もえちんの場合

 

萌樹の病気はチャージ連合(CHARGE ASSOCIATION)といいます。

                                          

 CHARGE連合とは?                              

特定の病気を併せ持って生まれてきた子供のことをいいます。
アメリカにおいては
CHARGE SYNDROME(チャージ症候群)と言われているが、日本では病因が明確に特定できていない為、
また「それぞれの症状を併せ持つ」と言う意味で
CHARGE ASSOCIATION(チャージ連合)と呼ばれています。 
最も一般的な特徴のうちのいくつかの頭文字をとって
CHARGEと名づけられています。

 

特徴

Coloboma(欠損)
虹彩欠損、脈絡膜欠損などが挙げられる。
網膜ないし視神経部分において何らかの異常が認められる。結果、視覚障害あるいは視野欠損を生じる可能性が高い。
視力については、近視・遠視・半盲・全盲など個人差が大きい。小眼球,小角膜,先天性白内障を合併することが多い。
外科的治療は困難であるが眼鏡等の装着によって症状が改善される場合がしばしばある。

脈絡膜欠損choroidal coloboma:
通常は眼底の下方に、扇形〜楕円形で周辺部に拡がりをもつ白色調の欠損部をみとめる。黄斑部は正常にみえるが、
視力は低下し、斜視や眼球振盪を伴うことがある。本症に虹彩欠損を合併すればぶどう膜欠損とよび、その頻度は高い。
虹彩欠損coloboma of iris:
先天性の多くは下方にみられ、胎生期の眼杯閉鎖不全により生じる。常染色体性優性遺伝を示す場合もある。

                                                                                                       

Cranial nerves(脳神経)
CHARGEを持つ約40%の子供は軽度の顔面麻痺(脳神経VII)が見られ、また約30%には嚥下機能障害(脳神経IX/X
が見られる。顔面麻痺を持つ子供は持たない子供に比べて感音難聴である可能性が高い(脳神経
VIII)。
嚥下機能障害はしばしば長期的に続くことがあるが、多くは小学校就学時までには解決している。
嗅覚障害を持つ場合もある。(脳神経T)

          

Heart(心臓)
約80%の子供が先天性心疾患を持って生まれてきている。その多くは軽度なものであるが一方では
内科的治療、もしくは外科的治療が必要な子供もいる。
複雑な心奇形を持っている場合(ファロー四徴症など)、慎重な診断が必要である。

 

Atresia of Choanae(後鼻腔閉鎖)
鼻腔とは骨および軟骨の枠組みで出来ている腔のこと。
中央の鼻中隔によって左右二腔に分けられ内面は粘膜で覆われている。前方と後方とは開放していて、
前方のものを外鼻腔といい、外界に開いている。後方のものを後鼻腔といい、上咽頭に開いている。
後鼻腔閉鎖とはこの上咽頭へ開いているはずのものが閉じている状態をいう。
外科的手術で治すことが可能と言われている。

 

Retardation of growth and/or development(成長・発達の遅延)
身長および体重に関しては通常は誕生時は正常である。
初めの2年の成長過程において嚥下障害、先天性心疾患、入院のストレス、感染などの病気が発育遅延の原因と
考えられている。成長ホルモンの欠乏も原因になる場合がある。
精神的発達遅延の原因は多いと考えられているが、中でも最も重要視するべきものは視力障害と難聴である。
難聴は伝音難聴、感音性難聴がある。
しかしながら最近の医学の発展ならびに病院でのケアによって精神的発達遅延は解決できる問題でもある。


 

Genitourinary anomalies(生殖器形成不全)
性腺組織が全く存在しない胎生期のごく初期、すなわち原始性腺の形成期以前における異常。
外陰の発育は不良で性的幼稚症を呈する場合がある。
男児の場合、小陰茎、尿道下裂、停留睾丸が見られる。
女児の場合、外陰部の未発達がある。

しばしば精巣(睾丸)機能不全や卵巣機能不全が見られ、思春期が遅れたりまたは来なかったりする。
性器形成不全は腎臓や尿管尿道にも問題が生じる場合がある。

【尿道下裂】にょうどうかれつ
hypospadias
男子外陰部奇形のなかではかなり頻度の高いもので、外尿道口が亀頭先端部に開口せず、亀頭腹側、陰茎腹側、
陰嚢、あるいは会陰部などに開口する。尿道索の存在のため陰茎は腹側への弯曲を示し、背面には包皮の余剰をきたす。  
開口部位により亀頭部下裂(I度)、陰茎部下裂(II度)、陰茎陰嚢部下裂(III度)、および会陰部下裂(IV度)と分類される。
軽度の症例は自覚されないこともあり、治療を必要としないこともあるが、高度のものでは立位排尿不能のものもあり、
就学時までに形成手術が施行される。

 

Ears anomalies(耳形成不全:外耳、中耳、内耳)
聴覚障害としばしば前庭機能不全が見られる。
聴覚障害には伝音難聴と感音難聴がある。
外耳道は狭窄している場合がある。通常ひどく慢性の耳炎が生じる。中耳小骨の形成不全が存在する場合もある。  
外耳:短くて幅広の耳。耳たぶは小さいか無い。左右非対称。時には突き出ているような耳の場合もある。

【前庭機能】ぜんていきのうvestibular function
内耳の前庭部は、三つの半規管と二つの平衡斑よりなり、角加速度および直線加速度を感受して、
それぞれの情報を中枢に送り、身体の平衡や固視機能を助けている。これらを総称していう。

【伝音難聴】でんおんなんちょうconduction hearing lossと【感音難聴】かんおんなんちょう
sensorineural hearing loss
耳の構造は外側から外耳、中耳、内耳に分けることができますが、伝音難聴はこのうちの外耳から中耳にかけての鼓膜や
音が音波・振動として伝達される役割を持つ3つの小さな骨(耳小骨)のどこかに障害があるものをいいます。
鼓膜に孔が開いている(鼓膜穿孔)場合や、鼓膜の動きが規制されている(中耳炎など)時に、音を伝えるための各器官が
本来あるべき働きをすることができず、脳が認識する音と実際の音の間に差が生じ、この差が難聴として認識されることになります。
伝音性難聴では、各器官に起こった問題を本来の機能に戻すことで、多くの場合解決することができます。
手術などの医学的処置も近年では大変進み、ほとんどの障害は治療が可能となりました。
通常は補聴器を正しく使用することで、外科的手術を受けることなく、難聴を解決・緩和することができます。

感音難聴は音を電気信号に変換する内耳に障害があるためにおこる難聴です。
内耳の中にはカタツムリの殻の様な形をした蝸牛があり、その中には有毛細胞がびっしりと生えています。
その細胞が音を電気信号に変換をして神経に伝える働きを担っています。
伝音難聴は一般的に耳をふさいだ時のようなきこえ方をしますが、感音難聴の場合は音の情報を神経に伝える内耳部分に
不具合が起こっているために、聞こえ方が一様ではありません。
そのため、低音しか聞こえなかったり元の音が歪んだように聞こえてしまうために、何の音なのかわからないといった場合もあります。

人工内耳とはどのようなものか?
内耳に小型の電極を埋め込むことで、内耳に障害があっても音を電気信号として伝えることを可能にするものです。
装着は外科的手術を行うことで装置を埋め込み、外部の装置で音を拾い内部の装置へ電気信号を伝えます。
この装置を用いることで音の入力が可能になりますが、人の話声は抑揚のない無機質な声のように聞こえますので、
言葉として聞き取れるようになるまではリハビリテーションが必修となる。

 

その他の症状
 
 

                                   詳細     発生頻度   
顔貌 四角張った顔だち。広く突き出た額。弓形の眉。
時には眼瞼下垂を発症する。特徴的な鼻。
中央が平面な顔だち。小さな口。年の割に小さな
(大きな)顎。左右非対称な顔立ち(除く顔面麻痺)
>50%
小さな親指。人差し指から中指にかけてアイスホッケーの
スティックのような皺のある幅広い手のひら。短い指。
50%
口唇口蓋裂 上唇が生まれたときからわれている口唇裂。(片側・両側・完全唇裂)
上あごが生まれつき割れている口蓋裂。(口蓋垂裂・粘膜下口蓋裂
軟口蓋裂・硬軟口蓋裂・完全口蓋裂)
歯槽が割れている顎裂。(歯槽裂)
20−30%
呼吸器・消化器系 気管軟化症。気管狭窄。喉頭軟化症。食道閉鎖症。
気管ー食道瘻(TEF)
20%
低緊張 上半身の低緊張(力が入らない状態)。なで肩。 頻繁
泌尿器系 水腎臓(尿路の通過障害のため上部尿路、特に腎盂腎杯が拡張した
状態)もしくは尿の逆流。腎臓奇形(小さい、欠損)
40%

 

 

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