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<特定商取引法について>
2.特定商取引法における訪問販売について
司法書士 小楠展夫
今号からは、特定商取引法における訪問販売について、事例を通じてご紹介します。
事例その1 レストランで契約した
<実際の相談から>
友達から電話があり、私はファミリーレストランに呼び出されました。
ファミリーレストランで友達と落ち合うと、友達からある男性を紹介されました。
私は、その男性から、お肌をすべすべにするという機械の購入を勧められました。私は、友達の目の前だったせいもあり、その男性の勧めを断ることができず、持っていたクレジットカードで15万円をキャッシングして、その機械を買いました。
その後、その機械を何回か使ってみましたが、特に効果はありませんでした。
私は、できれば機械を返して、支払ったお金を返してほしいと思っているのですが。
この相談のように、レストランで商品の購入を勧められ、購入する契約を結んでしまった場合について、特定商取引法は原則として訪問販売に該当すると定めています。
何となく、自宅に販売員が訪ねてきたわけではないので、違和感を覚える方もいるかもしれません。しかし、特定商取引法は、自宅に販売員が尋ねてきても、上述の相談のようにレストランに呼び出されても、販売業者のお店で契約したわけではないので、原則としていずれも訪問販売に該当すると考えているのです。
したがって、契約をした場所がどこだったのか、すなわち、販売業者のお店だったのか、あるいはそれ以外の場所だったのか、ということがとても大事なポイントになります。
販売業者のお店以外の場所で購入した、あるいは購入を申し込んだ場合には、訪問販売に該当し、クーリング・オフすることができるかもしれません。
事例その2 屋根がわらを直してもらった
<実際の相談から>
ある日、職人さんが、突然私の家にやってきました。
私が玄関に出ると、その職人さんは屋根を見ながら「最近はこんなしっかりした仕事をすることはない。とてもいい屋根だ。」と話し始めました。
屋根や建物のことをきっかけに、私はその職人さんと話しこんでしまいました。
そのうち、その職人さんから「もっと長持ちさせるために、すこしいじった方がいい」と言われ、私はその職人さんに屋根の修繕を頼みました。
翌日、その職人さんがやってきて、屋根に上がって作業してくれました。
その後、台所で雨漏りがしたので、おかしいと思い、息子の知り合いの大工さんに見てもらったら、「ほとんど何にも手を入れてない。これはおかしいら…。」と言いました。
私は、職人さんに60万円も支払ってしまいました。
この相談では、姿かたちのある「物」を購入したのではなく、屋根がわらの修繕してもらうという「サービスの提供」を受けています。
このような、「物(=商品)」の販売ではなく、人に何かしてもらうという「サービスの提供」に関する契約についても、特定商取引法は訪問販売に該当し得ると定めています。
訪問販売というと、商品の販売契約が対象であり、「サービスの提供」契約は関係ないように感じるかもしれませんが、サービス提供業者のお店以外の場所でサービス提供契約を結んだり、その申込みをしたりすれば、原則として訪問販売に該当します。
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