エド・ゲイン |
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エド・ゲインはおそらく映画史に最も影響を与えた人物だろう。彼がいなければ『サイコ』も『悪魔のいけにえ』も『羊たちの沈黙』も作られることはなかった。彼は現代アメリカの悪夢を象徴する存在であり、その無垢だが邪悪な魂は今日もなお生き続けているのである。 |
ゲインの家 バーニス・ウォーデンの店 |
エド・ゲインは、プレインフィールドの西のはずれに住む五十代の無口な男だった。1947年に母親が死んでからは天涯孤独となり、農作業もせずに、町のなんでも屋としてブラブラしていた。少々おつむが弱いのが玉に瑕だが、頼んだ仕事をイヤな顔一つせずに手伝ってくれるので、住民たちは重宝していた。 |
極めて不潔な台所 整然としたお母さまの部屋 |
ゲインがヒル家の夕食に舌鼓を打っていた頃、シュレー保安官はフランクと共にゲインの家へと向った。家の中は真っ暗で誰もいない。2人は裏手に建て増しされた台所に踏み込んで、懐中電灯をかざした。 |
ゲインの「恐怖の館」を覗く野次馬たち |
さて、ここでエド・ゲインという極めてユニークな男の生い立ちをおさらいしておこう。 |
見世物になったゲインの「死の車」 |
ゲインは医師団に「回復の見込みのないほどに精神を病んでいる」として責任無能力者と診断され、州立の精神病院に収監された。この措置に身内の墓を暴かれたプレインフィールドの住民たちは猛反対した。やがて、ゲインの土地は競売にかけられ、売上げがゲインのものになると知るや、ゲインの家を焼き払った。かくして、「なんにもない町」プレインフィールド唯一の観光名所は消え失せた。現在でも人口800人程度のこの町では、いまだにゲインの話題はタブーだという。 |
参考文献 |
『オリジナル・サイコ』ハロルド・シェクター著(早川書房) |