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サティス(サテト) Satet(仏語:Satet)

古代名:シェセト/ギリシア名;サティス/別称・別綴り:
性別:女性


――――ナイルの奔流を支配する女神

主な称号
ヌビアの女主人、洪水を引き起こすもの、瀑流(ばくりゅう)の女主人
エレファンティネの女王

主な信仰
さてぃす上エジプトの最南端、エレファンテイネ付近の守護神の一柱。同じエレファンティネの守護神であるアンケト(アヌキス)を連れとして、ナイルの流れを操り、新たな命をはぐくむ大いなる大洪水を一定周期で引き起こすとされた。ナイルの増水は、その年の実りと大きく関わるため、豊穣神として崇められた女神である。

名前の意味については諸説あるが、エジプト語名の「シェセト(シェテト)」は動詞で、「矢を射る」という意味とともに「洪水を引き起こす」という意味でも使われることから、肩書きにある「洪水を引き起こすもの」が本来の名前の意味ではないかと考えられている。

上エジプトの象徴である白冠の両脇にレイヨウのツノをつけた姿で表現される。
アンケトと同じく南方・ヌビア系の女性の姿で描かれ、その肌は黒く塗られる。外国起源なのか、ヌビアが守護地なので敢えてヌビア人風に描いたのかは諸説ある。

また、サティスは戦士でもあり、女性でありながら弓矢をたずさえた姿でも表現される、ヌビアとの国境を守護する力強い女守護者である。川幅が狭まった場所で起こる激しい流れの、燃え立つような水が彼女を象徴するものとなっており、攻撃する向きを間違えると、エジプトの国内がナイルの水に襲われて水浸しになってしまうとされた。とても恐ろしい方である。

エレファンティネの守護神三柱として、クヌムが夫、アンケトが娘と設定されることもあるが、戦いの神、国境の守護者としては戦神モントゥが同僚。ナイルの増水を制御する神としては、氾濫期のはじまりの指標となる星シリウスを神格化した女神ソティスと同一視された。

神話
・初出は第六王朝のピラミッド・テキストであり、下エジプトでも信仰されていた古い神であることをうかがわせる。ピラミッド・テキストでの役割は、ナイルの水で王を清めるものとなっている。

・自身は豊穣の女神であるのに、石女(うまずめ)とされる。

・クヌムと同じように、メインの武器は「矢」。そのため彼女の標章には、獣を貫いた矢が使われる。

・サティスの神殿は、ナイルの増水の始まりを告げる「音」が轟くとされた場所に建てられたという。

聖域
エレファンティネにはサティス固有の神殿がある。

DATA

・所有色―黄
・所有元素―水
・参加ユニット―エレファンティネ三柱神<クヌム、サティス、アンケト>
・同一化―ソティス
・神聖動物―レイヨウ?
・装備品―レイヨウの角つき冠。画像は微妙にヴァイキングっぽいような…

◎おまけ
混同している本がちょいちょいありますが、サティスとソティスは別の女神です!
「サティス」「ソティス」はギリシャ語読みなので、ギリシャ語化される過程で一部、混同が発生しているけれど、意味も起源も別です。

女神サティスとソティスについてー混同されやすいエジプト神話の女神たち


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