最後に,ちょっと前,ある掲示板でお話した「心のバリア」って話をします.私が,人間不信のどん底から脱した時のエピソード.プロフィールに書いてない部分の補足です.人が信じられなくなった時,何かの参考にしていただけたら,嬉しいかも...
私は入社後しばらくして,医療情報システムの開発に携わった.業界では,結構評価されていたのに,上司が代わり,仕事の内容がわからんという,ただそれだけの理由(採算性の点で,という理由づけがされた)で,仕事をなくされた.後輩の中に,その上司に賛同するものも現れ,疑心暗鬼になり,誰も信じられなくなってしまった.でも,会社って,働かせてもらって給料もらうわけだから,そんなに文句も言えないのか.嫌だったら社長になるしかないのか...なんて,無力感で一杯になった.そこで思い余って元の上司に相談してみた.ところが..「長いものには巻かれろ」的に諭された...四面楚歌.
後になって気が付いたことは,若僧である自分の仕事が世間に認められ,少々天狗になってたかもってこと.だから,後輩も,癪に障ってたってことあるのかも..自分の見えてないところで,反感買ってることもあるし,なかなか人間って,自分がうまくいっている時,そういうところに気がつかないもんだなって思ったよ.
人が信じられなくなった時,私は自分の「心のバリア」,余計に高くしました.自分の内を見られたくない..そうしたら,誰1人として,話しかけてくれなくなりました.そうなると,もうどん底です.人間不信の渦に吸い込まれてしまう.挙句,身体にも,いろいろな症状が出てきて,気力も何もなくなってしまった.そういう状況が1年近く続いただろうか,私の言うことに耳を傾けてくれる人に出会った.この時,私は,全身が身震いした.本当にブルブルと震え,声も上ずり...傍から見てたら,滑稽だっただろう.でも,話せることが嬉しかった.それで,ノドから心臓,飛び出そうな思いを押し殺し,心の全部を,知らず知らずその人に曝け出していた.その人は,そんな私を,素晴らしいと受け入れてくれた.これ,まったく自信を喪失していた時のこと.
以来,私は,心のバリアを極力高くしないようにしています.そしたらね,みんなが気軽に話しかけてくれるようになった.不思議だよ.今では,中年の,このおっさんに,新入社員もタメ口です.私は,そういう関係がイヤではない.むしろすごく嬉しいし,心が通じ合うのを実感できる...これって,すごく楽なんですよ..自分も自然体でいられるんです.
バリアをなくすと自分がなくなると思ってた.だけど,それは間違いだった.心のバリアは,こちらにやさしい人の心すら,入れなくしてしまうものだった.いま人間関係で苦しいと思っているみなさん,もし,プライドにこだわっているのなら,一度,それ捨ててみましょう.大切だと思ってずっと守ってきた,自分であるがためのプライド...「心のバリア」を取っ払った時,きっと,それが錯覚だったと気づくと思うよ. |