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<特定商取引法について>
11.特定商取引法における連鎖販売取引について
司法書士 小楠展央
今号は、特定商取引法における連鎖販売取引についてご紹介します。
1 連鎖販売取引のイメージ
みなさんが「連鎖販売取引」や「マルチ商法」という言葉を見たり、聞いたり
すると、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
「ねずみ講」のような、何か数珠つながり、あるいはピラミッドのように人が
増えていくイメージを持たれるでしょうか。そのようなイメージを持つと、
何か自分とは関係のない、どこか遠い世界のことのように思われるかも
しれません。
しかし、この連鎖販売取引は、意外と私たちの生活の身近な所にも
存在しています。
2 前置き(筆者の個人的な感想)
自分が製造した商品を大量に販売しよう、そんなことを考えたとき、いくつかの
方法が考えられます。「大々的にテレビコマーシャルをして通信販売しよう。」、
「全国津々浦々の小売店に商品を置いてもらおう。」などなど、実に様々な
販売促進方法があります。しかし、テレビで宣伝をするにはある程度の資金が
必要だったり、既存の小売店に陳列してもらうには新規参入が容易で
なかったり、色々な壁があるのも事実でしょう。
そのような「壁」を乗り越えるのが難しい場合、販売員を大量に雇って、訪問
販売をさせたり、電話勧誘販売をさせたりする、という方法も考えられます。
しかし、この方法でも、歩合制にでもしない限り人件費はかかってしまいます。
また、初対面の販売員がいきなり訪ねてきても、その場ですぐに「買います」と
いう人はそんなに多くはないでしょう。
そこで、販売促進にいわゆる「クチコミ」をうまく活用できないだろうか、と
考えつきます。つまり、自分の製造した商品を購入した人が、自分の知人に
その商品を紹介したり、購入を勧めてくれたりしてくれれば、初対面の
販売員が訪問するより警戒されないだろうし、雇う必要がないので人件費も
抑えられる。壁にぶつかった新規参入者にとって、とても魅力的な販売促進
方法と言えます。
しかし、商品を購入した人が、当然に「クチコミ」してくれるわけでは
ありません。販売促進の観点に立ったとき、積極的に「クチコミ」してくれる人を
確保する必要が生じます。そこで、積極的にクチコミをしてもらうために、
「商品を購入する人を紹介してくれたら、謝礼として〇〇円お支払します。」と
いう方法を考えます。多少の謝礼を支払っても、常に人を雇うよりは負担も
責任も軽くて済みます。
さらに、効率よく販売促進するために、「商品を買ってくれる人を紹介して
ください。」という方法から、「クチコミをしてくれる人を紹介してくれたら、謝礼を
お支払します。」という方法に進化します。
連鎖販売取引の特徴の一つとして、この進化した形態の販売促進方法、
つまり「クチコミによって、クチコミしてくれる人を効率的に集める」ということが
挙げられます。
(以下、次号に続く。)
10.特定商取引法における電話勧誘販売について へ
12.特定商取引法における連鎖販売取引について(2) へ
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