、宅地以外の土地を宅地にする切土であって、高さ2mを超えるがけを生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、造成主は、都市計画法の開発居を受けている場合を除き、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない(宅地造成等規制法2条、8条1項)。1は、正しい。2-9-2

2× 宅地造成工事規制区域内の宅地において、擁壁等に関する工事その他の工事で政令で定めるものを行おうとする者は、その工事に着手する日の「14日前まで」に、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない(同法15条2項)。2は、誤りである。2-9-8

3○ 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、宅地造成工事規制区域の指定のため他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる(同法4条1項)。3は、正しい。
4○ 都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地で、・・・災害の防止のため必要であり、かつ、土地の利用状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、当該造成宅地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造又は地形若しくは盛土の改良のための工事を行うことを命ずることができる(同法22条1項)。4は、正しい。2-9-9


【問 23】 土地区画整理法における仮換地指定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 土地区画整理事業の施行者である土地区画整理組合が、施行地区内の宅地について仮換地を指定する場合、あらかじめ、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。

2 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、必要があると認めるときは、仮清算金を徴収し、又は交付することができる。

3 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。

4 仮換地の指定を受けた場合、その処分により使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地は、当該処分により当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から、換地処分の公告がある日までは、施行者が管理するものとされている。

【問 23】 土地区画整理法 正解1
着眼点 2肢を除き、過去既出。プレゼント問題である。
1× 土地区画整理事業の施行者である土地区画整理組合が、施行地区内の宅地について仮換地を指定する場合、あらかじめ、「組合は、総会若しくはその部会又は総代会の同意を得」なければならない(土地区画整理法98条3項)。土地区画整理審議会が意見具申するのは、公共団体等が施行する場合である。1は、誤り。2-7-13
2○ 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、必要があると認めるときは、仮清算金を徴収し、又は交付することができる(同法102条1項)。2は、正しい。
3○ 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる(同法99条1項)。3は、正しい。2-7-14
4○ 仮換地の指定を受けた場合、その処分により使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地は、当該処分により当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から、換地処分の公告がある日までは、施行者が管理するものとされている(同法100条の2)。4は、正しい。2-7-17
正解 1



【問 24】 農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が原野である市街化調整区域内の土地を駐車場にするために取得する場合は、法第5条弟1項の許可を受ける必要はない。

2 建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。

3 市街化調整区域内の農地を宅地に転用する場合は、あらかじめ農業委員会へ届出をすれば、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。

4 市街化区域内の4ヘクタール以下の農地を住宅建設のために取得する揚合は、法第5条第1項により農業委員会の許可を受ける必要がある。

【問 24】 農地法 正解2
着眼点 農地法は、今年もプレゼント問題。
1× 現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が原野である市街化調整区域内の土地を駐車場にするために取得する場合は、法5条1項の許可を受ける必要がある。1は、誤りである。
2○ 建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。2は、正しい。
3× 市街化調整区域内の農地を宅地に転用する場合は、法4条1項の許可を受ける必要がある。3は、誤りである。
4× 市街化区域内の4ヘクタール以下の農地を住宅建設のために取得する揚合は、あらかじめ農業委員会へ届出をすれば、法5条1項の許可を受ける必要はない。4は、誤りである。以上2-8-12


【問 25】 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 自然公園法によれば、風景地保護協定は、当該協定の公告がなされた後に当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対しても、その効力が及ぶ。

2 土壌汚染対策法によれば、指定区域が指定された際、当該指定区域内で既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して14日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

3 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば、防災再開発促進地区の区域内の一団の土地において、土地の所有者が一者しか存在しなくても、市町村長の認可を受ければ避難経路協定を定めることができ、当該協定はその認可の日から効力を有する。

4 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば、傾斜度が30度以上である土地を急傾斜地といい、急傾斜地崩壊危険区域内において、土石の集積を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

【問 25】 諸法による制限 正解3
着眼点この問題は、知らなければ解けない。1と4は正しいのがわかるが、2と3とも類似の制度があり、いずれが誤りか判定できない。
1○ 自然公園法による風景地保護協定は、当該協定の公告がなされた後に当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対しても、その効力が及ぶ(同法36条)。1は、正しい。2-9-8類推
2○ 土壌汚染対策法によれば、指定区域が指定された際、当該指定区域内で既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して14日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならない(同法9条2項)。2は、正しい。2-6-10類推
3× 防災再開発促進地区の区域内の一団の土地の所有者及び借地権を有する者は、その全員の合意により、避難経路協定を締結することができる(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律289条1項)。避難経路協定は、区域内の所有者等が複数である場合に限られる。3は、誤りである。2-6-9
 は、類推できない
4○ 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば、傾斜度が30度以上である土地を急傾斜地といい(同法2条1項)、急傾斜地崩壊危険区域内において、土石の集積を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない(同法7条1項)。4は、正しい。2-9-10
正解 3


【問 26】 所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 譲渡所得の長期・短期の区分について、総合課税とされる譲渡所得の基因となる機械の譲渡は、譲渡のあった年の1月1日において所有期間が5年を超えているか否かで判定する。

2 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料等の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費、改良費の額は含まれない。

3 総合課税の譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうちまず長期譲渡に該当する部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、短期譲渡に該当する部分の金額から控除する。

4 個人に対して、譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額で譲渡した場合において、その譲渡により生じた損失の金額については、譲渡所得の金額の計算上、なかったものとみなされる。


【問 26】 所得税・総合課税における長期・短期の区分等   正解4
着眼点 一般に土地建物取引による所得税は分離課税されるので、その場合の出題に絞るのが恒例だが、本問は総合課税制度についてまで問うている。点を取らせまいとする出題の典型である。
1× 総合課税とされる譲渡所得の長期・短期の区分について、短期譲渡所得とは、所有期間が5年以下の資産を譲渡することにより生ずる所得をいい、長期譲渡所得とは、所有期間が5年を超える資産を譲渡することにより生ずる所得をいう(所得税法33条3項1・2号)。譲渡のあった年の1月1日において所有期間が5年を超えているか否かで判定するとする1は、誤りである。
2× 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする(同法38条1項)。2は、誤りである。
3× 総合課税の譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうちまず短期譲渡に該当する部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、長期譲渡に該当する部分の金額から控除する(同法33条5項)。3は、誤りである。
4○ 資産を個人に対し著しく低い価額の対価(譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額)により譲渡した場合において、その対価の額がその資産の譲渡に係る金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費 及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかったものとみなす(同法59条2項、同法施行令169条)。4は、正しい。



【問 27】 印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 建物の賃貸借契約に際して敷金を受け取り、「敷金として20万円を領収し、当該敷金は賃借人が退去する際に全額返還する」旨を記載した敷金の領収証を作成した場合、印紙税は課税されない。

2 土地譲渡契約書に課税される印紙税を納付するため当該契約書に印紙をはり付けた場合には、課税文書と印紙の彩紋とにかけて判明に消印しなければならないが、契約当事者の代理人又は従業者の印章又は署名で消印しても、消印をしたことにはならない。

3 当初作成の「土地を1億円で譲渡する」旨を記載した土地譲渡契約書の契約金額を変更するために作成する契約書で、「当初の契約書の契約金額を2,000万円減額し、8,000万円とする」旨を記載した変更契約書は、契約金額を減額するものであることから、印紙税は課税されない。

4 国を売主、株式会社A社を買主とする土地の譲渡契約において、双方が署名押印して共同で土地譲渡契約書を2通作成し、国とA社がそれぞれ1通ずつ保存することとした場合、A社が保存する契約書には印紙税は謀税されない。

【問 27】 印紙税  正解4
W易 すべて、過去既出。プレゼント問題である。 
1× 金銭の受取書(領収書)は、印紙税の課税物件である(印紙税法別表)。1は、誤りである。2-14-3
2× 課税文書の作成者は、消印をする場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない(同法施行令5条)。2は、誤りである。72p下段
3× 契約金額等の変更の事実を証すべき文書について、当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更の事実を証すべき文書により変更金額が記載されている場合は、当該変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、当該文書の記載金額の記載はないものとする(同法附則 別表第一課税物件表 課税物件の適用に関する通則)。したがって、記載金額のない課税物件として課税されるので、3は、誤りである。2-14-5
4○ 国を売主、株式会社A社を買主とする土地の譲渡契約において、双方が署名押印して共同で土地譲渡契約書を2通作成し、国とA社がそれぞれ1通ずつ保存することとした場合、A社が保存する契約書は、国が作成したものとみなされる(同法4条5項)ので、印紙税は謀税されない。4は、正しい。69p上段



【問 28】固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災等によって不明である場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。

2 市町村長は、一筆ごとの土地に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が、財政上その他特別の必要があるとして市町村の条例で定める場合を除き、30万円に満たない場合には、固定資産税を課することができない。

3 固定資産税の課税標準は、原則として固定資産の価格であるが、この価格とは「適正な時価」をいうものとされており、固定資産の価格の具体的な求め方については、都道府県知事が告示した固定資産評価基準に定められている。

4 市町村長は、毎年3月31日までに固定資産課税台帳を作成し、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、納税義務者の縦覧に供しなければならない。

【問 28】 固定資産税 正解1
着眼点
3と類似の記述が過去既出だが、他は初見の記述。2のひっかけはきつい。
1○ 固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災等によって不明である場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる(地方税法343条4項)。1は、正しい。
2× 市町村長は、「一筆ごとの土地」ではなく、「同一の者について当該市町村の区域内におけるその者の所有にかかる土地」に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が、30万円に満たない場合には、固定資産税を課することができない(同法351条)。2は、誤りである。2-12-6
3× 総務大臣は、固定資産評価基準(固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続)を定め、これを告示しなければならない(同法388条1項)。3は、誤りである。
4× 市町村長は、毎年3月31日までに「土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿」を作成し、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、納税義務者の縦覧に供しなければならない(同法415・416条)。4は、誤りである。32p中段



【問 29】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。

1 不動産の価格を求める鑑定評価の手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、鑑定評価に当たっては、原則として案件に応じてこれらの手法のうち少なくとも二つを選択して適用すべきこととされている。

2 土地についての原価法の適用において、宅地造成直後と価格時点とを比べ、公共施設等の整備等による環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算できる。

3 特殊価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

4 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であることから、賃貸用不動産の価格を求める場合に有効であり、自用の住宅地には適用すべきでない。

【問 29】 不動産の鑑定評価 正解2
着眼点 正解肢は初見だが、他は既出である。したがって、消去法で解けた。
1× 鑑定評価方式の適用に当たっては、鑑定評価方式を当該案件に即して適切に適用すべきである。この場合、原則として、原価方式、比較方式及び収益方式の三方式を併用すべきであり、対象不動産の種類、所在地の実情、資料の信頼性等により三方式の併用が困難な場合においても、その考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである(不動産鑑定基準総論第8章第6節)。1は、
誤りである。5p中段
2○ 土地についての原価法の適用において、宅地造成直後と価格時点とを比べ、公共施設等の整備等による環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算できる(総論第7章第1節Ⅱ原価法)。2は、正しい。
3× 特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう(総論第5章第3節)。3は、誤りである。3は、誤りである。2-11-9
4× 不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものであり、収益は、不動産の経済価値の本質を形成するものである。したがって、この手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものにはすべて適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用されるものである(総論第7章第1節Ⅳ収益還元法)。4は、誤りである。6p下段


【問 30】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しい内容のものはどれか。
1 Xは、甲県で行われた宅地建物取引主任者資格試験に合格した後、乙県に転居した。その後、登録実務講習を修了したので、乙県知事に対し法第18条第1項の登録を申請した。
2 Yは、甲県知事から宅地建物取引主任者証(以下「主任者証」という。)の交付を受けている。Yは、乙県での勤務を契機に乙県に取引主任者の登録の移転をしたが、甲県知事の主任者証の有効期間が満了していなかったので、その主任者証を用いて取引主任者としてすべき事務を行った。
3 A社(国土交通大臣免許)は、甲県に本店、乙県に支店を設置しているが、乙県の支店を廃止し、本店を合むすべての事務所を甲県内にのみ設置して事業を営むこととし、甲県知事へ免許換えの申請を行った。
4 B社(甲県知事免許)は、甲県の事務所を廃止し、乙県内で新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営むため、甲県知事へ廃業の届けを行うとともに乙県知事へ免許換えの申請を行った。

【問 30】 登録、登録の移転、免許換え 正解3
着眼点 2(失効した主任者証を使えるわけがない)と4(廃業していないのに廃業の届け出は必要ない)は易しい。
1× 試験に合格した者・・・は、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる(宅地建物取引業法18条1項)。甲県で試験に合格した者が、乙県知事の登録を受けることはできないので、1は、誤りである。38p中段
2× 取引主任者証が交付された後、登録の移転があつたときは、当該取引主任者証は、その効力を失う(同法22条の2第4項 58p下段)。2において甲県知事の主任者証は効力を失っているので、その主任者証を用いて取引主任者としてすべき事務を行うことはできない。2は、誤りである。
3○ 甲県に本店、乙県に支店を設置する、国土交通大臣免許のA社が、乙県の支店を廃止し、本店を合むすべての事務所を甲県内にのみ設置して事業を営むこととした場合は、甲県知事への免許換えが必要だが、免許換えは新免許権者が知事の場合は、直接免許権者に申請すればよい(同法7条1項1号、3条1項、4条)。3は、正しい。3-2-6
4× B社(甲県知事免許)が、甲県の事務所を廃止し、乙県内で新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営むためには、免許換えは必要だが、甲県知事への廃業の届けは、必要ない。4は、誤りである。3-2-6


【問 31】 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に間する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者A社に、道路交通法違反により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた者が役員として就任する場合、就任時において執行猶予期間中であれば、その就任をもって、A社の免許が取り消されることはない。

2 宅地建物取引業者B社に、かつて破産宣告を受け、既に復権を得ている者が役員として就任する場合、その就任をもって、B社の免許が取り消されることはない。

3 免許を受けようとするC社に、刑法第206条(現場助勢)の罪により科料に処せられた役員がいる場合、その刑の執行が終わってから5年を経過しなければ、C社は免許を受けることができない。

4 免許を受けようとするD社に刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、その猶予期間が満了している役員がいる場合、その満了の日から5年を経過しなければ、D社は免許を受けることができない。

【問 31】 免許の基準と免許取り消し   正解 2
着眼点 免許基準に関するオーソドックスな問題。前問を落とす人は少ないだろうから、本問のような問題を取れるかどうかが、合否を分ける。
1× 法人である宅地建物取引業者の役員が、免許欠格事由に該当するに至ると免許取消処分の事由になるが、A社の役員に就任した者には、免許欠格事由がある(禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中)ので、その就任をもって、A社の免許は取り消される(宅地建物取引業法66条1項3号、5条1項3号の2)。1は、誤りである。3-14-3、3-1-20
2○ B社の役員に就任した者は、かつて破産宣告を受けているが、既に復権を得ているので、現在免許欠格事由がなく、その就任をもって、B社の免許が取り消されることはない。2は、正しい。
3× 法人の役員が免許欠格事由に該当する場合は免許を受けることができない(同法5条1項7号)が、刑法第206条(現場助勢)の罪により科料に処せられたC社の役員は免許欠格事由に該当しない(同法5条1項3号参照)ので、C社は免許を受けることができる。3は、誤りである。
4× D社の役員である者は、刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられたが、その猶予期間が満了したため刑の言い渡しは効力を失う(刑法27条)ので、その満了の日から5年を経過しなくとも、D社は免許を受けることができる。4は、誤りである。3-1-20


【問 32】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 新たに宅地建物取引業の免許を受けようとする者は、当該免許の取得に係る申請をしてから当該免許を受けるまでの間においても、免許申請中である旨を表示すれば、免許取得後の営業に備えて広告をすることができる。

2 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完丁前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

3 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときに取引態様の別を明示していれば、注文を受けたときに改めて取引態様の別を明らかにする必要はない。

4 宅地建物取引業者は、販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがある。

【問 32】 広告時期の制限、取引態様の明示、誇大広告の罰則 正解4
着眼点 正解肢も含め、過去頻出の記述。
1× 宅地建物取引業は、免許を受けて、供託済みの届け出をして初めて開業できる。広告も営業の一環であるから、たとえ、免許申請中である旨を表示しても、それまではすることができない。(宅地建物取引業法25条5項)。3-5-1
2× 宅地建物取引業者は、工事完成前の物件については、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく「許可等の処分」があった後でなければ、当該物件の業務に関する広告をしてはならない(同法33条)。許可等の申請をしただけでは、業務に関する広告をしてはならない。3-8-2
3× 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときに取引態様の別を明示していても、注文を受けたときには、改めて取引態様の別を明らかにしなければならない(同法34条2項)。3-8-3
4○ 宅地建物取引業者は、販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがある(同法81条)。4は、正しい。3-14-10


【問 33】 次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 禁錮以上の刑に処せられた取引主任者は、登録を受けている都道府県知事から登録の消除の処分を受け、その処分の日から5年を経過するまで、取引主任者の登録をすることはできない。

2 宅地建物取引主任者資格試験に合格した者で、宅地建物の取引に関し2年以上の実務経験を有するもの、又は都道府県知事がその実務経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、法第18条第1項の登録を受けることができる。

3 甲県知事から宅地建物取引主任者証(以下この問において「主任者証」という。)の交付を受けている取引主任者は、その住所を変更したときは、遅滞なく、変更の登録の申請をするとともに、主任者証の書換え交付の申請を甲県知事に対してしなければならない。

4 取引主任者が成年被後見人に該当することになったときは、その日から30日以内にその旨を登録している都道府県知事に本人が届け出なければならない。

【問 33】 登録、取引主任者が住所変更したときの手続
着眼点 1のひっかけが少しきついが、問題演習をこなした人はすぐ気がつくだろう。
1× 禁錮以上の刑に処せられた取引主任者が、登録を受けている都道府県知事から登録の消除の処分を受けた場合、禁錮刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまで、取引主任者の登録をすることはできない(宅地建物取引業法18条1項5号)。1は、誤りである。3-3-3
2× 宅地建物取引主任者資格試験に合格した者で、宅地建物の取引に関し2年以上の実務経験を有するもの、又は「国土交通大臣」がその実務経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる(同法18条1項)。2は、誤りである。3-3-2
3○ 登録を受けた都道府県知事から宅地建物取引主任者証の交付を受けている取引主任者は、その住所を変更したときは、遅滞なく、変更の登録の申請をするとともに、主任者証の書換え交付の申請を当該知事に対してしなければならない(同法20条、同法施行規則14条の13)。3は、正しい。3-4-9
4× 取引主任者が成年被後見人に該当することになったときは、その日から30日以内にその旨を登録している都道府県知事に「その後見人」が届け出なければならない(同法21条3号)。4は、誤りである。3-4-3
正解 3


【問 34】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県内に本店Xと支店Yを設置して、額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を営業保証金として供託して営業している。
この場合の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、本店Xと支店Yとでは、最寄りの供託所を異にする。

1 Aが新たに支店Zを甲県内に設置したときは、本店Xの最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、支店Zでの事業を開始することができる。

2 Aが、Yを本店とし、Xを支店としたときは、Aは、金銭の部分に限り、Yの最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。

3 Aは、額面金額1,000万円の地方債証券を新たに供託すれば、既に供託している同額の国債証券と変換することができる。その場合、遅滞なく、甲県知事に営業保証金の変換の届出をしなければならない。

4 Aは、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、その旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、免許取消の処分を受けることがある。

【問 34】 営業保証金
着眼点 営業保証金の定番問題。絶対に落とすことはできない。
1× 新たに支店を設置した場合、本店最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託して、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を免許権者に届け出て、新設した支店での事業を開始することができる(宅地建物取引業法26条、25条4・5項)。1は、誤りである。3-5-5
2× 主たる事務所移転によりその最寄りの供託所が変更した場合、金銭と有価証券で供託しているときは、移転後の主たる事務所のもより供託所への営業保証金の保管替えは、認められていない。移転後のもより供託所へ新たに供託しなければならない(同法29条1項)。2は、誤りである。3-5-8
3× 営業保証金を有価証券で供託する場合、有価証券の種類によって価額評価が異なり、国債証券はその額面金額どおりの価額が認められるが、地方債証券は額面金額の100分の90の価額と評価される(同法施行規則15条)。したがって、額面金額1,000万円の地方債証券の供託では、既に供託している同額の国債証券に不足であり、それと変換することはできない。3は、誤りである。3-5-3
4○ 営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときに、その旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しないことは、業務停止処分の事由に該当する(同法65条2項2号)。したがって、情状が重ければ、免許取消の処分を受けることがある(同法66条1項9号)。4は、正しい。3-14-2・3


【問 35】 宅地建物取引業者Aが、Bから自己所有の宅地の売却の媒介を依頼された場合における当該媒介に係る契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Aが、Bとの間に一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結したときは、当該宅地に関する所定の事項を必ずしも指定流通機構へ登録しなくてもよいため、当該媒介契約の内容を記載した書面に、指定流通機構への登録に関する事項を記載する必要はない。

イ Aが、Bとの間に専任媒介契約を締結し、当該宅地に関する所定の事項を指定流通機構に登録したときは、Aは、遅滞なく、その旨を記載した書面を作成してBに交付しなければならない。

ウ Aが、Bとの間に専任媒介契約を締結し、売買契約を成立させたときは、Aは、遅滞なく、当該宅地の所在、取引価格、売買契約の成立した年月日を指定流通機構に通知しなければならない。

【問 35】 媒介契約規制  正解4
W難 イウのひっかけ、とくにウのひっかけがきつい。そして、個数問題だから消去法もきかず、正解率は悪い。
ア× 物件に関する情報を指定流通機構へ登録する義務のない一般媒介契約を締結したときも、当該媒介契約の内容を記載した書面には、指定流通機構への登録に関する事項を記載しなければならない(宅地建物取引業法34条の2第1項5号)。アは、誤りである。3-8-5
イ× 宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結し、当該物件に関する所定の事項を指定流通機構に登録したときは、「指定流通機構が発行した、当該登録を証する書面」を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない(同法34条の2第1項6号、50条の6)。イは誤りである。120p中段
ウ× 指定流通機構へ登録したことを証する書面を依頼者に引き渡した宅地建物取引業者は、登録物件に係る契約を成立させたときは、遅滞なく、①登録番号 ②取引価格 ③契約の成立した年月日 を指定流通機構に通知しなければならない(同法34条の2第1項7号、同法施行規則15条の11)。ウは、誤りである。120p中段
以上すべて誤りで、正しいものはなし。
正解 4



【問 36】 宅地建物取引業者Aが建物に係る信託(Aが委託者となるものとする。)の受益権を販売する揚合において、宅地建物取引業法第35条の規定に基づいてAが行う重要事項の説明に関する次の行為のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せはどれか。

ア Aは、販売の対象が信託の受益権であったので、買主Bに対し、取引主任者でない従業員に説明をさせた。

イ Aは、当該信託の受益権の売買契約を締結する半年前に、買主Cに対して当該契約と同一の内容の契約について書面を交付して説明していたので、今回は説明を省略した。

ウ Aは、買主Dが金融商品取引法第2条第31項に規定する特定投資家であったので、説明を省略した。

エ Aは、当該信託財産である建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関して保証保険契約を締結していたが、買主Eに対しその説明を省略した。

1 ア、イ
2 イ、ウ
3 イ、エ
4 ウ、エ


【問 36】 信託受益権の売買における重要事項の説明   正解2
着眼点 いままで出題されたことにない特殊な取引の場合の重要事項説明だが、細かなことを知らなくても、消去法では判断できると思う。アが違反であるのは当然である。また、近年の法改正で説明事項として付加された、瑕疵担保責任の履行に関して保証保険契約を締結したことの説明は、省略できないと推測できよう。
ア違反 重要事項説明は、取引主任者をして説明させなければならない(宅地建物取引業法35条3項)。アは、違反である。3-9-1
イ・ウ違反しない 宅地建物取引業者が、宅地又は建物に係る信託受益権の売主となる場合に相手方に対して、行うべき重要事項説明は、①金融商品取引法2条31項 に規定する特定投資家を信託の受益権の売買の相手方とする場合  ②信託の受益権の売買契約の締結前1年以内に売買の相手方に対し当該契約と同一の内容の契約について書面を交付して説明をしている場合  等 には、省略できる(同法35条3  項但書、同法施行規則16条の4の4)。イ及びウは、違反ではない。
エ違反 瑕疵担保責任の履行に関して保証保険契約を締結したことの説明は、省略できない(同法施行規則16条の4の7第6号イ)。エは、違反である。3-9-3
以上、違反しないのは、イウである。

【問 37】 宅地建物取引業者Aが、マンションの分譲に際して行う宅地建物取引業法弟35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 当該マンションの建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めがある場合、Aは、その内容だけでなく、その使用者の氏名及び住所について説明しなければならない。

2 建物の区分所有等に関する法律第2条第4項に規定する共用部分に関する規約がまだ案の段階である場合、Aは、規約の設定を待ってから、その内容を説明しなければならない。

3 当該マンションの建物の計画的な維持修繕のための費用の積立を行う旨の規約の定めがある場合、Aは、その内容を説明すれば足り、既に積み立てられている額については説明する必要はない。

4 当該マンションの建物の計画的な維持修繕のための費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがある場合、Aは、買主が当該減免対象者であるか否かにかかわらず、その内容を説明しなければならない。

【問 37】 マンションの分譲に際しての重要事項説明 正解4
着眼点 マンション売買の場合の一般的な重要事項説明で、定番問題といえる。
1× マンションの建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めがある場合は、その内容を説明すれば足り、使用者の氏名・住所については、説明しなくともよい(35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第4号)。1は、誤りである。3-9-6
2× 区分所有法2条4項に規定する共用部分に関する規約がまだ案の段階である場合、その規約の案を説明すべきであって、規約の設定を待ってから、その内容を説明するのでは遅い(同法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第2号)。2は、誤りである。3-9-6
3× マンションの建物の計画的な維持修繕のための費用の積立を行う旨の規約の定めがある場合、その内容と、既に積み立てられている額についても説明すべきである(同法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第6号)。3は、誤りである。3-9-6
4○ マンションの建物の計画的な維持修繕のための費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがある場合、買主が当該減免対象者であるか否かにかかわらず、その内容を説明しなければならない(同法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第5号)。4は、正しい。3-9-6
正解 4

【問 38】 次に記述する宅地建物取引業者Aが行う業務に閉する行為のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

1 宅地の売買の媒介において、当該宅地の周辺環境について買主の判断に重要な影響を及ぼす事実があったため、買主を現地に案内した際に取引主任者でないAの従業者が当該事実について説明した。

2 建物の貸借の媒介において、申込者が自己都合で申込みを撤回し賃貸借契約が成立しなかったため、Aは、既に受領していた預り金から媒介報酬に相当する全額を差し引いて、申込者に返還した。

3 Aの従業者は、宅地の販売の勧誘に際し、買主に対して「この付近に鉄道の新駅ができる」と説明したが、実際には新駅設置計画は存在せず、当該従業者の思い込みであったことが判明し、契約の締結には至らなかった。

4 Aは、自ら売主として、宅地の売却を行うに際し、買主が手付金100万円を用意していなかったため、後日支払うことを約して、手付金を100万円とする売買契約を締結した。
【問 38】 業務に関する禁止事項等 正解1
着眼点 3は、違反する条文がわからなくとも、常識的には判断できよう。
1違反しない 宅地建物取引業者は、宅地の売買の媒介において、当該宅地の周辺環境について買主の判断に重要な影響を及ぼす事実があった場合は、その事実を告げるべきだが(宅地建物取引業法47条1項1号)、これは重要事項説明ではないので、取引主任者でない従業者が説明してもよい。3-11-11
2違反 媒介報酬は、媒介に成功した場合にのみ受領できるが、媒介にかかる賃貸借契約が成立しなかったにもかかわらず、既に受領していた預り金から媒介報酬に相当する金額を差し引いて、返還したのでは、媒介不成功であるのに、媒介報酬を受け取ることになり、違反である。
3違反 従業者が、思い込み(=過失)で事実と異なる説明をしてしまったことは、法31条の業務処理の原則「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない。」に違反する。
4違反 手付の支払いを後日にすることを約して、契約を締結したことは、手付について信用供与による契約の誘引の禁止に違反(同法47条3号)したことが前提になる。4は、違反である。3-11-11


【問 39】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 買主Bは自らの希望により勤務先で売買契約に関する説明を受けて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Bは、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。

2 買主Cは喫茶店において買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Cは、当該契約の締結をした日の10日後においては、契約の解除をすることができない。

3 買主Dはレストランにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Dは、当該契約の締結をした日の5日後においては、書面を発しなくても契約の解除をすることができる。

4 買主Eはホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Eは、当該宅地の代金の80%を支払っていたが、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。

【問 39】 クーリング・オフ 正解4
着眼点 クーリング・オフの定番問題。
1× 買主が自らの希望により勤務先で売買契約に関する説明を受けて買受けの申込みをし、契約を締結した場合は、クーリング・オフによる契約の解除をすることはできない(宅地建物取引業法37条の2、同法施行規則16条の5二)。1は、誤りである。3-12-8
2× クーリング・オフできる旨書面で告知されない場合、物件の引き渡しを受け代金全額を支払わない限り、いつまででもクーリング・オフできる(同法37条の2第1項1・2号)。2は、誤りである。3-12-7
3× クーリング・オフは、書面でしなければならない(同法37条の2第1項)。3は、誤りである。3-12-9
4○ クーリング・オフできる旨書面で告知された場合、物件の引き渡しを受け代金全額を支払わない限り、告知を受けてから8日経過するまでは、クーリング・オフできる(同法37条の2第1項1・2号)。4は、正しい。3-12-7


【問 40】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Bが契約の履行に着手するまでにAが売買契約の解除をするには、手付の3倍に当たる額をBに償還しなければならないとの特約を定めることができる。

2 Aの違約によりBが受け取る違約金を売買代金の額の10分の3とするとの特約を定めることができる。

3 Bから法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフによる売買契約の解除があった場合でも、Aが契約の履行に着手していれば、AはBに対して、それに伴う損害賠償を請求することができる。

4 Aは、瑕疵担保責任を負うべき期間として、引渡しの日から2年で、かつ、Bが瑕疵を発見した時から30日以内とする特約を定めることができる。

【問 40】  業者自ら売主規制・瑕疵担保責任特約制限 正解1
着眼点 瑕疵担保責任特約制限に関する定番問題。 
1○ 宅地建物取引業者が売主で買主が宅地建物取引業者でない場合には、手付にはすべて解約手付の効力が与えられ、売主業者が受け取る手付の額も代金額の2割を超えられず、この規制より買主に不利な特約は無効となる(宅地建物取引業法39条)。買主が履行に着手するまでは、売主業者は手付の3倍相当額を償還して契約を解除できるとする特約は、買主が履行に着手するまでは、売主業者は手付の倍額を償還して契約を解除できる解約手付の効力より、買主に有利なので、定めることができる。1は、正しい。3-13-6
2× 宅地建物取引業者が売主で買主が宅地建物取引業者でない場合には、違約金と損害賠償額の予定は合計して代金額の2割を超えられない(38条1項)。2は、誤りである。3-13-2
3× 宅地建物取引業者は、クーリング・オフによる契約解除があった場合、それに伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない(同法37条の2第1項)。3は、誤りである。3-12-9
4× 宅地建物取引業者が売主で買主が宅地建物取引業者でない場合には、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、責任を負う期間を目的物の引渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。 責任を負う期間として、引渡しの日から2年で、かつ、買主が瑕疵を発見した時から30日以内とする特約は、責任期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上とする特約ではないので、無効である。4は、誤りである。3-13-6

【問 41】 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、買主Bとの間で締結した売買契約に関して行う次に記述する行為のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはどれか。

1 Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で建築工事完了前の建物を5,000万円で販売する契約を締結し、法第41条に規定する手付金等の保全措置を講じずに200万円を手付金として受領した。

2 Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で建築工事が完了した建物を5,000万円で販売する契約を締結し、法第41粂の2に規定する手付金等の保全措置を講じずに、当該建物の引渡し前に700万円を手付金として受領した。

3 Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で建築工事完了前の建物を1億円で販売する契約を締結し、法第41条に規定する手付金等の保全措置を講じた上で、1,500万円を手付金として受領した。

4 Aは、宅地建物取引業者であるBとの間で建築工事が完了した建物を1億円で販売する契約を締結し、法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じずに、当該建物の引渡し前に2,500万円を手付金として受領した。

【問 41】 業者自ら売主規制・手付の額の規制・手付金等保全措置 正解1
易 2つの規制を検討しなければならないのでややこしいが、内容的には難しくない。
宅地建物取引業者が売主で買主が宅地建物取引業者でない場合には、売主業者は、代金額の2割を超える手付金を受け取ってはならない(宅地建物取引業法39条1項)。また、工事完了前の物件につき、引渡も登記もしないで、代金額5%又は1,000万円を超える代金に充当する手付金等を手付金等保全措置を講じないで受け取ってはならない(同法41条)。工事完了後の物件については、引渡も登記もしないで、代金額10%又は1,000万円を超える代金に充当する手付金等を手付金等保全措置を講じないで受け取ってはならない(同法41条の2)。3-13-2、3-13-3
1違反しない 1は、工事完了前の物件であるが、売主業者が、手付金等の保全措置を講じずに代金額の4%にあたる200万円を手付金として受領したもので、違反ではない。
2違反 2は、工事完了後の物件であるが、売主業者が、手付金等の保全措置を講じずに代金額の10%を超える700万円を手付金として受領したもので、違反である。
3違反しない 3は、工事完了前の物件であるが、売主業者が、手付金等の保全措置を講じて代金額の15%にあたる1,500万円を手付金として受領したもので、違反でない。
4違反しない 4は、宅地建物取引業者が売主で買主も宅地建物取引業者である場合だが、この場合は手付金等保全措置の規制も手付金の額の制限の規制もないから、売主業者が手付金等の保全措置を講じずに、2,500万円を手付金として受領しても違反ではない。

【問 42】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者は、販売予定の戸建住宅の展示会を実施する際、会場で売買契約の締結や売買契約の申込みの受付を行わない場合であっても、当該会場内の公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。
2 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、閲覧に供しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、主たる事務所には、設置しているすべての事務所の従業者名簿を、従たる事務所には、その事務所の従業者名簿を備えなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯をさせなくてもよい。

【問 42】 業務運営体制上の規制 正解1
着眼点 業務運営体制上の規制の定番問題。
1○ 標識は、契約の申込みの受付を行わない展示会場にも掲示しなければならない(宅地建物取引業法50条1項、同法施行規則19条5号)。1は、正しい。3-7-7
2× 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備えなければならない(同法49条)が、請求により取引関係者の閲覧に供しなければならない義務はない。2は、誤りである。3-7-1
3× 宅地建物取引業者は、事務所ごとに従業者名簿を備えなければならない(同法48条3項)が、主たる事務所に、設置しているすべての事務所の従業者名簿を備える必要はない。3は、誤りである。3-7-3
4× 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならない(同法48条1項)。ここに従業者とは、非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者も含む。4は、誤りである。97p中段


【問 43】 宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(共に消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、借賃には、消費税相当額を含まないものとする。

1 Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.05か月分である。

2 Aが単独で行う事業用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の双方から受ける報酬の合計額が借賃の1.05か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよい。

3 Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円(消費税額及び地方消費税額を合む。)、権利金315万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されない。消費税額及び地方消費税額を合む。)の契約を成立させた場合、Aは依頼者の双方から合計で30万円の報酬を受けることができる。

4 Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金4,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から264万6,000円、Bは買主から132万3,000円の報酬をそれぞれ受けることができる。

【問 43】 報酬規制 正解2
着眼点 報酬規制であるが、全面的な計算問題ではなく、表現上の微妙なひっかけ問題を含む。
1× 居住用建物の貸借の媒介に関して、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、「当該媒介の依頼を受けるに当たって」当該依頼者の承諾を得ている場合は、借賃の1.05か月分である(宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額〔建設省・国土交通省告示〕第4貸借の媒介に関する報酬の額)。1は、誤りである。3-11-4
2○ 宅地建物取引業者が単独で行う事業用建物の貸借の媒介に関して、宅地建物取引業者が依頼者の双方から受ける報酬の合計額が借賃の1.05か月分以内であれば、宅地建物取引業者は依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよい(同告示第4)。2は、正しい。3-11-4
3× 宅地建物取引業者が単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円(消費税額及び地方消費税額を合む。)、権利金315万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されない。消費税額及び地方消費税額を合む。)の契約を成立させた場合、当該権利金の額を売買代金額とみなして売買の場合と同様の報酬計算をできるので、宅地建物取引業者は依頼者の双方から合計で29万4,000円(〔300×4%+2〕×2×1.05)の報酬を受けることができる(同告示第6権利金の授受がある場合の特例)。3は、誤り。3-11-6
4× 宅地建物取引業者Aは売主から代理の依頼を、宅地建物取引業者Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金4,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Bは買主から132万3,000円(〔4,000×3%+6〕×1.05)を上限として、Aは売主から(264万6,000円-Bの受領額)を上限として報酬をそれぞれ受けることができる(同告示第2売買又は交換の媒介に関する報酬の額第5貸借の代理に関する報酬の額)。4は、誤りである。3-11-2


【問 44】 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)又はその社員に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 300万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、6,000万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。

2 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当会を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。

3 保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失う。

4 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から2週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。

【問 44】 保証協会 正解3
着眼点 保証協会の定番問題。絶対に落とせない。
1× 300万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、300×50/3=5,000万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する(宅地建物取引業法施行令2条の4、6条参照)。1は、誤りである。3-6-7
2× 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当会を保証協会に納付すべきことを通知しなければならない(同法64条の10第1項)。2は、誤りである。3-6-9
3○ 保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失う(同法64条の12第3~5項)。3は、正しい。89p下段
4× 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から「1週間以内」に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない(同法64条の15)。4は、誤りである。3-6-11


【問 45】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aの専任の取引主任者が事務禁止処分を受けた場合において、Aの責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、Aに対して指示処分をすることができる。

2 甲県知事は、Aの事務所の所在地を確知できないときは、直ちにAの免許を取り消すことができる。

3 Aが宅地建物取引業法の規定に違反したとして甲県知事から指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。

4 甲県知事は、Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。

【問 45】監督処分 正解1
着眼点 監督処分のポイントになるところからの出題。
1○ 取引主任者が事務禁止処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるときは、免許権者は、宅地建物取引業者に対して指示処分をすることができる(65条1項4号)。1は、正しい。3-14-1
2× 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる(67条)。2は、誤りである。3-14-3
3× 宅地建物取引業者に対する指示処分に従わなかった場合、業務停止処分の事由にはなる(65条2項3号)が、免許を取り消さなければならない事由にはならない。3は、誤りである。3-14-2
4× 取引主任者に対して、指示処分をした場合には、その旨の公告はしない(同法70条参照)。4は、誤りである。3-14-8参照


【問 46】 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、民間金融機関により貸付けを受けた住宅ローン債務者の債務不履行により元利金を回収することができなかったことで生じる損害をてん補する住宅融資保険を引き受けている。

2 機構は、災害復興融資、財形住宅融資、子育て世帯向け・高齢者世帯向け賃貸住宅融資など、政策上重要で一般の金融機関による貸付けを補完するための融資業務を行っている。

3 機構は、あらかじめ貸付けを受けた者と一定の契約を締結し、その者が死亡した場合に支払われる生命保険金を当該貸付に係る債務の弁済に充てる団体信用生命保険を業務として行っている。

4 機構は、貸付けを受けた者が景況の悪化や消費者物価の上昇により元利金の支払が困難になった場合には、元利金の支払の免除をすることができる。

【問 46】 住宅金融支援機構法 正解4
着眼点 住宅金融支援機構からの2回目の出題だが、住宅金融公庫時代のように、融資条件など実務・運用面を重視した出題ではなく、業務全般に関する法律条文に即した出題である。なお、正解肢は、常識的に判断できよう。
1○ 独立行政法人住宅金融支援機構は、民間金融機関により貸付けを受けた住宅ローン債務者の債務不履行により元利金を回収することができなかったことで生じる損害をてん補する住宅融資保険を引き受けている(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項3号参照)。1は、正しい。2-15-2
2○ 機構は、災害復興融資、財形住宅融資、子育て世帯向け・高齢者世帯向け賃貸住宅融資など、政策上重要で一般の金融機関による貸付けを補完するための融資業務を行っている(同法13条1項5~9号・2項2号参照)。2は、正しい。84p上段
3○ 機構は、あらかじめ貸付けを受けた者と一定の契約を締結し、その者が死亡した場合に支払われる生命保険金を当該貸付に係る債務の弁済に充てる団体信用生命保険を業務として行っている(同法13条1項10号参照)。3は、正しい。
4× 独立行政法人住宅金融支援機構法には、貸付けを受けた者が景況の悪化や消費者物価の上昇により元利金の支払が困難になった場合には、元利金の支払の免除をすることができるという規定はない。4は、誤りである。


【問 47】 宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約の規定を合む。)によれば、正しいものはどれか。

1 最寄りの駅から特定の勤務地までの電車による通勤時間を表示する場合は、通勤時に電車に乗車している時間の合計を表示し、乗換えを要することや乗換えに要する時間を合んでいないことを表示する必要はない。

2 新聞広告や新聞折込チラシにおいては、物件の面積や価格といった、物件の内容等を消費者に知ってもらうための事項を表示するのに併せて、媒介、売主等の取引態様も表示しなければならない。

3 インターネット広告においては、最初に掲載する時点で空室の物件であれば、その後、成約済みになったとしても、情報を更新することなく空室の物件として掲載し続けてもよい。

4 販売しようとしている売地が、都市計画法に基づく告示が行われた都市計画道路の区域に含まれている場合、都市計画道路の工事が未着手であれば、都市計画道路の区域に合まれている旨の表示は省略できる。

【問 47】 景品表示法・不動産の表示に関する公正競争規約 正解2
着眼点 規約を暗記していなくても、常識的に判断できよう。
1× 電車、バス等の交通機関を利用する場合の利便性について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示は、不当表示となる(不動産の表示に関する公正競争規約23条(3))ので、誤りである。2-16-7
2○ 取引態様について、事実に相違する表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも優良若しくは有利であると誤認されるおそれのある表示は、不当表示となる(同規約23条(1))ので、正しい。
3× 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示は、おとり広告の一種として不当表示となる(同規約21条(2))ので、誤りである。2-16-4
4× 土地の区画、形質の変更に関する都市計画法、自然公園法その他の法律による制限に係る事項について、実際のものよりも緩やかであると誤認されるおそれのある表示は、不当表示となる(同規約23条(29)ので、誤りである。

【問 48】 宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 平成20年地価公示(平成20年3月公表)によれば、地方圏全体の平成19年の1年間の地価変動率は、商業地がマイナス1.4%で4年連続して下落幅が縮小したのに対し、住宅地はマイナス1.8%となり、前年に比べて下落幅が拡大した。

2 建築着工統計(国土交通省)によれば、平成19年度の新設住宅着工戸数は約104万戸で、対前年度比では約2.9%増となった。

3 平成20年版土地白書(平成20年6月公表)によれば、平成19年の売買による土地所有権移転登記の件数は全国で141万件となり、2年連続の上昇となった。

4 平成18年度法人企業統計年報(財務省)によれば、平成18年度における不動産業の経常利益は約3兆5,000億円であり、3年連続して増益となった。

【問 48】 土地建物関する統計     正解4
着眼点 2年連続で法人企業統計年報のデータを正解肢としたこと、建築着工統計につき2年続いた前々年度でもなく、その前7年続いた前年でもなく、前年度のデータを問題としたこと、土地白書も恒例となっていた前年度版ではなく、当該年度版(今年の6月公表である)を問題としたなどが 驚 である。ことさらに、準備しにくい、難易度の高い問題にしようという意図がうかがえる。
1× 平成20年地価公示(平成20年3月公表)によれば、地方圏全体の平成19年の1年間の地価変動率は、商業地がマイナス1.4%で4年連続して下落幅が縮小したのに対し、住宅地はマイナス1.8%となり、前年に比べて下落幅が「縮小」した。1は、「拡大」とあるのが誤りである。
2× 建築着工統計(国土交通省)によれば、平成19年度の新設住宅着工戸数は約104万戸で、対前年度比では約「19.4%減」となった。2は、「2.9%増」とあるのが誤りである。
3× 平成20年版土地白書(平成20年6月公表)によれば、平成19年の売買による土地所有権移転登記の件数は全国で141万件となり、「4年連続の減少」となった。3は、「2年連続の上昇」とあるのが誤りである。
4○ 平成18年度法人企業統計年報(財務省)によれば、平成18年度における不動産業の経常利益は約3兆5,000億円であり、3年連続して増益となった。4は、正しい。以上マイページ掲載統計問題情報


【問 49】 土地の形質に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 地表面の傾斜は、等高線の密度で読み取ることができ、等高線の密度が高い所は傾斜が急である。

2 扇状地は山地から平野部の出口で、勾配が急に緩やかになる所に見られ、等高線が同心円状になるのが特徴的である。

3 等高線が山頂に向かって高い方に弧を描いている部分は尾根で、山頂から見て等高線が張り出している部分は谷である。

4 等高線の間隔の大きい河口付近では、河川の氾濫により河川より離れた場所でも浸水する可能性が高くなる。

【問 49】 土地の知識・等高線の読み方   正解3
着眼点 既出の等高線の密・疎の読み方から、一歩進めた地形の読み方についての応用問題。言われてみればなるほどというクイズのような問題である。
1○ 地表面の傾斜は、等高線の密度で読み取ることができ、等高線の密度が高い所は傾斜が急である。1は、正しい。
2○ 扇状地は山地から平野部の出口で、勾配が急に緩やかになる所に見られ、等高線が同心円状になるのが特徴的である。2は、正しい。
3× 等高線が山頂に向かって高い方に弧を描いている部分は谷で、山頂から見て等高線が張り出している部分は尾根である。尾根と谷が逆になっている。
4○ 等高線の間隔の大きい河口付近では、河川の氾濫により河川より離れた場所でも浸水する可能性が高くなる。4は、正しい。以上134pの問3


【問 50】 建築物の構造に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 建築物の高さが60mを超える場合、必ずその構造方法について国土交通大臣の認定を受けなければならない。

2 階数が2以上又は延べ面積が50㎡を超える木造の建築物においては、必ず構造計算を行わなければならない。

3 建築物に異なる構造方法による基礎を併用した場合は、構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめなければならない。

4 高さが20m以下の鉄筋コンクリート造の建築物の構造方法を国土交通大臣の認定を受けたプログラムによってその安全性を確認した場合、必ず構造計算適合性判定が必要となる。

【問 50】 建築基準法単体規定 正解2
着眼点 近年問題となっている建築物の構造強度の確保に関する建築基準法令からのかなり建築実務的な出題。ただし、正解肢は、建築基準法単体規定の定番問題である。
1○ 建築物の高さが60mを超える場合、必ずその構造方法について国土交通大臣の認定を受けなければならない(建築基準法20条1号)。1は、正しい。
2× 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるものは、必ず構造計算を行わなければならない(同法20条3号イ、6条1項2号)。2は、誤りである。2-5-11
3○ 建築物に異なる構造方法による基礎を併用した場合は、構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめなければならない(同法施行令38条)。3は、正しい。
4○ 高さが20m以下の鉄筋コンクリート造の建築物の構造方法を国土交通大臣の認定を受けたプログラムによってその安全性を確認した場合、必ず構造計算適合性判定が必要となる(同 
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