第8話 むしゃぶろうの運命は?
あなたが微笑みを少しわけてくれて
私が一つぶの涙をかえしたら
そのときがふたりの旅の始まり
一人じゃないって素敵なことね
あなたの肩越しに草原も輝く
いつまでもどこまでも
By 天地真理
「なにやってんの?」。
「ちょっと待ってなさいってば」
平賀雲国斎はむしゃぶろうの怪我を放っぽらかして、姓名判断を始めた。
「おお〜、うあ〜、ひどいなこりゃ。あ〜ぁ、駄目だこりゃ」。
「なんなんですか」。
「でました。あなたの運命がわかりました。過去も未来も現在も。ええ、誠に言いづらい事ではありますが、あんたねえ、最悪。あんたの画数最悪!」。
「ええっ、そんなに悪いんですか?」。
「悪いのなんのって、ひどいよ。こんなの見たことないもん。あのね、あなたの総画数ね、59画なのね。59画ってね《末路悲劇運》てやつでね、ね、これね」。
雲国斎はマギー司郎のような言い方をしながら、手許にあった本をむしゃぶろうの方に向けた。
「ね、ここね。《末路悲劇運》。生涯孤独で悲運不運は免れないでしょう、と、それで、やる事なすこと裏目に出て、幸福感を味わう事は全くありません。と、また家族運にも恵まれず、特に晩年は悲惨を極めること間違いなし。要するに最悪なわけ」。
「ちょとお、本当ですか?。まあ、確かに家族運はないと思うけど、そんなにひどいんですか」。
「そうでてるね」。
「どうしたらいいんですか」。
「名前を変えるしかないね」。
「むしゃぶろうを変えるんですか?。そりゃまずいなあ、この小説の題名にもなっちゃってるし。今更.....」。
「じゃあ、あなた一生悲惨だよ」。
「それもいやだけど…」。
「どうするね」。
つづく
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