キートン将軍(キートンの大列車追跡)
THE GENERAL
米 1927年 75分
監督 バスター・キートン
クライド・ブラックマン
出演 バスター・キートン
マリアン・マック
グレン・キャベンダー
ジム・ファーレイ
『拳闘屋キートン』の大成功により財政的に潤ったキートンは念願の企画に取り掛かる。製作費42万ドルの大作『キートン将軍』である。間違いなくキートンの最高傑作であると同時に、最も優れた無声映画の一つでもある。かつてキートンは『イントレランス』のパロディを作った。そんな彼が遂に『イントレランス』と並び称される作品を作り上げたのである。
物語は単純明快だ。北軍のスパイに蒸気機関車と恋人を奪われたキートンがたった一人で取り戻す。笑いあり、スペクタクルありの一大戦争絵巻である。南北戦争マニアのキートンは細部にまで凝りまくり、当時の風景を完全に再現した。
ところが、批評は芳しくなかった。おそらく「一介のコメディアン」が本格的な南北戦争映画に挑んだことに戸惑いを覚えたのだろう。
「かつての労作より遥かに劣る」(NYタイムズ)
「笑いとはほど遠い」(バラエティ)
「退屈、あまりにも退屈」(デイリー・ミラー)
「ギャグの多くが悪趣味である」(ライフ)
本作の真価を見抜いていた評論家はごく一部だけだった。結果、興行収入は47万ドルに留まる。『拳闘屋キートン』よりも30万ドルも少なかった。
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