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第9回公演
涙の連絡船
作演出 山崎哲
1973/6/11脱稿
雨が散る 屋根裏に
夢の匂いが 黴臭い
過ぎた夏の日
風呂場でとかし
たぐり寄せた 愛の黒髪は
呪われた旅の
因果律
村雨さん。
あの日 主人の目を掠めて逢引を重ねつづけた夏の宵
熱病につかれたあなたのため 私は薬局に駆けました
走りました そして三度転びました
その時うった傷跡がいま この眼のうえの青い痣
息せききって西窪の下宿先に帰ってみると
せんべえ蒲団はもぬけのからっ殻 ああ
西陽に映えたあかい走馬燈ばかりが風もないのに
くるりくるり 泣きました 叫びました ああ
オロナミンCの代わりに買ってきたサックを噛みかみ
悲しい女の性を呪いました 呪いすぎて幾春秋
いまじゃ労咳の病いもち でも 村雨さんっ
外套の襟たててどこの巷に旅を重ねるというの
眩しい原色の街も めくるめく青空も失われたいま
いっさいが空しい この吸気の季節に!
1973年7月3日−7日
明治大学和泉校舎3号館前特設テント
開演 夜6時30分 前売500円 当日600円 問合せ つんぼさじき 東京都中野区東中野4-19-9 03-364-0135
栗山みち 虻山つよし 小野太郎 宇都宮隆 加藤繁 黒沢五郎 中沢京 高原陽子 笠原一幸 島田知恵 周匝直哉 秋友和子 中津達彦 山崎哲
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