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<特定商取引法について>
10.特定商取引法における電話勧誘販売について
司法書士 小楠展央
今号は、特定商取引法における電話勧誘販売についてご紹介します。
1 訪問販売とよく似ている
この連載の初めのころ、特定商取引法に定められている訪問販売についてご紹介しました。電話勧誘販売は、その訪問販売とよく似ています。どのように似ているのか、商品の販売を例にとって考えてみましょう。
まず、最も素朴な訪問販売の場合は、販売員が不意に自宅を訪ねてきて、そこで勧誘し、商品を販売する、というものでした。それに対し、最も素朴な電話勧誘販売は、販売員が不意に電話をかけてきて、その電話で勧誘し、お互いに会うことなく、電話や郵便のやり取りで商品を販売する、というものです。つまり、販売員が不意に訪ねてくるのが訪問販売、販売員が不意に電話をかけてくるのが電話勧誘販売、と捉えることができるでしょう。
次に、訪問販売においては、販売目的を告げずにお店に呼び出したり、他の人に比べて著しく有利な条件を示してお店に呼び出したりして商品を販売した場合にも、その取引が訪問販売に該当するケースがありました。それと同じように、電話勧誘販売においても、販売目的を告げずに電話をかけさせたり、他の人に比べて著しく有利な条件を示して電話をかけさせたりして商品を販売した場合、その取引が電話勧誘販売に該当するケースがあります。つまり、あの手この手でお店に呼び出すのが訪問販売、電話をかけさせるのが電話勧誘販売、と捉えることができるでしょう。
以上のとおり、訪問販売と電話勧誘販売は、人が訪問してくることと電話がかかってくることの違いはありますが、ともに不意打ちの要素があり、規制方法もよく似ているといえるでしょう。
2 訪問販売と同じようにクーリング・オフできる
上述のとおり、電話勧誘販売には、訪問販売と同じように不意打ちの要素があります。そこで、特定商取引法は、電話勧誘販売の場合にもクーリング・オフできることを定めています。「私から電話をかけてしまったけど…。」という場合にも、電話勧誘販売に該当するケースがあります。まずは法律家や公共機関の窓口に相談してみるとよいでしょう。
3 外国の状況をすこしだけ
日本は、電話勧誘販売の取引手法について、特定商取引法によって規制はしているものの、禁止するには至っていません。一方、外国の中には、電話勧誘販売について日本以上に厳しい規制をかけている国もあります。特にドイツなどでは、事前に承諾のない電話勧誘販売を禁止しています。つまり、営業の自由を制限しなければならないほど、危険な要素の大きい取引手法だと考えられていると言ってよいかもしれません。
(以下、次号に続く。)
9. 通信販売に関連する電子メール公告の規制について へ
11.特定商取引法における連鎖販売取引について へ
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