さらばアフリカ 伊 1966年 79分 |
『続世界残酷物語』の3年後に公開されたヤコペッティの自信作。私も最高傑作だと思うが、テーマをアフリカに絞ったために観客の喰いつきは悪く、興行的には惨敗だった。しかし、作品的には初めて評価されて、イタリアのオスカーと云われるダヴィッド・ディ・ドナテルロ賞最優秀作品賞を獲得。まんまと世間を騙したが、実は「やらせ」だらけである。 本作は、白人支配から脱して次々に独立、欧米風に変化していくアフリカをとらえた「ドキュメンタリー」である。ヤコペッティは別の映画のロケのためにアフリカに赴いていたのだそうだ。ところが、折しもの独立ラッシュの動乱に巻き込まれて、衝撃的な映像の数々をものにすることができた.....というのであるが、機を見るに敏なヤコペッティが英国植民地時代終焉の予兆を見逃す筈がない。この映画のシナリオは予め想定されていたのだと思われる。「悲惨美」を追求するヤコペッティにとっては、当時のアフリカはまさに「素材の宝庫」であったわけだが、驚くべきなのは、充実した素材を前にしてヤコペッティはなおも「やらせ」を撮り続けたことである。 例えば、絶滅に瀕する野生動物の保護団体本部のシーン。 |
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やらせの極みは「ザンジバルにおけるアラブ人の大量虐殺」であろう。 |
備考 |
そんな本作にも、本物の殺人が収録されている。終盤における傭兵による処刑シーンがそれだ。このシーン、カメラがあまりにも接近し過ぎていて、ヤコペッティは殺人教唆により告発された。この告発はイタリア司法省の調査により却下されたが、真相は不明である。 |
関連人物 |