主な称号
ヘル・ウルの女主人、ラーの口から生まれたもの
主な信仰
蛙の姿をもつ、出産・多産の女神様。頭部がカエルの女性で表されることが多いが、完全なカエルの姿なこともある。
カエルが出産に結び付けられたのは、いちどにたくさん卵を産み、たくさんの子供を持つからだろう。
ちなみにヒエログリフでは、10万という数字はおたまじゃくしの絵であらわす。 → 参照>>
古代エジプトの数字
一般的には、人類創造の神クヌムを夫とする。同じく出産の女神である、メスケネトとペアで出産を見守ることも。
クヌムがろくろで子供の肉体を創造し、ヘケトが生命を与え、母親の胎内から登場する最後の段階ではお産の女神メスケネトが守護、…と、いった流れのようである。
生まれてくる子供たちに命を吹き込むところから、ヘケトは生命を与える魔術師でもあった。
蘇生、復活を象徴し、オシリスの復活にも立ち会うことがある。
王の母と呼ばれているところから、王族の出産もサポート範囲だった模様。
また、神官が「神の召使い」と呼ばれるように、産婆たちは「ヘケトの召使い」であった。カエルの護符は女性、とくに妊婦に人気が高かったらしく、うずくまるカエルの護符は多数出土している。
下の図は、デンデラのマンミシ(誕生殿)に描かれている、夫クヌムがろくろで作った王の肉体に魂を吹き込んでいるシーン。
子作りは、ご夫婦の共同作業です。(意味深)
神話
・エジプト神話でカエルといえば、創世神オグドアド(八柱神)の女性のほうもカエルでした。
・カエルはたくさん卵を生むため、、キリスト教(コプト教)時代に入るまで復活・多産の象徴だった。
ただし、プトレマイオス朝以降、ローマ支配に入ると、「冬眠から復活する」という側面が強調され、再生・復活のシンボルとして人気を博すようになった。
女性がカエルの護符を持っている時代は、安産の女神として。
男性がカエルの護符を持っている時代は、再生・復活のシンボルとして(または性的不能からの回復祈願として)。
時代によって意味が異なる点に注意しておきたい。ダクラ・オアシスで見つかっている、「去勢された男性がカエルのミイラとともに埋葬されていた」という事例などは、男性が持つ場合の、後世の事例となる。
聖域
ヘル・ウル、エスナ、クース、ヘルモポリス
DATA
・所有色―緑、黄
・所有元素―水
・参加ユニット―ご家族<クヌム、ヘケト、ヘカ>、出産に立ち会う同僚<イシス、ネフティス、メスケネト、ヘケト、クヌム>
・同一化―ヌト(原初の水つながり)
・神聖動物―カエル
・装備品―生命の象徴アンク