離婚事件の裁判管轄について
2014(平成26)年6月23日改訂
2021(令和3)年1月18日改訂
1 離婚調停について
離婚訴訟をするためには原則として離婚訴訟の前に離婚請求の調停を申立しなければなりません。これを調停前置といいます。
離婚調停は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者の合意で定める家庭裁判所(家事事件手続法245条)に申し立てするのが原則です。
但し,相手方住所地を管轄する家庭裁判所が遠くてそこまで行くのが経済的にも物理的にも困難な場合等は,自庁処理の上申書を添付して申立人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をする場合があります。(家事事件手続法9条1項但書参照)
もっとも、相手方には、管轄地への移送の申立をする権利がありますし、新法では、電話会議の手続(なお、離婚では成立手続きはできません。家事事件手続法268条3項)も定められましたので(家事事件手続法54条、258条1項)、自庁処理には相当な理由が必要となっています。
2 離婚訴訟について
離婚訴訟の当事者である夫又は妻の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚訴訟を提起することが出来ます。(人訴法1条,4条1項)
また,離婚訴訟に前置された離婚調停事件が係属していた家庭裁判所に離婚訴訟が提起されたが,その離婚訴訟がその家庭裁判所の管轄に属さない場合でも,当事者の申立又はその家庭裁判所が職権でその家庭裁判所が審理・裁判することが出来ます。(人訴法6条)
もし、離婚調停をしないでいきなり離婚訴訟を提起した場合、訴訟を受理した家庭裁判所は、訴えを却下するのではなく、調停に付する決定をして、調停手続を経させるのが通常だと思われます。(家事事件手続法257条2項本文)ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りではありません。(家事事件手続法257条2項但書)
3 渉外離婚の国際裁判管轄
渉外離婚に関する国際裁判管轄に関しては、
2017(平成29)年10月24日外国籍の人と婚姻した日本人がその外国籍の配偶者と離婚する場合の、国際裁判管轄と離婚の準拠法(渉外離婚)
でご紹介しています。