■シャルルマーニュ伝説 |
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つっこみルネッサンス
味方に誰もいなくなったら、アストルフォの出番である。そう、今回もやっぱり来ました、アストルフォ。
大した実力は無いが、人間ばなれした人間に好かれやすいという特質を持っているために、何故か、毎回オイシイとこ取りの男である。
ヒッポグリフに乗って気ままな旅を楽しんでいた(と、いうか制御出来なくて下りられなかった可能性もある)アストルフォ。たどり着いたのは、アフリカ内部はアビシニア(エチオピア)だった。
アビシニアは金を産出するためとても豊かで、ナイルの水源を持つためエジプトも支配下に置いている。アビシニアの王は、その気になればナイルをせき止めてエジプトに嫌がらせすることも出来るのだった。
まあ、そんなことすれば自国も水浸しになるはずだが、アビシニアの王はそんな矛盾点など、どーでもいいのだった。
とにかく、今、アビシニアは非常な危機にあるのだ。
「ハルピュイアという恐ろしいバケモノが襲ってくるのですよ…。」
理由は何だかよく分からないが、王がやらかした不祥事のせいで国に呪いが掛けられ、食事時になると決まってハルピュイアが食器をひっくりかえしに来るため国民はまともに食事も出来ないらしい。(短気なお父さんですか?)
さらに国王は盲目にされてしまっているらしい。(おとなしくエジプトの軍門に下って、トト神に祈ろうよ)
そんなワケで、この国はどこか暗く沈んでいた。歓迎はされたが、人々がそんなドンヨリしているのではちっとも楽しくないアストルフォ。もちろん、困っている人がいたら助けるのが黄門、もとい勇者様のお約束である。
アストルフォ「なぁに。そんな時にはこの僕にお任せを。」
王「何をする気だ。あのバケモノに剣は効かぬぞ」
アストルフォ「ご心配なく。もっと良い武器があるのですよ。」
ぴこぴこーん! ポケットから取り出したのは黄金の角笛〜。
これを聞いた者は、人だろうがバケモノだろうが、恐怖のあまり逃げ出してしまうという恐るべき魔法の品だ!
アストルフォ「皆! しっかり耳を塞いでいてくれたまぇ? アン・ドゥ〜…」
ブォ〜〜〜〜〜〜
その恐るべき音は宮殿を揺るがし、ハルビュイアの軍勢に恐怖をかきたてた!
恐慌を来たした怪鳥たちは、もはや人様の家のちゃぶ台ひっくり返すどころではなく、大慌てで自分の巣穴に飛び込む。
こうなったらしめたもの。
アストルフォ「とぉうッ」(□ボタン連打)
山の上から岩を転がし、穴を塞いで封印完了!☆
実際戦ってもいないくせに、「いい汗かいたぁ〜」とか言いながら、近くの小川へ水浴びに。(伊達男は身だしなみへの気配りが必須です)
と、目の前になにやら、美しい宮殿が。
アストルフォがヒツポグリフにまたがって近づいていくと、一人の老人が出迎えに出てくるではないか。
老人「ようこそ、気高い騎士よ。そなたはシャルルマーニュを助けるため、天の意志によって、この地へ導かれたのじゃ。」
ああ。なんか、またアストルフォが得体の知れないイベントキャラに好かれとる。
彼を好意的に出迎えるキャラって、魔女だったり妖精だったり翼のある怪しい馬だったり、とかく人間じゃないモノが多いんですよねぇ…。
つーことは、この人も。
アストルフォ「あなたは、一体?」
老人「わしは、聖ヨハネじゃ」
うむ。ある意味、人間じゃないネ(笑)
そのあと出てきたのは預言者エリヤと族長エノク。
敬虔なるキリスト教徒の魂の合宿所へヨウコソ、ってことなんだろうが、はっきり言って、ゲームで「伝説の三賢者」とか出てくるのと同じノリだ。こんなにアッサリ出てこられると、有り難味が・・・。
アストルフォ「それにしても、なぜ僕のことを? なぜこの地に導かれたのでしょうか」
聖ヨハネ「うむ。他でもない、あのオルランドゥのことじゃ。神の祝福により力を授けられ、いずれはサムソンのような勇者になるはずだったのに、異教徒のおなごなど追いかけまわしおって、その罰で、今、理性を取り上げられておるのだ。だが、罪の期間は3ヶ月と決まっておる。そこで、おぬしに、もうじき罪のつぐないを終えるオルランドゥの理性を返してやってほしい」
そういやサムソンって、腕っ節は強かったけど女に弱くて、ロクな死に方しなかったよね(ボソリ)
アストルフォ「どうしろと?」
聖ヨハネ「そのためには、まずは月へゆかねばならん」
アストルフォ「月?!」
聖ヨハネ「と、いうわけで、わしゃちょっくら月行ってくるから。あとはよろしくな」
預言者エリヤ「はーい。いってらっしゃーい」
何だか分からないままに馬車に乗っけられ、びゅーんと空へひとッ飛びだ。すごいぞルネッサンス。騎士文学がいきなりSFに?!
月面着陸。…そこは楽園、地上から忘れ去られた、ありとあらゆるものが秘められた場所・・・。
そこには、過ぎ去りし記憶すら残されている。そう、過去に自分が犯した失敗や、恥ずかしい子供時代のあーんなことやこーんなこと。さらには××で○○なトップシークレットまで!
なんか月に爆弾仕掛けてフッ飛ばしたいくらいですな。^^;
そんな月面に、「失われた思慮分別」を保存する場所があった。
ビンには人名がラベルで貼り付けられ、中には、失われた理性のぶんだけ、液体が詰まっているのだ。人が、生まれたときに持っていた思慮分別は、たとえば、落とし穴にハマったり、富を求めて冒険したりすると、失われていくのだという。
と、いうことは勇者ほど理性が無いということだろうか…。
大半の人間は、子供の時代に理性をとられてるような気がするぞ…?
アストルフォは、コッソリ自分のびん(半分ほど液体が入っている。)を取り上げて、中身を吸い込んだ。
だがまぁ、人間、生きてる間はいくらでも冒険するもんで、おそらく、ムダであっただろう。
聖ヨハネ「さて。ここにオルランドゥのびんがある。中身はマンパイだ。と、いうことは彼奴は今、理性ゼロの状態になってさすらっているわけだが、この理性を奴めに吸い込ませれば、元にもどる」
アストルフォ「O.K.、了解ですよ聖者殿。ですがどーやってオルランドゥを見つければ?」
聖ヨハネ「運命はすべて神の御心のままに…。これを持って、アビシニアへ戻るがよい」
ぱらり〜ん♪(アイテム:すごい薬草Lv.3)←ゲームネタです。本当にこういうのくれたわけでは・・・
聖ヨハネ「この薬草があれば、神の怒りによって盲目にされたアビシニア王の病は治るであろう。王はそなたに感謝するはずじゃ。そしたらお礼として、10万のアフリカ軍を借りるがよい。その兵を使って、アグラマンのアフリカ軍を背後から攻め立てるのじゃ。」
キリスト教徒側が不利だからって、もうこの世にはいない聖者が手を貸すのである。
はっきり言ってズルなのだが。
アストルフォは言われたとおり薬草を持って地上に戻り、アビシニア王の目を治してやり、お礼に10万の兵を借り受けた。
現在フランスに侵攻中のアグラマン軍は、アフリカからフランス、つまり地中海渡って向こう側へ攻めている。アビシニアはアフリカ内部の国だから、その軍を背後から挟み撃ちにしているのと同じことだ。
アストルフォ「さぁ〜、僕の出番さ。華麗なる僕の活躍を見たまえ〜」
まぁ今まで、あまりにもほっぽらかしすぎだからね。多少は危機回避に貢献してもらわないと。
10万の軍を率いて、地中海からヨーロッパへと渡る海岸まだやって来た、アストルフォ、そこで出会ったのはロドモンに捕らえられた、フランスの仲間たち。
あの、橋の上で通りすがりの騎士の鎧兜を剥いで弁慶状態だったロドモンである。
ロドモンが捕らえた騎士たちは、捕虜としてアフリカへ送られる途中だった。ちょうど捕虜を満載して港についてところに、アストルフォが陣を張ってたのである。
飛んで火に入る捕虜運搬船。
アストルフォの指パッチン一つで船は差し押さえられ、中にとっ捕まっていたフロリマールやオリヴィエ、さらにドゥドン(カタイまでフランスの騎士を迎えに来てた、あの人)が開放された。
ドゥドン「助けてもらって、かたじけない…。」
アストルフォ「いいのさ〜My フレンド。困ったときはお互い様さ〜?」
遠くの声「うお〜〜」
フロリマール「しかし残念です。オルランドゥ殿を見つけられなかったばかりか、このような辱めも受けるとは。」
アストルフォ「奇遇だね? 僕も彼を探しているのさ。ウワサでは理性を失ってウロついているらしいけど、何所にいるのだろうね」
遠くの声「うお〜〜」
オリヴィエ「行方不明になってから、そろそろ三月になる。フられて辛かったからと言っても、いい加減、(正気に)戻ってもらいたいもんだが…」
アストルフォ「ふふふ、そのために僕がここにいるのさ♪」
だんだん近く「うお〜〜〜〜」
フロリマール「・・・あのう・・・さっきから気になってたんですけど、この声なんでしょう」
アストルフォ「ん?」
振り返るとそこに、すっぱだかのオルランドゥが「うおおおーーー! うおおおおーーーー」
騎士たち「!!!!」
いるじゃん、そこに!
しかも海ざんぶら掻き分けて、陸に向かって突進してくる大男。薄汚れてはいるが、それは紛れもなくオルランドゥ。
岸に着くなり、いきなり目の前に兵士たちをぶん殴り、キングコングのごとく陣営に攻め寄せてきた!
フロリマール「ど、ドーバー海峡横断部…? すごい。地中海を泳ぎきったのはこの人は。さすが…」
オリヴィエ「とか、感心してる場合じゃないぞ! まっすぐこっちに突っ込んでくる。味方の顔も分かってないらしいなッ」
オルランドゥ「うーおー〜〜 食い物よーこせー!」
アストルフォ「!」
オルランドゥの右手がうなる! 拳が頬に熱く撃ち込まれる…
アストルフォ「あ、ああ…、星が…見える…vv」
ドゥドン「アストルフォ殿ォ! …ぬう、おのれオルランドゥ。自分のいとこも分からんのか!」
オリヴィエ「いや、もしかしてワザとだったかも。自分よりアンジェリカ姫に好かれててムカつくって言ってたし」
フロリマール「理性が無いぶん、過去の因縁をストレートに晴らせるってワケですね…」
ドゥドン「感心してる場合ではなくッ。ここは皆で力を併せて!」
オリヴィエ「仕方が無い…」
さすがに剣を使うわけにはいかず、彼らは一気にオルランドゥにとびかかった。引っかかれたり噛まれたりしながらも、羽交い絞めにして地面に押さえつける。
オリヴィエ「アストルフォ! 今だッ」
アストルフォが、月面から持ち帰った理性のびんをオルランドゥの鼻にぐいと押し当たる。
オルランドゥ「フガッ、ガフガフッ」
フロリマール「もう少しです! じっとしていて下さいッ」
オルランドゥ「フガッ…、ゴフッ?! …え?」
ドゥドン「おお! 何か正気に返ったっぽいですぞ!」
正気に返ったオルランドゥは、すっぱだかのドロまみれで砂浜に転がっている自分の姿に、しばし呆然としていた。
それから、周りにいるのがよく知った顔ばかりなのにも驚いていた。
オルランドゥ「…オレって何でここにいるんだっけ。」
一同「いやァ〜、それはー…」
いえるはずも無かった。
かくてオルランドゥも戻り、主な騎士たちも戻ってきて、ようやく、物語は本題(シャルルマーニュ軍vs.アグラマン軍)へ。
長すぎた寄り道のすえに、各々キャラの向かうべき道が決まろうとしていた。