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アヌビス Anubis(仏語:Anubis)

古代名:インプ/ギリシア名:アヌビス/別称・別綴り:イスデス
性別:男性


――――死者の魂を裁く者

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おしらせ
パズドラ勢はなぜかアヌビスの父がセトだと思っているケースが多いですが、神話上、アヌビスがセトの息子とされることはほぼありません。ほぼっていうか普通ないです。セトの嫁ネフティスが母ですが、父は…うん不義の子なんだお察しください。(セトさん種無しだしね…)
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主な称号
死者の魂を導くもの、アシウトの主人、若い犬、いくつもの弓の主人、清めの幕屋の主人
「ネブ=タ=ジェセル」(神聖な土地の主人)、「ケンティ=セフ=ネチェル」(神聖なる小屋の第一のもの)、「テピ=ジュウエフ」(自ら山の上にあるもの)

主な信仰
神聖な土地とは墓所、「清めの幕屋」「神聖なる小屋」とはミイラづくりのためのテントのこと。
わんこ何故かひたすら死神と勘違いされている神様だが、エジプト神話における死神的ポジションはセクメト様。アヌビス神は死者の守護神で、死んだ人間の安らかな眠りと来世をサポートしてくれる。ミイラづくりの神でもある。

母はネフティスとされることもあるが、称号には「ヘザト(ヘサト)女神の息子」というものもある。他、バステトやハトホルが母親とされることもあり、家系図はわりとどうでもいいらしい。母がネフティスの場合、父はオシリス。ネフティスと夫セトの間の子でないあたり、家庭事情はお察しください。

ケンティ・アメンティウ(西にいる第一のもの)と呼ばれることもあるが、これはアビュドスの古い犬の神の名前であり、のちにアヌビスがその機能を吸収したものと考えられている。


●死者の守護神として

アヌビスの色は黒いが、実際にエジプトにいるのはアフリカキンイロオオカミ/アフリカンゴールデンウルフ(Canis anthus)という、明るい色の毛並みを持つ狼である。
そのため、アヌビスの黒は、実際の犬の色ではなく、大地・闇を映した観念的な色だと考えられている。
アヌビスが死者の守護者とされたのには、墓所にたむろう野犬たちが墓所を守っているように見えたから、もしくはまたは犬の忠誠心から、亡き飼い主につきそう姿が死者を守っているように見えたことが理由ではないか、とされている。

ちなみに、死者を冥界へ直接運搬するのは牛(まれにロバ)の神様であり、アヌビスは死者を運ぶことはしない。エジプト人にとって、イヌは物を運ぶ動物ではないためだ。図柄的にもイヌが背中に人を乗せる図は存在しない。

アヌビスは死者の魂を裁くオシリスの法廷において、魂をはかる天秤を手にする姿で描かれる。(アメミットの項目参照)
同僚としては、死者の名簿を手にするトト神、真実の羽根を持つ女神マアト、審判に脱落した死者の心臓を食らう女神アメミット。なかなかこゆい感じである。

なお余談だが、アフリカキンイロオオカミは2015年まではキンイロジャッカルとして分類されていた。
遺伝子や骨格の調査から、外見は似ているものの実は実際には北アフリカに棲息しているものが別種であることが判明した。種としてはジャッカルよりハイイロオオカミに近いのだという。結果的に、狼神と呼んだギリシャ人の通称は正しかったことになる。

参考
アヌビス神のモデルはキンイロジャッカルでは無かった


●ミイラづくりの神としてせっせとつくります
アヌビスの妻はインプト(”インプ”の女性型)、娘はケベフトとされている。それぞれ、遺体の清めや魂鎮めを行う女神たちだ。

アヌビスはミイラ作りの神とされ、死んだオシリス神の遺体(セトにバラバラにされた)を、包帯に包んで形をととのえ、ミイラにしたという。これがエジプト最初のミイラとなり、それ以降、人々はオシリスにあやかって「死んだらミイラ」にしてもらうことになった。

ミイラづくりのさい、ミイラづくり職人がアヌビス神の仮面をつけて儀式を行ったという説もあるが、仮面は実物として見つかってはいないので定かでは無い。壁画の中でのミイラづくりシーンは右図のようにアヌビス神自身が行ったように描かれている。


神話
・伝説によれば、エジプト史上、最初のミイラとなったオシリスの遺体の防腐処理を行った神ミイラ作りの神。そのためミイラの守護者、墓所の守り神となった。アヌビスの形容辞として「自ら山の上にいるもの」というものがあるが、これは墓所を見下ろす砂丘の上にいることを指していると推測される。

・セトとホルスの戦いにおいては、常にホルス側。「オシリスの敵を打ち払うもの」でもある。

・トトとコンビで死者の審判を行う。

・人型で描かれることがなく、常に頭が犬(狼)なので、ギリシア人に怪奇な神と見られていた。

・ミイラづくりの神として「聖なる部屋におわすイスデス」と呼びかけられることがある。(例:「生活に疲れた者と魂の会話」)

・イシスと、アヌビスの母親とされるネフティスは姉妹、もしかしたら双子である。よく似ていたため、酔っ払ったオシリスはイシスと間違えてネフティスと夜を共にしてしまった。この一夜の過ちでネフティスは身ごもり、ひそかにアヌビスを産み落としたという。とすれば、ネフティスの生んだアヌビスはホルスより年上ということになり、王位の継承権がある。実際の人間社会で言えば、第二王妃が長子を生んだような状態なんだけど…
のちのちセトさんがネフティスのことを忘れてしまったのは、このあたりの恨みがあったのか。

聖域
主にアシウト。
他、デイル=リフェ、シャルナ、ハルダイ、デイル=エル・バハリ、ゲベレイン、メンフィスなど。

DATA

・所有色―黒
・所有元素―土
・参加ユニット―アシウト三柱神<アヌビス、ウプウアウト、ハトホル>、死者の清め三柱神<アヌビス、インプト、ケベフト>、オシリスの法廷<トト、アヌビス>
・同一化―各種犬神
・神聖動物―犬(ジャッカル)
・装備品―ウアス杖、アンク


◎補足トリビア◎

火曜サスペンスに出場
何かとネタにされやすいアヌビスだが、火曜サスペンス劇場「エジプト・パピルス殺人事件」('01/10/9)で死神扱いだったのにはさすがに爆笑。て、いうか小京都シリーズなのに、何故、エジプト…。
ちなみに、このツッコミどころ満載な番組の視聴率は18.2%だったそうですよ奥さん。

J-POPに出場
LUNA SEAの歌「ANUBIS」(1993/04/21 発売アルバム EDEN収録)などもネタにどうぞ。
なにゆえアヌビスなのか不思議な、なんとなくダークでヴァイオレンスな歌詞がグーといいますか。ちなみに私のカラオケ用LUNA SEA持ち歌は「ロージア」です←聞いてねぇ

乙女ゲーに出場
カーパラパラ?(アヌビスの飼い主がトト神ってことになってるけど、神話では同僚ってところかなー)
参考>これ

マンガに出場
地獄で働く鬼サラリーマン漫画「鬼灯の冷徹」では、エジプトの審判の神として日本の冥界にゲスト出演。
「私、こういう者です。」のシーンで爆笑を誘うなどサービス精神旺盛なところを見せた。
参考>これ

古代生物の名前にもなりました。
エジプトで見つかった新種の古代肉食獣にアヌビスの名が冠される。


【Index】