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平成17年度
【間1】 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 買主Bが被保佐人であり、保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結した場合、当該売買契約は当初から無効である。

2 買主Cが意思無能力者であった場合、Cは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。

3 買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。

4 買主Eが婚姻している未成年者であり、当該婚姻がEの父母の一方の同意を得られないままになされたものである場合には、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。

解答解説
1×被保佐人は、保佐人が同意なく行った「重大な契約」を取り消せる。当初から無効なのではない。

2×意思無能力者(酔っ払い・幼児など)が行った契約は、当然に無効である。

3○権利能力とは、権利を持つことができる資格である。自然人には当然にあるが、人の集団(社団)や財産の集合(財団)は法律が権利能力を認めた場合のみ、権利能力が認められる。権利能力がなければ所有者になれず、所有権は帰属しない。

4×父母の一方の同意があれば婚姻できる。

【問 2】 AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。この場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 錯誤が、売却の意思表示の内容の重要な部分に関するものであり、法律行為の要素の錯誤と認められる場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。

2 錯誤が、売却の意思表示をなすについての動機に関するものであり、それを当該意思表示の内容としてAがBに対して表示した場合であっても、この売却の意思表示が無効となることはない。

3 錯誤を理由としてこの売却の意思表示が無効となる場合、意思表示者であるAに重過失があるときは、Aは自らその無効を主張することができない。

4 錯誤を理由としてこの売却の意思表示が無効となる場合、意思表示者であるAがその錯誤を認めていないときは、Bはこの売却の意思表示の無効を主張できる。

解答解説
1×錯誤が重要な部分であり、要素の錯誤(物自体の認識を間違っている)と認められる場合、意思表示は無効になる。
2×動機の錯誤も、要素の錯誤であれば、契約が無効になる。
3○重い過失があるAは、自ら無効を主張できない。
4×契約の無効を主張できるのは、錯誤していた本人だけ。

【問 3】 買主Aが、Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア CがBの代理人であることをAに告げていなくても、Aがその旨を知っていれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。

イ Bが従前Cに与えていた代理権が消滅した後であっても、Aが代理権の消滅について善意無過失であれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。

ウ CがBから何らの代理権を与えられていない場合であっても、当該売買契約の締結後に、Bが当該売買契約をAに対して追認すれば、Aは甲地を取得することができる。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

解答解説
ア ○ 代理人と告げていなくても、Aが知っていれば、Aは甲地を取得することができる。
イ ○ 代理権が消滅した後であっても、Aが消滅について善意無過失であれば、Aは甲地を取得できる。
ウ ○・無権代理でも、Bが追認すれば無権代理時にさかのぼって有効になり、Aは甲地を取得できる。 
正解3  ア、イ、ウ の全部が正しいので「3」が正解。

【間 4】 Aが有する権利の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが有する所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。
2 AのBに対する債権を被担保債権として、AがB所有の土地に抵当権を有している
場合、被担保債権が時効により消滅するか否かにかかわらず、設定時から10年が経過すれば、抵当権はBに対しては時効により消滅する。
3 AのCに対する債権が、CのAに対する債権と相殺できる状態であったにもかかわら
ず、Aが相殺することなく放置していたためにAのCに対する債権が時効により消滅した場合、Aは相殺することはできない。
4 AのDに対する債権について、Dが消滅時効の完成後にAに対して債務を承認した場合には、Dが時効完成の事実を知らなかったとしても、Dは完成した消滅時効を援用することはできない。

解答解説
1 誤り。所有権は消滅時効にかかることはない。所有権が時効で消滅するということは、私有財産性の否定になってしまう。

2 誤り。抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対する関係では、被担保債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。ただし、抵当不動産の第三取得者に対する関係では、20年で時効消滅する(民法167条2項)。
*民法396条
3 誤り。時効によって消滅した債権が、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
*民法508条
4 正しい。消滅時効完成後に、債務者が債務を承認した場合には、消滅時効完成の事実の知・不知にかかわらず、消滅時効を援用することはできない(判例)。債務の承認をした以上、もはや時効を援用するようなことはないだろうという相手方の信頼をほごする。


【問 5】 物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に他の債権者よりも先に差し押さえるものとする。
1 不動産の売買により生じた債権を有する者は先取特権を有し、当該不動産が賃借されている場合には、賃料に物上代位することができる。
2 抵当権者は、抵当権を設定している不動産が賃借されている場合には、賃料に物上代位することができる。
3 抵当権者は、抵当権を設定している建物が火災により焼失した場合、当該建物に火災保険が付されていれば、火災保険金に物上代位することができる。
4 不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。

解答解説 
1○先取特権者は、賃料の請求権に、物上代位することができる。304条
2○抵当権者は、賃料の支払を求める権利に物上代位できる。372条・304条
3○抵当権者は、保険金の請求権に物上代位できる。
4×留置権には物上代位性がないので、物上代位できない。留置権は、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有するときに、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することによって、間接的に債務の弁済を強制する物権であり、優先弁済権はなく、したがって物上代位性もない。295条参照

【間 6】 BはAに対して自己所有の甲建物に平成15年4月1日に抵当権を設定し、Aは同日付でその旨の登記をした。Aと甲建物の賃借人との関係に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 Bは、平成15年2月1日に甲建物をCに期間4年の約定で賃貸し、同日付で引き渡していた。Cは、この賃貸借をAに対抗できる。
2 Bは、平成15年12月1日に甲建物をDに期間2年の約定で賃貸し、同日付で引き渡した。Dは、平成16年4月1日以降もこの賃貸借をAに対抗できる。
3 Bは、平成15年12月1日に甲建物をEに期間4年の約定で賃貸し、同日付で引き渡した。Eは、平成16年4月1日以降もこの賃貸借をAに対抗できない。
4 Bは、平成16年12月1日に甲建物をFに期間2年の約定で賃貸し、同日付で引き渡した。Fは、この賃貸借をAに対抗できる。

解答解説
1 正しい。本肢では、賃貸借契約の締結及びその対抗要件の具備が、抵当権の設定契約及び登記に先行しているので、賃貸借契約の期間の長短を問わず、Cは賃借権をAに対抗することができる。民法177条
2 正しい。本肢は肢1と異なり、抵当権の設定及び登記が、Dの賃借権の対抗要件の具備に先行している。抵当権設定後の抵当目的物の賃貸借に関しては、平成16年4月1日施行の改正民法によれば、改正法施行以後に締結された賃貸借契約については、抵当権の方が先に対抗要件を満たしている以上、原則通り、賃貸借契約の期間の長短を問わず一切、賃借権は抵当権に対抗できない。この法改正以前は、抵当権設定後の賃借権といえども、建物については3年を超えない賃借権であれば、短期賃貸借として保護されていた。本肢では、賃貸借契約が平成15年12月1日と、改正民法施行以前に締結されているので、改正前の民法が適用され、賃貸借契約の期間が2年である以上、短期賃貸借として、賃借権が保護され、賃借権をAに対抗することができる。民法旧395条
3 正しい。肢2で説明したとおり、短期賃貸借は建物の場合、期間3年を超えない場合は保護されるが、3年を超えると保護されない。民法旧395条
4 誤り。本肢の賃貸借契約は、平成16年4月1日以降に締結されているので、改正民法が適用されるので、原則通り、抵当権の設定登記が先になされている以上、賃借人Fは、賃貸借をAに対抗できない。
※旧395条に関する出題は、もうないと思われるので、2と3は、忘れて良い。

*民法177条
【間 7】 Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。AのBに対する借賃の支払債務に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Cは、借賃の支払債務に関して法律上の利害関係を有しないので、Aの意思に反して、債務を弁済することはできない。
2 Aが、Bの代理人と称して借賃の請求をしてきた無権限者に対し債務を弁済した場合、その者に弁済受領権限があるかのような外観があり、Aがその権限があることについて善意、かつ、無過失であるときは、その弁済は有効である。
3 Aが、当該借賃を額面とするA振出しに係る小切手(銀行振出しではないもの)をBに提供した場合、債務の本旨に従った適法な弁済の提供となる。
4 Aは、特段の理由がなくとも、借賃の支払債務の弁済に代えて、Bのために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができる。

【解答及び解説】
【問 7】 正解 2
1 誤り。利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることはできない。この「利害関係」は事実上の利害関係ではなく、法律上の利害関係を指す。そして、Bが土地の賃借権を失うと、Bは建物を収去して土地を明け渡さなければならないので、Cは建物の賃借権を失うことになる。したがって、法律上の利害関係があるといえ、Bの意思に反しても弁済をすることができる。
*民法474条
2 正しい。債権の準占有者(債権者らしく見える者)に対して善意無過失で弁済した場合、その弁済は有効となる。この債権の準占有者には、債権者の代理人と称する者も含まれる。したがって、本肢の弁済は有効である。
*民法478条、判例
3 誤り。借賃は金銭債務であり、金銭で弁済しなければ債務の本旨にしたがった有効な弁済の提供とはいえない。
*民法493条
4 誤り。供託は、「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないとき」でなければ行なうことができない。したがって、特段の理由もないのに、借賃の支払債務の弁済に代えて、弁済の目的物を供託しても、その債務を免れることはできない。
*民法494条

【間 8】 Aは、自己所有の甲地をBに売却し、代金を受領して引渡しを終えたが、AからBに対する所有権移転登記はまだ行われていない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続を原因とするAからCへの所有権移転登記がなされた場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をCに対抗できない。
2 Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続を原因とするAからCへの所有権移転登記がなされた後、CがDに対して甲地を売却しその旨の所有権移転登記がなされた場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をDに対抗できない。
3 AB間の売買契約をBから解除できる事由があるときで、Bが死亡し、EとFがiずつ共同相続した場合、E単独ではこの契約を解除することはできず、Fと共同で行わなければならない。
4 AB間の売買契約をAから解除できる事由があるときで、Bが死亡し、E、とFがiずつ共同相続した場合、Aがこの契約を解除するには、EとFの全員に対して行わなければならない。

解答解説
1×「Aの相続人C」はA本人と考えていいので、買主Bは登記がなくとも所有権を主張できる。
2○BとDに二重譲渡が行われたと考え、その場合は先に登記を得た方が勝つ。
3○取引を複数人で行う場合、契約解除は全員が共同して行う。
4○取引相手が複数人いる場合、契約解除は全員に対して行う。


【問 9】 売買契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結し、売主が売却した当該目的物の所有権を取得して買主に移転することができない場合には、買主は売買契約の解除はできるが、損害賠償請求はできない。
2 売主が、買主の代金不払を理由として売買契約を解除した場合には、売買契約はさかのぼって消滅するので、売主は買主に対して損害賠償請求はできない。
3 買主が、抵当権が存在していることを知りつつ不動産の売買契約を締結し、当該抵当権の行使によって買主が所有権を失った場合には、買主は、売買契約の解除はできるが、売主に対して損害賠償請求はできない。
4 買主が、売主に対して手付金を支払っていた場合には、売主は、自らが売買契約の履行に着手するまでは、買主が履行に着手していても、手付金の倍額を買主に支払うことによって、売買契約を解除することができる。

解答解説
1○買主が、第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結したが、所有権を移転できなかった場合、買主は売買契約の解除はできるが、損害賠償請求はできない。
2×契約を解除しても、債務不履行の事実は残るので、債務不履行を理由に、損害賠償請求できる。
3×買主は、解除も損害賠償の請求もできる。
4×売主は、買主が履行に着手した以上は、手付倍返しによる契約の解除はできなくなる。

【間10】 Aは、自己所有の建物について、災害により居住建物を失った友人Bと、適当な家屋が見つかるまでの一時的住居とするとの約定のもとに、使用貸借契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Bが死亡した場合、使用貸借契約は当然に終了する。
2 Aがこの建物をCに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合でも、Aによる売却の前にBがこの建物の引渡しを受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗できる。
3 Bは、Aの承諾がなければ、この建物の一部を、第三者に転貸して使用収益させることはできない。
4 適当な家屋が現実に見つかる以前であっても、適当な家屋を見つけるのに必要と思われる客観的な期間を経過した場合は、AはBに対し、この建物の返還を請求することができる。

解答解説
1○使用貸借契約は、借主が死亡すれば消滅する。
2×使用貸借は、引渡しを受けていても、新しい所有者には対抗することができない。
3○(正しい)
4○適当な家屋が見つかるまでに「客観的な時間が経過した」場合、貸主Aは借主Bに返還請求ができる。

【問11】 Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を破損させた。A、B及びCは、この程庇があることを過失なく知らない。
この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
2 Bは、瑕疵を作り出したことに故意又は過失がなければ、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
3 Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
4 Dが、車の破損による損害賠償請求権を、損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかったときは、この請求権は時効により消滅する。

解答
1×(誤り)賃借人に過失がない場合、所有者が責任を負う。所有者は無過失でも責任を負う。
2○請負人に過失がないなら、損害賠償責任を免れる。
3○過失が賃借人にあれば、賃貸人が責任を負うが、損害発生の注意をしていたときは所有者が損害賠償する。
4○損害及び加害者を知ったときから3年間、損害賠償請求を行使しなかったときは時効消滅する。

【問12】 遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。
1 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会いが必要である。
2 自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。
3 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により取り消したものとみなされる。
4 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。

解答解説
1×自筆証書による遺言を作成する場合、証人は不要。
2×遺言の保管者が、家庭裁判所に提出して検認するのを怠った場合、5万円以下の過料になるが、遺言の効力は失われない。
3○後にした遺言が優先される。
4×子は直系卑属になるので、遺留分権利者になる。

【問13】 借地人Aが、平成15年9月1日に甲地所有者Bと締結した建物所有を目的とする甲地賃貸借契約に基づいてAが甲地上に所有している建物と甲地の借地権とを第三者Cに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 甲地上のA所有の建物が登記されている場合には、AがCと当該建物を譲渡する旨の合意をすれば、Bの承諾の有無にかかわらず、CはBに対して甲地の借地権を主張できる。
2 Aが借地権をCに対して譲渡するに当たり、Bに不利になるおそれがないにもかかわらず、Bが借地権の譲渡を承諾しない場合には、AはBの承諾に代わる許可を与えるように裁判所に申し立てることができる。
3 Aが借地上の建物をDに賃貸している場合には、AはあらかじめDの同意を得ておかなければ、借地権を譲渡することはできない。
4 AB間の借地契約が専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を20年とする借地契約である場合には、AはBの承諾の有無にかかわらず、借地権をCに対して譲渡することができ、CはBに対して甲地の借地権を主張できる。

解答
1×(誤り)「賃貸人Bの承諾」が必要。
2○借地権の譲渡を承諾してくれないとき、裁判所に「承諾に代わる許可」を与えるよう申し立てることができる。
3×建物賃借人Dの同意を得ずに、借地権を譲渡できる。
4×(誤り)借地権を譲渡する場合、賃貸人Bの承諾が必要。
解答
1×(誤り)「賃貸人Bの承諾」が必要。
2○(正しい)借地権の譲渡を承諾してくれないとき、裁判所に「承諾に代わる許可」を与えるよう申し立てることができる。
3×(誤り)賃借人Dの同意を得ずに、借地権を譲渡できる。
4×(誤り)借地権を譲渡する場合、賃貸人Bの承諾が必要。

【間14】
 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 共用部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることができる。
2 専有部分であっても、規約で定めることにより、敷地利用権と分離して処分することができる。
3 構造上区分所有者全員の共用に供されるべき建物の部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の専有部分とすることができる。
4 区分所有者の共有に属さない敷地であっても、規約で定めることにより、区分所有者の団体の管理の対象とすることができる。

解答解説
1○・規約で、「特定の区分所有者の所有」とすることができる。
2○・専有部分は規約で、敷地利用権と分離して処分することができる。
3×・構造上全員で共用する部分は、規約で「特定の区分所有者の専有部分」とすることができない。
4○区分所有者の共有に属さない敷地であっても、規約で定めることにより、区分所有者の団体の管理の対象とすることができる。



【間15】 動産の賃貸借契約と建物の賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 動産の賃貸借契約は、当事者の合意があれば書面により契約を締結しなくても効力を生じるが、建物の賃貸借契約は、書面により契約を締結しなければ無効である。
2 賃貸人と賃借人との間で別段の合意をしない限り、動産の賃貸借契約の賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負うが、建物の賃貸借契約の賃貸人は、そのような修繕を行う義務を負わない。
3 動産の賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が合意して契約期間を6月と定めればそのとおりの効力を有するが、建物の賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が合意して契約期間を6月と定めても期間を定めていない契約とみなされる。
4 契約期間を定めた場合、賃借人は、動産の賃貸借契約である場合は期間内に解約を行う権利を留保することができるが、建物の賃貸借契約である場合は当該権利を留保することはできない。

解答解説
1×動産の賃貸借も不動産の賃貸借も、書面は不要である。
2×建物賃貸人も修繕義務を負う。
3○動産賃貸借では、期間の制限はないので記述の通りだが、建物賃貸借については、借地借家法が、一時使用でもなく、定期建物賃貸借でもなく「1年未満の定め」をした場合には、「期間の定めのない」ものとみなすことにしている。
4×

【問16】 不動産登記の申請に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 登記の申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
4 所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記の有無にかかわらず、現在の所有権の登記名義人が単独で申請することができる。

解答解説
1○「登記手続をすべきことを命ずる確定判決」がある場合は、単独申請可能。
2○相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3○「登記名義人の氏名、住所」についての変更は、単独申請が可能。
4×「所有権の移転の登記」がない場合なら単独申請が可能だが、登記がある場合は単独申請できない。


【間17】 国土利用計画法第23条の届出(以下この間において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 Aが、市街化区域において、Bの所有する面積3,000㎡の土地を一定の計画に基づき1,500㎡ずつ順次購入した場合、Aは事後届出を行う必要はない。
2 Cは、市街化調整区域において、Dの所有する面積8,000㎡の土地を民事調停法に基づく調停により取得し、その後当該土地をEに売却したが、この場合、CとEはいずれも事後届出を行う必要はない。
3 甲県が所有する都市計画区域外に所在する面積12,000m竿の土地について、10,000㎡をFに、2,000㎡をGに売却する契約を、甲県がそれぞれF、Gと締結した場合、FとGのいずれも事後届出を行う必要はない。
4 事後届出に係る土地の利用目的について、乙県知事から勧告を受けたHが勧告に従わなかった場合、乙県知事は、当該届出に係る土地売買の契約を無効にすることができる。

問17 正解肢は極めて簡単
1×一団の土地を計画的に取得した場合、規模の基準を以上か否かは一団の土地全体で判断する。とすれば、市街化区域内で3,000㎡の土地を取得したことは規模の基2000㎡以上である。よって、事後届出が必要である。
2×市街化調整区域の規模の基準は5000㎡以上であるが、民事調停法による取得の場合は届出不要である。よって、Cは届出不要であるが、E
は届出が必要である。
3○契約当事者の双方または一方が件である場合は、届出不要である。
4×勧告に従わなかったとしても、その旨を公表できるに過ぎず、契約を無効にするようなことはできない。


【間18】 次に掲げる開発行為のうち、開発行為の規模によっては、実施に当たりあらかじめ都市計画法の開発許可を受けなければならない場合があるものはどれか。
1市街化区域内において行う、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
2 都市再開発法第50条の2第3項の再開発会社が市街地再開発事業の施行として行う開発行為
3 車庫の建築の用に供する目的で行う開発行為
4 幼稚園の建築の用に供する目的で行う開発行為
解答:
1許可が必要な場合がある 市街化区域内で「農林漁業の建築物」を建てる場合、規模が1,000平方メートル以上であれば開発許可が必要になる。
2許可不要 市街化再開発事業の施行は、許可が不要。
3車庫の建築の用に供する目的で行う場合は、軽易な行為として許可不要。
4許可不要 公民館の建築の用に供する目的で行う場合は、公益的建築物の建築の用に供する目的で行う場合として許可不要。


【問19】 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 区域区分は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに、都市計画に定める市街化区域と市街化調整区域との区分をいう。
2 準都市計画区域は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の住居その他の建築物の建築又はその敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる一定の区域で、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域をいう。
3 再開発等促進区は、地区計画について土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域をいう。
4 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途を適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域等において定められる地区をいう。
【解答及び解説】
【問 19】 正解 4
1 正しい。区域区分は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるとき、都市計画に定める市街化区域と市街化調整区域との区分をいう。
都市計画法7条1項
2  正しい。準都市計画区域は、都道府県が指定する区域で、都市計画区域外の区域のうち、相当数の住居その他の建築物の建築又はその敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる一定の区域で、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域をいう。
*都市計画法5条の2第1項
3 正しい。再開発促進区とは、一定の条件に該当する土地の区域における地区計画について、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域のことをいう。
*都市計画法12条の5第3項
4誤り。高層住居誘導地区とは、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域で定められる区域である。第一種・第二種中高層住居専用地域において定められることはない。
*都市計画法9条16項

【間 20】 都市計画法第33条に規定する開発許可の基準のうち、主として自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為に対して適用のあるものは、次のうちどれか。
1 予定建築物等の敷地に接する道路の幅員についての基準
2 開発区域に設置しなければならない公園、緑地又は広場についての基準
3 排水施設の構造及び能力についての基準
4 開発許可の申請者の資力及び信用についての基準
【解答及び解説】


【解答及び解説】
【問 20】 正解 3
1 適用はない。都市計画法33条の開発許可の基準の中に、予定建築物の敷地に接する道路の幅員に関する基準というのは、特に規定されていない。
*都市計画法33条
2 適用はない。主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為にあっては、道路、公園、広場その他の公共の用に供する空地に関する基準が定められている。したがって、主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為については、本肢の基準は適用されない。
*都市計画法33条1項2号
3適用がある。排水路その他の排水施設の構造及び能力に関する基準は、特に主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為か否かで区別を設けておらず、いずれでも適用される。給水施設に関する基準が、主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為に関してのみ適用にされることと混同しないように注意して欲しい。
*都市計画法33条1項3号
4適用がない。主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為等以外の開発行為にあっては、申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用があることというのが基準になっており、主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為については、基準となっていない。
*都市計画法33条1項12号
コメント 自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為に対して適用のある基準は、それを守らないと他者にも迷惑がかかるという事柄だ。排水施設がきちんとしていないと、不衛生になり伝染病の元ともなりかねない。



【問 21】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 2階建てで延べ面積が100平方メートルの鉄骨造の建築物を建築する場合、構造計算は必要としない。
2 5階建てで延べ面積が1,000平方メートルの共同住宅の所有者は、当該共同住宅の敷地、構造及び建築設備について、定期的に一級建築士等に調査させなければならず、調査を担当した一級建築士等は、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
3 特定行政庁は、建築基準法施行令第9条に規定する建築基準関係規定である都市計画法第29条に違反した建築物について、当該建築物の所有者に対して、違反を是正するための措置を命ずることができる。
4 便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならないが、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、必ずしも設ける必要はない。

解答解説
【問 21】 正解 4
1 誤り。構造計算によって安全性を確かめる必要のある建築物は、木造の建築物の場合は、3階以上又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの、又は木造以外の建築物の場合は、2階以上又は延べ面積が200㎡を超えるものである。本肢は、鉄骨造で2階建てであるから、構造計算が必要である。
*建築基準法20条3号
2 誤り。延べ面積が100㎡を超える特殊建築物等で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。したがって、報告をするのは建築物の所有者であり、問題文のように一級建築士等が報告するわけではない。
*建築基準法12条1項
3 誤り。特定行政庁は、建築基準法令の規定又は建築基準法の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の所有者等に対して、違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。都市計画法第29条は建築基準法令に該当せず、特定行政庁は当該建築物の所有者に対して違反建築物に対する是正の措置を命ずることはできない。
*建築基準法9条1項
4 正しい。便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならない。ただし、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、この限りでない。
*建築基準法施行令28条

【間 22】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建築物の容積率の制限は、都市計画において定められた数値によるものと、建築物の前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得た数値によるものがあるが、前面道路の幅員が12m未満である場合には、当該建築物の容積率は、都市計画において定められた容積率以下でなければならない。
2 建築物の前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得た数値による容積率の制限について、前面道路が二つ以上ある場合には、それぞれの前面道路の幅員に応じて容積率を算定し、そのうち最も低い数値とする。
3 建築物の敷地が都市計画に定められた計画道路(建築基準法第42条第1項第4号に該当するものを除く。)に接する場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を前面道路とみなして容積率を算定する。
4 用途地域の指定のない区域内に存する建築物の容積率は、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し、都市計画において定められた数値以下でなければならない。

【解答及び解説】
【問 22】 正解 3
1誤り。前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、都市計画において定められた数値と、当該前面道路の幅員のメートルの数値に一定の数値を乗じたもののうち、小さいほうの数値以下でなければならない。
*建築基準法52条2項
2 誤り。前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得た数値による建築物の容積率を算定する場合、前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大の道路を基準として容積率を算定すればよい。しがって、それぞれの前面道路の幅員に応じて容積率を算定した場合、そのうち最も高い数値となる。
*建築基準法52条2項
3 正しい。建築物の敷地が都市計画において定められた計画道路(第42条第1項第4号に該当するものを除く。)に接する場合又は当該敷地内に計画道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を前面道路とみなして、容積率を算定する。
*建築基準法52条10項
4 誤り。用途地域の指定のない区域内の建築物の容積率は、5/10、8/10、10/10、20/10、30/10、40/10のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定める数値以下でなければならない。都市計画において定められた数値ではない。
*建築基準法52条1項6号


【間 23】 土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1土地区画整理組合が総会の議決により解散しようとする場合において、その組合に借入金があるときは、その解散についてその債権者の同意を得なければならない。
2 土地区画整理組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができるが、当該組合に対する債権を有する参加組合員以外の組合員は、賦課金の納付について、相殺をもって組合に対抗することができる。
3 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった目の翌日から従前の宅地とみなされるため、従前の宅地について存した抵当権は、換地の上に存続する。
4 公共施設の用に供している宅地に対しては、換地計画において、その位置、地積等に特別の考慮を払い、換地を定めることができる。

解答解説
1○組合の債権者は、組合が解散してしまうと債権(貸付金)の返済請求先がなくなってしまうので、組合に借入金があるときは、その解散についてその債権者の同意を得なければならない。
2×当該組合に対する債権を有する(参加組合員以外の)組合員は、賦課金の納付について、相殺をもって組合に対抗することができない。なぜなら、組合員がたまたま組合に対して債権を有している場合、賦課金の納付と相殺されて、賦課金の納付がチャラにされては、賦課金は組合の運営に必要な金銭だから、組合の運営に支障をきたすおそれがある。
3○換地の効果である。
4○常識的におかしくないだろう。
ポイント 本問題は、正解肢2が誤りであることを見抜ければ良い。動画講座を見ておけば簡単だったろう。



【間 24】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この間における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
1 国土交通大臣は、都道府県知事の申出に基づき、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域を宅地造成工事規制区域として指定することができる。
2 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事は、擁壁、排水施設又は消防の用に供する貯水施設の設置その他宅地造成に伴う災害の発生を防止するため必要な措置が講じられたものでなければならない。
3 造成主は、宅地造成等規制法第8条第1項の許可を受けた宅地造成に関する工事を完了した場合、都道府県知事の検査を受けなければならないが、その前に建築物の建築を行おうとする場合、あらかじめ都道府県知事の同意を得なければならない。
4 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されていないため、これを放置するときは宅地造成に伴う災害の発生のおそれが著しいものがある場合、一定の限度のもとに当該宅地の所有者以外の者に対しても擁壁の設置のための工事を行うことを命ずることができる。

【解答及び解説】
【問 24】 正解 4
1 誤り。都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域を宅地造成工事規制区域として指定することができる。国土交通大臣が指定するわけではない。
*宅地造成等規制法3条1項
2 誤り。宅地造成工事規制区域内において行なわれる宅地造成に関する工事は、政令で定める技術的基準に従い、擁壁又は排水施設の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。「消防の用に供する貯水施設の設置」は含まれていない。
*宅地造成等規制法9条1項
3 誤り。造成主は、宅地造成等規制法第8条第1項の工事を完了した場合においては、その工事が宅地造成に関する工事の技術的基準の規定に適合しているかどうかについて、都道府県知事の検査を受けなければならない。しかし、その検査の前に建築を行なおうとする場合に、都道府県知事の同意を得なければならないという規定はない。
*宅地造成等規制法13条1項
4 正しい。都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されていないか又はきわめて不完全であるために、これを放置するときは、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが著しいものがある場合においては、一定の限度において、当該宅地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置等の工事を行なうことを命ずることができる。したがって、所有者以外の管理者又は占有者に対しても改善命令を出すことができ。また、擁壁等の所有者、管理者又は占有者以外の者の行為によって災害の発生の著しいおそれが生じたことが明らかな一定の場合には、その行為をした者に対しても改善命令を出すことができる。
*宅地造成等規制法17条1項・2項


【17年問25】 農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 農地を一時的に資材置場に転用する場合は、いかなる場合であってもあらかじめ農業委員会に届出をすれば、農地法第4条第1項又は同法第5条第1項の許可を受ける必要はない。
2 市街化区域内の農地を耕作の目的に供するために取得する場合は、あらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
3 農業者が山林原野を取得して、農地として造成する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
4 農業者が自ら居住している住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。

【解答及び解説】
【問 25】 正解 4
1 誤り。農地を転用又は転用目的で権利移動する場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。ただ、市街化区域内の農地を転用又は転用目的で権利移動する場合は、農業委員会への届出をすれば都道府県知事の許可は不要であるとする特例はあるが、一時的な転用だからといって、農業委員会への届出でよいという特例はない。
*農地法4条1項、5条1項
2 誤り。市街化区域内の農地を転用又は転用目的で権利移動する場合は、農業委員会へ届出をすれば、農地法4条1項又は5条1項の許可は不要であるとする特例はあるが、市街化区域内でも単なる権利移動の場合は、農業委員会への届出では足りず、原則どおり農地法3条1項の許可が必要である。
*農地法3条1項
3 誤り。農地法3条1項の権利移動は、農地又は採草放牧地について使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合に適用があるのであって、山林原野を取得するような場合には、もともと農地法3条1項の適用はない。
*農地法3条1項
4 正しい。農地法3条1項の権利移動は、農地又は採草放牧地について使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合に適用がある。抵当権を設定しただけでは、使用及び収益権は移転しないので、抵当権の設定には農地法3条1項の許可は不要である。
*農地法3条1項

【間 26】 所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、個人の宅地建物取引業者が販売の目的で所有している土地を譲渡した場合には、譲渡所得として課税される。
2 建物等の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額がその土地の価額の意に相当する金額を超える場合には、譲渡所得として課税される。
3 譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の1/2に満たない金額で個人に対して譲渡した場合には、その譲渡の時における価額に相当する金額によりその資産の譲渡があったものとみなされる。
4 個人が所有期間5年以内の固定資産を譲渡した場合には、譲渡益から譲渡所得の特別控除額を差し引いた後の譲渡所得の金額の‡相当額が課税標準とされる。
【解答及び解説】


【問 26】 正解 2
1 誤り。譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。ただし、不動産の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得はこれに含まれない。したがって、個人の宅地建物取引業者が販売の目的で所有している土地を譲渡した場合は、譲渡所得としては課税されない。
*所得税法33条1項・2項1号、所得税法施行令81条1号
2 正しい。譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。そして、「資産の譲渡」には、建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものも含まれる。具体的には、建物若しくは構築物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権又は地役権の設定のうち、その対価として支払を受ける金額が10分の5に相当する金額を超えるものは、「資産の譲渡」にあたり、譲渡所得として課税される。
*所得税法33条1項、所得税法施行令79条1項
3 誤り。資産の譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額で法人に対して資産を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算については、その譲渡の時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があったものとみなされる。ただ、個人に対して譲渡した場合には、この規定は適用されない。
*所得税法59条1項、所得税法施行令169条
4 誤り。所得税の課税標準である総所得金額は、譲渡益から譲渡所得の特別控除額を差し引いた後の譲渡所得の金額の2分の1に相当する金額が課税標準とされるが、それは資産の取得の日以後5年を超える資産を譲渡した場合に限られる。
*所得税法22条2項2号、33条3項2号

【コメント】肢2と肢4は、2021年10月試験問23に出題されている。


【問 27】 印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1「時価3,000万円の土地を贈与する。」旨を記載した契約書について、印紙税の・課税標準となる当該契約書の契約金額は、3,000万円である。
2 一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額2,000万円)をそれぞれ記載し・た場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の契約金額は、5,000万円である。
3 A社の発行する「土地の賃貸借契約に係る権利金として、B社振出しの平成17年4月1日付恥1234の手形を受領した。」旨が記載された領収書は、記載金額のない売上代金に係る有価証券の受取書として印紙税が課される。
4 A社の発行する「建物の譲渡契約に係る手付金として、500万円を受領した。」旨が記載された領収書は、記載金額500万円の売上代金に係る金銭の受取書として印紙税が課される。
【解答及び解説】


【問 27】 正解 4
1 誤り。贈与契約は、無償で財産を譲渡するものであり、譲渡の対価たる金額はないから、契約金額はないものとして取り扱う。
*印紙税基本通達23条1号ホ
2 誤り。本肢の土地の譲渡契約書は、課税物件表の第1号文書にあたり、建築請負契約書は同第2号文書にあたる。そして、一の契約書に第1号文書と請負契約に関する事項が記載されている場合、基本的には第1号文書となるが、それぞれの課税事項ごとの契約金額を区分することができ、かつ、第2号文書の契約金額が第1号文書の契約金額を超える場合には、第2号文書と扱われる。本肢は、譲渡契約の記載金額が、請負契約の記載金額より大きいので、第1号文書として扱われ、記載金額は3,000万円となる。
*印紙税法別表第一3ロ・4ロ(1)、印紙税基本通達11条5号・6号
3 誤り。有価証券の受取書に当該有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該受取金額が明らかであるときは、当該明らかである受取金額が当該受取書の記載金額とされる。
*印紙税法別表第一4ホ(3)
4 正しい。売上代金に係る金銭の受取書とは、資産を譲渡等することによる対価として受け取る金銭等の受取書をいい、手付けを含むとされている。したがって、本肢は500万円の売上代金に係る金銭の受取書として印紙税が課税される。
*印紙税法別表第一17号
【コメント】肢2は、要するに譲渡金額と請負代金と金額の大きな方が記載金額となるという意味です。肢3と肢4は普通に考えれば分かると思います。手形の場合は、手形金額になるし、肢4も手付金としてでも500万円の受け取りを証するものです。



【問 28】 固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1質権者は、その土地についての使用収益の実質を有していることから、登記簿にその質権が登記されている場合には、固定資産税が課される。
2 納税義務者又はその同意を受けた者以外の者は、固定資産課税台帳の記載事項の証明書の交付を受けることはできない。
3 固定資産税を既に全納した者が、年度の途中において土地の譲渡を行った場合には、その所有の月数に応じて税額の還付を受けることができる。
4 新築された住宅に対して課される固定資産税については、新たに課されることとなった年度から4年度分に限り、2分の1に相当する額を固定資産税額から減額される。

【解答及び解説】
【問 28】 正解 1
1 正しい。固定資産税は、固定資産の所有者、質権者又は100年より永い存続期間の定のある地上権者に課する。また、固定資産税は、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者に課される。したがって、登記簿に質権が登記されている質権者には、固定資産税が課される。
*地方税法343条1項・2項
2 誤り。市町村長は、納税義務者、賃借人等の請求があったときは、固定資産課税台帳に記載をされている事項のうち一定の事項についての証明書を交付しなければならない。納税義務者から同意を受けていない者でも、賃借人等であれば証明書の交付を受けることができる。
*地方税法382条の3、地方税法施行令52条の15
3 誤り。固定資産税の納税義務者は、固定資産の所有者等で、固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされているので、年度の途中で譲渡を行なっても、当該年度の1年分の固定資産税を納付しなければならない。よって、その所有の月数に応じて税額の還付を受けることはできない。
*地方税法343条、359条
4 誤り。新築された住宅に対する固定資産税の税額の控除は、固定資産税が課されることとなった年度から3年度分の固定資産税に限り、2分の1に相当する額を固定資産税額から減額され、新築された住宅が中高層耐火建築物であれば、固定資産税が課されることとなった年度から5年度分の固定資産税に限り、2分の1に相当する額を固定資産税額から減額される。本肢の新築された住宅が中高層耐火建築物かどうか不明であるが、いずれにせよ4年度分の固定資産税額を減額するという特例はない。
*地方税法附則15条の6
【コメント】本問は、4肢とも再度出題される可能性があるので、復習はしっかりしておいて下さい。

【問 29】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
1 不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であり、正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
2 資産の流動化に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合は、正常価格ではなく、特定価格として求めなければならない。
3 取引事例比較法における取引事例は、地域要因の比較を不要とするため、近隣地域に存する不動産に係るもののうちから選択しなければならない。
4 収益価格を求める方法には、直接還元法とDCF(Discounted Cash Flow)法とがあるが、不動産の証券化に係る鑑定評価で毎期の純収益の見通し等について詳細な説明が求められる場合には、DCF法の適用を原則とする。

【解答及び解説】


【問 29】 正解 3
1 正しい。不動産鑑定評価基準そのままの問題。不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格である。そして、この正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
*不動産鑑定評価基準総論第5章第3節Ⅰ1
2 正しい。特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。このような特定価格を求める必要がある場合として、資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合がある。
*不動産鑑定評価基準総論第5章第3節Ⅰ3
3 誤り。取引事例比較法は、多数の取引事例を収集することが必要であるが、その取引事例は、原則として近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされている。近隣地域に存する不動産に係るものに限らない。
*不動産鑑定評価基準総論第7章第1節Ⅲ2(1)
4 正しい。直接還元法又はDCF法のいずれの方法を適用するかについては、収集可能な資料の範囲、対象不動産の類型及び依頼目的に即して適切に選択することが必要である。ただし、不動産の証券化に係る鑑定評価等で毎期の純収益の見通し等について詳細な説明が求められる場合にはDCF法の適用を原則とするものとし、あわせて直接還元法を適用することにより検証を行うことが適切である。
*不動産鑑定評価基準総論第7章第1節Ⅳ3(3)
【コメント】この問題は、肢4は細かい問題であるものの、他の3つの肢は従来の出題の範囲で、しかもその中に正解肢が含まれるというパターンだったので、やりやすかったと思います。

免許 免許の要否A
[問 30]宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)Aの所有するオフィスビルを賃借しているBが,不特定多数の者に反復継続して転貸する場合,AとBは免許を受ける必要はない。
(2)建設業の許可を受けているCが,建築請負契約に付随して,不特定多数の者に建物の敷地の売買を反復継続してあっせんする場合,Cは免許を受ける必要はない。
(3)Dが共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介を不特定多数の者に反復継続して行う場合,Dは免許を受ける必要はない。
(4)宅地建物取引業者であるE(個人)が死亡し,その相続人FがEの所有していた土地を20区画に区画割りし,不特定多数の者に宅地として分譲する場合,Fは免許を受ける必要はない。

着眼点 免許の要否は、定番中の定番。決していい加減に回答しないこと。
1○ABともに自ら賃貸するもので、宅地建物取引に該当する活動ではないので、免許は必要ない。
2×建物の敷地の売買のあっせん(宅地の売買の媒介=宅地の取引)を不特定多数の者に反復継続して行う(=業とする)ことは、宅地建物取引業に該当する活動なので、免許が必要である。
3×リゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介(宅地建物の[共有持分]の売買の媒介=宅地建物取引)を不特定多数の者に反復継続して行う(=業とする)ことは、宅地建物取引業に該当する活動なので、免許が必要である。以上3-1-1
4×免許を受けた地位は相続できないので、Fが新たに宅地建物取引に該当する活動をするには、Fが免許を受けなければならない。439p上段 正解(1)







免許 免許の基準A
[問 31]宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)宅地建物取引業者A社は,取締役Bが道路交通法に違反し,懲役1年執行猶予3年の刑に処せられたため,免許取消処分を受けた。Bが取締役を退任した後,A社は改めて免許申請をしてもBの執行猶予期間が経過するまでは免許を受けることができない。
(2)C社の取締役が刑法第198条(贈賄)の罪により罰金の刑に処せられ,その執行を終えてから3年を経過した場合であっても,C社は免許を受けることができない。
(3)D社の取締役が,刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合,刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく,かつ猶予期間の満了の日から5年を経過しなければ,D社は免許を受けることができない。
(4)甲県知事の免許を受けているE社の取締役Fが,刑法第208条(暴行)の罪により罰金の刑に処せられた場合,E社の免許は取り消される。

着眼点 免許の基準も定番中の定番。絶対にわかるはずだから、直感的に回答してはならない。
1×免許欠格者が役員である法人は、法人自体が免許欠格になるが、その免許欠格者が退任すれば、法人も免許欠格ではなくなる。
2×罰金刑に処せられて免許欠格になるのは、暴力犯・背任罪又は宅建業法違反の場合である。贈賄罪により罰金刑に処せられても免許欠格ではない。よって、このものを役員とする法人も免許欠格ではない。
3×懲役刑に処せられれば免許欠格になるが、執行猶予に付され執行猶予期間が執行猶予を取り消されることなく満了すれば直ちに免許を受けられる。
4○免許を受けた者が、事後的に免許欠格事由に該当すると、その者及びその者を役員とする法人の免許は取り消される。暴行罪による罰金刑は、免許欠格事由である。よって、E社の免許は取り消される。以上3-1-9  正解(4)





取引主任者 監督処分等A
[問 32]宅地建物取引業法に規定する取引主任者に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)都道府県知事は,その登録を受けている取引主任者が,他人に自己の名義の使用を許し,その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき,当該取引主任者に対し,必要な指示をすることができる。
(2)宅地建物取引業者は,10戸以上の一団の建物の分譲について案内所を設置して行う場合,その案内所において業務に従事する者の数に対する取引主任者の数の割合が5分の1以上の成年者である専任の取引主任者を置かなければならない。
(3)宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は,本人の同意がある場合を除き,正当な理由がある場合でも,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(4)取引主任者Aは,甲県知事から事務の禁止の処分を受け,宅地建物取引主任者証を甲県知事に提出したが,禁止処分の期間が満了した場合は,返還の請求がなくても,甲県知事は,直ちに宅地建物取引主任者証をAに返還しなければならない。

着眼点 いろいろなことを聞いているが、きわめてやさしい。
1○登録をした知事は、取引主任者が宅地建物取引業法に違反する行為があるときには、違反是正・再発防止のため、指示の処分をすることができる。取引主任者が,他人に自己の名義の使用を許し,その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をすることは、宅地建物地理非企業法に違反する行為である。3-8-4
2×契約行為を行う案内所等には、1人以上の成年者である専任の取引主任者を置けばよい。3-2-13
3×守秘義務は、取引上重要な事実の告知義務に係るとか裁判所で証言する等の正当な理由がある場合には、解除される。3-6-28
4×取引主任者Aの返還請求があれば、甲県知事は、直ちに返還しなければならない。3-2-12               正解(1)




営業保証金 供託所の説明A
[17年問 33]宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)Aは,甲県の区域内に新たに二つの支店を設け宅地建物取引業を営もうとする場合,額面金額1,000万円の地方債証券を供託して営業保証金に充てれば足りる。
(2)家主Bは,居住用建物の賃貸の管理委託契約をAと締結していたが,Aが借主から収受した家賃を約束期日が過ぎてもBに支払わなかった。この場合,Bは,Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。
(3)印刷業者Cは,Aが行う宅地建物の売買に関する広告の印刷依頼を受け,印刷物を作成し納品したが,AがCに対しその代金を支払わなかった。この場合,Cは,Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。
(4)Aは,買主Dに対し,土地付建物の売買契約を締結する前に,営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。

着眼点 営業保証金の問題もプレゼント問題といってよい。
1×有価証券を営業保証金に充てる場合の地方債証券の価額は、額面金額の90%と評価されるから、額面金額1000万円では現金900万円分と評価され、必要な1000万円(支店500万円×2)の営業保証金に100万円欠ける。3-3-3
2×営業保証金から弁済を受けられる債権者は、当該業者と宅地建物取引業に関する取引(宅地建物売買(交換)及びその代理媒介、宅地建物の貸借の代理媒介)を行い、その取引から生じた債権を有する債権者である。AB間の居住用建物の賃貸の管理委託契約は、宅地建物取引業に関する取引ではないので、Bは,Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。3‐3‐6
3×AC間の印刷物作成にかかる契約は、宅地建物取引業に関する取引ではないので、Cは,Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。3-3-6
4○業者は、相手方等に対して当該売買等の契約が成立するまでの間に、営業保証金を供託した供託所及びその所在地を説明するようにしなければならない。 3‐6-15
正解(4)

業務上の規制1 広告規制A
[問 34]宅地建物取引業者Aが行う広告に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)Aは,宅地又は建物の売買,交換又は貸借に関する広告をするときは,取引態様の別を明示しなければならないが,取引の相手方に対し,取引態様の別が明らかである場合は明示する必要はない。
(2)Aは,宅地造成工事規制区域内における宅地造成工事の許可が必要とされる場合において,当該宅地の売買に関する広告は,宅地造成等規制法第12条に規定する宅地造成工事の完了検査を受けた後でなければしてはならない。
(3)Aは,建物の売買の広告に当たり,当該建物の形質について,実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させる表示をした。当該建物に関する注文はなく,取引が成立しなかった場合であっても,Aは監督処分及び罰則の対象となる。
(4)Aは,建物の貸借の媒介に当たり,依頼者の依頼に基づいて広告をした。Aは報酬とは別に,依頼者に対しその広告料金を請求することができない。

着眼点 広告規制もやさしい。落ち着いて、確実に得点しよう。
1×広告をするとき又は注文を受けたときは遅滞なく、取引態様を明示する義務。これには、例外はない。3-6-3
2×未完成物件につき工事着手に必要な許可等のまえには広告をしてはならない。許可を受けているのなら、工事完了検査の前でも広告をしてよい。3-6-2
3○誇大広告の禁止は、広告をすること自体の禁止であるから、それに違反すれば、監督処分及び罰則の対象となる。3-6-1
4×依頼者の依頼に基づく広告についての料金は、報酬とは別であるから、報酬とは別にその料金を請求できる。3-6-26  正解(3)








業務上の規制2 自己所有に属しない物件の売却制限B
[問 35]宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地建物の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。なお,この問において,AとC以外の者は宅地建物取引業者でないものとする。
(1)Bの所有する宅地について,BとCが売買契約を締結し,所有権の移転登記がなされる前に,CはAに転売し,Aは更にDに転売した。
(2)Aの所有する土地付建物について,Eが賃借していたが,Aは当該土地付建物を停止条件付でFに売却した。
(3)Gの所有する宅地について,AはGと売買契約の予約をし,Aは当該宅地をHに転売した。
(4)Iの所有する宅地について,AはIと停止条件付で取得する売買契約を締結し,その条件が成就する前に当該物件についてJと売買契約を締結した。

着眼点 他人所有物件は、業者自ら売主となる場合には、取得契約をする前に売ることが禁止される。このルールをさまざまな局面で当てはめることを要求している。
1○違反しない。BC間契約は違反ではない(Bは業者でないし、他人所有物件でもない)。CA間契約も違反していない。Cは業者だが、他人所有物件につき取得契約をしている。そして、AD間契約も違反ではない。Aは業者であるが、他人所有物件につき取得契約をしている。3-7-3
2○ 違反しない。宅建業法は、業者は、賃貸している物件を売却してはならないという規制はしていない。
3○ 違反しない。他人所有物件は、業者自ら売主となる場合には、取得契約をする前に売ることが禁止される。そして、取得契約は予約でもよい。3-7-3
4×違反する。他人所有物件は、業者自ら売主となる場合には、取得契約をする前に売ることが禁止される。そして、本当に取得できるかどうか不明な停止条件付き取得契約は、他人所有物件を売ってもよい条件となる取得契約には含まれないからだ。3-7-3  正解(4)




業務上の規制1 媒介契約規制A
[問 36]宅地建物取引業者Aが,B所有の宅地の売却の媒介依頼を受け,Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはいくつあるか。
ア Bの申出により,契約の有効期間を6月と定めた専任媒介契約を締結した場合,その契約はすべて無効である。
イ AB間で専属専任媒介契約を締結した場合,AはBに対し,当該契約の業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
ウ AB間で専属専任媒介契約を締結した場合,Bは,Aが探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができない。
(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)なし

着眼点 ゴロ合わせでも何でも、数字を覚えていた者の勝ち。特に個数問題の場合、消去法は使えないので、数字は絶対に覚えておかなければならない。
ア×依頼者にとって拘束が強い専任媒介契約は、3ヵ月を超える有効期間を定めた場合、3ヵ月を超える部分が無効となる。
イ×専属専任契約の業務処理状況の報告義務は、1週間に1回以上である。
専任媒介契約 専属専任媒介契約
指定流通機構への登録義務 契約締結日から7日以内
(休業日は除く) 契約締結日から5日以内
(休業日は除く)
業務処理状況の報告義務 2週間に1回以上 1週間に1回以上
無意味だが覚えられる
ゴロ合わせ 浮気はできない(専任媒介)
名古屋(7・5)の兄(2・1)ちゃん
ウ○専属選任媒介契約は、依頼した業者(A)が探索した者としか契約できないという趣旨の契約である。以上により、1が正解。正解(1)




業務上の規制1 重要事項説明A
[問 37]宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)宅地の売買の媒介において,当該宅地に係る移転登記の申請の予定時期については,説明しなくてもよい。
(2)宅地の売買の媒介において,当該宅地が造成に関する工事の完了前のものであるときは,その完了時における形状,構造並びに宅地に接する道路の構造及び幅員を説明しなければならない。
(3)宅地の売買の媒介において,天災その他不可抗力による損害の負担を定めようとする場合は,その内容を説明しなければならない。
(4)宅地の貸借の媒介において,借地借家法第22条で定める定期借地権を設定しようとするときは,その旨を説明しなければならない。

着眼点 重要事項説明の問題では、37条書面(契約書面)の記載事項と混乱させようとするのが一つのひっかけパターンである。区別のつけ方をキッチリ説明してあるので、十分マスターしておくこと。⇒○○p
1○重要事項説明では、契約が成立しないと決まらない移転登記の申請時期については説明しなくともよい。510p中段
2○未完成の宅地の売買の媒介では、完了時における形状,構造並びに宅地に接する道路の構造及び幅員を説明しなければならない。3-6-13
3×重要事項説明では、天災その他不可抗力による損害の負担を定めようとする場合の,その内容については説明する必要はない。契約未成立の段階で、その説明は早まりすぎである。511p中段
4○定期借地権である旨は、借地権の設定を受ける者にとって重要なので、重要事項説明をする必要がある。3-6-12正解(3)









業務上の規制1 重要事項説明A
[問 38]宅地建物取引業者がマンションの一室の貸借の媒介を行う場合,宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)当該マンションの管理が委託されているときは,その委託を受けている者の氏名(法人にあっては,その商号又は名称),住所(法人にあっては,その主たる事務所の所在地)及び委託された業務の内容を説明しなければならない。
(2)建築基準法に規定する容積率及び建ぺい率に関する制限があるときは,その制限内容を説明しなければならない。
(3)建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは,その内容を説明しなければならない。
(4)敷金の授受の定めがあるときは,その敷金の額,契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。

着眼点 重要事項説明では、売買の場合と貸借の場合の違いも、ひっかけポイントになる。貸借の場合は特有の説明事項もある(4)が、物件にかかる法令上の制限は、貸借ではほとんど説明不要になる(2)。
1×当該マンションの管理が委託されているときは,その委託を受けている者の氏名(法人にあっては,その商号又は名称),住所(法人にあっては,その主たる事務所の所在地)は説明しなければならないが、委託された業務の内容までは説明する必要はない。それは委託先に問い合わせればよいことだ。3-6-12
2×区分建物の賃貸借では、容積率及び建ぺい率に関する制限は関心事ではないので説明する必要はない。3-6-9
3○専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めは、区分建物の賃貸借でも関心事であり、説明する必要がある。3-6-12
4×貸借の重要事項説明では、契約終了時に精算される金銭の精算に関する事項は、説明しなければならないが、「金銭(敷金)の保管方法」まで説明することは必要ない。3-6-12   正解(3)





業務上の規制1 重説と契約書面A
[問 39]売主A,買主Bの間の宅地の売買について宅地建物取引業者Cが媒介をした場合の次の記述のうち,宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に違反しないものはどれか。
(1)Cは,取引主任者をして法第35条に基づく重要事項の説明(以下この問において「重要事項説明」という。)を行わせたが,AとBの同意があったため,法第37条の規定に基づく契約内容を記載した書面(以下この問において「契約書面」という。)を交付しなかった。
(2)Cの従業者である取引主任者がBに対して重要事項説明を行う際に,Bから請求がなかったので,宅地建物取引主任者証を提示せず重要事項説明を行った。
(3)Cは,AとBとの契約が成立したので,取引主任者に記名押印させ,AとBに対して契約書面を交付したが,両者に対して書面に記載された事項を説明しなかった。
(4)AとBどちらからも,早く契約したいとの意思表示があったため,Cは契約締結後に重要事項説明をする旨AとBの了解を得た後に契約を締結させ,契約書面を交付した。

着眼点 やさしい問題で、これを落とすようではダメ。
1×違反。売買の媒介においては、業者は契約両当事者に契約書面を交付しなければならず、契約当事者の同意があったとしてもこれを省略してはならない。3-6-16
2×違反。重要事項説明の際、説明に当たる取引主任者は請求がなくても、取引主任者証を提示しなければならない。3-6-8
3○違反しない。契約書面の交付では、所定の書面を交付すればよいのであり、記載事項の説明までは求められていない。3-6-16
4×重要事項事項の説明では、契約締結前に、書面に基づき説明しなければならない。説明相手方の同意があったとしても、契約締結後に説明するのは違反である。3-6-8                   正解(3)





業務上の規制2 契約書面B
[問 40]宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定に基づく契約を証する書面(以下この問において「契約書面」という。)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)居住用建物の賃貸借契約において,貸主と借主にそれぞれ別の宅地建物取引業者が媒介するときは,どちらか一方の宅地建物取引業者が契約書面を作成したとしても,契約書面の交付については双方の宅地建物取引業者がその義務を負う。
(2)宅地建物取引業者が土地売買における売主の代理として契約書面を作成するに当たっては,専任でない取引主任者が記名押印してもよい。
(3)居住用建物の賃貸借契約において,貸主には代理の宅地建物取引業者Aが,借主には媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Bがおり,Bが契約書面を作成したときは,借主及びAに契約書面を交付すればよい。
(4)貸主である宅地建物取引業者Cが,宅地建物取引業者Dの媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結するに当たって,Dが作成・交付した契約書面に法第37条違反があった。この場合,Dのみが監督処分及び罰則の対象となる。

着眼点 3・4は少しややこしいが、交付義務は誰にあるのか(4)、また、誰に交付すべきか(3)、落ち着いて考えること。
1○契約書面の交付義務は、媒介に入ったすべての業者が負う。ただし、一通の書面にそれぞれの業者の取引主任者の記名押印のあるものを交付すれば、その一通の交付でそれぞれの交付義務は履行されたことになる。
2○契約書面には業者の業務に従事する取引主任者の記名押印が必要であるが、必ずしも専任でなくともよい。
3×貸借の媒介に入った業者は、貸主と借主の双方に契約書面を交付する必要がある。また、貸主の代理業者Aには書面を交付する必要はない。
4○貸借において37条書面の交付義務を負うのは、媒介業者だけであり、貸主業者は37条に基づく義務はない。よって、37条違反は、媒介業者であるDについてのみ考えられ、Dのみが監督処分及び罰則の対象となる。以上3-6-16                         正解(3)



業務上の規制2 クーリングオフA
[問 41]宅地建物取引業者Aが自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bと土地付建物の売買契約を締結した場合における,宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)BがAのモデルルームにおいて買受けの申込みをし,Bの自宅付近の喫茶店で売買契約を締結した場合は,Bは売買契約を解除することができない。
(2)BがAの事務所において買受けの申込みをした場合は,売買契約を締結した場所がAの事務所であるか否かにかかわらず,Bは売買契約を解除することができない。
(3)Bがホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし,当該場所において売買契約を締結した場合,既に当該土地付建物の引渡しを受け,かつ,代金の全部を支払った場合でも,Aが法第37条の2に規定する内容について書面で説明していないときは,Bは当該契約を解除することができる。
(4)Bがレストランにおいて買受けの申込みをし,当該場所において売買契約を締結した場合,Aが法第37条の2に規定する内容について書面で説明し,その説明の日から起算して8日を経過した場合は,Bは当該契約を解除することができない。
着眼点 読み間違いさえしなければ、やさしい。
1・2○申込み場所と契約締結の場所が異なるとき、申込が決定的に重要だから(申込があれば業者が一方的に承諾をしても契約は成立する)、クオフできるかどうかは申込場所を基準に決定する。1のモデルルームは、地面に定着する案内所等であり、クオフできない場所である。よって、1のBは売買契約を解除できない。また、2のBが申込をしたAの事務所も、クオフできない場所である。よって、2のBも売買契約を解除することができない。526p中段
3×クオフできる場所でした契約等も、①クオフできる旨とその方法に付き書面で告知を受け8日経過するか、②物件の引渡しを受け,かつ,代金の全部を支払った場合にはクオフできなくなる。①か②の事由があれば、クオフできず、記述では②の事由があるので、クオフできない。
4○上記①の事由があるので、Bは当該契約を解除することができない。以上3-7-7
正解(3)


業務上の規制2 保全措置等A 
[問 42]宅地建物取引業者Aが自ら売主として,宅地建物取引業者ではないBに宅地(造成工事完了済み)を分譲する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお,当該宅地の分譲価額は4,000万円とする。
(1)Aは,手付金として400万円をBから受領したが,保全措置を講じなかった。
(2)Aは,手付金100万円をBから受領した後,中間金として600万円を受領したが,中間金600万円についてのみ保全措置を講じた。
(3)AとBは,「瑕疵(かし)担保責任を負うべき期間は,当該物件の売買契約を締結してから2年間とする」旨の特約を定めた。
(4)AとBは,「宅地に隠れた瑕疵(かし)があった場合でも,その瑕疵(かし)がAの責めに帰すものでないときは,Aは担保責任は負わない」旨の特約を定めた。

着眼点 法の基準を一つ一つ当てはめてゆけばよい。
1○違反しない。業者自ら売主で買主が業者でない場合、
完成物件につき代金額10%超又は1,000万円超の手付金等題に充当金を受けとろうとするなら、その前に保全措置を講じなければならないが、400万円は、代金額10%の400万円を超えていない。3-7-12
2×違反。中間金を受け取ろうとする前に保全措置が必要だが、保全措置を講じなければならないのはすでに受け取った100万円に今回受け取った中間金600万円を加えた額である。533p中段
3×違反。業者自ら売主で買主が業者でない場合、民法の定める瑕疵担保責任の規定より、責任追及期間を引き渡し時から2年以上とする場合を除き、買主に不利な特約を結んではならない。責任追及期間を契約時から2年とするのは、引き渡し時から2年以上とする場合より、買主に不利であり、違反である。
3-7-15
4×違反。民法の定める瑕疵担保責任は、売主に過失がなくても負わなければならない無過失責任であるが、これを売主の責めに帰すべき事由がないときには負わなくともよいとすることは、民法の定める瑕疵担保責任より買主に不利であり、違反である。3-7-15    正解(1)


業務上の規制2 損害賠償額の予定の規制
[問 43]宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(販売価額3,000万円)の売買契約を締結した場合における次の記述のうち,民法及び宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)Aは,宅地建物取引業者であるBとの売買契約の締結に際して,当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めた。この特約は無効である。
(2)Aは,宅地建物取引業者でないCとの売買契約の締結に際して,当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めることができる。
(3)Aは,宅地建物取引業者であるDとの売買契約の締結に際して,当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額の定めをしなかった場合,実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができる。
(4)Aは,宅地建物取引業者でないEとの売買契約の締結に際して,当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を600万円,それとは別に違約金を600万円とする特約を定めた。これらの特約はすべて無効である。

着眼点 債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定に関する規制だけを聞く、易しい問題。
1×債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額(と違約金は合計して)は、代金額2割を超えて定めてはならない。2割を超えて定めると、超える部分は無効となる。この規制は、業者間取引には適用されない。記述の特約は全面的に有効である。3-7-10
2×業者自ら売主で、買主が業者でないとき、債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を、代金額の2割を超えて定めてはならない(定めても、2割を超える部分は無効)。1200万円は、3000万円の2割を超えている。3-7-10
3○損害賠償額の予定を定めていないとき、Dの債務が金銭債務でなければ、実損害を立証して1000万円を請求できる余地もある。しかし、Dの債務は金銭債務(3000万円の代金支払い債務)であり、金銭債務の債務不履行につき損害賠償の請求ができるのは利息相当額に限られる(1-2-6)。そこまで考えると、誤りの記述だが、そこまで考えさせる出題ではなさそうなので、○とする。
4×1の解説参照。代金額2割を超える部分が無効となる。正解(3)


業務上の規制1 報酬
[問 44]宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が,B所有の居住用建物について,媒介により貸主Bと借主Cとの賃貸借契約を成立させた場合において,Aが受けることのできる報酬額について,誤っているものはどれか。なお,建物の1月分の借賃は9万円とする。
(1)Aは,BとCの承諾を得たときは,Bから94,500円,Cから94,500円を受領できる。
(2)Aは,Bの承諾を得たときは,Bのみから94,500円を受領できる。
(3)Aは,Bから47,250円,Cから47,250円を受領できる。
(4)Aは,Bの承諾を得たときは,Bから70,000円,Cから24,500円を受領できる。

着眼点 報酬と消費税では、①報酬計算の基礎となる取引金額は、消費税抜きの本体価格とする②課税事業者は、報酬に消費税相当額を上乗せできる、を注意すればよい。なお、居住用建物の借賃は、もともと消費税非課税である。
1×違反。貸借の媒介の報酬額は、依頼者双方から受けられる限度額は、借賃の1ヵ月相当分(に消費税課税事業者の場合、消費税5%を上乗せした額)になる。記述では、BCからこの限度額を受け取っており、明らかに違反である。3-6-22
2○違反せず。居住用建物の賃貸借のときは、依頼者の一方から受けることのできる報酬の限度額は、依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の2分の1ヵ月分(に消費税課税事業者の場合、消費税5%を上乗せした額)である。依頼者の承諾を得ているときは、依頼者一方のみから借賃の1ヵ月相当分(に消費税課税事業者の場合、消費税5%を上乗せした額)を受け取ることができる。
3○居住用建物の賃貸借の媒介のときの原則的な報酬額限度額の受け方である。
4○居住用建物の賃貸借の媒介では、依頼者の承諾を得ていれば、依頼者双方から受け取る総額が借賃の1ヵ月相当分(に消費税課税事業者の場合、消費税5%を上乗せした額)を超えない限り、依頼者双方への配分は自由である。
正解(1)





保証協会 弁済業務保証金分担金の返還等 A
[問 45]宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)Aが保証協会に加入する前に,Aと宅地建物取引業に関し取引をした者は,弁済業務保証金について弁済を受けることができない。
(2)Aは保証協会に加入した後に新たに事務所を開設したときは,その日から2週間以内に,営業保証金500万円を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
(3)Aがその一部の事務所を廃止したため,保証協会が弁済業務保証金分担金をAに返還しようとするときは,保証協会は,弁済業務保証金の還付請求権者に対し,一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告を行う必要はない。
(4)Aが,保証協会から弁済業務保証金の還付に係る還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に,通知された額の還付充当金を保証協会に納付しない場合,保証協会は納付をすべき旨の催告をしなければならず,催告が到達した日から1月以内にAが納付しない場合は,Aは社員としての地位を失う。
着眼点 保証協会は、営業保証金を個人供託する場合と比較して覚えておく。その違いが聞かれる。
1×Aが保証協会に加入する前に宅建業に関し取引をした者も、業者と取引をした債権者に違いはないから、弁済業務保証金について弁済を受けることができる。3-4-4
2×Aは保証協会に加入した後に新たに事務所を開設したときは,その日から2週間以内に,弁済業務保証金分担金30万円を保証協会に納付しなければならない。3-4-2
3○社員業者が一部の事務所を廃止したため,保証協会が弁済業務保証金分担金を業者に返還しようとするときは,保証協会は,還付請求権者に対し,公告を行う必要はない。3-4-13 なお、営業保証金を個人供託している場合は、一部事務所を廃止し、その分の営業保証金を取り戻す際にも公告が必要である。
4×催告が到達した日から1月以内にAが納付しない場合は,Aは社員としての地位を失う、のではなく、保証協会から弁済業務保証金の還付に係る還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に納付しないと社員の地位を失う。3-4-10        正解(3)


【間 46】 住宅金融公庫(以下この間において「公庫」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 公庫は、住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けにおいては、その所要額の全額を貸し付けることができる。
2 公庫が行う個人住宅建設のための資金の貸付けは、住宅の規模にかかわらず、すべて金利は同一である。
3 公庫が行う証券化支援事業(金融機関の長期・固定金利の住宅ローンの供給を支援)において、公庫が貸付債権を買い取ることができる金融機関は銀行に限られている。
4 公庫は、住宅の建設のための貸付金を交付する際に、必要に応じて住宅の工事施行者に直接に資金を交付することができる。
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【問 47】 宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1土地上に廃屋が存在する自己所有の土地を販売する場合、売買契約が成立した後に、売主である宅地建物取引業者自らが費用を負担して撤去する予定のときは、広告においては、廃屋が存在している旨を表示しなくてもよい。
2 新築分譲マンションを販売するに当たり、契約者全員が四つの選択肢の中から景品を選ぶことができる総付景品のキャンペーンを企画している場合、選択肢の一つを現金200万円とし、他の選択肢を海外旅行として実施することができる。
3 建売住宅を販売するに当たり、当該住宅の壁に遮音性能が優れている壁材を使用している場合、完成した住宅としての遮音性能を裏付ける試験結果やデータがなくても、広告において、住宅としての遮音性能が優れているかのような表示をすることが、不当表示に該当することはない。
4 取引しようとする物件の周辺に、現在工事中で、将来確実に利用できると認められるスーパーマーケットが存在する場合、整備予定時期及び物件からの道路距離を明らかにすることにより、広告において表示することができる。


【問 48】 宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 平成17年地価公示(平成17年3月公表)によれば、平成16年の1年間、地価は、三大都市圏、地方圏とも下落率は縮小した。
2 平成15年度法人企業統計年報(財務省)によれば、平成15年度の不動産業の売上高は約33兆6,000億円で、全産業の売上高の約3%を占めている。
3 建築着工統計(国土交通省)によれば、平成16年の新設住宅着工戸数は約119万戸となり、対前年比2.5%増で、4年連続の増加となった。
4 平成16年版土地白書(平成16年7月公表)によれば、国土面積の約85%を占める宅地・農用地及び森林・原野の所有主体別面積の割合は、平成14年度では、国公有地が約20%、私有地は約80%となっている。


【間 49】 建物の構造に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 耐力壁と周囲の柱及びはりとの接合部は、その部分の存在応力を伝えることができるものとしなければならない。
2 コンクリートは、打上がりが均質で密実になり、かつ、必要な強度が得られるようにその調合を定めなければならない。
3 構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から1m以内の部分には、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講ずるとともに、必要に応じて有効な防腐措置を講じなければならない。
4 筋かいには、欠込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において1必要な補強を行ったときは、この限りでない。


【間 50】
 造成された宅地及び擁壁に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1盛土をする場合には、地表水の浸透により、地盤にゆるみ、沈下又は崩壊が生じないように締め固める。
2 切土又は盛土したがけ面の擁壁は、鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は練積み造とする。
3 擁壁の背面の排水をよくするために、耐水材料での水抜き穴を設け、その周辺には砂利等の透水層を設ける。
4 造成して平坦にした宅地では、一般に盛土部分に比べて切土部分で地盤沈下量が大きくなる。
 
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