主な称号
ラーの額にあるもの、天空の主人の瞳、遠方にあるもの
主な信仰
ヘリオポリスの創世神話に登場する大気の女神。
原初の神アトゥムが生み出した最初の性別を持つ神のうち、女性のほうである。兄であり夫である
シュウとの間に大地の神ゲブ、天空の女神ヌトを生んだとされる。大抵、雌獅子の頭を持つ女性の姿で現されるが、完全な女性形、または牛の姿であることも稀にある。
シュウが生命、光、秩序の体現であるように、夫の補佐をするテフヌトも、生命や大気を示す。一説によればシュウは乾いた風、テフヌトは湿った風を表し、二種類の風がぶつかり合って雲を生み出すことが生命を表すのだとも言われるが、これはテフヌトの語源「テフェン」の「(唾を)はく」という意味からの推測である。
しかしまた、「テフェン」とは「変容する」という意味を指すという説もあり、語源および、この女神の属性については、不明点も多い。
ラーの「額にあるもの」とされることがあるが、額にあるものとは目のことである。テフヌトは、兄であり夫でもあるシュウとともに、太陽神ラーの両目とみなされることがあった。その役割から、同じく太陽神の目である蛇の女神、ウラエウスと同一視される。
オヌリス神の持っていた「遠方にいる雌獅子を連れ戻したもの」神話におけるメヒトの役を担うことがあり、その場合はオヌリスの役をシュウが担う。
シュウと夫婦、兄妹の神として扱われることの多いテフヌトだが、実はテフヌト自身はもともとはシュウとは夫婦ではなく、テフェンという自身の分身というべき男性神を夫としていた。属性が似ていたため同じ神話に組み込まれ、シュウとは後付けで兄妹・夫婦設定になったようである。そのため、必ずシュウと同時に登場するわけではない。
他のエジプトの女神たち同様、自身の中に二面性を持つ女神で、荒ぶる獅子としてはセクメトやメヒト、女性神、母性の象徴としてはハトホルやバステトと同一視される。
神話
・破壊の女神セクメトが人類を滅ぼそうとしたので、神々が酒をつくり、女神に飲ませて鎮めたという神話がある。テフヌトはセクメトと同一視されることが多く、セクメトと同じく血のような色をした酒=ワインを捧げられた。
・宇宙神としての役割から、水時計(これはトト神の持ち物でもある)、ウジャト、その他の小さな神々が捧げられることもあった。
聖域
レオントポリス、エスナ、コム・オンボ、エドフ、フィレー
おそらくメンフィスも入る
DATA
・所有色―赤、緑
・所有元素―水、火
・参加ユニット―ヘリオポリス九柱神<アトゥム・ラー、ヌト、ゲブ、シュウ、テフネト、イシス、オシリス、セト、ネフティス>
(※ヘリオポリス九柱神はメンバーが替わっている場合あり)
・同一化―<荒ぶる獅子として>セクメト、メヒト、ウラエウス<母性の象徴として>ハトホル、バステト
・神聖動物―なし(雌ライオン、雌猫、蛇との関係が深いが、いずれも神聖動物ではない)
・装備品―
◎補足トリビア◎
ローマ時代には、双子座が「シュウ」と「テフヌト」に同一視されていた。